昨日、京都に出張に出向く際、新幹線の中で時間を潰すためのアイテムを探すべく本屋に立ち寄ったところ「R35チューニングワールド」なるものがあり、手にとって開いてみるとようはパーツカタログだった。
暇を潰すには丁度いっかと車内でパラパラと眺めていたワケだが、やっとミッションの故障要因(ウィークポイント)が解明されたようだ。
それによるとオイルシールの破損とのこと。日産はミッションについてのパーツ単品販売は行っていないが、偶然の幸運も重なりオイルシールを正常なものと交換することが出来、無事に再稼動に成功したとの内容が記載されていた。
改めて思うのは、日本のチューニングはもはや立派な産業であり、その市場にいるユーザに対し既にこうやって必要不可欠な存在であるということである。そのチューニングショップは今後のプランとしてオイルシールの製作を独自で行い、ミッションのO/Hを70万~80万で行っていくとのこと。
「安全のために」という論理的に説明が出来ないハズの大義名分をかざして、200万以上するアッシー販売しかしないどこぞのメーカーはこれを読み少しは自身を恥じてもらいたい。ユーザに密着し理解しているのは誰か? マーケティングセクションはいったいどういう分析をしているんだ? 某北米メーカーと同じ道を次に辿るぞ、本当に....そのとき、税金から建て直し資金くれって言うなよ。
断っておくが、僕はチューニングに関して保証をしないというスタンスを否定しているワケではない。逆に肯定的である。そんなのは、そもそもが当たり前だと思っている。しかしながら、このやり方はあまりにもおかしい。なぜオイルシールの破損で工賃込み280万円も支払わされるのか? これを具体的に説明してみろ....である。オイルシール以外全部正常なミッションはその先どこにいくんだ? 捨てんのか? いまどき、吉野家だって割り箸止めたゾ!
3年後保証がなくなったら誰も怖くて乗れないクルマになる。当然、リセールバリューもまともにかからない。GT-Rを下取りに出すユーザが全部それを被るんだ。あんたらじゃぁない。
ビジネスの付加価値を示す一つの例としてアングリーカーブとスマイルカーブと呼ばれるものがある。仮にこれを基盤とした話をした場合、自動車というプロダクト型の産業は既に飽和状態にあり、アングリー型からスマイルカーブに移行されている。
自動車メーカーはスマイルカーブの真ん中、つまり低付加価値域にある。必然的に高度技術、またはサービス分野に生き残りをかけることになるわけだが、これをプロダクト販売後のメンテナンスによる収益で補おうという狙いが、この某クルマに関してあまりにも露骨であり、ある意味、見ているほうが恥ずかしくなるほど滑稽だ。
何十年もの間、メーカーが輩出した自動車プロダクトを、その後においてユーザを理解しユーザと密着しこの産業を完成系へと補完してきたのは、町の整備工場だったり、例えば今回の例のようにチューニングショップだったり、そういう構図が出来ているんだ。従ってユーザからしてみればメーカーはごくごく遠い位置にあり、でも近くに馴染みの整備工場があったりするから安心してクルマに乗っていけたワケである。メーカーもそこに今迄力を注いでいない。ディーラーで板金修理させれば特になにも付加価値はつかない癖に相場の1.5倍以上の金を取ったりね。ユーザは馬鹿じゃない。ある日、おばさんユーザだって知るものなんだ。「町の工場に頼んだほうが安い。しかも親切だ。」って。町の工場と価格競争に挑んだりサービス性の競争をしたり....そういう努力を今迄してこなかっただろ。
それを今更なんなんだ? メーカーとして次世代の収益源、例えばサービス性しかり。これをメンテナンス費で稼ぐってどうなのか。単純過ぎるぞ。もっとヒネれ!少なくともF1を続行しているもう1社のほうの次世代戦略は優れているゾ。
今回、こういう内容のものを某メーカーのお客様相談窓口に送付したら、「安全のためにそうしてます。以上」って返信されてきた。
まったく、ユーザサポートの定型文そのまんまじゃねーか。
頼むよ、某メーカー。10年後なくなってくれるな。
あんたらは日本国が誇る一大メーカーなんだ。
以下は2008年6月の僕のブログである。読んでもらえれば解ると思うが、僕はGT-Rというプロダクトとその背景に関して非常に感銘を受けた。しかしながら、この上記を含むトータルのパッケージがあまりにも残念でならない
それと追伸:僕のGT-Rは別にミッションが壊れたワケではない。至って良好である。
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いち技術者より愛を込めて
GT-Rの開発は、トップ(カルロス・ゴーン)が現場の責任者である水野氏に100%権限委譲して治外法権化した。それで、開発者は余計なことを気にせずに、すべての力を良い車を創り出すために出し切ることができたのだと聞いた。「やっぱりそうか。」が率直な僕の意見である。
技術者の執念と魂はユーザーには必ず伝わる。僕はGT-Rにそれを強烈に感じていて、また今日の日本のメーカーに不足しているのはこういった部分だと思う。
現在のところ先進工業国である日本が、つまらないものばかりをトップの号令下で大量生産で安く出す....そんなんでいいのだろうか。本当に疑問であったが、このクルマは僕にちょっとした安堵感を与えてくれた。
日本にもまだ技術者の魂がある。
今日の日本企業の課題のひとつとして技術者がモノ造りに専念しきれないことが多過ぎると感じる。今日をしのぐことに一生懸命で何が自分達に課せられたことかを忘れかけている。日産がGT-Rを世に出すまでにそれぞれの立場の人間が担った役割をもっと見習うべきである。勿論、技術者であり、そして経営者のハシクレでもある僕も含めて。
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Posted at 2009/03/20 21:40:39 | |
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