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2013年08月25日

大型車のはなし ―トレーラー篇―

大型車のはなし ―トレーラー篇― 今回は、大型トラックならではの「トレーラー」について語ってみましょう。

まず、トレーラーの種類について。キャブとエンジンが備わった「牽引する側」がトラクタで、後ろの独立した荷台の方をトレーラと言いますが、これは主に3つの種類に分類できます。

●セミトレーラ
これが典型的なトレーラで、最も見かけることが多いタイプですね。


40ftの海上コンテナを牽引するタイプです

 
タンクローリー

このタイプだと連結した状態で全長16mあまり、トレーラ単体で12mまでの長さが可能です。通常のトレーラは車軸が2つ、連結状態だと4軸になるから高速道路の料金が観光バスと同じ「特大」に分類されますが、写真のタンクローリーは3軸なので「大型」に分類…つまり高速料金が安くなります。比較的重量負担の軽いトレーラ(車載車など)は、写真のようにトレーラ側は1軸のみということが多いですね。

このトレーラの、連結部分を見てみましょう。



上の写真はカプラ本体を撮影したもので、下の写真はトレーラ側のピンを撮影したものです。「日本フルハーフ」の下にピンがあります。連結するときはトレーラに向かってバックして、この二股になった部分にトレーラの下に生えたピンを差し込んで連結します。連結するとここにトレーラの荷重がかかるわけで、制限重量も当然決まっている…これを「第5輪荷重」といい、その重量はステッカーで必ず明示されています。主に「YOKOSHA」でお馴染みの横浜車輛工業で製造されています。


第5輪荷重を示すステッカーです。重量物を輸送するツーデフトラクタ(後日解説予定)なので、許容できる重量が大きめですね


このタイプの長所は、通常の大型トラック(12m単車)よりも積載重量が大きいことや、フェリーに載せる場合はトレーラだけ載せればよいので12m単車よりも積載効率が良いこと、排ガス規制などで車両を代替えする時はトラクタのみ代替えすればいい(=代替えコストが分散できる)こと…そして、実は12m単車よりも小回りが利くことです。


大阪南港に集結するトレーラ群。フェリー埠頭では定番の光景ですね


フェリーに載せられたトレーラです。単車と同じ全長12mですから、運転席が無い分更に多くの荷物を積めるわけで、積載効率がいいのです

●フルトレーラ


あまり見かけない、12m単車の後ろにもう1両連結したタイプです


連結部分です。動きの特性上、連結したときの間が大きく開いています


牽引側に設置された連結器で「ピントルフック」と呼びます

連結したときの全長は実に18mに及びます。長所は、やはりその絶大な積載能力ですが、写真のタイプだと連結部分の回転軸が2箇所あって最小回転半径が非常に大きくなることから、右左折はもちろんのこと、後退も極めて難しいですね。私の会社にもつい最近までこのフルトレーラがありましたが、上記の使い勝手の悪さもあって全滅してしまいました。その後、従来からのドリー式の欠点をある程度克服した↓のタイプが登場しました。


※写真の確保が困難なため、これと↓の写真はWikipediaから拝借しました

これはセンターアクスル式といって、リヤカーみたいにトレーラの中央に車軸があるタイプです。これだと連結部分の回転軸が1箇所になり、それにトラクタ側のカプラが車体後部の内側に入っていることから、セミトレーラに近い運転感覚にすることができます。それと、トラクタとトレーラの間の隙間を短くできるので、その分積載量も増えるのが長所です。

●ポールトレーラ

これは長尺で積荷自体に強度があり、分割不可能な積荷(橋桁や鉄骨、新幹線車両など)を輸送するためのトレーラで、トラクタ側には回転台があり、トレーラ側は「ただの台車」という解釈でいいかと思います。運ぶモノは大概特大物なので、輸送には警察への許可申請を必要とすることが少なくありません。トレーラ側にはリモコン操作による独自のステアリング機能が付いていて、急カーブや交差点もスムーズに曲がることができます。ただし、歩く程度の超低速での運転となりますが。

このように、12m単車以上の大量輸送&長大で重量のある貨物を運べるのが特徴ですが、当然欠点もあります。まず、滑りやすい路面には非常に弱く、トラクタあるいはトレーラのどちらかがスリップをして制御不能に陥る「ジャックナイフ現象」「トレーラロック現象」が発生すること。またカーブや交差点を通過する時、トレーラの遠心力がトラクタ側に伝わりにくいことから横転しやすいです。特に海上コンテナはどんな積荷かわからないこともあり、横転事故が多発しています。私の会社にもセミトレーラが多数ありますが、過去に何度か雪道でジャックナイフ現象による事故が発生しています。

私が思うに、この世で最も運転が難しいと思うトレーラーは大型車を牽引できるレッカー車ではないでしょうか。大型のレッカー車自体はせいぜい10m前後でしょうが、故障車はもちろん12mのフルサイズ。それにレッカー車と被牽引車との隙間を加えれば、全長30mくらいになるんですよ! ある日私の会社の支店に、荷物を積んだままの故障車を牽引したレッカー車が入ってきて、連結状態のまま故障車をホームに接岸させました。その運転技術たるや実に見事なもので、普段セミトレーラを運転するドライバーも「スゲー!」を連発したほど。レッカー車を運転していた金髪の兄ちゃんは「これ出来なきゃ仕事にならないっすよォ」と軽口を叩いていましたが、そのレッカー車が出て行くとき、私は尊敬のマナザシで見送ったのでありました…

↓は参考の動画です。


よくこんなの運転できますね!

次回はトレーラー篇の続きで、トラクタについてです。

※11月26日に、フルトレーラの写真追加と加筆・修正を行いました
ブログ一覧 | 大型車の話 | 日記
Posted at 2013/08/25 12:33:58

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この記事へのコメント

2013年8月25日 17:44
先週見かけましたが、丸目の810のレッカー車が事故で大破してしまった低床4軸車を牽引していましたが、激しく破損していてウイングも横に開いてしまって、全体的に後ろにずれてしまっていました。
そんな車両を狭い道&高さ制限がある場所でも牽引していくのを見てしまうと、同じく凄いなって思います。

ちなみにそのレッカー会社ですが、1007に乗っていたときプジョアシを使った際に来てくれた会社で、他にもレゾナのレッカー車も現役でした。
コメントへの返答
2013年8月26日 6:57
丸目の810にレゾナとは、もう30年モノですね! 近所のレッカー屋さんには、前期ビッグサムのレッカー車があります。
大型のレッカー車はかなり高価らしいから、小さなレッカー屋さんには代替えはなかなかできないようですね。

307に乗っていた頃、たったの一度だけレッカー車にお世話になったことがありましたが、その時は3t車の「セフテーローダー」でした。

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「この構造、やっぱり凄い。アパートの下に電車がいます」
何シテル?   06/11 09:21
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