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宝塚過激団のブログ一覧

2015年09月22日 イイね!

大型車のはなし -エアロパーツ篇-

大型車のはなし -エアロパーツ篇-
久しぶりに作る、大型車ネタ。今回は、大型車に装着されるエアロパーツについて。

エアロパーツといえば、スポーツカーであればいざ知らず、乗用車にとっては完全な「嗜好品」ですが、大型車にとっては(使い方にもよりますが)必需品。乗用車とは比べ物にならないほど装着率が高い装備ですね。




まずは、このエアロパーツ。



これはキャブの屋根上に装着されるFRP製のエアロパーツで、メーカーによって「ドラッグフォイラー(ふそう)」「エアディフレクター(いすゞ)」等の商品名がありますが、輸送の現場では「風防(ふうぼう)」の通称で呼ばれています。箱型ボデーの場合は殆どの車両に装着されるパーツで、メーカーの標準仕様や廉価仕様にさえ標準装備されるほどです。特積屋の大型車でも、よほどのどケチ会社(金欠系のあの会社!?)でもない限りは装着します。シャシフレーム上に架装される箱型ボデーは実用性100%で設計・製作される以上、空気抵抗なんて考慮する余地などありませんからね。
これがないとキャブの後は垂直の絶壁で、非常に大きな空気抵抗が発生します。そこでその空気抵抗を抑えるため、樹脂製のこの部品をキャブ上に載せるのです。これの有無で燃費に明らかな影響が出ますよ。
出始めの頃は単純なデザインで「ただの三角」でしたが、最近はタイトル画像のやつみたいな複雑な流線形が多く、少しでも空気抵抗を抑えて燃費を良くしようと工夫しています。

この風防にも色々なバリエーションがあり、冷蔵車などに対応したタイプなどがあります。


冷凍車向け。冷凍装置に干渉しないようにしたデザインですね


こちらはショートキャブ向け。キャブが短いので、これまた専用のデザインです


あと、こんな所にもエアロパーツが使われています。



キャブとボデーの左右にある段差を埋めるパーツです。キャブとボデーを密着させるに越したことはありませんが、エンジン点検の際にはキャブを持ち上げなければならないのでそうもいかず、キャブとボデーの間には大きな隙間と段差があります。それを埋めるためのパーツですね。



これはサイドバンパーです。通常は細いバーを3本程度貼り付けてバンパーとしていますが、薄いアルミ板にしてボデー下に風が入るのを押さえ、空気抵抗を低減させる働きがあるそうです。


実は、リアスポイラーもありますよ。


ボデーの上の、あまり人目につかない場所に設置されたリアスポイラーで、これでボデー通過直後にできる空気の渦を抑えて空気抵抗を低減させよう、というわけです。ウイングボデーではあまり見かけませんが、ドライバンでは意外と多く見られます。効果?…それはわかりません(笑)

そして…



やっと撮影できました。これは「サイドスカート」と言って、上のサイドバンパー同様にボデー下に風が入るのを押さえ、空気抵抗を低減させる働きがある…らしいですが、そのメリット以上にデメリットの方が甚大です。樹脂製とはいえ巨大なので重く、積載重量に悪影響を及ぼします。もちろん段差に弱くて整備性も悪い…そして取り付けると三ケタ万円級のコストがかかる、極めて高価な部品です。それゆえ殆ど普及していません。エアロパーツというよりドレスアップパーツなのが現状で、装着する車両が多いのはコンサートやイベント用の舞台セットや各種機材等を輸送するトラックくらいでしょうか? 


バスにも、エアロパーツが取り付けられています。




さすがに観光系ボデーのみですが、写真の通り後部ガラスの上にリアスポイラーを設置していることが少なくありません。効果の程はともかく、特に高速路線バス用車両では装着率が高いですね。

大型車は車体が大きいゆえにその分空気抵抗が大きいので、各種エアロパーツを設置して少しでも空気抵抗を低減(=燃費低減→経費低減)させようと工夫していますね。むしろ乗用車よりも、本来の目的で利用しているのではないでしょうか?

今回は、以上です。
Posted at 2015/09/22 00:42:56 | コメント(0) | トラックバック(0) | 大型車の話 | 日記
2015年01月18日 イイね!

大型車のはなし -大型車を運転することの「重さ」-

こんなニュースを発見しました。以下、引用です。


JR水戸駅と東京駅を結ぶ茨城交通(本社・水戸市)の高速バスの男性運転手(32)が16日、高速道路上で居眠り運転をしているのを乗客が見つけ、乗客16人全員が後続のバスに乗り換えたことが同社への取材でわかった。報告を受けた関東運輸局は「事実を確認し、法令違反があれば処分を検討する」という。

 同社によると、高速バスは16日午前8時10分、水戸駅南口を出発。常磐道を走行中の午前9時半すぎ、男性客が運転手に「居眠り運転をしているのではないか」と注意し、最寄りの守谷サービスエリア(茨城県守谷市)に停車させた。本社にも乗客から電話で通報があり、後続のバス2台に全員乗り換えてもらった。運転手は「睡眠時間に問題はなかったが、うとうとしてしまった。気の緩みがあったのかもしれない」と話しているという。

 茨城交通の遠藤隆光常務取締役は「お客さまに大変申し訳ない。再発防止に努めていきたい」と話した。

(引用終わり)


うーん…私が所属するトラック業界とは、天と地の違いがありますね。

正直に言えば…いろいろ話を聞いてみると、こんな居眠り運転はトラックでは「日常茶飯事」なのが現実です。

トラックの場合、運転手の拘束時間は運転中だけでは済みません。旅客と違って貨物は自分(=運転手)たちで積み下ろしするから、積み込み(または荷卸し)だけで1時間~数時間かかります。しかも道路の渋滞や事故・悪天候による通行止め、荷物の集荷・配達先での順番待ち(←大きな荷主ほど時間が長いのよね~)によって、拘束時間は伸びる一方。そして私たち事務方の場合、1日みっちり働いた後に「荷物が載り切らないから、悪いけど持っていって」と懇願され、片道ウン百キロ走る臨時便を運行することが多いです、特に繁忙期は。他にもまだたくさんあるけど、そんな環境だから、常に過労状態→居眠り運転の危険を孕んでいるわけで…事実上、無法状態なのです。

乗っているのは大概運転手のみのワンマン運転で、同乗者から注意を受けられません。いちおう居眠り防止装置もありますが、眠い時は何をやってもダメ。白状しますが、運行中に居眠り運転をやらかしたことが何度もあります。そんな時は速度維持なんて到底不可能で、車線を逸脱しないようにするのがやっと。乗務終了後にタコグラフ(速度やエンジン回転数を記録する装置)を確認すると、高速道路を走行したにもかかわらず、速度の記録が「ゴー&ストップ」の如く乱れているほど。お蔭で事故を起こしそうになったこともありますし、そうでなくとも他のトラックからバッシングを食らったことが、一度や二度ではありません。もちろんそんな状態は私だけではなく、深夜の高速道路では同じようにフラフラしながら走るトラックをよく見ますね。

そんな時は「多少遅れても仕方ない。事故よりずっとましだい!」とばかりに、サービスエリア等で30分程度仮眠します。たったの30分であっても、随分と違うんですよ。何しろ、もしクラッシュしたら↓ですから!





乗用車と比較して重量がひと桁分重いだけあって、破壊力は乗用車の比ではありません。いつもこの動画を思い浮かべて「こうなりたいのか!」と自らを脅しつつ運転→仮眠しています。そのお蔭か、これまで何とか事故を回避してきたのですが。

このニュースを読んで、大型車の運転とはこういうものだと思いを新たにしました。
Posted at 2015/01/18 06:33:45 | コメント(3) | トラックバック(0) | 大型車の話 | 日記
2015年01月11日 イイね!

大型車のはなし ―日本から輸出される大型車 バス篇―

大型車のはなし ―日本から輸出される大型車 バス篇―今度はバスの輸出について。まず、ここで扱う「バス」とは、日本で言うマイクロバスより大きなバスのことで、「ハイエース」「キャラバン」など1BOX車の派生モデルのバスは除外させていただきます。あまり知らないから(笑) タイトル画像は、私が香港の太子(プリンスエドワード)で撮影した、日本では見られない全長10m級のふそう「エアロバス」です。実際に乗りましたが、座席が天龍工業製だったから日本製とみて間違いないでしょう。

予め白状しておきますが…本文中の写真は、大部分が公式サイトから拝借した写真です(謝)

日本からバスが輸出され始めたのは、トラックが初めて輸出された翌年で、こちらもまた乗用車よりも早く輸出が始まっています。ただ全てが日本製ではなく、カミンズなど海外メーカー製のエンジンを搭載していることも多かったようですが。
現在日本から輸出されるバスは、国内で販売される台数の数倍に及ぶ規模で、輸出されるバスの大部分は小型バス…日本で言う「マイクロバス」が圧倒的に多いですね。その中でもトヨタのマイクロバス「コースター」の人気は絶大で、国によってはランドクルーザーなみの人気と信頼を獲得しているほどです。


意外な世界戦略車! トヨタ・コースターの輸出仕様です

北米と西ヨーロッパ以外(衝突安全性を考慮して、その面で有利なボンネットバスが主流だからだそうです)の世界各国に輸出されていますが、特に中東諸国と中国の販売台数が多いそうです。現地では油田や建設現場の作業員の送迎やスクールバス、路線バスに用いられることが中心で、車両故障による延着で作業の進捗や企業活動に悪影響が及んでは困るから、たとえ高価でも信頼性の高い日本車が売れるのだそうです。信頼性だけでなく、同じ小型バスでもボンネットバスと違い、車体の全体を客室として使えるスペース効率の良さも、人気の一因ですね。例えば香港では、マイクロバス(特にコースター)がミニバスとして重宝され、よく目にする日本車のうちの1台です。メーカーも香港のミニバス向けの専用の車型を設定していて、現地で行先表示器などを装着してから販売しているそうです。もちろん、これまたトラック同様に規格品のヘッドライトやシュノーケルを装備するなど、輸出向けならではの仕様もたくさんあります。

マイクロバスと比較して、大型バスの輸出は少な目です。しかもボデーまで含めた完成車として輸出されることは稀で、大部分がシャシのみの輸出に留まります。


ボルボのシャシの写真で恐縮ですが…日本から大型バスを輸出する時は、こんな姿です。これを「ベアシャシ」と言います

以前は完成車として輸出されることが多かったのですが、1990年代以降は完成車の輸出が無くなり、つい最近まで途絶えていたのが現状です。トラック同様、シャシのみであれば積載スペースや重量を軽減できますし、輸出先の実情に合ったボデーを架装できるからです。

何しろ海外(特に発展途上国)では、ルーフ上に荷物を満載したり、車内に人間だけでなく家禽類を「同乗」させるなど、日本では思いもつかない凄まじい使い方をしますから! シャシのみ輸出というだけでも、現地の技術レベルに合わせ、完全に組み立てて輸出する形態から、足回りやエンジンどころかフレームすらバラバラの状態で船積み→現地の工場で組み立てる(=ノックダウン生産)形態まで、さまざまです。
そしてトラック同様、輸出向けは多彩な仕様が存在します。現地の環境規制に合わせて昔のエンジンを搭載しているのはもちろん、日本の大型バス同様のリアエンジン仕様(乗用車で例えればRR)からトラックベースのフロントエンジン(同FR)を小型バス用シャシとしたやつまで、実に多彩です。特に後者はヘッドライトをもトラック用を流用することが多いので、日本ではけして見られないスタイルの車体でも、フロントマスクにベース車の面影が残っていることが多いですね。


いすゞのリアエンジンの輸出専用シャシ「LT434」に販売国の架装メーカーでボデーを架装したバスです。個人的にはなかなか優れたデザイン、特にバックミラーは日本のよりも進んでいるデザインだと思います


台湾で活躍する、フロントエンジンでトラックベースのいすゞ・NQRシャシを用いた路線バスです。ヘッドライトにベース車(日本名エルフ)の面影がありますね。Wikipediaより

また、国内の販売台数よりも圧倒的に輸出される台数が多いからか、国内向けとは商売方法が随分と異なります。いすゞと日野はバス事業を統合して、この2社で同じバスを生産・販売していますが、輸出向けについてはそれぞれが独自の設計のバス用シャシを生産・輸出しています。それどころか、バス事業から撤退した筈のUDトラックスですが、実は輸出用に限っては細々ながらも生産を継続しているのです。しかもインド(だったかな?)にバス用の工場を建設したというからびっくり!

完全な完成車としての輸出が久しく途絶えていた大型バスですが、最近その輸出が復活しました。それはふそうの大型路線バス「エアロスター」で、オーストラリアで現地名「MP300」として販売されています。


オーストラリアで販売されているMP300です。日本のエアロスターとの違いは殆どありませんね

日本国内のバス市場が年々縮小する一方で工場の稼働率を維持する事、海外のライバルメーカー(特に中韓)のバスは完成車として輸出されることが多い事、ボデーにも日本の品質を提供する事などが理由のようです。オーストラリアが選ばれたのは、比較的ふそうブランドの強い市場で、そして何より日本と同じ左車線走行・右ハンドルなので最小限の現地対応で済むからだそうです。実際に投入してみたところなかなか好評で、日本車ならではの品質や信頼性だけでなく、(事実上)同一メーカーのシャシとボデーで一体生産されるから、シャシとボデーのメーカーが別々なのと比較して納期が短く、後者の3分の2程度で納車できるとか。またクレーム発生時の責任の所在がはっきりしているのも、意外なメリットとのこと。是非、この調子で大型車の完成車輸出を定着させていって欲しいですね。

以上で、輸出ネタは終了です。

参考文献;バスラマ インターナショナル 
Posted at 2015/01/11 06:11:20 | コメント(0) | トラックバック(0) | 大型車の話 | 日記
2015年01月11日 イイね!

大型車のはなし ―日本から輸出される大型車 トラック篇―

大型車のはなし ―日本から輸出される大型車 トラック篇―今年初の大型車ネタは、日本から輸出される大型車についてです。大型車というより「商用車」という括りに近いのが現状ではありますが。まずはトラックについて解説してみましょう。タイトル画像は、大黒ふ頭で撮影したサウジアラビアに輸出されるいすゞ・ギガ(海外名CまたはEシリーズ)です。尚、今回のネタでは、拾い物画像を多数使用していることを予め白状しておきます(謝)

日本で製造された乗用車が海外に大量に輸出されているのは皆さんご存知の通りですが、大型車を含む商用車も御多分に漏れず、海外にたくさん輸出されています。あまり知られていませんが、戦後の日本で製造し輸出された「車」の第一号は商用車(トラック)で、乗用車よりも早い1949年から輸出を始めています。このように商用車は、一足先に輸出できるだけの商品力を備え、当時の日本にとって喉から手が出るほど欲しい外貨獲得に貢献していたのですね。

さて、現在。日本で販売されているトラックほぼ全ての車種が海外に輸出・販売されているのが現状です。全世界で比較的万遍なく販売されるのは、日本での商品名で言う「エルフ」「キャンター」などの小型トラックで、日本からの輸出だけでなく海外の工場で現地生産された車両を販売しているほどです。海外メーカーでは小型トラックは日本のメーカーと比較して小型車が比較的手薄で、日本のメーカーほど小型車のラインナップが充実していないことがあるようです。もちろん、日本車ならではの抜群の信頼性も見逃せない要素ですが。

一方、日本で「ギガ」「スーパーグレート」等の商品名を持つ大型トラックは、西ヨーロッパと北米では販売されていません。これは、現地で求められるサイズと比較して小さすぎるのと、ボルボ・トラックスフレイトライナー(アメリカ)、DAF(オランダ)、イヴェコ(イタリア)など、欧米では強豪メーカーがひしめいていることが関係していると思われます。

世界各国へ輸出される以上、現地の使用状況や法規制に合わせた仕様にすることは欠かせません。ハンドルの位置はもちろん、環境規制や現地(の顧客)が求める最大積載量などなど…輸出先に合わせた仕様の多彩ぶりは、乗用車の比ではありません。例えば環境規制一つとっても、環境規制のない国から「EURO5」相当の規制がある国(香港)まで、まさにバラバラ。だから日本ではとうの昔に絶版になった筈の、30年ほど前の排ガス規制に対応したエンジンが今でも輸出専用で生産されているほどです。日本で販売しているのと統一すればいいじゃないか、と思われるかもしれませんが、輸出先…特に発展途上国においては、部品調達や技術力の事情で電子制御だらけの最新エンジンの保守が出来ない事が多いので、敢えて古い仕様で生産・輸出するのです。だから、日本では絶版となった先代モデルが輸出向けとして生産・輸出されていることが乗用車以上に多いですね。そして、車両総重量30t級の「高床4軸」や車両総重量40t~50t級の「超高床3軸」「超高床4軸」という、重量やサイズ的に日本ではナンバー取得(=公道走行)が到底不可能な仕様が存在するのは、大型車ならではです。


左はオマーン向けのFシリーズ(日本名フォワード)、右はニュージーランド向けのギガです。日本国内向けとは殆ど違いが無いですね。左は増トン顔の総輪駆動で車両総重量7t級、右は低床8×4の車両総重量20t超。ハンドルの位置以外は日本国内向けと殆ど同じです


東京モーターショーで撮影した、海外専用の超高床4軸「HINO700」です。単車ながら車両総重量50t!日本国内ではナンバー取得のしようがありません

あと、国内仕様では標準装備のHIDライトの筈が、輸出仕様では規格品の角目4灯(もちろんハロゲン)に変わっている、砂塵対策のシュノーケルが付くとか、細かい部分も随分と違います。


日本では「スーパーグレート」として発売されていた、国外向けのふそうFVです。日本国内では7年程前に絶版となったこの世代が、現在も生産・輸出されています。大きなMITSUBISHIのロゴと規格品の角目4灯ライトが、独特の雰囲気を醸し出していますね。もちろん「スーパーミラー」なんかありません(笑)

日本から輸出されるだけでなく、各メーカーは世界各地に工場を持っていて、現地工場から出荷してその国で販売または周辺国に輸出しているのは乗用車と同じですね。主にタイ(いすゞやUDトラックスなど)やポルトガル(ふそう)、アメリカ(日野)とか、世界各国に存在します。日本で販売しているのとそっくり同じモデルもあれば、現地専用で日本ではお目にかかれないモデルも少なくありません。完全な専用設計の車種もあれば、日本で販売していた旧式車の部品を組み合わせた「いかにもあり合わせ」な車種もあり、なかなか面白いです。なかでも日野が北米で現地生産するボンネットトラックは、いかにもアメリカ向けらしいですね。


UDトラックスがタイで生産する、新興国専用の大型車「クエスター」で、大部分が専用の設計です


インドで生産される、車両総重量10t前後の「ふそうFI」です。中型車「ファイター」のシャシに小型車「キャンター」のキャブを組み合わせた、あり合わせ感溢れる車両ですね


日野自動車の北米専用車「HINO600」です。車両総重量6t~15t級の中型級で、レンジャーと部品(インパネなど)を多数共用しています



各メーカーの工場で生産された輸出車が港に向かうときは、小型車以外は仮ナンバーを付けて自走で港に輸送されます。何しろそのサイズと重量ゆえ、乗用車みたいに車載車に載せようがないからです。小型車はセミトレーラ車載車で輸送されますが、小径タイヤを装備した専用の車載車が用いられます。

船積みされるときは基本的にボデーを架装されないシャシのみの「半完成車」で、現地に到着してから現地の架装メーカーでボデーを架装します。その方が船の積載スペースが小さく、軽くて済む(=より多くの車両を積載できる、つまり1台当たりの輸送コストが下がる)のと、現地の事情に合ったボデーを架装できるからです。工場出荷時点でボデーを架装されているのは、一部の小型トラックの「平ボデー」くらいのものですね。


平ボデーを架装された輸出車両。トヨタのピックアップみたいに、煽(あおり)にメーカー名を大書してありますが、右はどこの言語でしょうね?

これは余談ですが…古いトラックのエンジンをオーバーホールする時、敢えて海外(フィリピンなど)に輸出して現地の工場でOHすることが増えているそうです。これは、古いトラックが比較的多い海外の方が部品の入手が容易で、尚且つ現地の工場の方が古いエンジンに慣れているうえ、技術レベルも徐々に上がってきていることが理由だそうです。ただ…OHが完了→日本に到着して梱包を開けてびっくり。なんとエンジン全体が金色に塗られているとか、日本の常識では考えられない事もあるようですが(笑)

今回は、以上です。次回はバスの輸出について。
Posted at 2015/01/11 06:08:21 | コメント(1) | トラックバック(0) | 大型車の話 | 日記
2014年09月15日 イイね!

大型車のはなし -トラック+バス=トラバスに乗ってみた-

大型車のはなし -トラック+バス=トラバスに乗ってみた-まず、「トラバス」とは何か?について解説しましょう。

これは、概ねトラックのシャシをベースに製作した「バス」のことを指します。既存のバスがありながら、わざわざトラックのシャシを利用してバス(「バス風のトラック」も含む)を製作するのですから、大掛かり且つ長期間の製作工程が必要な車両ですね。もちろん非常にに高価です。

主に献血のための採血車や後部に車椅子用リフトを設けた福祉用途のバス、競走馬の専用輸送車などがよく見かける車両です。その他、観光地のレトロ調ボンネットバスや動物園向けのユニークなデザインのバスも、これに該当します。そのうち、最近福岡市に登場した「トラバス」に乗車したので、その模様をレポートします。そのトラバスとは、西鉄バスが運行する福岡市街地の周遊観光バス「福岡オープントップバス」です。

まず、天神の近くにある福岡市役所に 向かいました。天神バスセンターが近いながらも、乗車する場所がここだからです。特設の乗車券売り場で11時30分のルートを予約してある旨を告げると、乗車券を渡されました。


座席指定制で、指定されたのは最前列の左側でした

そして…発車5分前に問題のトラバスが到着しましたが、これがまた凄い車両です!



このあまりに凄い姿のトラバスは2年前から走り始めたもので、日野の大型トラック「プロフィア」の低床4軸・総輪エアサス仕様(LKG-FW1EYBJ)をベースに、八王子の東京特殊車体でボデーを製作したもので、1台1億円以上かかっているとか。他にもこんな屋根のない二階建てバスはありますが、他は全て既存の二階建て車両を改造したものばかり。新造車はこれだけという、極めて手間と費用のかかった車両なのです! トラックベースとは言え、車軸が4つのバスなんて、あの「ネオプラン・メガライナー」以来ですね。以下、車両の写真各種です。


フロント部分です。バスなのに前輪が2軸! 運転席には、プロフィアそのまんまのインパネがありました


後部で、ここだけ二階建て?の構造です。この構造を実現するため、後輪から後ろのシャシフレームを撤去する改造が行われています


車内に乗り込むと、このように屋根がありません。解放感は抜群!


座席は、こんなクッションのないタイプです。1時間程度の乗車だからいいのですが。


運転席の上です。さすがにオープントップではありませんでした


へ~、JBLとは! 案外グレードの高いスピーカーですね。こんな時はやはりTOAでせう(笑)

11時30分過ぎに、バス?は市役所前を発車しました。目の前には何やら配線みたいなものがあって、謎の突起物がありました。一体なんだろうと気になっていると、ここから冷却のための霧が吹き出すとか。


あの…最前列だとまともにかぶるんですけど(惑)

バスは混雑する天神の道路を通り、都市高速に向かいました。視線の位置は約3.2mの高さなので、路線バスの屋根の高さとほぼ同じ。


ミニバンの屋根が、こんなによく見えます


路線バスも、この通り


信号や標識にぶつかりそうでスリル満点です

都市高速に入り、60km/h走行が始まりましたが、アップダウンもあってジェットコースターみたい。↓は、その時撮影した動画です。風切音が目立つのと、粗い画質で申し訳ありません…



福岡ドーム脇で都市高速を降り、洗練されたデザインの建物が並ぶ通りに入りました。



なんでも、複数の建築家が競作して設計した建物群だそうです。そして近くには多くの警察官が並んでいる建物もあります。これ、中国と韓国の総領事館とか。どうりで警察官が多いわけだ! それからバスは、大型車があまり入って行きそうにない、公園や神社のある少々狭隘(きょうあい)なルートを走り始めました。全長10m級の路線バスとは違い、12mフルサイズの巨体には少々苦しそうです。そして12時30分頃、終着の福岡市役所に到着したのでした。

さて、車両についての感想です。

この車両は「二階建てバス」という体裁ですが、通常の二階建てにするには構造上不可能で、実際には「ボルボ・アステローペ」みたいなセミダブルデッカーですね。でも二階建ての部分は後部のほんの僅か、そして走行中は立ち入れないのですから事実上無意味…無理して二階建てにしなくても、と思いました。走行するコースには狭隘な区間も含まれているので、全長10m級でホイールベースが短い路線バスと比較すれば、12mフルサイズでロングホイールベースのこの車両では、そんな区間での右左折は大変そうな印象です。そして…そんなに寿命は長くないだろうな、と思いました。何しろ雨天も運行するので、屋根が無いから雨をそのままかぶるので、腐食が早そうです。新造から2年あまりの車両ですが、早くも内装のあちこちに劣化している部分を見つけました。入念なメンテナンスが必要な気がします。

以上で、レポートを終了します。
Posted at 2014/09/15 06:38:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | 大型車の話 | 日記

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「この構造、やっぱり凄い。アパートの下に電車がいます」
何シテル?   06/11 09:21
宝塚過激団と申します。何とぞよろしくお願いします。 プロフィール画像は、宇部興産専用道路で運行されているアメリカのケンワース(ただしオーストラリア製)のボ...
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