
某車両YXS11の話である。
突然ヒーターによる暖房が効かなくなったと報告あった。
原因調査と対策を考える。
現状として‥
○ブロアモーターは回り風量も十分、温度マックスにしても冷たい(ぬるい)風しか出ない
○計器盤の水温計は十分な温度を示している
○ヒーターコックも問題なく開いていており、ホースも暖かい
○ラジエター及びリザーバータンクにクーラントは十分入っている
このような状態で原因を探りましょう!
まずはヒーターコア詰まりを確認。
ヒーターコアへのイン・アウトのホースを外して水圧をかけてやるも勢いよく水が出るので、大きな詰まりはない。
排出された水もヘドロがあるわけではなくきれいな状態で十分な水量であった。
ウォーターポンプをバラし確認しても問題ない状態であった。
サーモスタットは念のため交換。
この状態でエンジンを高回転まで回すと途中で息継ぎをする現象がでる。
これはヒーターコアの問題ではないと感じつつ、ラジエターキャップを温まった状態でラジエターの過程を確認。
そうするとラジエターから気泡が出ていることが確認できた。
が、が〜ん!
シリンダガスケット抜けてる!!
まだオイルラインに水が回っていない事が不幸中の幸いであると言えるが、このまで抜けているのならオイルラインに回ってた方が原因究明に苦労せず、すぐさま廃車案件と認識できたものと思う。
ガスケットからの抜けた排ガスがウォータージャケットに大量に抜けて、その圧力によりラジエター液が押し戻されてあるのだろう。
特に高回転まで上げるとウータージャケット内に充満した排ガスにより空間ができてしまい、ヒーターコアまでラジエター液が回らず結果、ブロアから暖かい空気が流れないのであると想像できる。
また高回転に回すことで息継ぎする現象も、一時的にウォータージャケット内が空間となり、ECUを制御する水温計(計器盤水温計とは別系統)の信号が高温となることでオーバーヒートと判断し、強制的に失火させてるため息継ぎする事も理解できる。
車内が温まらない原因は、ウォータージャケット内に充満した排ガスによりヒータコアにラジエター液が到達せず、結果車内が温まらないとするのが妥当であるだろう。
これが温まらない直接の原因と考えられるが、根本原因はシリンダヘッドの歪み、もしくはシリンダーのひび割れなどが考えられる。
なぜガスケットから排ガス漏れが起きたのか??
誰かオーバーヒートさせたかっ?!
単にガスケット交換で直ればありがたいが、そもそもガスケットから抜ける原因があるとするならば、分解整備してたところでシリンダヘッドの歪みや、下手するとブロックのヒビなどの可能性も否定できない。
それら修理リスクを考えると、対処としては費用対効果を考えるとリビルトエンジンに載せ替えか、諦めて代替えとなるだろう。
ここまで来ると、箱替えならぬ新らしい車に入れ替えた方が費用対効果は高い。
こうなれば各気筒のコンプレッション測定しなくても諦めがつくわね。
今や製造されていない3Yエンジン自体もかなり高額になってる。
そう簡単に買うことすらできない。
今回は、車内が温まらないトラブルから発展した廃車案件。
原因を探ることで核心とも言えるシリンダガスケットからの燃焼ガス漏れが判明、結果的に大事になってしまった。
費用かけても直す価値がある車ならオーバーホールして直すこともある。
最初の不具合は大したことがなくても、調査する上で修理費用が高額になり廃車した方がいい案件‥車という道具は奥が深いね。
これがジャパンだとしたらトコトン修理するけどねw
ドサクサに紛れてチューンドエンジンへ載せ替えとかね!w
まぁ、地球を10週以上を走行した車であり、その距離は月まで到達できる距離を走破している車なんだから、何が起きても不思議ではない?!www
ガスケットから抜ける場合、大抵オーバーヒートしているだろうな。
少なくとも毎日の点検が車という寿命を伸ばす最大の方法だと思う。
また初動で最適な行動をすることが重症にさせない最大な予防策である。
メンテが行き届いていればまだまだ問題なく走れたであろうと実力ある3Yエンジン。
とても残念だわ。
エキゾチック〜ジャパン!
Posted at 2022/12/30 13:18:50 | |
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