”駆けぬけるおっさん”が 旬な試乗記をお届けする Fisher's Blog
本日の試乗記は BMWのZシリーズ最新の”Z4 sDrive23i”です。
Z4も代替わりしてからずいぶん経ちますが、
マイチェンもされてZ4 sDrive35isも追加されたということで 一応”旬”ということにさせてください。
歩いてすぐのとこにある BMWフランチャイズの某有名Dラ
平日であれば丸1日 モニター試乗させてくれるとのことで
日程の調整をしてたんですが、さすがに人気のZ4 なかなか予定がビンゴしません。
(このDラは 旧Z4の3.0iも丸1日貸してくれたことがありました。)
有休取るからには確実に天気の良い日にしたいし・・・
で ようやく予約できたのですが
ラッキーなことにマイチェンしたばかりの
卸したてのZ4 sDrive23i(以下Z4-23iとします)を借りることができました。
木曜の夜に引き取りに行って 土曜日の朝10時までに返却という約束
1日目はビーナスライン方面へツーリングして ツアラーとしての実力をチェック
2日目の早朝に箱根に持ち込みワインディングでの走りをチェック
2日間で実に850kmのモニター試乗しましたので レポートを上げておきます。
最高グレードのZ4sDrive35isにも 少し前に試乗させてもらったのでその印象も少しばかり書いときます。
インプレッションは
素人目線でZ4Mとの比較を中心に試乗で感じたままを書きます。
■主要スペック比較
Z4 sDrive23i(以下23iと呼ぶ) Z4Mロードスター(以下Z4Mと呼ぶ)
サイズ 4250×1790×1290mm 4120×1780×1300mm
重量 1500Kg 1430kg
ホイールベース 2495mm 2495mm
パワー 204PS/6300rpm 343ps/7900rpm
トルク 25.5kgm/2750~300rpm 37.2kgm/4900rpm
エンジン 直列6気筒NA 2496cc 直列6気筒NA 3245cc
ミッション パドルシフト付6AT ゲトラグ6MT
0-100km加速 7.3sec 5.0sec
オープン機構 電動メタルトップ 電動幌
■エクステリア
新型Z4のデザインを語るには やはり旧型との比較が必要だし
この車の肝は やっぱりデザイン!ということで たっぷりの内容でお届けします。
旧型Z4は鬼才クリス・バングルによる好き嫌いのはっきり分かれる”えぐいデザイン”で
典型的なロングノーズ&ショートデッキのデザイン
リヤのオーバハングが短くグラマラスなボディに
お尻がキュッとしまったエロチックな雰囲気あふれるデザインでした。
新型はその流れを上手く取り入れながらクーペとオープンの良いとこ取りに挑戦したデザインです。
旧型と比較してどうなのか? 率直な感想を少しばかり
(新旧Z4のデザイン比較をフォトギャラリーにUPしました。)
☆クーペとしてのデザインは非常にカッコいい
美しいクーペとしてデザインの評価の高いZ4Mクーペと比べてもまったく遜色が無い!
デッキのコンパクト差がロングノーズをより強調するすばらしいデザインになってると思います。
☆オープンとしてはリヤのボリューム感が気になる
角度を変えて写した写真をUPしました。
・斜め前から見たデザインでは
まず 上側のショルダーラインのプレスが深いのが目に付きます。
ちょっとやりすぎというか・子供っぽいイメージを持たせますが、
下側のプレスラインを深くしていることでバランスが取れていると感じました。
旧型との違いで目に付くのはヘッドランプ形状が吊り目でシャープになっているのと
そのヘッドランプ形状に合わせてノーズ先端を絞り込むためにボンネット前側の厚みを削いで
全体的にシャープなラインにしている。
この角度でも運転席より後ろのトランクセクションのボリューム感が若干気になるけど
斜め前から見ている限りはオープンにしても十分カッコいい形状だと感じました。
・真横から見てみると
ボンネットフードの前側が急角度でスラントしているのでちょっと寸詰まり感があります。
新型は旧型と比べて車長が約10cm伸びてますが、
そのほとんどはリヤのオーバーハングが伸びたことによります。
すなわち 電動メタルトップを収納するための空間を稼ぐ必要があったのです。
そのために後輪から前の寸法要件は旧型とほとんど同じなのに
後輪より後ろ側だけ10cmも伸びた寸法をデザイン的に処理しないといけなくなったのです。
さらに、電動メタルトップを収納するためにトランク厚みが増してしまい、
トランク部分がどうしても重たく感じてしまう・・・・
その重たいリヤの感じを払拭させるためにサイドのショルダーラインと下側のプレスラインを
目立たせてやる必要があったのではないでしょうか?
真横から見ている限りは その狙いは成功しているように思います。
(が・・・旧型のほうがカッコいい)
・斜め後ろから見てしまうと
もはやトランクのボリューム感は隠しようが無く”ポテッ”としたメタボ形状が明らかに・・・
旧型は斜め後ろから見てもセクシーでしたけど
新型で写真撮るときは 斜め前からがいいでしょう。
さらに角度を深くして真後ろ近くから見てしまうと
斜め前から見た躍動感あふれる印象はまったく無くなってしまってます。
☆エクステリアデザインまとめ
新型は電動メタルトップの採用でクーペとオープン両方を楽しめるようになってますが
デザイン的にはクローズドのクーペを優先したデザインになってます。
旧型Z4はソフトトップのロードスターで専用設計されているので
オープン状態ではどの角度から見ても完成度が高いのに対し
新型は 少なくとも後ろ側からは 正直あんまりかっこよくないと感じました。
まあ Z4同士(しかもオープン)で比較するとそうなのですが、
クローズドでもオープンでもこれだけかっこよい車もそうそうあるものではありません。
■内装
・インパネ周り
いつものBMWといった感じですが
ナビの画面がかなり大きくなっています。
地図の表現力は数段良くなっているけど 細めの道が確認しづらくなっているのが気になる。
エアコンはデュアルで扱いやすいし iドライブ関係も使いやすくてすぐ慣れました。
インパネ周りは・・近代的な感じだけど旧型のそっけないほうが好みだなあ。
オーディオのボリュームつまみがとってつけたような形なのは
大きくマイナスポイントだと思います。
・収納関係
新型Z4で大きく進化したのが収納関係です。
まずはセンターコンソールが設定されている。
ここにIpodなんかのauxライン入力のジャックがあります。
さらにここにドリンクホルダーもあります。
(悪評高かった 壊れやすい可動式はやめたようです 正常進化)
収納自体の厚みはあまり無いのですが あるとないのでは大違いです。
さらに、座席後ろにかばんなどを置けるスペースが出来たのは大きな改善点。
落下防止のネットも付いてるのでGoodなポイントです。
Z4Mなんて 室内に鞄を置くスペースがまったく無いから すごく困る。
トランクはメタルトップ収納のために複雑な形状になってますが、
クーペ状態では十分な収納スペースがあります。
オープン状態になると出し入れのスペースがかなり制限されてますが、
奥のほうは結構荷物が入るので、Z4Mで収納スペースが困らない人だったら
まったく問題ないと思います。
・シート
お借りした23iは標準のカンザスレザーでした。
標準なのでサイドサポートも張り出してないので乗り降りはしやすかったけど
ワインディングの押さえはまったく効かない。
Z4Mのナッパレザーはしっとりした感じの柔らかい革だけど、
カンザスレザーは上面が凸凹している固めの仕上げで 正直イマイチでした。
電動シートは付いてたんだけど 上下の調整は全体が動くタイプでこれもイマイチ
35isにはエクステンド・カンザスレザーというタイプでしたけど
サイドサポートがしっかりしてる他はあまり変わらず。
シートヒータは3段階でよく効きます。
・ドアミラー
旧型よりも結構大きくなってます。 バックに入れると下を向く機構も装備。
後ろの視認性もよくなってるんですが・・・・
Z4みたいに車高が低く着座位置の低い車では
右斜め前の視認性が非常に低くなってしまって怖いです。
正常進化なんでしょうけど・・・安全性は疑問
■走行インプレ
・6ATシフト:
23iのシフトは一般的なトルコン式6ATでパドルシフト付きです。
このシフトパターンは一般的なパターンと違って
押すとダウン 引くとアップです 左右関係ないです。
これが 使いにくい ATレバーそのものも押してダウン 引いてアップで
世間的な流行とまったく逆 35isの7速DCTも同じでした。
一般的な左右振り分け式に近い形にしたかったので
右手で引いてアップ 左手で押してダウン で使いましたけど
そろそろこのパターンは世間の流れにあわせたほうがいいですね
だって M3とかはそうなってるし・・・・・
ATの変速自体は スピーディでタイムラグを感じさせず
シフトアップ時にはなかなか良いのですが、
シフトダウン時には問題があります。
変速を早くやろうとしてクラッチの締結解除が済む前にブリッピングが入るから
シフトダウン時に一瞬加速します。
最初かなりあせりました。
ワインディングでペース上げて走るとブレーキ踏みながらの変速になるので
違和感はなくなります。
オートモードの変速制御は かなりかったるいのでほとんど使わないのではないでしょうか?
・6気筒エンジンのフィール:
2.5Lの直列6気筒エンジンは パワー感こそイマイチですが
軽い拭け上がり感が気持ちいいし 排気音もなかなかやる気にさせてくれます。
まあ 2.5LのNAエンジンに1500kgの車重なので低即時の加速感はいまひとつですが
ある程度スピードが乗ってからの速さは「これで十分」なのではないでしょうか?
怖くない範囲で 適度に速く走れる。しかも回転感覚&排気音が気持ち良い♪
高速のクルージングでも回すのが楽しいのと、低回転ではトルクがイマイチなので
ついつい回して乗ってしまいます。
なかなか良いエンジンだと思いました。
できればDCTと組み合わせて欲しかった。
ひとつ 気になる点は モニターとして乗った2日間で2回も交差点でエンスト
ネットでそのトラブルがあること聞いてたのであせりませんでしたが・・・
AT車で突然エンストなんて・・・
しかも静かにエンストしちゃうのでアクセル踏んでからはじめて判る。
車のトラブルに慣れてない人だったら 一瞬パニくるかも?
・ハンドリング
電動パワステの違和感はほとんど無いです。
BMWらしく適度に重い操作感と路面状態を的確に教えてくれるので安心感があります。
ワインディングで結構ペース上げても 設置艦の把握に違和感はありませんでした。
・サスペンション
ダイナミック・ドライブ・コントロールというやつが標準で付いていて
ノーマル/スポーツ/スポーツ+ の3段階でサスの動きを制御できます。
なるほど 硬さが結構変わります。
スポーツカー好きだったら”スポーツ”モードであれば適度のなり心地で
俊敏に動けるのですが・・・・ エンジン切る度に 改めて設定する必要があります。
ワインディングではスポーツでも十分です。
スポーツ+のほうが楽しいけど DSCの介入が遅くなるので
ヒヤッとするときにヒヤ~ とすることになります。
・タイヤ:
新世代のランフラットタイヤは なかなか良くできてます。
サスの出来の良さとあいまって タイヤの硬さを感じさせず良い感じでした。
・ブレーキ
Z4Mのに比べると 少し頼りないですが
芦ノ湖スカイラインを楽しく走る程度では数往復してもフィールに変化も無く
コントロールもしやすい感じでした。
・ワインデイングでの印象
結構 車重が重い割には 軽快に曲がってくれます。
テンポ良く走ってる範囲では不満は無いのですけど
少し飛ばし始めると やっぱ車重の重さが気になります。
少し無理するとズバッとリヤが出て行く動きになるので少し怖い。
しっかりパワーかけたコーナリングではアンダーになる傾向も無く良い感じでした。
立ち上がり加速は車重がある分 6ATを駆使して高回転キープしておく必要があります。
うまくシフトダウンして無いと立ち上がりが腰砕けになるので
それがまた楽しく感じさせてくれます。
ただし・・・高回転キープするからなのか?油温がけっこ上がり気味でしたので
がんがんに走るのには向いてないかもしれません。
6ATでシフトが簡単で 適度なパワーということで、あまり慣れを必要とせず
気軽に楽しくワインディングを楽しめる車になっていると思います。
ただし・・・・ 乗りこなしやすいということは味は薄目ということなので
”乗りこなす喜び”を期待するMな人には 受けないのかもしれません。
・クーペ状態とオープン状態での走行
クーペ状態では「さすがメタルトップ」非常に静かです。
土砂降りの雨でも、高速でかなり飛ばしても静かなので二重丸です。
オープンも良いです
サイドウインドウが4枚合って、しかもトランクが高いので風の巻き込みが
旧型とは段違いに少ないです。
スピード出しても快適なので「いつもオープンにしていたい」という人にも向いてると思いました。
・燃費
スピード抑え目で乗るとZ4Mより20%くらい良いのですが・・・
高速でもワインディングでも飛ばしてしまうとZ4Mとほとんど変わらないとこまで落ち込みます。
車重が重いので加速エネルギーをかなり消費する&トルコンのスリップロスが大きいのだと思います。
■総合インプレ
Z4 sDrive23iはクーペではむちゃくちゃかっこいいし、オープンでもそれなりにかっこいい!
セキュリティも高いしワインディングも手軽に楽しめるし、1台しか所有出来ないということであれば
非常に良い選択肢の一つだと思いました。
旧型Z4でのウィークポイント(収納とか)も修正して正常進化させてます。
35isに至ってはZ4Mにもパワーも遜色無いというかトルクで完全に勝ってる。
(乗った感じで言うとZ4Mの乱暴な加速感のほうが上ですが・・・)
新型Z4の車の出来はかなり良いと思います。
が・・・・価格が高いような・・ コスパを考えるとsDrive23iはちょっと高すぎるような気がします。
乗り出し500万でいければ”買い”だと思いますけど・・・・