24年間 挑戦し続けてきたソーラーカーレース
僕らの長い夏は ついに終わりを告げました。
今回の鈴鹿サーキットでのソーラーカー耐久レース
僕らのラストランを 少し書いてみます。
今年のレースには 強力助っ人が参加してくれた。
①ソーラーカー界のフランシスコ・ザビエルとも呼ばれる
ソーラーカーレース創世記からのレジェンド H氏
僕らがソーラーカーを始めるころからの師匠で、僕らに最も影響力を及ぼした人物であり、
多くのチームが学校・企業といった活動の母体を持つ中で完全なプライベータの姿勢を貫き通した尊敬すべき方。
②イタリアのプライベーターチーム”Futura”のマネジャー J氏とその息子A君
2004年 ギリシャで開催されたレースで知り合った。
僕らとは初対面ではないが2004年のレースのときにA君は3歳だったので
どちらも覚えていない。
その後 当チームのM氏が国際的イベントに車検官・レギュレーション策定などで関わっていく中で交流を深めた。
イタリア人二人は 車の積み込みからフルに参加してくれて
木曜日の夜には 僕らと一緒に鈴鹿のPITで雑魚寝
積み下ろしの後には 僕らと一緒に 鈴鹿のスーパー銭湯で裸の付き合い。
と ここまで一見順調に思えていたのだが・・・・・
車検に向かおうと バッテリーを繋ごうと思ったときに事件は起こった。
”バチッ” 「ん? 何で?」 もう一度端子を軽く 接触させてみたがやはり”バチっ”
テスターで調べてみると 明らかに漏電している。
僕らのバッテリーは直流で約100V 非常に危険なんです。
24年やってて 漏電は初めての経験
悪いことに 電気の専門家が居ない。
イタリア人のJ氏は 電気の専門家で国際的イベントでも電気系統の車検官をやれるほどの人物。
僕らに代わりテスターで点検していくが
自慢じゃないが 配線が整理されてなくて 僕らでも良くわかんない状態なのと
お互い英語のネイティブスピーカーではない言葉の壁で なかなか原因がわからない。こくこくと過ぎる時間 車検は8時半から12時までの間。
11時になった。
そこに ”神様”H氏 笑顔で登場!
「どうしたの?」「漏電でバッテリーつなげないんです」
「車検 何時まで」「僕が弄ってもいい?」
「もちろんです! 車検通るように何とかお願いします。」
そこからH氏のオペが開始された。
メンテ性無視で 長年場当たり的に繋いできた配線を 神業のように裁いていき
回路全体の状況を把握していく。
「とりあえず 回路シンプルにして車検通る状況にする。計測系は車検を通ってからやろう!」
オペ開始から約45分で目処がつき 車検官のOKが出るように配線を整理できたのがジャスト12時
例年 車検だけは1番で通してきたのだけど 今年は断トツのビリ

車検自体は 特に指摘も無く
「どうしたの~ いつも一番でくるのに?」と車検官から冷やかされる。
食事取る暇も無く 予選に向けて 計測系を復活させるオペ開始
僕とT君は ブリーフィングに参加

オペは順調に進み きっちり予選前に 車を仕上げることができた。
そして 予選
T君が予選アタック スイッチ系の操作ミスもあり あまりタイムが伸びなかったけれどもソーラーカー耐久で予選ポジションはあまり関係ない。
ドライバー交代と練習のため 僕にドライバー交代。
そこで 再び問題が発生
ソーラーパネルからの電流計と積算電流計が動いていない。
電流計はともかく 積算電流計が動いてくれないとエネルギーマネジメントがボロボロになってしまう。
積算電流計は カウンターは10W分くらいはカウントしてたのでT君の乗り始めたときは動いていたはず。
状況をPITに伝えた後 再びT君に交代 3周だけ回ってもらって
再びH氏のオペ開始。
本戦の準備もあるので 電気系オペ、バッテリー充電、タイヤ交換の3班に別れ準備を進める。
トラブルが相次ぎ おにぎりはおろか飲み物さえろくに飲めていない状況。
・・・・・このとき 僕の思いは・・・
せっかく H氏とイタリア人親子参加してくれてるんだから 宴会は絶対やりたい!
(^^;;;
予約していた店に「遅れても行くから部屋は開けといて」とお願いして
メンバーへの指示も スピード優先。
H氏から「解決したと思う」という宣言がなされ 無事宴会を開催できる目処がついた。
居酒屋に先発隊を送り 先に料理を注文してもらい、7時半に無事宴会スタート

(目線が無いのはイタリア人親子)
渇ききった喉に ビールが恐ろしく美味い。

イタリア人のJ氏がイタリアからわざわざもって来てくれた 特別なワイン!
むちゃくちゃに美味かった。
ギリシャで行ったワイン醸造所で 特別に飲ませてもらったマフロダフネを使った高級ワインに似たお味でした。
イタリア人が語ってくれたソーラーカースピリッツに 僕と師匠のH氏は「彼 わかってるね~」とさらに酒が美味しくなる。
むちゃくちゃに楽しかった宴会も無事終了。
DAY2 本戦
翌日は ホテルを朝5時前に出発
僕にはなんとも無いんだけどみんな眠そう(^^;;;
鈴鹿は小雨
ソーラーカーのWETって しゃれにならないくらいに滑る。
僕らの車は空力最優先で リヤのオーバーハングが笑っちゃうくらいに長い

この長大なリヤオーバーハングの過大なモーメントがWET路面では
恐怖のスピン製造機に変身してしまう。
他のマシンが悠々と曲がっていくスピードでもリヤが先に滑っていくのでどうにもならないのだ。
昨日からトラブルに見舞われ続けている僕ら・・・
・・・・そして 準備中にメンバーが「リヤのキャンバーおかしいですよ」と異常発見。
調べてみると 3輪のソーラーカーではかなり珍しいWウィッシュボーン構造の下側のAアームの付け根にガタ発見
ここにガタが出ると コーナリング時にリヤタイヤがいわゆるポジキャン状態になってリヤのすべりを助長する。
増し締めしてみるとだいぶ抑えられたけど ガタはやはりある。
壊れることは無いんだけど ただでさえむつかしい車が 恐ろしくむつかしい車になるというだけある。
あ~あ ドライ路面だと 2コーナーとか最速で駆けぬけられる僕らのマシンはwetでは何にも出来ない無能マシンとしかならない。

スターティングドライバーは僕 路面は未だWET
ただし 雨は止んでいる。

「路面さえ乾いてくれれば・・・」そう願いながら コクピットでスタートを待つ。
7時ジャストにレース開始
路面は徐々に乾いてくるんだけど スプーンの2個目だけはむちゃくちゃに滑る
というかウチのマシンと相性が悪い。
他のとこが曲がれるスピードでもリヤがじわりじわりと出て行く
ほんの少しの修正陀でこらえても いわゆる3ドリ状態でグリーンが迫ってくる。
代わりにドライになってくれた2コーナーではどんな車より速い。
1時間15分経過後に 相棒のT君にドライバーチェンジ
4時間レースなので大方のチームは2時間くらいで交代するんだけど
エネマネ担当が僕なので 早めに交代しないと作戦が後手後手に回ってしまう。
と ところが・・・
交代したとたんに雨が降り始めた しかもかなり強く
完全wetになってしまうと 作戦もクソもない
僕の指示は ひとつ 「スピンしないでなるべく速く」
電力的には常に余裕があった。
コーナーを恐ろしく慎重にゆっくり回らないといけないので 電力はかなり消費する。
レース終盤 ダメモトでT君にお願いしてみた。
もっと速く回ってくれたら 上をぬけるんだけど・・・・
・・・・余計なプレッシャーを与えたせいで 痛恨のスピン
雨の操縦性が絶望的なこと知ってるのに、しかもドライバー交代が早くて集中力の限界が来てそうなときに・・・
やっぱ 監督失格だな~
とは言え 最後の最後に6位まで挽回できた(出場30台くらい)

EVO 最後の勇姿

ラストランの反省は いろいろあるんだけど まあ力出し切ったかなあ
今回の鈴鹿は 24年間 常にトラブルと戦い続けあきらめない気持ちを持ち続けてきた僕らに ソーラーカーの神様がくれた最後のプレゼントだと思います。
ラストランは実に僕ららしいレースでした。
トラブルにまみれながらも いかなるときもあきらめず泥臭くチェッカーを目指し達成してきた。
24年間に挑戦したレースでリタイヤは1回もないのがささやかな誇りです。
僕らの24年間のチャレンジは終了しました。
思い起こせば長かったようで短かった。
他では経験できないような濃密な体験
流した悔し涙 人の優しさに触れて流した嬉し涙も数知れず
良い体験をさせてもらった。
関わってくれたすべての人に感謝・感謝の気持ちでいっぱいです。
了