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とみ~☆かいらのブログ一覧

2018年10月31日 イイね!

【プレイバック試乗記】トヨタ・クラウンマジェスタ(UZS186)

クラウンマジェスタのポジショニングはなかなか難しい。

単純に考えれば初代のデビューから遡ること3年、時流に乗って一大ムーブメントを巻き起こしたシーマの対抗策の真打ちとも言える存在だけれども、反面シーマの翌年には本来国内投入の予定が無かったセルシオを投入しているわけであり、セルシオは国内でも今までに無かった高級車として大ヒットしている。

しかしながら、同時にシーマの勢いを止めるには至っていなかったわけで、よくあるトヨタの二の矢三の矢的存在だったのかもしれないし、或いはセルシオが元々海外専用車の予定だったのだから、元々はセルシオポジションとして企画されていた車だったのかもしれない。

トヨタの車の歴史を紐解くとマークII(マークX)やセンチュリーなんかも元々根幹モデルの派出車種から始まっていたりするわけで、マジェスタもその一台と考えるのならば、トヨタの商品計画に元々から組み込まれていたとしてもおかしくはない。

実際、初代140系マジェスタはシーマのようなガワ違いではなく、標準車のクラウンとは全く違うモノコック構造のモダンなシャーシを纏っていたわけで、単に130系のV8クラウンがシーマ追撃に失敗したから、或いはセルシオでは追撃には物足りなかったからで作られたにしてはあまりにも凝りすぎている。

しかし、結果的にはマジェスタが登場した頃にはライバルが勝手に自滅したわけで、カテゴリー的にはマジェスタのみが国内に存在する状態の独特なポジションを築くことになる。

***
マジェスタが登場したことで標準車からは150系からはエアサスの設定が消滅したり、170系からは従来のロイヤルツーリングを発展させた(セドグログランツ対策とも言う)アスリートが登場したりと、良く言えばカジュアルに、悪く言えば中途半端な存在になってゆくが、マジェスタはその間もトラディショナルな高級車像を追求する道を歩む。

しかし、そういう「豪華なクラウン」という立ち位置はマジェスタで言うと5代目に当たる200系で急変することになる。

かつてトヨタブランドの実質的なフラッグシップであったセルシオがレクサスに移行したため、レクサスを立場上買えないセルシオユーザーのための受け皿として、従来のセルシオ並みの車格が与えられることになった───のは良いのだが、そういう車を望んでいた人はトヨタが思っていた以上に少なかったらしく、この200系は歴代でも最も存在感の薄い世代となった。

そして210系では一気に肩の力が抜けたのか、専用ボディやV8エンジン、エアサスといったマジェスタのアイコンを全て捨て去り、「ロイヤルサルーンロング」と言っても過言ではないほどにダウンサイジングが図られることとなった。

この世代では車格は歴代のマジェスタの中でも一番下と見ても過言ではないものの、全車ハイブリッド化の恩恵もあってよく売れた。
しかし、現行220系での意識改革によるラインナップ再編の煽りを受けて、これがマジェスタの最終世代となった。

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そんな中で180系マジェスタはいわゆるゼロクラウン世代となるものの、アグレッシブさを強調していたロイヤル・アスリートと比べると、立場としては比較的フォーマルな印象に引き続きまとめ上げられていると言える。

とはいえ、往年のアメ車のようなクラシカルなシルエットが特徴だった150系・170系と比べると、エクステリアデザインはゼロの影響を受けてかなりモダンな出で立ちに変化している。

また、何気にマジェスタの伝統であったHUDを採用していた最後の世代でもあり、そういう意味では伝統と変革が同居しているようにも見える。

***
メカニズム的にはこの世代からドライブトレインやシャーシの組み合わせがV8のエアサス仕様の設定のみとなり、6気筒やコイルサス仕様の設定が無くなった。

何気にセルシオではV8エンジンはともかく、トヨタ時代は代々コイルサス仕様の設定は絶対にあったので、マジェスタのような「一本化」は車格を考えると結構異例な選択である。

そういう意味では、クラウンの立ち位置を再定義したロイヤル・アスリート同様、マジェスタもより上級車としてのポジションを再定義した世代とも言える。

***
ドライブトレインはマジェスタの伝統とも言える「セルシオと同じ」3UZ-FE+6 Super ECT。

この世代まではセルシオとスペックも合わせられていたので、セルシオより軽量な分俊足を期待したいところであったが、意外にもかなり出足は抑えめに設定されており、4000回転くらい回して加速していくイメージでちょっとアクセルを深めに踏み込んでも、3000回転手前くらいでATはシフトアップし、スロットル自体もあまり大きく開けていないような、そんな上品な加速をする。

また、最近のこの手のマルチシリンダーエンジンと違って、存在感を誇示せずあくまでスムーズに静粛に回るので、今の車ではなかなか味わえない、かなりの急加速中でも車内は静けさに包まれるような、そんな圧倒的な静粛性を持っている辺りも実にクラウンっぽい。

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足回り。

個人的にトヨタのエアサスはどうも合わないらしい。

若向けに走りすぎたロイヤル・アスリートに対して、マジェスタはできる限り従来のユーザーに配慮しようとしたのか非常にソフトな設定・・・なのはいいのだが、バネがソフトなのはエアサスだから当たり前として、ダンピングがあまりにも弱い。

速度が低い領域ではエアサスらしいソフトさがいい感じなのだが、ここから速度を上げるほど路面からの入力を減衰し切れなくなり、一旦車体が揺れ出すともう止まらない。

ロイヤルシリーズでは旧来からのユーザーには「硬い」と言われつつも、その実しっかりとダンピングを効かせて芯のある乗り心地と走りにまとめ上げていたところから比べると、ハンドリングなどの傾向はゼロクラウンらしいアジリティを感じるのに、何故かそういう乗り心地の面で非常にだらしない感じになっている。

しかも揺れの周波数や振幅が結構速く大きいので、車の中で振り回されるような、過走行でお疲れのタクシーに乗っているような、そんな感じ。

AVSをスポーツモードにしてもちょっとマシになる程度で大方は変わらない。

ここまで酷い足回りはなかなかないと思う。

***
これを考えると、「クラウンらしい乗り心地」ってなんだろうってちょっと思ってしまう。

130系が動きは鈍くても重厚さにかけては右に出る者がいないほどで、単にソフト一辺倒というのとはちょっと違う感じだったのに対して、新しくなるほどそういうところが軽薄になっていってるという感じか。
Posted at 2018/10/31 17:55:34 | コメント(0) | インプレッション | 日記
2018年10月28日 イイね!

【プレイバック試乗】トヨタ・ランドクルーザー80 バンVX(後期型)

20年30万km以上走っても未だにお声が掛かるランドクルーザーの凄さ。

なんかちょっとファッションで乗っていたユーザーの下に居たような車で、妙に大径のタイヤや無意味に変わったマフラーとか、この御老体にコレは堪えないのか?って感じの車でもありましたが。

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とはいえランクルが硬派一辺倒だったのかといえば実は本当に硬派なのはサファリ(パトロール)の方ともされ、ランクルはむしろ今でこそ超硬派モデルの典型に捉えられているヨンマルなんかも従来の四輪駆動車よりも快適にオンロードを走れるような配慮を多数行っていたりと、むしろ「軟派」なんですよね。

だからランクルは何処の国へ行っても一定のサービスを受けられて結果的に永く使えるという意味で信頼が高く、本当に何もできないような地方ではサファリの方がそもそも壊れないように作ってあるからいいんだとか。

***
そんな80系は現在の200系に繋がる系譜のモデルである。

このシリーズのランクルの成り立ちは初めて最初から乗用を意識して作られたと言われる55型にルーツがあり、ステーションワゴン型とも言われることがあるが、当時のクロスカントリー車のお約束どおり、普通に貨物登録仕様が存在する。

これは意外にもディーゼルの設定が残っていた100系まで継承された伝統であり、ディーゼル車は全車貨物登録車とのなる。
(200系もこれからディーゼルが追加されることになったら1ナンバーになるのだろうか?)

***
今回の個体は後期型のバンVXである。

何が後期か前期かと言われても細かいことはよく知らないのだけれども、少なくとも1HD-FT型エンジンである時点で後期型である。

後期型はバブルの絶頂期に登場し、長期に渡って販売された車の宿命で、作り自体は前期型の方が良いらしいが、ガソリンモデルなんかは初期型は3F-Eという初代モデルにルーツがあるレベルの古式ゆかしいエンジンでディーゼルよりパワーも燃費も劣ったモデルだったりもしたので、ガソリン車にこだわる人は1FZエンジンが設定される中期以降を選んだ方が賢明だったりと、もどかしい部分もある。

***
ハチマルは当時の世相の影響もあって、最上級グレードのVXリミテッドばかり売れていた車なのだが、今回の車はそれと比べると珍しい中間グレードのVX。

とは言っても外見上はオーバーフェンダーが付いてるし、背面スペアタイヤの装着も選べるので、詳しくなければVXリミテッドと何が違うのかほとんど分からない。

しかし、事実上グレード間の差別化の無くなった現在と比べれば、見るべきポイントを押さえれば普通に見分けが付く程度には仕様が異なっており、その見分けるポイントとはドアノブ等がメッキになっているところであり、こういうところがグレード毎に細かく変わっている辺りがバブルの頃に作られた車らしいポイントである。

しかし中間グレードでメッキとなると、最上級は・・・?というと、最近のメッキの方が豪華に見えて上等という風潮から考えると異例だけれども、当時はフルカラードの方が上等と考えられていたらしくて(無塗装パーツとかも普通にあった時代だしね)、VXリミテッドはフルカラードとなる。

***
現役当時はサファリと並んで規格外の巨大な車にしか見えなかったハチマルも、今や諸元を見てみると基本のボディは全長・全幅はCX-8の方がデカイという割りと「コンパクト」な車体である。

VXなのでオーバーフェンダー+背面スペアタイヤでこれらの装飾分だけ見てくれの寸法は広がっているので、それらも加味した数字は流石にCX-8よりはでかい。

だから、イマドキのSUVの感覚からすると見切りの良さやそもそも広さを稼ぐには不利なフレームシャーシ構造のお陰で狭い車内と合わせてえらくコンパクトな車に感じる。

しかしながら、スピードがメーター読みで1割ほど速く表示されているという、ノーマルよりも二回りは巨大なタイヤを履かされていたせいで、高さだけは一丁前に高かった(笑

***
現役当時はガソリン・ディーゼル合わせて国内のSUVのパワーユニットとしては最強を誇っていた1HDエンジン。

そもそも6気筒4.2リッターターボという時点で乗用車というよりは2tトラック並みのサイズのエンジンではあるのだが、同クラスのエンジンでも基本設計が70年代でOHVだったサファリのTB42と比べても、この世代から設計が一新された最新設計のSOHCエンジンで165馬力(初期型)もあり、2.2tにも達するボディを170km近くまで加速させる力があったのだ。

何せ80系デビュー当初はガソリンよりもディーゼルの方がパワーがあった上、他のライバルにしてもランクルほど強力なエンジンを積んだ車は存在しなかったため、ランクル80のディーゼルがガチで国内最速SUVの地位に数年間就いていたほどである。

のちに1HDエンジンは100系で国産乗用ディーゼル(厳密に言えばランクルのディーゼルはプラドの系譜のモデルを除くと貨物登録される車しか存在しないので「乗用」ではないが)では初めて、そして未だに唯一の200馬力超えを果たした1HD-FTE型に進化する。

このエンジンはNAの1HZ(何故か型式が変わる)と世にも珍しい5気筒ディーゼルの1PZで実質的にモジュール構造をとっているという、ちょっとした特徴もある。

今回のそれはNOxPM法によって従来の仕様では販売が不可能になったため、24バルブ化とEGRの装着で規制適合&パワーアップが図られた1HD-FT型である。

とはいえ、巨大過ぎるタイヤと30万kmも走ってちょっとお疲れだったのか、ズモモモモという感じにもっさりと吹ける程度で数字ほどのパワー感は無かったのは残念なところ。

最も飛ばすとまっすぐ走らないので、それなりに足の遅いフィーリングで助かった感もある。

でも流石ディーゼルらしく、燃費は10kmとはいかないけれども7km程度は走っていたようだ。

***
内装は巨大なランクルを象徴する感じで、当時えらく幅広に見えたオーディオとエアコンパネルが横に並んでいるという、独特の配置のインパネが目を引くけれども、今の感覚で見るとこれむしろ車内の天地が足りなかったから横に並べた感がありますね・w・

アームレストになりそうなほど巨大なセンタートンネルが真ん中に出っ張ってるので、これでインパネのスペースがかなり食われている感じでしたから。

同じフレームシャーシのクロカンでもパジェロは逆に普通にこの辺りのインフォテイメントを縦に並べていましたし、その上で小物入れまで作る余裕があったり、ずいぶんと天地のある車だった気がしましたけど。

しかし、当時のランクルはハチマルとはいえ普通にワークホース的な雰囲気が残っているので、あんまり豪華な感じはしませんぬ。

この辺り、「乗用車ライク」と称されたパジェロの方が確かに野性味を残しつつも乗用車的な高級感があった気がします。

あちらもあちらで相当にプラスティッキーでしたけど。

***
事実上最後の前後リジットサスモデルであるハチマル(90系プラドから前輪独立懸架、70系は84年デビューでこの車より古い)、タフネスという点では未だに愛用者の多い型だけれども、前後ともにコイルサス化されているとはいえ、前輪がリジットだと乗り味は相応にトラッキンなものになりがちである。

しかし前輪がリジットであること以上にやっぱり巨大過ぎるタイヤのせいかハンドルを拳いくつ分かくらい揺さぶっても平気で直進していたくらいレスポンスはダルく、かと思えば路面が荒れてくれば酷いワンダリング(場合によっては半車線分くらい車が踊る)も出たりと、経年劣化とカスタマイズの悪影響が双方相まって余計酷いことになっていた感じがした。

それ以外にも停止直前に謎のジャダーが一瞬出たりと、そろそろどっかオーバーホールした方がいいんじゃないの?的な部分も。

そういう意味で20年30万kmのお疲れ具合は察せるのだけど、でもタイヤさえまともならまだなんとかものになりそうな雰囲気はしている辺り、普通の車より相当頑丈なんだなぁと。

乗り心地の方は今の200もそうだけど、ものすごく乗り心地のいいトラックである(笑
この辺りはタイヤとかの状態を鑑みても、何故かそこそこ良好だった。

日本の一般道路を普通に流れに乗って走るのならば今の状態は酷すぎるけど、どっかの山の中とかで作業車としてゆっくり走る程度なら、走れなくなるまでこのまんまでもいいかもしれない、そんな程度。
Posted at 2018/10/28 23:08:03 | コメント(0) | インプレッション | 日記
2018年10月24日 イイね!

【プレイバック試乗】メルセデスベンツ・E320ステーションワゴン アヴァンギャルド(S210)/C200コンプレッサー(W203)

■E320ステーションワゴン(S210)
「最善か無か」

・・・を捨てたとされたベンツの最初の世代。

実際にはW202のCクラスが新世代メルセデスの第一号な気もするけど、オールドベンツっぽいスタイリングで違和感も抱かせなかったから、やっぱりインパクトの大きい見た目をしていたEクラスからがやり玉に挙がっている感じか。

まあ兎に角評判の悪いモデルで、モジュラーユニットのV型SOHCエンジン(中期型~)や各部の合理化、ベンツとしてはあまりに突飛だった四つ目のデザイン等、クリス・バングル時代のBMWに匹敵するくらいの大幅な意識改革があった世代である。

その一方では従来のドライビングインターフェースは継承するなど、敢えてオールドユーザーへの対抗心も顕にしたバングル時代のBMWのような思い切りには欠けてもいたわけで、そういう意味で「これはこれでアリ」という声を批判的な声と拮抗させたBMWと比べると、凡そメルセデスというブランドを信奉するユーザーに対しては受け入れ難い部分ばかりが強調される結果になっていた。

また、兎に角この型のEクラスはなりふり構わないコストカットによる品質低下が囁かれたモデルであるけれども、これはどちらかというとコストダウンも兼ねて環境に配慮したリサイクル素材を多用しているらしいのだが、これが非常に耐久性の無いシロモノで、この辺りが悪評の原因になったとも。

本気で品質がヤバイと騒がれたのは横転問題を起こしたAクラス・スマートや、「アラバマ・メルセデス」Mクラスを立て続けにリリースした、これよりもう少し後の時代の話ではないだろうか。

一方ではベストモータリングのガンさんのインプレッションにもあるように、「腐ってもベンツ」という評価を下す人も当然のように居たわけでもある。

***
実際「ダメなモデル」の代表格のW210系、どれだけダメなのかウキウキしてたんですけど、まずドアの開閉音がベンツなんですよ。

ガチョン!と如何にも精度高そうな音で閉まる。
イマドキの如何にも作ったような重厚さの、バスドラムを叩くような音ではない。

まずこの時点で金が掛かってない車とは思えない品質感。

で走らせてみてもやっぱり今のベンツと比べても車の挙動の作り方、操作系のタッチとかが明らかに一本筋が通っていて、少なくとも車の仕上げ方として見れば今のベンツよりもキチンと仕上げられている。

勿論、絶対的な評価軸は今の車よりも下の方に来ますけれども、造りが整っているのでそれを感じさせない。

どこをどんな速度で走らせても、車は自分が考えたとおり・感じたとおりに動いてくれるし、乗り味も車体はビシッとフラットさを保っているのに、足はしなやかに路面に追従してハーシュネスやバイブレーションを綺麗にカットしている、高級車のお手本のようなチューニング。

これを真似できれば一級の乗り味の高級車に仕上がりますし、トヨタはようやくこのレベルに仕上げで追い付きつつある。BMWも最近はどうやらこの世界観を模倣している。
しかし残念ながら当のベンツがそれを放棄してしまっている。

今のベンツはスピードを出しても感動はないけれども、このベンツは感動しますね。

そういう意味ではこの車は走らせればオールドベンツの良さが残ってると思われるんですけれども、やっぱり樹脂パーツとかの経年劣化具合が年式以上に進んでいる感じで、この辺りが最終的なこの車の品質感に大きく影響していて、やっぱり「やらかした」部分の代償が大きかったということなんでしょうねえ。

■C200コンプレッサー(W203)
こちらはダイムラークライスラー時代の合併後のリリース第一号車で、今度はクライスラーの影響が出始めたとされる頃の車。

だけれども、こういう「不遇の時代」のメルセデスにしても、最善か無かの時代を知るエンジニアがまだ一線級に残っていたであろう時代のベンツって、結構乗り味の面では昔のベンツっぽさっていうのが残ってるような気がするんですよね。

この時代になると、W210では残っていた内装やドライビングインターフェースの面でのベンツらしさもだいぶ薄くなり、良く言えばモダンに、悪く言えば無国籍風になっているんだけれども、走らせてみるとやっぱりベンツなんですよ。

どっしり重厚感があるのにハンドリングは軽快確実で、しかもNVHもしっかり仕上げてあるから、良い意味でのドイツ車らしさはあっても悪い意味でのドイツ車らしさが無い。
これなら1日1000kmでも走れますね。

一頃のスーパーチャージャーに凝っていた頃の時代の車であるので、当然スーパーチャージャー付きなんだけど、パワーは勿論のこと燃費も望外にいいっぽいし。

安かったCクラスでもそういう仕上げが出来ていたって辺り、ベンツの誠実さがあったと思うのです。

結局金を掛けて物自体は良いものを組み合わせていってもその調律がキチンとしていなければ最終的な製品の仕上がりは良くならないわけで、今のベンツっていうのは要するにイマドキの車しか知らない人が車を仕上げてるか、マーケティングが完全に先行してるっていう感じがします。

しかしながら、W203でも感じたのは細かい所のコストは大して掛かってないねっていうところ(w

結局、今の時代に見ると内装の部品の嵌合とかが非常に安っぽいのか耐久性が無いのか、国産車だとよほど手荒に扱われたと思しき車じゃないとなかなか見ないようなヘタリが各部に発生しているっていうね。

何とも言えない良い味わいの走りをするのに、そういうところで何となくそれを帳消しにしているというか・・・。
Posted at 2018/10/24 01:27:59 | コメント(0) | インプレッション | 日記
2018年10月23日 イイね!

【プレイバック試乗】トヨタ・クラウン ハードトップ 3.0ロイヤルサルーン(E-MS135)

ペリメータフレーム時代の総決算と言える130系。

フレーム構造自体は次期140系まで続くものの、知っての通り140系はモノコック化の過渡期&デザインで大失敗してクジラクラウン以来の黒歴史となったのに対して、130系はクラウンらしいスタイリングと作り込みで、やはりバブルの黄金期のカローラ・マークIIすら押さえる勢いのあった大正義世代である。

正直なところ、ゼロクラウン以降のモダンな高級車像を追求したモデルしか知らない自分からみれば、ゼロクラウン以前、特にクラウンが最もクラウンらしいと言われていたペリメータフレーム時代のクラウンというのは、「往年のアメ車の乗り味を和風に落とし込んだような如何にもな乗り味をした車」のステレオタイプな存在であるだけに、一度体験してみたかったのだが、ついにこの日が来たのである。

しかし、船が地上を走っているようなイメージを抱いていた自分には、130系というのは良くも悪くもその期待を裏切るかなりモダンなものでもあった。

***
シートはイマドキの硬いクッションを敷いたものとは違うけれども、柔らかいのかと言われるとアンコが良く詰まっていて「コシがある」と表現した方が正しい感じ。

またドラポジもアップライトに背筋を伸ばして座らせる感じがあって、イマドキの車と違ってベルトラインが低いから高く座っているような感じがするのともまた違って、よく「寝そべり姿勢」と批判されたものとは全く違うし、無理矢理シートを倒して寝そべるとこれはドラポジとして成立しない作り。

既に絶滅したスタイリング重視のハードトップでこのドラポジでも全く窮屈感を感じさせないパッケージングにも驚くけど、これはやっぱり格の高い高級車として、きちんとした運転のできる人に向けた作り込みであって、昔のクラウンの立ち位置が偲ばれる。

たぶん、昔のクラウンとかでそういう座りの悪さを批判していた人って、本来意図してたドラポジから外れた姿勢で座って「これはダメだ」って言ってたんじゃないかって思うくらい。

***
走らせてみても、船みたいにふわふわする感じはほとんどなく、しっかりと路面の凹凸を足回りで吸収した上で上屋は全く揺らさないというチューニングが完璧にされている感じ。

ハードトップではあるけれどもフレームシャーシでもあるので、基本的な骨格は堅牢そのものであり、Y31のような前のタイヤと後ろのタイヤが別の方向に向かって走っているかのようなヤワさは、30年経った今も全く感じられることはない。

特に60km以上で走ったときの静かで滑らかな走りは、効率よく路面からのNVHを遮断するフレーム構造の恩恵も相まって凄まじく心地よい。

ルーツは2代目クラウンの時代まで遡る7M-GEという古式ゆかしい直6・3リッターエンジンは音やフィーリングは直6らしくて素敵だけど、流石にパワー感は正直イマドキの2.5リッター相当くらいではあったけど、このエンジンをぬるぬる回して滑るように走るのがソフトな乗り心地とまたよく合うのだ。

言うなればセンチュリーの世界観がこのクラウンの世界観を今に伝えている感じで、これがトヨタが考える最高の高級車の作りなんだと思う。

ただ流石にエアサスやTEMSも無い普通のバネの足でそういうような滑らかさ一辺倒のセッティングとなると、今のクラウンみたいな「すぽうつ」は全く意識していない感じで、基本的に車の動きは全方位に鈍く躾けられているし、雑にペダルを踏むと前後にぐらんぐらん揺れるし、いい感じのペースでカーブに突っ込んでいけば立ちどころに車の方から「もうダメ」と明らかに派手なロールをしながら外に孕んでいくから、そういう走りはこの車ではしてはいけないし、そういう意味での運動性能が低いのは如何にも「昔のクラウン」らしいと言える。

逆を言うと、スムーズに走らせようとするとどこまでもスムーズに走ってしまうので、あまりに心地よくて乗っていて(自分が)眠くなる車である(笑

***
全体として見てみると、結局この車をダメなオヤジグルマの大将格として捉える見かたっていうのは、恐らくはそもそも車自体のことを解していないか、或いは単に対極にあるような車しか耽溺できない人間からの評価って気がする。

この車の本質は限りなくスムーズで快適な高級車であり、それ以外のものは敢えて犠牲にしているような形であり、要するにこれは個のための車ではないのだ。

クラウンみたいな乗り味のトヨタ車って結構あるけど、歴史の長さを考えればクラウンの作り方っていうのがトヨタ的な上質の原点なんじゃないかって思う。
Posted at 2018/10/23 23:05:11 | コメント(1) | インプレッション | 日記
2018年10月18日 イイね!

【プレイバック試乗】ニッサン・スカイライン 350GT タイプSP(DAA-HV37)

V35からは明確に高級路線を突き進んでいるのはいいが、いつの間にか車格でフーガとバッティングしかねない位置までクラスアップしてきているのはいいのかなぁと。

やっぱり最近はフーガの代わりにスカイラインを買うって人がかなり多いような感じで、フーガ(とシーマ)の存在感が限りなくゼロに等しくなっている気がするのです。

しかし10年近く放置されているフーガと比べれば新しいとはいえ、スカイラインも何気に普通ならモデルチェンジサイクルがやってくる頃合いでありながら、まともなマイチェンすら一度も受けたことがないという体たらく。

大丈夫かニッサン。

***
やっぱり、「スカイライン」を名乗る以上はスポーツセダンであり続ける必要があるせいだろうか、かなりやんちゃな車に感じます。

明らかに加速感を演出しているゲインの高いスロットル、エンジンの存在感を演出するエキゾースト(ハイブリッドなのに)、高級車らしくカドは丸められているけれども硬い乗り心地。

スカイラインのハイブリッドは「速さ」を意識したハイブリッドですが、そこまでやらんでもと思うくらい加速するので、街中ではGT-Rよりも速いクルマに感じます。

そういう意味ではゆったりした乗り心地のグレードもあるフーガとは差別化されてるんだけど、フーガにしてもタイプSはスカイラインみたいな乗り心地なので、やっぱり同じような方向性を突っ走ってる感がある。

ドライブトレーンとしては10年近く前にフーガで初採用されたものと全く同じVQ35+HM34+トルコンレスATのハイブリッドですが、初期の頃に感じた速いのはいいんだけどギクシャクするなあという部分は流石にしっかり熟成されたのか、自然になっていたと思います。

***
ダイレクトアダプティブステアリング。

世界初のステアリングバイワイヤである。

ある意味現行型スカイライン最大のトピックスであり、これが最大の飛び道具でもある。

これが実用化されたことによって、形の上では自動車もフルバイワイヤ操作が可能になるわけだけれども、今のところステアリング・アクセル・ブレーキの全系統が完全にバイワイヤ制御になっている車は存在しない。

そもそもステアリングバイワイヤの技術を持っているメーカーがまだニッサンしかいないのでニッサン以外にこの手の車を作れないのがひとつ。

ブレーキバイワイヤも基本的にはEVやハイブリッド車向けの技術として捉えられているので、この手の車を持たないメーカーはやっていないのがひとつ。
(というか率先してバイワイヤ化したベンツがコケて、トヨタにしても一時期のリコール騒動でミソが付いた感じもあるので、必要以上のバイワイヤ化は二の足踏んでる感じ?)

スロットルバイワイヤはあっという間に普及して、イマドキワイヤーがペダルに繋がってる車がどれだけ残ってるんだってレベルですが、これはある意味一番「安全性」が確保しやすいから普及したんですよね。

スカイラインにしても、自分の認識では少なくともブレーキは回生と摩擦の分配制御は入っていても、摩擦ブレーキの機械的な接続が残っているはずである。

***
そういえばスカイラインにこの装備が付いていたことを最初忘れていたのだけれども、意外と路面との接続が物理的には切られていても違和感は無いものであり、思い出さなければそのまま気づかなかったのではないかという程度には自然にできていた。

GTフォースみたいなのかといえば、そこらへんのデキの悪い電動パワステの方がよほどそういうおもちゃみたいなステアフィールだったりするわけで、結局割りと自然に感じたのはハンドルを切ったときに変なフリクション感や反発感が無かったのがいいんだと思う。

でも言われてみれば確かにキックバックなどのインフォメーションが全く無く、また路面変化による外乱にも異様に強く、ただハンドルを握って進みたい方向に切っているだけでいつの間にか自分が想像しているラインに完全に乗っかった完璧なライントレース性で走っているという、ちょっと普通の車とは違う感じのステアフィールである。

それでいてコンピュータが介在することによる応答遅れみたいなものも感じられることもなく、そういう意味ではよく仕上がっている。

でも、たまに車が動きすぎるような感じが出ることもある。
V36でも4WAS装着車がかなり過敏に動いて乗りにくいとか言われていた事があったけれども、37の場合はアジリティの過剰演出というよりは人間が予測している車の動きとコンピュータが予測している車の動きがズレることがあるんだと思う。

***
インテリア。

インフォテイメントシステムが使いにくい!

流行り・・・と言うには古いクルマ過ぎる気がしますが、デュアルモニタータイプのインターフェースを採用したスタイルで、主にナビとその他の情報がモニター上では分離している気がしますが、操作系がタッチ操作・コマンダー操作・スイッチ操作の操作体系が全く統一されていないので、どこを触ればどこに行き着くのかが全くわからないという。

色々過渡期に出た車とはいえ、これは酷いなぁ。
Posted at 2018/10/18 22:56:14 | コメント(0) | インプレッション | 日記

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