
ゴールデンウィークに入る前から話は始まります。
実家に住む妹から、縁の下に蜂が出入りしてるので駆除して欲しいとメールが来ました。まあ、実家は田んぼの中に建つ木造家屋なので蜂が巣を作ることは珍しくありません。以前にはスズメバチが2階の屋根裏に出入りしていたこともありました。
休日に実家に行ってみると妹は不在でしたが、件の蜂は観察できました。盛んに出入りしてました。
少なくともアシナガバチやスズメバチではないようだし、蜂が巣に戻った夕方以降に殺虫剤を噴射すれば、駆除は簡単。電話で妹にそう伝えると、「じゃ、ミツバチだね。なら、もういいわ。」とのこと。
この辺が田舎育ちかどうかの違い。これがもし女房や娘なら、蜂の種類が何であろうと即刻駆除せよとの厳命が下ります。プーチンより怖い。
で、ゴールデンウィーク中の5月3日。お昼を食べようと実家の近くのお店に入ると、小・中・高の同級生のI君がいました。隣に座って食べながら世間話をして、さて帰ろうかと言うときに彼の趣味を思い出し、実家のミツバチの話をしました。そしたら途端に目が輝き、今から見に行っていいかってことに。
I君は一目見るなり「これは二ホンミツバチ。」と断定。
縁の下の穴を盛んに出入りする蜂を見ながら、二ホンミツバチとセイヨウミツバチの違いの講釈を聞かされました。
・外観は二ホンミツバチの方が小ぶりで全体的にやや黒っぽく、あまり黄色味は目立たない。セイヨウミツバチは二ホンミツバチに比べると大きく、色のコントラストがはっきりしている。
・蜜の生産能力はセイヨウミツバチが二ホンミツバチの5~6倍。
・セイヨウミツバチの蜜は単花蜜と呼ばれ、1種類の花から作られる。二ホンミツバチの蜜は百花蜜と呼ばれ、様々な花から集めた蜜。
・上記の理由から蜜の生産者はセイヨウミツバチを飼育するが、趣味の養蜂家はほとんどが二ホンミツバチを飼育する。
なるほど。私の趣味も家族には全く理解されていませんが、世の中にはどこが面白いのか理解できない、いろんな趣味があるもんだと感心。
I君は実家の二ホンミツバチの分蜂を目論み、さっそく同じく中学時代の同級生のH君とO君に電話して、私の実家の庭に巣箱を置く手配をしていました。ゴールデンウィーク中で暇だったとはいえ、どなたも趣味のこととなると動きが早いね。
分蜂の説明はいいですよね? 簡単に言うと蜂の分家ですね。
5月5日。実家に行くと私より先にI君が様子を見に来てました。
二つ置いた巣箱の一つ。まるでお花をお供えしたお社のようですが、これはO君の手作りの巣箱。お供えの花はキンリョウヘン。この花はミツバチにとって強烈な誘因効果を持つ花とのこと。確かに常に数匹のミツバチがまとわりついていました。そして、巣箱に出入りする蜂も見られました。
これは分蜂が近いかもってことで、今度は分蜂についてひとくさり講釈を拝聴。分蜂はお昼ごろに始まることが多く、その際には巣の近くの木の枝などに蜂球と呼ばれる蜂の群れの塊ができるとのこと。
そんな話を聞いて暫くすると、急に蜂の羽音が高くなり、気が付くとあたり一面蜂だらけ!
この時、1匹の蜂が私の顔にとまり歩き回る暴挙。I君らに触るな!と言われて手で払うこともできず肝を冷やしましたが、何とか離れてくれました。
で、蜂球はってぇと・・・
キンリョウヘンが蜂球になってました。思ってたのとは違ってかなり小ぶりでしたが、ちょっと気持ち悪い。
見ててもどれが女王バチかは分かりませんが、おそらく女王バチも新しい巣箱に入って分蜂は完了したようです。
面白いのは、蜂が来た方向から察すると実家の縁の下の蜂の分家ではなく、全く別の巣から来た蜂らしいということ。
「この新しい巣、成田君にあげよか」言われましたが、遠慮しときました。この年でこれ以上趣味を広げる気は無いし、生き物のお世話は私には無理。
そうそう、新しい巣は本家と言うか古い巣から2㎞以上離さないと帰巣本能で本家に帰ってしまうことがあるそうで、新屋がすぐに空き家にあることもあるようです。その辺も面倒くさい。
ま、とにかく生まれて初めて分蜂を目の当たりにして、少し感動も覚えました。この年になると感動することもそうないからね。
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2022/05/07 23:44:01