前回の続きです。
やっぱり山は舐めちゃいけないぞってお話も含まれます。
まずは山小屋の朝食。
この時はスマホを忘れずに持っていきました。時刻は朝の5時。前夜の夕食もそうでしたが、ご飯と味噌汁はお代わり自由です。もちろんお代わりしました。
ここでちょっとこの山小屋について触れておくと、宿泊費は二食付きで¥13,000也。今時の山小屋ならあってもよさそうな Wi-Fi 環境も携帯各キャリアの電波も無し。どこかで可能だったのかも知れませんが、それぞれの部屋の中にはコンセントもなく、従ってスマホの充電もできません。まあ、電力も燃料を焚いて発電機で賄っているわけですから当然なのかも知れませんが。各部屋の天井の照明は小さめの裸電球で、これこそLEDにすれば省電力化できるのにと思いながら見上げてました。テレビは食堂を出たところに1台あり、皆が天気予報を見てました。
山小屋の設備は今もこの程度が標準的なのかな? ただ、無事に山小屋に着いたことを家族に知らせたい人も多かろうに、Wi-Fi くらい備えてもとは思いましたね。
トイレについても触れておくと、小便器は昔ながらでしたが、大便器の方は洋便器になっており、無臭というわけにはいきませんが、かつてのことを思うとかなり匂いも抑えられていて、この辺は山小屋も進化してるなと感じました。
食事を終え、止む気配のない雨の様子をにらみながら7時頃に山頂へ出発。天気予報ではお昼ごろから回復の見込みと伝えてましたが、この時点では横殴りの雨。風もあるってことです。
私は54歳の時に初めて3000m級の山(槍ヶ岳 振り返ると無謀だった)に登りましたが、貧乏性の私は今もほとんどその時の装備を使っています。雨天用の合羽やザックカバーもその時に買ったものがずっとザックの底に入ったままでした。それを取り出して使ったのは今回の登山が初めて。
山小屋から15分程度で山頂に着きましたが、前日の疲れもあって足が重い。やっと山頂に着いて撮ったのがこれ。
腰のベルトが風で水平になびいているのがお分かりいただけるでしょうか。強風です。
晴れてれば周辺の山々の景色を撮ったんでしょうが、今回はこの証拠写真のみ。
ここで、この日のルートをご紹介しておきます。
またしても人様のHPから拝借。この方は私達とは逆に栂池から白馬大池を経て白馬山頂に向かい、大雪渓を下って猿倉に降りるルートで、3日間の行程です。この方の1日目と二日目の行程を私たちは1日で下ろうとしたわけですが、決して無理のある行程ではなく、一般的なものです。
山頂から暫くのところ。
体が持っていかれるほどの風ではありませんでしたが、滑落ってこういうところで起きるんだろうなと思わせる尾根伝いの登山道。
途中のお花畑。
すれ違った人にライチョウがいたと教えてもらい、期待して注意深く見まわしながら下山したのに出会えずがっかり。
白馬大池が見えてきました。
パノラマ写真。
雪も残っています。
今回の登山の登りのハイライトが大雪渓なら、下りのハイライトはこの白馬大池。
白馬大池で画像検索していただくときれいな写真が一杯出てくると思います。ここに着くまでには雲も取れたきれいな景色を期待していましたが、この時点で雨は止んでいたもののこんな有様。
確か、まだ9時台だったと思いますが、白馬大池山荘の前の広場にあるテーブルで早めの昼食。
上の写真は山小屋で買った昼食用の弁当。少し手が付いてます。¥1,300也。
ま、高いとは思いますよ、私も。この日の昼食用にコンビニで買ったパンはザックの中にありましたが、前日は明らかにスタミナ切れで苦しみましたから、パンでは足りないことは明らか。で、腹持ちのいいこれを注文しました。さすがに登山者用に作られていて、漬物以外は甘めの味付けになっています。ただ、これを前日の夕方5時に渡されるのは何とかならんのかなぁと。
ここから事件が起きます。
ここで同行のメンバーを紹介しておくと、私の現役時代の上司のNさん、Nさんの弟さん、私、現役時代の後輩O君の4人。NさんとNさん弟は共に70代。私が60代でO君は50代。ただしNさんは70代と言ってもかつてはトライアスロンをやってたし、現在もフルマラソンの大会に出場したりしてます。で、体力順に並べると・・・
Nさん > Nさん弟 > 私 > O君
と見事に年齢と逆転。
私は白馬大池に着くなり上の弁当を開けて食べ始め、O君はコンビニで買ったパンが昼食。NさんとNさん弟はバーナーで湯を沸かし始め、ドライライスに湯をかけて戻したピラフとかカップ麺を食べるようでした。
私とO君が早々と昼食を食べ終えた時点で、まだNさんたちは湯も沸いていません。そこでNさんから、すぐに追いつくから先に行ったらとの提案。上記のような体力差ですから、仮に白馬大池の出発が30分ずれたとしてもどこかでNさんたちが追いつく可能性は大。
そこで私とO君だけ先に出発することにしました。白馬岳と蓮華温泉を指す標識があって、白馬岳は戻ることになりますから、目的地は栂池なんだけど蓮華温泉でいいだろうとその指し示す方向に。でもすぐに不安になって、私はO君に本当にこれでいいんだろうか?と尋ねたんですよ。O君は蓮華温泉の標識の下にバスのアイコンがあったんで、間違いないでしょうと言う。Nさんから下山してからバスかタクシーで車が停めてある猿倉まで戻ると言われてたんで、バス停があるならこれでいいのかと、疑いを残しながらも二人で下山。
そのルートを30分以上は下ったと思います。初めて登りの登山者とすれ違ったので、栂池に行くにはこのルートでいいのか尋ねました。すると、「違うよ」と。
その人の話では、そこから白馬大池まで戻るのに1時間くらい、蓮華温泉に降りるなら2時間くらいかかる。蓮華温泉からのバスは一日に3本くらいで、タクシーは呼ばないと来ないとのこと。
白馬岳、白馬大池、栂池、蓮華温泉の位置関係。蓮華温泉と栂池は全くの別方向であることが分かります。迷いました。その人からも白馬大池に戻ることを勧められましたが、また登るのかと思うとそれだけで疲労感が・・・。そのまま蓮華温泉まで降りても何とかなるような気も・・・。Nさんたちに連絡を取って意見を聞こうにも携帯の電波が無いし・・・。
結局、勧め通り戻ることを決断。しかし、白馬大池まで戻っても既にNさんたちはいないだろうし、Nさんたちはいつまでも私たちに追いつけないので心配をかけてるかもしれないと不安になることばかり。
白馬大池に戻ったのは12時10分頃。白馬山荘付近もスマホは繋がりません。
よく見ると白馬大池山荘の建物の間にもルートがあって、そこにはちゃんと栂池を指す標識が。白馬が初めての二人にはそれに気づけなかった。
二人で大池を巻くようにして進んで白馬乗鞍岳を越え、下ります。
またも雪渓。
短い距離だったのでアイゼンは履かずに渡りました。ルートが違うことを教えてくれた人の話では、今年の残雪は例年の1.5倍だとか。
上の写真で雪渓を渡った向こう側を見ていただくと、岩に白いペンキで〇が描いてあるのが分かると思います。それが正しいルートである印。大きな岩の上を足を置く岩を選びながら進めってことです。踏み外したら岩の間に落ちて骨折するかも知れませんね。そんなルートが暫く続きます。そしてそんなルートを高齢者の団体も通過してる。こんなルートの難易度が登山ガイドでは5段階の3になってます。ホントにこのルートが★★★☆☆? 5とは言わないが、4であってもおかしくはないと思うんですが。
なぜかは分かりませんが、下山途中の何でもない林の中でスマホが圏内になったりします。そんなところでNさんと連絡が取れました。やはりNさんたちは既に栂池の山荘に着いていて待っているとのこと。
途中の天狗原(てんぐっぱら)と名付けられた湿地帯。
ちょっとした自然公園として整備されてます。ここも晴れてたらきれいだろうな。
どうにか栂池山荘まで下山してNさんたちと合流。
いやぁ、一時はどうなることかと思いましたが無事下山。
どうでもいいことですが、Nさんたちはここでコーヒーを飲んで私たちを待ってたそうですが、そのコーヒーが何と¥350! 観光地にしては安いどころではなく、一般的な下界より安い!
休憩して落ち着いてから、スキーに来てた頃にはよく乗ってた懐かしのケーブルカー・イブに乗って地上へ。ちょうど1台だけいたタクシーで猿倉まで戻って帰路へ。
私達が道を間違えたりしなければ、いつものようにどこか近場の温泉に寄って疲れを癒してからの帰宅になったでしょうが、そんな時間はありませんでした。
私は30代で同僚と赤岳に登った時にも、同僚任せにして地図も持たずに登り、二人で登山ルートを見失い、上から石ころが落ちてくる危険なところを登るなんてことをしでかしてますが、凝りてないですね。
一人一人がちゃんと地図を持つか、YAMAP(登山用のスマホアプリ)の地図をダウンロードしておくべきでした。そうすれば迷う前にルートを確認できたのに。
地図はルートが1枚に納まらないときもありますから、その点はシームレスなYAMAPが便利。しかもGPSで現在地を拾いますので圏外でも使えて、機内モードにしておけば電池の消耗も減らせます。ただそれでも全く電池が減らないわけではないのでモバイルバッテリーは用意しておくべきでしょうね。
今回の私とO君は二人ともそのどちらも用意してなかったってことです。これを教訓として、登山ルートに関して他人任せにせず地図を持つかYAMAPの地図データをダウンロードしておき、一泊以上ならモバイルバッテリーも携行することを肝に銘じておきたいと思います。