山下達郎は珍しく社会的な楽曲をアルバムにぶち込む人でもあります。1986年のアルバム「POCKET MUSIC」に「THE WAR SONG」なる曲が入っています。反戦歌です。フォークソング時代なら分かりますが、シティポップ全盛期の1980年代にですよ。
「POCKET MUSIC」にはあの「俺たちひょーきん族」のエンディングテーマになった「土曜日の恋人」も収録されたアルバムです。そこに放り込まれた「THE WAR SONG」は正直なところ重くてアルバムの流れを止めるし、聞きづらかった。無くてもいいのに思ってましたね。
3枚目は「SING ALONG VACATION」。大瀧詠一の楽曲のカラオケです。御覧のように紙ジャケットは無く、透明にプレスされてます。限定盤だったので予約して買ったはず。
ところで、お気づきですか、大瀧のヒネリ。
2枚目の「EACH TIME」の EACH は詠一にかけてあるし、「SING ALONG VACATION」の SING ALONG は”一緒に歌おう”てな意味ですが、”「 LONG VACATION」を歌え”ともとれますよね。ネーミング一つとっても彼のウィットが感じられます。
そう、先月3月21日はあの A LONG VACATION 発売からちょうど40周年の日でした。
実は熱烈なファンを自認し、10年前にも「30年の LONG V・A・C・A・T・I・O・N」というタイトルのブログを上げていながら、それを忘れていました。
思い出させてくれたのは、ふらっと立ち寄った本屋でこの雑誌を見つけた時。
penは時々いい特集をやるんだよなぁ。
まずは、やっぱり、(いつまでリンク先が有効なのか分かりませんが)40周年を記念した Sony Music の公式 YouTube からアルバムオープニング曲の「君は天然色」。
もう一つ興味深かったのは、 A LONG VACATION からは離れますが、竹内まりあ のインタビューの中で語られた、彼女のアルバム「ロング・タイム・フェイバリッツ」に収められた大瀧とのデュエット曲「恋のひとこと(Somothing Stupid)」について。
まずはその曲を聞いてもらいましょうかね。
ここから更に「 A LONG VACATION 」から離れます。「ウォール・オブ・サウンド(Wall of sound)」について語らせてください。
と言うのも、ウォール・オブ・サウンドの生みの親であるフィル・スペクターが1月16日に亡くなったからです。大瀧は1972年の内田裕也との対談で「スペクターサウンドの継承を研究したい」と語り、それを実践してきました。「A LONG VACATION」やそれ以降の彼の楽曲にはそれが見事に結実しています。
まず、ウォール・オブ・サウンドの代表曲と言えばこれ。
黒人3人のガールズグループ、ロネッツの Be My Baby(1963年 全米2位) 。
YouTubeにはいくつか上がっていますが、この動画が音が大きくて当時のダンスも興味深い。
追伸のようなもの
親父の死を契機に、実家の大修繕工事をしています。その解体工事の中で40年前に私が買った A LONG VACATION のLPが捨てられてしまうという事件が起こりました。もちろん、LPレコードを再生できるプレイヤーなどもうありません。でも思い入れ深いLPでした。悔やまれました。
失意を抱えたまま、今日、実家に行くとまだ残っていました。外に放り出されて雨に打たれてはいましたが。ジャケットは水を含んでシワシワですが、どうせ聞けないLP。記念品としてしっかりと取っておきます。こうしてゴミ屋敷化が進行していくんだな。