
私が大学4年時に所属していた研究室は、当時の先生を中心に、割と上下の繋がりが強く、先生が退官した今も、何かと卒業生が集まっています。昨年の11月には、そのT先生の喜寿のお祝いでかなりの数の卒業生が集まりました。そして毎年、9月の初旬頃に研究室のOBで合宿をしています。先生が現役の頃は、4年生が取り組んでる卒論を餌に先輩たちが寄ってたかってそれに食いつくと言う、在校生にとってはまことに辛い合宿でした。私もがっくりとうなだれた合宿の帰り道を今も覚えています。
就職してしばらくは、この合宿にも頻繁に参加していましたが、やがて縁遠くなってしまいました。そんな先輩にも毎年、ちゃんと誘いのメールが来るのは有難いことです。そこで今年、数十年ぶりに参加してみました。例年は長野とかの民宿やペンションですることが多いんですが、今年は新城市の山奥の先輩の設計事務所。
タイトル画像がその設計事務所です。森の中。この写真では分かり難いと思いますが、外壁(?)はほとんどガラスです。それも木枠のサッシ。ほとんどシースルーの建物です。なぜガラスなのか? 答えはそれが一番安いから。構造材は全て地元の木材。
この事務所の向こう側は斜面になっていてすぐに川。事務所の中にいても森と川に囲まれて自然と一体感を感じられる設計事務所です。ガラスサッシの外には雨戸も無く、しかも錠すら無い。
木を伐採し、抜根も重機を借りて自分でしたそうな。かなりセルフビルド部分があるようです。設計士なんだからそんなの朝飯前と思われるかも知れませんが、設計と施工は別物ですからね。施工屋さんに教わりながらローコストを追及して、700万で建てたとのこと。
ここに着いて、私が最初に先輩に聞いた一言。
「これって、確認申請出してるんですか?」
「いや、出しとらんよ。」
名古屋市内では、建築基準法やら条例やらに引っ掛かって、こんな建物は絶対に建てられません。それが都市計画地域でない田舎なら建つんですよねぇ。確かにこの大きさなら違法でもないんですよね。建築の自由は田舎にあり。
事務所棟の隣に増築されたゲストハウスのような建物。内壁は珪藻土で仕上げられており、室内の空気が浄化され、気持ちよく眠れるそうな。先生と先輩夫婦がここで寝ました。その右側は東屋。ここで川を見下ろしながらビールを飲んだらうまいだろうなぁ。
ゲストハウスと反対側に増築された浴室棟。中は・・・・
中には外国製のジャグジーが! なんとこのジャグジー、もらいものだそうでタダ。でもそれを入れる建物はタダではできませんが。このジャグジーに入れてもらいましたが、気持ちよかった! 左手が川なんですが、そっちに側には何の建具もありません。アッパッパー。ここでも裸で川を見下ろしながらビール飲んだらうまいだろうなぁ。
事務所を川の方から見上げた写真です。
事務所の一角のオープンになったバーベキューコーナー。(先生が写っちゃってますが、ま、いいだろう。)
こんな田舎で仕事が取れるのかってことが、人ごとながら心配になっちゃいますが、「住宅のお客さんだとここで飲ませりゃ一発だ」と先輩は言ってました。
こんなところで仕事ができたらなぁと思う反面、周りにはホントに何もありませんからね。携帯も(珍しく)ソフトバンクの電波がやや強いだけ。たまに来るにはいいところだとは思うんだけど・・・。
住宅の新築をお考えの方にはこの先輩、ご紹介しますよ。ホント、いい仕事してる人ですから。
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Posted at
2013/09/15 00:43:05