
今回はイギリスのレンタカーとドライブ、特に田舎のドライブについてお伝えしたいと思います。みんカラですからね。
しかし、今回も締めくくりは恥ずかしいトラブル。
ヒースロー空港で入国手続きを終えて、まず向かったのは空港内の両替所。正確には覚えていませんが、数万円分をポンドに交換。その両替所のおばちゃんにレンタカーの事務所へ行くバスの乗り場を教えてもらってそこへ。歩いてすぐのところです。バス乗り場の一角に数社のレンタカー屋の小型バスが停まっていました。
私がH.I.S.を通して予約したのはHertz。世界的に有名な大きなレンタカー屋さんですね。
レンタカーについても事前に調べていました。1日当たりのレンタル料金ならもっと安いところがあって、最初はそちらを予約していましたが、よく読むと1日当たりの走行距離に上限が設定してあり、それ以上走ると追加料金を支払わなくてはならない。てことで、そちらはキャンセルしてHeatzにしました。なにせ、4時間ほど走る日もあるわけで、とても制限内に納まるとは思えませんでしたから。
ヒースローのすぐ近くのHertzレンタカーの事務所まではバスですぐ。乗客は私ともう一人だけ。
カウンターで対応してくれたのは、小柄でやせた黒人のおばちゃん。
イギリスって白人の国って思ってませんか? 私もそう思ってましたが、ここに限らずイギリス滞在中に非白人の店員と接する機会は多かったですね。マックループからRIAT会場付近へ戻る途中で入った田舎の商店でジュースとアイスクリームを買ったときに、頭をスカーフで覆ったイスラム系の女性店員が働いていたのには驚きました。都会だけじゃないんですね。やはり長いこと植民地を抱えていた国は違う。
で、その黒人のおばちゃんが長々と契約の内容を説明してくれるんですが、もちろん英語。断片的にしか分からない。適当に相槌を打って、サインを何度かしました。そして国際免許とパスポートの提示を求められたのは当然のことなんですが、それだけじゃなくて日本の免許証も出せと言われたのには驚きました。持ってはいましたが、セントレアへの行き帰りのために財布に入れていただけで、イギリスで提示することなどまったく予想していませんでした。
先人のブログなどを読むと、レンタカー屋に「もっと大きい車にしろ」とか「ナビ付の車にしろ」とかしつこくアップグレードを勧められて押し切られた事例が散見されますが、このときはあっさりと契約。キーをもらうと、「あそこに停めてあるグレーのコルサね。」と指さすのみ。
以前にも使った拝借画像ですが、これが ボクスホール コルサ。私が借りたのはこいつの2ドアで、色はもっと濃いシルバーグレーでした。コンパクトクラスですが、おそらく車幅は1700㎜を超えていると思われ、日本に持ち込めば3ナンバーでしょうね。
あてがわれた車両は意外に新しそうな車で、もちろんナビは付いていませんが、液晶画面があってUSB端子も付いてて、そこに私の iPhone を繋ぐと iPhone に保存してある音楽が流れてきました。おそらく納車から1年以内だと思いました。
今更説明の必要はないと思いますが、イギリスは日本と同じく車は左側通行でハンドルも右。ただ、ウインカーとワイパーは国産車とは逆です。そして今でもヨーロッパではマニュアル車が一般的で、レンタル料金も安いので、借りたのはもちろんマニュアル車。実家ではマニュアルの軽トラに乗っているので、久しぶりのマニュアル車ってことはありません。
で、キーを刺していざエンジンをとキーを回しましが、エンジンがかからない。ちゃんとギアはニュートラルだし、ブレーキも踏んでる。どうして? 何度かそれを繰り返してもかからない。事務所に戻ってどうすればいいのか聞くしかないのかと、視線を移動すると液晶画面の表示に気付きました。”クラッチペダルを踏め”
帰国後に、職場のマニュアルのマツダ・ロードスターに乗ってる人にこれを話したら、今のマニュアル車はクラッチを踏まないとエンジンがかからないよと教えてくれましたが、いつから?
クラッチペダルも踏んでやっと始動。そろそろと駐車場の出口に行くと、小屋があって、その前の通路の地面から突起物が出ていて通せんぼをしています。すると小屋の中の人が契約書を見せろと言うので、それを見せると突起物が下がって、やっと外に出られます。やはり盗難が多いんでしょうね。
先程も触れたようにイギリスは右ハンドルで日本国内の運転と似ていますが、もちろん違う部分もあります。日本人が一番戸惑うのがラウンドアバウト。
まあ、”What a Fool Believes" でも聞きながらお読みください。
イギリスでは信号が無くて、このラウンドアバウトのと呼ばれるロータリーの交差点が多い。
このラウンドアバウトのルールを羅列すると・・・
①右から来る車が優先
②ロータリーの中にいる車が優先
③ロータリー内は右回り
④ロータリーに入る手前で、左折したいときは左に、右折したい時は右にウィンカーを出す。直進したいときはウィンカーは出しません(つまり日本と同じ)
⑤ロータリーを出ようとする手前で左にウィンカーを出す
レンタカー屋を出るとすぐにこのラウンドアバウトでした。頭では分かっているつもりでしたが、いざ、その場に来るとドキドキ。
日本人はこのラウンドアバウトで追突されることが多いそうですが、それは右から来る車が無くてもラウンドアバウトの手前で一時停止してしまうからだそうです。そりゃ、信号のない交差点に入る前には安全確認してしまいますよね。ましてや外国ですし。右から来る車がある時の方が一時停止する理由ができて、かえって安心だったり。
で、これが交通量の少ない1車線のラウンドアバウトならいいんですが、複数車線で交通量も多くなると大変。ロータリーを回ってる間に車線変更しなければならない場面もありますからね。
ただ、イギリスの道路はどんなに細い道路でも名前が付いていて、ラウンドアバウトの手前の路面には行き先の道路名が表示してあるので、その車線に入ればいいんですけどね。ま、それも自分の行きたい道路名が分かっていればの話ですが。
イギリス人に言わせると、ちょっと場所は取るものの、信号機もいらないし、アイドリングで待つ時間も減らせるし、出会い頭の衝突事故も防げるしで、慣れれば一番効率的な交差点の方式なんだそうですよ。慣れればね。
因みに、イギリスでは警報機のある踏切は一時停止の義務もありません。日本もこれは真似してもいいと思うんですが、どうでしょう?
緊張はしましたが、10分ほどの運転でヒースロー空港近くの1泊目のホテルには無事到着。
問題は翌朝の長距離運転でした。
ダッシューボードに日本から持って行ったスマホのホルダーを吸盤でくっつけてiPhoneを固定。充電ケーブルは車のUSBジャックにさして充電しながら使用します。ナビはグーグルマップ。日本語で指示してくれるのがありがたい。暫く走ると、イギリスにいることを認識して距離をマイルやフィートで指示し始めました。「あと0.5マイルでロータリーです」とかね。そしてラウンドアバウトを出るタイミングも教えてくれます。「今、ロータリーを出ます」と。なかなかの精度です。
で、そんな賢いグーグルマップですが、いきなりてこずることに。
ホテルを出てすぐに高速道路M4に入りましたが、何度も同じところをグルグルと走ることに。グーグルマップの指示に従って分帰路に入ったつもりが、それが間違っていたということを3回か4回は繰り返したと思います。バカですね。いつまでたってもヒースローから離れられない。この時は本当に我ながら情けなくなりました。この辺が一人旅ですね。複数での旅ならば、間違いを繰り返すこともなかったのかも知れません。
同じ道路を3回か4回繰り返して走るとさすがに間違いの原因も分かりました。グーグルマップの行先表示が突然変わって、私の目がそれに着いていけなかったことが原因でした。
ま、こうして迷っている間はハンドルを持つ手にじっとりと汗をかき、緊張しまくり。2度ほどクラクションも鳴らされたでしょうか。ただ、狭い範囲で循環的に迷っていただけなんですよね。遠くのインターチェンジまで行って戻って来たわけではありません。その辺が救いでしたかね。
因みにイギリスの高速道路は全て無料。ですからどこから高速道路なのか、どこで高速道路を降りたのか、あまりはっきりとしません。
無限に続くかと思われたループを脱して、ちゃんとしたルートに乗って一息つくと、すぐに慣れた気になってアクセルを踏んじゃいます。
イギリスの高速道路の制限速度は時速70マイル。日本の単位に直すと時速112㎞。日本より高いわけですが、誰もそんな速度では走っていません。向こうの人は飛ばします。これは他の日本人旅行者のブログなどを読んでも同様の意見。下り坂でしたが、私も周りの流れに合わせて時速90マイルで走る場面もありました。時速150㎞ですね。
速度の他に高速道路に入って気づいたのは、ヘッドランプの点灯率。3分の1ほどの車が昼間もヘッドランプを点灯して走っていました。新しい車はドライバーの操作とは関係なく自動的に昼間も点灯するものもあるとは聞いていましたが、この点灯率にも驚きました。
で、ある時、一般道で前の車に接近して停車したときに初めて気付いたんですよ。私の車も点灯してました。中にいると気づきませんね。
道路の両側に建物が見えなくなり、田舎に入ると快適、快適! お天気は曇天でイマイチでしたが、気持ちいいドライブ。
でもこんな場面にも遭遇。
炎上中の車って初めて見ました。
イギリスの高速道路にもサービスエリアはあります。ただサービスエリアとは呼ばないようで、案内看板には Service と書いてあるだけですが。入ってみました。
外観。
内部。スタバとか、SUBWAYとかKFCとかあるのは日本と同じですね。ただ、造りが安っぽいし、どこか閑散としていました。
日本のサービスエリアと言えば、だだっ広いトイレが目立ちますが、ここのトイレは右手奥の階段を上った2階。
左手に見える売店で買ったのがこれ。
デカール替えで再発売された 1/72 エアフィックス ライトニングが表紙で、同じく 1/72 のAMKのクフィルの記事もある。これが最初の自分へのお土産になりました。
かなりの数の日本国内のサービスエリアに入ったことがあります。雑誌が置いてあるところも数々ある。でも模型雑誌なんて1冊たりとも見たことはありません。この辺は模型趣味の歴史の違いなんでしょうか?
このサービスエリアから出ようとしたときに初めて気が付いたので、写真は撮れませんでしたが、駐車場の一角にテスラの充電器が10台ばかり並んでいて、3台のモデルSが充電中でした。
ここに限らず、イギリスでは日本国内より頻繁にテスラ車をみかけました。日本より普及しているようです。
高速道路を降りると田園風景の中の幹線路をひた走ります。
イギリスは日本と同じような島国。ですから日本の田舎と同じようなチマチマとした小さな区画の畑ばかりかと思ったら大間違い。一区画はかなり大きい。道路の左右は見渡す限り畑とか牧草地なんて風景が続きます。日本で例えるなら北海道とか八ヶ岳の麓とか、そんなところを走る感じ。
しかも、ご存知かと思いますが、イギリスには高い山がない。最高峰でも1,343m。笑っちゃうような低さ。ですから国土全体がほぼ平坦で見通しが開けてるんですよね。
上に数枚の田園の写真を上げましたが、イギリスの田園の美しさを伝えきれていません。もっときれいなところがたくさんあったのに、私の写真の腕の問題もありますが、ここで写真をと思っても簡単に停車できないんです。
これはマックループの付近の道路ですが、路肩がこんなに狭くて、後続車に迷惑にならないように停車するのが困難。しかも、田舎でも、こっちの人は飛ばします。だから交通量は大したことなくてもうかつに停められない。
それと、イギリスの田舎の幹線路を走っていて日本との違いを感じるのは、周辺住民の生活感を感じないこと。歩行者を誰一人見ないと言ってもいいくらい。自転車を見ることもまれで、それも近隣の生活者じゃなくて、競技者のような格好のサイクリスト。
唯一、近隣の居住者のものと思われたのは猛スピードで走るトラクター。トラクターと言っても日本のとは大きさが違います。後輪は私の背丈ほどあろうかという大きくて太いタイヤ。それが車と同じような速度で走っています。
そんなですから、交通事故も少なかろうと思うのですが、そうでもないようで、路面に AREA SLOW なんて表示もよく見ました。速度制限の標識もあるんですが、時速40マイルですから、時速63㎞。ゆっくりとは言えない速度。
標識ついでにこんな標識もご紹介しておきましょう。
マックループで泊った宿のすぐそばにあった標識です。GIVE WAY。分かりますよね。日本なら「止まれ」ですね。意味するところは同じでも、何となくこちらの方が奥ゆかしいような。
いい景色に出会っても停車しにくいと言いましたが、現地時間の7月12日、マックループから東へ戻る道中だったと思いますが、ちょっとした展望駐車場がありました。
お天気が良ければもっときれいに見えるんでしょうね。
話は7月14日に飛びます。この日、元々は帝国戦争博物館に行くはずったのを変更して2日目のRIATに行ったということは既に以前のブログで書きました。そのRIATもSDカードが不調で途中で引き揚げたってことも書きました。ですが、RIAT会場からロンドンまでは意外に遠かった。道中で、そう言えば返却時間の変更をしていなかったことに気付きました。元々の予定では午後6時の返却予定でした。でも、とてもそれには間に合いそうにない。まあ、遅れたら遅れたで追加料金を払えばいいやと腹をくくりました。
ロンドンに近づき、市街地に入るとラウンドアバウトが減って信号が増えてきます。日本の運転感覚に近づいてきてそれはありがたいんですが、交通量が多くてなかなか目的地にたどり着けない。やっとのことで目的の店舗の前までたどり着きましたが、店舗が暗い。あれっ?とは思いましたが、満タンにして返さないと不足分のガソリン代を請求されるので、苦労してガソリンスタンドを探して満タンにし、再びHeatzの店舗へ。やっぱり閉まってる。
で、路肩に駐車してレンタカーの予約のプリントアウトを取り出して読んでみると、午後8時閉店と書いてある。「こりゃしまった」と思いましたね。
私の自宅の直近にあるレンタカー屋は24時間営業です。まあ、考えてみると、日本だって全てのレンタカー屋が24時間営業とは限らないとは思いますが、田舎の我が家の近所でも24時間。そんなの当たり前だと思い込んでたんですね。
仕方なく、車でホテルへ。東京で一晩駐車場に停めたら結構な金額になりますよね。頭の中は予定外のそんな不安で一杯。
ところがホテルの周辺に着いてみると路上駐車だらけ。ホテルのカウンターで前の道路に停めていいかと聞いてみると、土日ならいいよとのこと。ロンドンでもこれか。イギリスは路上駐車無法地帯だな。じゃ、イギリスの人は迷惑駐車が気にならないのかって言うと、そうとも言えない。
前日に泊った宿の周辺の住宅の注意書きです。
Please Keep Clear ・・・・ 「駐車お断り」ってところでしょうか。やっぱ路上駐車の許容にも限度がある。
翌朝、7時半から朝食をサッと食べ、開店の8時過ぎにレンタカー屋に到着。
返却が遅れた言い訳を英語でどう言おうかと身構えていましたが、レンタカー屋の係員は車の周りを一回りしてあっさりと「OK」。追加料金の話は一切なし。
えっ、これでいいの?とは思いつつも、まあ、前日の6時に返しても今朝の8時に返しても、それを待ってる客がいなければ一緒だから払わなくてもいいのかな?などと勝手な解釈をしてその店を出てロンドン観光に。(ロンドン観光については次回のブログで)
で、この時に見事にレンタカーに家の鍵を忘れたことを北京で思い出すわけですけどね。
ここからは帰国後の話。
家の鍵はスペアキーを作ればいいから、鍵の件はまあいいかと放っておくつもりでした。ところが、女房は「気持ち悪いから取り戻した方がいいと」譲りません。私はレンタカーをH.I.S.を通して予約したので、H.I.S.のコールセンターに経緯を説明するとHertzに問い合わせてくれることになりました。
2・3日後にH.I.S.から返事が。何と本人からの問い合わせでないとお答えできないと言われたとのこと。は~っ? こんなことで個人情報の壁? そもそも日本のレンタカーだったら、レンタカー屋の方から、「忘れ物されたんじゃないですか?」と聞いてくるのが普通じゃないですか? メールアドレスも住所も教えてあるんですよ。国が違うとこんなもん?
仕方なく、イギリスまで電話しましたよ。時差も考えてちゃんと営業時間中にかかるようにして、事前に翻訳ソフトで話す内容も想定して。ところがいざ電話が繋がってみると、テープの音声ガイダンス。「予約の人は1#を押してください」とかそんな感じです。で、聞いてて3#が該当するかなと判断してそうしてみたんですが、誰も出ない。国際通話の料金も気になるので、長くは待てません。暫く待って切りました。それを別の日に2回繰り返しましたが結果は同じ。
Hertz のホームページに問い合わせ用のフォームがあって、翻訳ソフトで苦労して文章を作り、そこに2回も書き込みましたが、返事はありません。
鍵は諦めました。
ところが、数日して我が家に国際郵便が。Hertzからです。
案の定、追加料金の請求。42ポンド、日本円で6,221円。私のミスで返却が遅れたんですから、そもそもの原因は私にあります。しかし、返却した日に請求もせず、鍵の件も無視されてる状態では払いたくありません。手紙には、「払わないともう借りれないぞ」てな文句もありましたが、その機会があったとしても、もうHertzなんて借りてやるもんか!