
立花隆に次いでの追悼になってしまいました。柳家小三治さんが亡くなりましたな。
最近の写真はちょっとよけといて、若い頃の写真をタイトル画像として張っときます。
この人がかつてラジオの深夜放送をやってたことを覚えてるのは、この地方の私と同世代の人くらいでしょうね。東海ラジオのミッドナイト東海のパーソナリティーを1974年1月から1975年3月までつとめてました。私が高校生の頃ですな。
小三治さんはオーディオマニアだったらしくて、番組の中にオーディオコーナーなんてのがあったくらいです。今、Wikipediaで調べてみると多趣味な人で、他にもバイクも趣味の一つだったようで、41歳で免許を取って寄席までバイクで来たりしてた時期もあったようです。
しかし、すっかり秋めいて寒いくらいになってきましたな。私のiPodの中にも小三治さんの落語が何題か入ってまして、久し振りに車の中で小三治さんの「時蕎麦」を聞きました。噺の内容も寒い晩の話なんで、こう寒くなってから聞くと身に沁みますなぁ。
噺の内容はご存じだと思いますが、流しの蕎麦屋を呼び止めて蕎麦をすすってから代金を払うときに、わざと小銭で「ひい、ふう、みい・・・」と数を数えながら払ってる最中に「今、何時だい?」と聞いて、18文の蕎麦代を1文だけごまかすって噺ですな。決して人間国宝にふさわしいような大ネタじゃありませんが、やはり小三治さんはうまい。YouTubeにもあったんで張っときます。(動画ではありません)
この噺の冒頭。
「おい、蕎麦屋さん、何ができるんだい? 花巻にしっぽこ? じゃあ、しっぽこを熱くしてもらおうかな。」
これを聞いて、疑問が湧いてきました。
「しっぽこ」は訛りで本来は「しっぽく」だということは分かる。でも、「しっぽく」って何だっけ? この地方は蕎麦よりうどんの地域なので、「しっぽくうどん」は子供の頃に母親が作ってくれたような覚えがあるけど、どんなだったっけ? もう一つの花巻はとんと分からん。
調べてみました。
左がしっぽく蕎麦で右が花巻蕎麦。(ちっともあったかそうな写真じゃなくて申し訳ない。)
何と「しっぽく」は長崎が発祥の和風中華料理を起源に持ち、そば・うどんにキノコ・かまぼこ・野菜などを入れて煮る料理のことらしい。
一方の「花巻」は、ちぎった焼き海苔を散らしたそばのことらしい。
どんどん庵 だとか 丸亀製麺 だとか安いセルフうどん屋にはよく行くんですが、しっぽくも花巻もメニューで見たことないなぁ。ちゃんとしたうどん屋や蕎麦屋には残ってんのかな?
しかし、目の前にしっぽく蕎麦をすっと出されたとしてもそれがしっぽく蕎麦だって分かりますかね。いたって普通の蕎麦にしか見えないような気がします。つまり、たくさんの具が乗ったうどんや蕎麦が普通になってしまって、その名が消えてしまったって可能性はないでしょうか?
これで落語界の人間国宝は空席になっちまったわけで、大衆芸能としてのコンプレックスから、この空席はどうしても埋めたておきたいと落語界の重鎮たちは思ってるでしょうね。後釜をあれこれと想像してみるのも面白そうですが、長くなるのでこの辺にしておきます。
お後がよろしいようで。(これも死語か?)
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2021/10/25 22:56:29