
久し振りの投稿になります。
今年は2022年ということで、昨年後半から現時点で(ちょっと?が付くかも知れないけど)世界最強と言われる戦闘機 F-22ラプター を製作してきました。
1/72のF-22のキットは少なくとも4社から出ていて、過去のブログ「
箱を開けたら(17)・・・4社5種のF-22をチェック」でそれらの比較を行い、アカデミーかフジミのキットがベストであろうと私なりに判断しました。
(ホビーボス(HobbyBoss)からも同スケールのキットが出ていますが、イタレリのキットに似ていて、ベストキットを更新するような出来ではなさそうなので、無視していいと思います。)
で、私は昨年後半からアカデミー(Academy)のキットに取り組んできた訳ですが、製作は予定通り順調に遅延して年賀状に間に合わせることができず、暑中見舞いには余裕で間に合うかと思われたのに、結果的にはかなり遅めの残暑見舞いとしてみん友を含む数名の方に合成画像のハガキをお出ししました。(この画像は次のブログでご覧いただきます。)
で、アカデミーのF-22ですが、ベストキットの一つと判断して取り掛かったものの、途中からかなりの難物であることが分かり、苦労しました。長くなりますがその過程をご覧ください。
【エアインテイクとその周辺】
最大の難関はエアインテイクとその周辺の修正でした。
左が実機、右がアカデミーのキットをそのまま組んだ写真です。
実機のエアインテイクの先端はかなり薄くて線にしか見えないのに、キットの先端は厚みのある板状で実感がありません。これを薄く削って実機に近づけることは難しいことではありません。
それだけならいいのですが、下記のような面倒な修正が必要です。
〇 青い矢印 実機では矢印のパネルラインと機体側のインテイクリップの位置が一致していますが、キットはずれています。
〇 赤い矢印 最近のジェット戦闘機のエアインテイクは平行四辺形であることが多く、F-22もほぼ平行四辺形であるものの赤い矢印で示した対角の角は丸い。キットの方は平行四辺形のまま。
〇 オレンジの矢印 この部分は実機では薄いヒレ状になって主翼前縁に繋がっていますが、キットは板。
青い矢印部分と赤い矢印部分を修正するために、該当するエアインテイクの角を超音波カッターでV字型に切開し、そこにタミヤの3㎜プラパイプをV字型に切断したものを埋め込み、周辺をパテで覆います。同時に胴体側のエアインテイクリップを該当の筋彫り位置に合わせて強引に接着します。
この時点でエアインテイクリップは薄くしてありますが、前途多難であることがお分かりいただけるでしょう。
エアインテイクの内側も合いが悪くて隙間だらけだったのでパテを盛っています。奥まった狭いところを均すのに様々なヤスリを揃えて試行錯誤しました。
やすったりサーフェーサーを吹いたりして、どうにかこのような状態まで持ってこれました。かなりの時間がかかっています。
問題の対角のRは割ときれいに出せたと思っていますが、Rの半径がやや大き過ぎますかね。それと、プラパイプは入れなくてもパテだけで修正できたように思います。
【排気口周辺】
これまでのジェット戦闘機の排気口はノズル状でしたが、F-22の排気口は独特です。
F-22の排気口には上下にパドルがあり、この操作によってより小さな半径で旋回できるなど運動性を高めています。
この排気口の側面もF-22製作上の一つの肝と言えるでしょうか。
ところが、これはアカデミーだけではありませんが、排気口側面が単なる平面で表現されています。割と目立つところですので、実機に近い表現が欲しいところ。
これを補ってくれるのがアイリスのアクセサリー。レベルのキット用となっていますが、アカデミーのキットにも使えそうです。
(赤枠で囲ったパーツが排気口側面のパーツです)
キットの排気口側面は単なる垂直平面で表現されていますが、これを切り取り、アイリスのアクセサリーパーツに置き換えます。
ピッタリと納まるはずもなく、パテで隙間を埋めてやすります。
やすった後に、写真を見ながら周辺の不足している筋彫りを追加してやります。
完成後の写真です。塗装して墨入れすると、このように情報量が増します。
実機の白い部分はおそらくセラミック製で小さな穴が並んでいるようです。
【コクピット】
エジェクションシートはクイックブースト、計器盤は上のエデュアルドのアクセサリーパーツを使っています。
HUD(ヘッドアップディスプレイ)はキットにもクリアパーツが入っていましたが、あまりにも厚くてゴツイので透明プラバンをクリアグリーンに塗って取り付けましたが、もっと大きくすべきでした。
【キャノピー】
アカデミーのキットには、透明とスモークカラーの2種類のキャノピーが入っていましたが、今回採用したのは実機に近いスモークカラー。
ただ、キットの筋彫りのままだと、キャノピーの枠と言うか下部の袴の部分の高さが足りない。
キャノピーの枠の筋彫りよりも上でマスキングし、筋彫りをパテで埋めてから枠を塗装します。
実機と比較してまだ枠の高さが不足しているような気がしますが、実機に近づけることはできました。
実機のキャノピー枠にある何本かの黒い線(これが何なのかは分かりません)ですが、キットにはデカールも入っていなかったので0.2㎜幅のラインテープで再現しています。
また、写真を撮ってから気づいたことですが、キャノピーと胴体が接する線が実機は単純な曲線になっているのに、キットは赤い矢印部分でうねっていますね。製作中に気づけたとしても、これを修正するのは難しいでしょうね。
【機首のリベット追加とパネル塗り分け】
キットの塗装説明書では機体の塗装は3色使うだけとなっていますが、上の写真の機体は一体何色あるのか数えられないくらいの微妙な色のバリエーション。おそらく何度かの塗装の補修の結果としてこうなったものと思われますが、これを模型で再現するのは無理。
そこで機首の目立つパネルの色調をちょっと変えて塗装し、同時にリベットも打ってみました。
あまりメリハリは感じられないけど、これで幾らかはのっぺりとした機首のアクセントになったと思いたい。
今回使った2本のリベットルーラー。左の写真が全体で、右が先端部のアップです。何のことは無い、棒の先に金属の歯車を付けただけの道具。実は今回初めて使ってみました。定規も当てずに押し当てて転がしただけ。
【全体塗装】
F-22の機体塗装は3色しか使っていない割には奥が深くて、試行錯誤されています。
こんなグレーのバリエーションにしか見えない時もあれば・・・
ギラっとしたシルバー系だとしか見えない時もある。
F-22は機体形状によるステルス性だけでなく、塗装にもレーダー波を吸収する機能があるとのことで、飛行するごとに塗りなおしていてその費用もバカにならないと聞きます。おそらくその塗料には金属粉も含まれていて、光の当たり具合や見る角度によって様々に見えるんでしょうね。
雑誌の作例などでは、グレー系で塗装した上に、クリアとパールを混ぜたものを薄く吹くといいみたいなことが書いてありますが、そんなの私には面倒くさい。
この表は今回製作したアカデミーのF-22の組説の色指定と、1/48のハセガワのF-22の色指定を比較したものです。(番号は全てGSIクレオスの色番号になります。)
同じ色の指定が一つもありません。それくらい解釈が分かれるってことでしょう。
ハセガワの色指定の中の”SM”はシャインメタルの略称で、割とギラギラとした金属色です。ところが、アカデミーの色指定にはメタル系の要素が無い。
ハセガワの色指定を採用することにしました。
ところが、私の出来上がりを見るとどうもメタル的なギラ付きが少ない。もっとSM色の配合を増すべきだったのかも知れません。その辺は次のブログでご確認ください。
全体を塗装後に、黒では強すぎると思い、Mr.ウェザリングカラーのマルチグレーで墨入れしております。
【前縁フラップ端部】
細かいところです。下の写真の赤丸部分。
ステルス機はこんなところにも気を使ってるんですね。一般的な機体であれば前縁フラップの端部も機体と連続的な形状になりますが、ステルス機の場合は前縁フラップが動いた時の端部のレーダー反射も減らしたいってことなんでしょう。機体と接する部分は菱形にくぼんでいます。
キットはこの部分の菱形が小さく浅い(左の写真)。彫刻刀やカッターで大きくして墨入れしたのが右側の写真です。
次回のブログでは完成した写真をご覧いただきます。