最近、気になる漫画が増えてきて、それを私の感想も含めて皆さんにお伝えしたいなと思い、また新しいシリーズを立ち上げようと思います。
ま、かつて書いていた漫画コラムの続きのようなものです。書き出せば、おそらく一定の方向に向かうのではなく、あっちへ行ったりこっちへ行ったりすることになりそうなので、名付けて「漫画漂流」。
1回目はビッグコミックで連載が始まったばかりのこちらから。
原作は最近亡くなったジェームズ・P・ホーガン。古典的名作ですので読まれた方も多いでしょう。私も原作を読んだのはもう20年くらい前でしょうか。でもそのときのワクワク感は今も忘れません。
導入部をご紹介すると・・・。
月の裏側で宇宙服を着た人類の遺体が発見される。ところが、その遺体は年代測定によると5万年前のものだということが分かる。
この大発見を巡って世界の生物学者の意見は真っ二つに分かれる。これは人類であり、かつてこの地球には月に行けるほどの文明があったという説。もう一つはこれは人類ではなく、異星人だと言う説。
それぞれの説に弱点があった。人類であるとすれば、その文明の痕跡が地球上にまったくないのはなぜか? 異星人だとすれば、地球以外の星で進化したものが人類そっくりに進化するのはおかしいのではないか?
徐々に新しい事実が積み上げられ、一つ一つ謎が解き明かされ、最後には思いもよらない壮大な結論が待っています。SFなのによくできた推理小説を読む楽しさがあります。
↑原作の表紙です。
星野之宣は過去にやはりジェームズ・P・ホーガンの「未来の二つの顔」を漫画化しており、今回のホーガンの代表作である「星を継ぐもの」の漫画化は、満を持してのものだと期待しています。
ま、とは言っても原作の面白さを超えることはできないと思いますが。
もし、まだお読みでないのなら、是非。お勧めします。
↑星野之宣の「未来の二つの顔」の表紙。
こちらは、スペースコロニーを舞台とした、人間とコンピューターの戦いのお話。
で、これを読むために久し振りにビッグコミックを手に取った私ですが、もう一つ気になる作品が連載されてました。「憂国のラスプーチン」
鈴木宗男とともに北方領土関連の事件で有罪判決を受け、出所後に目覚しい活躍をしている元外務官僚 佐藤優 原作の漫画化です。
言論界の雄・佐藤優が、天才ホラー漫画家・伊藤潤二と手を組んだ!!
おまけに脚本をサポートするのは、浦沢直樹作品の共同制作者・長崎尚志。
この異色の組み合わせが、外務省と検察の秘められた謀略をあぶり出します。
”外務省のラスプーチン”と呼ばれた辣腕外交官が、北方領土返還に尽力
しながらも”国策捜査”の名の下に逮捕されるところから物語が始まります。
ソ連、ロシア政権上層部に最も食い込んだ西側の“スパイ”としての活躍と、
取調室で繰り広げられる東京地検特捜部エリート検事との壮絶な闘いを
描きます。
連載当初から賛否両論の嵐だったのですが、厚労省・村木局長の
無罪判決、大阪地検特捜部の前田検事逮捕など、世間の情勢も
追い風となり、本作品への関心・支持が高まっています。社会問題に
関心の強い読者から、もっと外務省や検察の本質に迫ってくれとの
激励も多く、これまでの小学館コミックの中でも異彩を放つ作品と
なっています。
(ビッグ・コミック の紹介文より)
登場人物は微妙に実在の人物とは名前を変えており、ノンフィクションとは言えませんが、事実に即した物語であることは明らかでしょう。上にも書いてあるように、最近、検察に対する批判が高まっており、今だから世に問える作品だと言えるでしょう。
ただ、漫画だとどうしても登場人物の顔に目が行ってしまうんですよね。表紙の青年が佐藤優役の青年なんですが、違和感ないですか? 作品には当然、鈴木宗男も出てきますが、こちらも善人面で出てきます。
人を顔で判断しちゃいけないんですが、佐藤優の実物はいかにも重大犯罪を犯しそうな鋭い目付きしてるし、鈴木宗男はいかにも田舎の狸親父の顔してます。あの顔だったから国民はあの事件に納得させられちゃったってとこありますからね。その辺も忠実に描いてもらった方がリアリティーはあったのかなと思うのですが。しかし、こちらも楽しみではあります。
佐藤優は週刊プレイボーイで書評も担当しており、その読書量は驚くばかり。私も参考にさせてもらってます。「獄中記」は名著と言われています。いずれ読んでみたい本です。
獄中記漫画と言えば、花輪和一の「刑務所の中」
モデルガンマニアでもある作者 花輪和一は、銃口が詰まったモデルガンを改造し、実際に使用できる状態にした罪で逮捕され、評論家の呉知英らの減刑活動も実らず、初犯にもかかわらず3年の実刑判決を言い渡されます。この判決には「どうせ漫画家なんてろくなモンじゃない」という偏見があったとも言われています。
刑務所の中はスケッチなどは禁止されていますが、この漫画では花輪和一の驚くべき記憶力で刑務所の中の生活が再現されています。また、単に刑務所の中の生活を描くにとどまらず、逮捕される前の生活や、わけの分からない時代劇がランダムに挿入され、漫画では体験したことのいない不思議な構成の作品になっています。
こちらもお勧めの一冊です。
Posted at 2011/03/07 00:16:01 | |
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