私はフォークが嫌いだった。中学・高校時代、他になかったから仕方なくフォークも聞いたが、辛気臭くて嫌で仕方なかった。高校一年の頃だったか、ユーミンが登場した。それは長く暗かったフォークの夜がやっと明けることを告げる明けの明星だった。
そして、この大滝詠一の「A LONG VACATION」がフォークの息の根を止めたと、私は位置づけている。
浪人して河合塾に通っていたことは最近書いたが、実は大学に入ってから留年もした。その一年間は従兄弟に紹介してもらった設計事務所でアルバイトをしながら足りない単位を取った。その留年の年度も終わろうとする頃、つけっぱなしのノイズまみれのFMから流れてきたのがこれ。
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もうイントロを聞いただけで自分の血が逆流するのを感じた。
その日の帰り道に予約。そして発売日の3月21日に手にした。もちろん、当時はレコード!
カセットに落として、毎日聞いた。予想通り、その年の夏はどこに行ってもこれを聞くことができた。
翌年には、日本人アーティストの作品として初めてこのアルバムがCD化された。
その年だったか、名古屋の太陽サウンド・オンというオーディオショップで大滝のトークを直接聞いたことがあるのが私の自慢。何せ、ライブはやらない人だから、貴重な体験に違いない。
あれから30年。聞けばいつも私にVACATIONを与えてくれた。
先月末、いつものように模型雑誌を立ち読みするために寄った本屋で偶然目に入ったのがこの雑誌、レコード・コレクターズ。見覚えのある表紙。
初めて手にした雑誌をそのまま購入し、読んでみて、初めて今年が30周年に当たり、記念盤が出ることを知った。不覚だった。翌日、CDショップに行くも、売り切れ。売れているようだ。一昨日にやっと記念盤を手にすることができた。
このアルバム、2枚組みで、純カラオケ付き。今それを聞きながらこれを書いている。
大滝のヴォーカルのない「カナリア諸島にて」は、そよ風が吹き抜けない。あの声あればこその曲だったことを思い知った。
「雨のウェンズデイ」の一節
壊れかけたワーゲンの
ボンネットに腰かけて
何か少し喋りなよ
静かすぎるから
海が見たいわって言い出したのは君の方さ
降る雨は菫色 Tシャツも濡れたまま
wow wow wednesday
いつかこれを模型で表現したいと思っている。
Posted at 2011/04/02 23:12:28 | |
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音楽 | 日記