
久しぶりの箱を開けたらシリーズです。
飛行機模型を趣味にしていますから、飛行機にも詳しいつもりでいますが、模型屋でキットを見て初めて知る機体もあるって恥ずかしい話を、2011年5月のブログ「
箱を開けたら(3)・・・ 1/72 MPM Havoc Mk.Ⅱ Turbinlite 」で告白しました。
またしてもそんなことがありました。その機体は、VJ101C-X2 試作超音速VTOL戦闘機。タイトル画像の機体です。模型屋で箱を手に取るまで全く知りませんでした。メーカーはウクライナのA&Aモデル。
高かったです。5,346円也! 決して逡巡がなかったわけではありません。その店に一つしかありませんでしたし、海外のキットは一度逃すと二度と入荷しないこともありますからね。思い切って買ってしまいました。
キットの出来は、まあ現在の水準並み。エッチングパーツと風防のマスキングシールが入っていますが、この価格を納得させるものではありません。しかし、現在入手できるこの機体のキットはこれのみですから仕方ない。
で、家に帰ってこれについて調べてみると、なかなか興味深い。
まず、小さいながらエンジンを6つも積んでいる。
実機が垂直に飛んでいるところですが、主翼端左右にエンジンを2基ずつ搭載。これをオスプレイのように向きを変えて離着陸と水平飛行時の推進の両方に使おうってわけですね。
そして操縦席の後ろにも2基。これは完全に垂直離着陸時のみに使う。つまり水平飛行時には重い荷物(デッドロード)でしかなくなる。
更に興味深いのは、これをF-104の後継として検討していたこと。
西ドイツも日本と同じように、主力戦闘機はF-104の後はF-4を採用しています(向こうはとっくに退役済みですが)。アメリカ製の機体が2代続いたわけです。敗戦国として日本と同じ境遇ですから、当然のことと思っていましたが、まさかこんなものを研究していたとは・・・。その頃の日本には戦闘機の自主開発の可能性なんて皆無だったでしょうね。やっぱり日本とドイツは違うなぁ。

以前に作った西ドイツ空軍のF-104Gとこのキットの胴体を並べてみました。それを最優先に設計したかのように、全長はほぼ同じ。
試験機は2機作られ、垂直離着陸は当然こなして、水平飛行では音速も超えたんだから、結構いいところ行ってた。でも、この大きさの機体にエンジンを6基なんて、整備性を考えたら現代ならおそらく噴飯ものだろうし、当時だって疑問視する声は多かったと思うのですが・・・。
でもこれで呆れたり驚いてちゃいけない。当時の西ドイツは同じころに他にも垂直離着陸ジェット機を作ろうとしていた。
VFW VAK 191B です。ぱっと見、イギリスのハリアーに似てますね。確かにそうなんですけど、こいつも垂直離着陸専用のエンジンを積んでる。2基も。
これも飛行には成功しています。
F-35Bも垂直離着陸専用のリフトファンエンジンを積んでるわけですからこれはこれで行けたような気もするんですが、計画中止。因みにA&Aモデルはこいつもキット化しようとしています。
最後にご紹介するのは輸送機! もう正気の沙汰とは思えない。サンダーバード2号か!?
この機体も水平飛行時の大きな2基のエンジンの他に、主翼両端のポッドに片側4基のエンジンを積んでます。つまり合計10基もエンジンを積んでるわけで、輸送機が貨物以外のデッドロードを抱えて飛ぶわけですよ。普通に考えりゃ無駄が多すぎることくらい分かりそうなもんなのに。
西ドイツがここまで垂直離着陸に執着したのには、やはりそれなりの理由があって、冷戦期には強大な陸上戦力を持つワルシャワ機構軍が攻めてきたら、空港はすぐに使えなくなる。それに備えるためには・・・ってことだったようですが、それにしてもねぇ。
Posted at 2017/12/04 00:36:44 | |
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