その後も機会があればサンコウチョウの撮影に出かけております。昨日の午後もカメラと三脚を抱えて行って来ました。既に10人程度のカメラマンさんたちがいて、「今頃来たの?」てな視線で迎えてくれました。
既に産卵を終え抱卵期に入っているようで、メスが巣の上でじっとしていました。しかし、尾がこちらで頭が向こうを向いていて、絵としてはいただけない。みなさん、オスとの交代をずーっと待っていらっしゃる様子。
30分以上待ったでしょうか? やっとオスが現れてくれました。メスはその気配を感じてか、巣から出て行きました。ところがそのオスは巣の周辺を飛び回るだけで巣に入らない。そのうちにカメラマンさんたちの間から「ヘルパーじゃないのか?」との声が聞こえました。確かに以前見たオスより尾が短い。私も別のオスの固体のような気がしました。
「ヘルパー」! 確かに以前、本で読んだことがあるぞ! それにしてもさすがにサンコウチョウを追っかけてるオジサン並びにジイサン達。野鳥の知識も深い。
微かな記憶を掘り起こすために、帰ってからヘルパーについて調べました。
特集「種子分散の生態学」(責任編集:上田恵介)
本種の一部の個体は,繁殖可能になっても生まれたなわばりに劣位個体として留まり,自分の子ではない雛に給餌するなどヘルパーの役割を担っていた。ヘルパーが生じる頻度は,生息地飽和の程度やなわばりの質(食物になる昆虫の豊富さ),ヘルパーと雛の血縁度によって変化した。共同繁殖は,近縁個体の繁殖成功度を高めることでヘルパー自身にとって間接的な利益をもたらすと同時に,子育て行動を学習したり,なわばりを継承して繁殖個体になる直接的な利益ももたらした。
別のサイトの情報によると100種を超える鳥類のほか、キツネ、リカオン、ハダカデバネズミなどの哺乳類にもヘルパーが見られるそうです。
サンコウチョウのヘルパーが給餌だけでなく抱卵も手伝うのかどうかまでは調べられませんでしたが、ありえるのかも知れませんね。
ところで、引用部分の「協同繁殖は,近縁個体の繁殖成功度を高めることでヘルパー自身にとって間接的な利益をもたらす」ってお分かりになりますか?
リチャード・ドーキンスというイギリスの有名な生物学者をご存知でしょうか? 彼は「利己的遺伝子(現代は The Selfish Gene )」という本を著し、生物学界に一大センセーションを巻き起こしました。
生物がその固体の遺伝子を残そうとしているのではなく、それぞれの遺伝子そのものが(あたかも利己的な意志を持っているかのように)自己の複製を残そうとする、という説です。
この説を一言で言い表した ”生物はDNAの乗り物(vehicle)である” という有名な言葉はお聞きになったことがるのでは?
つまりこの説を敷衍していくと、人間の恋愛なども実は本人の意思などではなく、遺伝子に操られた感情や行為であるということになってしまうんですけどね。でもこの説を適用すると、このヘルパーの存在のような利他的行為にも無理なく説明が付くと言うことなんですね。上の「間接的な利益」とはおそらくこのことを言っているのだと思います。近縁固体であれば、自分と同じ遺伝子が多く乗っているはずですからね。
ところで、私の長女が通う高校の3月までの生徒会長さんは、
岐阜美女図鑑にも載った、ドーキンズ英里奈ちゃんというハーフの女の子。確かにかわいい。生物学者と近縁固体かどうかは知りません。多分、関係ないと思います。
Posted at 2010/06/13 21:49:29 | |
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