
先日、4月1日に行われたテスラのスペシャルイベントで、低価格帯モデルとして3万 5000ドル(約390万円)の電気自動車「モデル3」が発表されました。(タイトル画像)
私は
かねてよりテスラには注目しておりました。電気自動車の燃費はガソリン車の1/10程度とか。その内にハイブリッドをも追い越し、自動車の主流になるのではないかとすら思っています。
また、電気自動車は異業種からの参入障壁が低いとも言われており、実際、テスラ社のCEO、イーロン・マスクはPayPal の前身を作った人としても知られています。
電気自動車の普及のスピードはイマイチの感もありますが、蓄電池の低廉化と蓄電量の高密度化の努力は続けられるはずであり、技術革新で一気に普及に弾みが付く可能性もあるでしょう。
テスラ社の本格的な電気自動車の第一弾はクーペタイプのテスラ・モデルS、続いて発表されたのがSUVのモデルX。いずれも日本では1000万円を超える価格。テスラ社が高級車としての電気自動車から販売に踏み切った戦略にはちょっと解せぬものも感じますが、実用に足る航続距離を持つモデルに仕立てようとして蓄電池を搭載すると高級車の価格帯になってしまい、止む無く取った戦略なのかも知れません。
例によって前振りが長くなりましたが、今回のテーマは電気自動車のフロントデザイン。
上の画像はテスラ社のラインナップを左から発売順に並べたもの。一番左がモデルS、中央がモデルX、そして一番右がシルエットになってますが今回発表されたモデル3で、これがタイトル画像の車です。
そのデザインをどう思われますか? 私は「やっちまったなぁ」と思ってるんですが。
ただ、フロントグリルのデザインの変遷を見ていくと興味深いですね。
モデルSはフロントグリルらしきものがしっかりとある。もちろんデザインとして貼りつけるようにあるだけで、フロントグリルの機能である、外気を取り入れてエンジンを冷却する役割はありません。
モデルXになると、フロントグリルの輪郭の上辺だけを残したようなデザインに。実は、モデルXも初期のデザインではモデルSのようなフロントグリルを持っていました。
そしてモデル3。ついにフロントグリルはなくなりました。なくなりましたが、フロントグリルの形だけは残りました。これが私には不自然に見えてならない。「変」と言ってもいいくらい。
電気自動車には当然のことですがエンジンはありません。ですからそれを冷却する必要もない。しかし、多くの消費者はフロントグリルのあるデザインに慣れ親しんでいる。この3台は、その慣れを徐々に解体するする手順として並べられているように思えてなりません。
他社の電気自動車はこの辺をどう処理しているか?
以前に丸一日試乗したBMW i3。モデルSと同じような手法ですね。デザインとしてのフロントグリルが張り付けてあります。まあ、BMWはこれがアイデンティティ―ですから、これしかないとも言えますが。
ご存じ、日産リーフ。最初からフロントグリルを再現しようとしていません。その意味で潔い。電気自動車のフロントデザインの方向性を示していると言えるのかも知れません。ただ、これをカッコいいという声を聞いたことがありませんが。
これを見ちゃうと、フォルクスワーゲン・ビートルだとかポルシェ911だとかのリアエンジンの車のフロントデザインやミッドシップ車のフロントデザインが電気自動車にも応用できそうだと思えてきます。
テスラのチーフデザイナーは、フランツ・F・ホルツハウゼン。テスラの前には北米マツダで「流」や「風籟」など、漢字のついたコンセプトカーをデザインしたほか、RX-8にも関わり、マツダの前にはGMに所属してポンティアック・ソルスティスなどを手がけたそうです。
おそらく彼はいきなり電気自動車としてのデザインを目指すことを避け、消費者を慣らす道を選んだんでしょうね。
テスラ社の次の車種のフロントデザインが気になります。
Posted at 2016/04/07 18:20:59 | |
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カーデザイン | 日記