4月17日のブログ で、実家の改装工事で危うく私のレコードが捨てられそうだったというお話をしましたが、今回はその救出したレコード(LP)を全てご紹介しようと思います。
まず、恥ずかしい話からしなければなりません。私が中学生の頃、世間の大方のお宅はレコードプレイヤーをお持ちでしたが、我が家にはそんなものは無く、学校で友達同士がLPの貸し借りをしているのを横目で眺めていました。私が大学に入ってから、既に就職していた弟がボーナスでコンポセットを買い、やっと我が家にもレコードを再生しカセットテープに録音できる環境が整いました。まだCDが登場する前ですから、当然CDプレーヤーはありませんでした。おそらく1980年頃ですね。
時代背景も説明しておきますと、その頃はレンタルレコードとカセットテープの全盛期です。レンタルレコード店で借りたレコードからカセットテープに曲を落として車のデッキで聞くということをほとんどの若者がしてました。ですから、売れ線のLPは余程思い入れがあるもの以外は買わないというのが当たり前でした。金のない大学生ならなおさらです。
CDの登場は1982年です。しばらくは新譜についてはCDもLPも併売される期間がありましたが、割と短期間でCDが普及してLPを駆逐した記憶です。そして徐々に過去の音源もCDに置き換えられて行きました。過渡期には過去の名盤なのにCDでもLPでも店頭には存在しない音源もあり、中古LPが高騰したこともありました。
我が家もCD登場の翌年あたりにCDプレーヤーを買ってコンポに繋げ、CDからカセットテープに落とせるようにしたはずです。
つまり、レコードを買っていたのはわずかな期間しかなかったってことになります。
というような環境の下でどんな理由でレコードを買っていたかと言うと・・・
①レンタルで借りることもできるが、思い入れが強くて手元に置いておきたいので買う。
②レンタル店には並びそうにないマイナーなアルバムだが手に入れたいので買う。
上記のどちらかになるわけです。
まず①に該当するのが
今回の画像はネットのどこかからか引っ張ってきたものではなく、全て私が救出したLPを撮影して使っています。
一番上は最近のブログネタにもした、今年で発売からちょうど40年の「LONG VACATION」です。帯まで残ってますね。が、薄汚れてしまっていて、さすがにそのままアップするのは忍びなかったので、画像を加工してあります。
実はCDプレーヤーが発売されると同時に「LONG VACATION」は日本の楽曲としては初めてCD化されましたが、大瀧詠一はそれが気に入らなくて、彼の著作のアナログ盤を全て廃盤にしています。
思いれたっぷりのアルバムでしたが再生機器が無くなり、20周年の時だったか、30周年の時にCDで買いなおしています。
2枚目は1984年に出た同じく大瀧詠一の「EACH TIME」。彼のオリジナルアルバムとしては最後の作品になります。これも「LONG VACATION」と同様に発売日に買ったと思います。何度も聞いたなぁ・・・。
3枚目は「SING ALONG VACATION」。大瀧詠一の楽曲のカラオケです。御覧のように紙ジャケットは無く、透明にプレスされてます。限定盤だったので予約して買ったはず。
ところで、お気づきですか、大瀧のヒネリ。
2枚目の「EACH TIME」の EACH は詠一にかけてあるし、「SING ALONG VACATION」の SING ALONG は”一緒に歌おう”てな意味ですが、”「 LONG VACATION」を歌え”ともとれますよね。ネーミング一つとっても彼のウィットが感じられます。
これも大瀧詠一のLPで、CMソングが詰まったアルバムです。こんなのはいつまで待ってもレンタル店に並びそうもありませんから買いました。つまり理由としては②に該当。現在はもちろんCD化されていますから、CDで買いなおしてます。
短いCMソングが詰まったアルバムですが、その中の1曲。
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お酒の「大関」の1980年の暮れのCM。「渡ります」という歌詞が繰り返されますが、渡哲也が出演していたからですね。
ここからは全て理由②のLPレコード。
雨に打たれて汚れてますね。「ティンパン・アレー ヒストリー」(2枚組)
ティンパン・アレーは細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆の4人のバンド。
よくこんなの買ったな、過去の俺。
この曲が好きだったので、ほかにもいい曲が入ってるんだろうなと想像して買ったんでしょうね。この曲以外の記憶はありません。
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大貫妙子の「シニフィエ」(1983年)。
シニフィエって意味分かりますか? 当時はねぇ、記号論てのが流行ってたんですよ。浅田彰の「構造と力」なんて読んでもさっぱりわからない本がベストセラーになったりして。シニフィエは記号論で言う”記号の意味内容”ってな意味です。
当初からCDで発売されていてもおかしくはない時期ですが、どうしてLPで持ってんだろ?
このアルバム中ではこの曲が一番売れました。
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大貫妙子についてはベストアルバムをダウンロードして、今も私のiPodに入っています。もちろん、上の曲も。
デオダートの「ツァラトゥストラはかく語りき」と「ラプソディー・イン・ブルー」。
2枚ともインストゥルメンタル曲ばかりのLPです。クラシックをアレンジしてロック風にするってのは当時からありました。そして割とヒットしてもいたんですよ。
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1曲だけ拾っておきます。
ジョージ・ガーシュインがジャズをモチーフにしてクラシック音楽に仕上げた曲を更にロックにしたという、ややこやしい曲。
今、Wikipediaで調べてみるとロックではなく、「クラシックをエレクトリックジャズにアレンジした」と書いてありますし、ジャンルとしては”クロスオーバー/フュージョンのはしり”とのこと。まあ、何でもいいや。でも、ブログ書きながら聞き直してみましたがやはり名曲。デオダートさん、ご存命のようです。
エリゼッチ・カルドーゾの「エリゼッチ・カルドーゾ」とベッチ・カルヴァーリョの「燃えるカルナバル」。
え? 名前も聞いたことないって? そうでしょうねぇ。私も今回救出してみるまで忘れてました。変なレコードの極地。いや、もちろん、現地(ブラジル)では二人とも偉大な歌手ですよ。ボサノバと言うか、サンバと言うか、ラテンを深堀りしてみようかなと考えていた時期だったんでしょう、きっと。
アルバムの中の曲を1曲も覚えていませんし、もちろん現在のiPodの中にも入っていません。
最期はこの2枚。
シンガーズ・アンリミテッドは男性3人と女性一人のコーラスグループ。究極のコーラスグループと言ってもいい存在。松任谷正隆はオーディオセットの性能をシンガーズ・アンリミテッドの曲を再生して試すと言っていました。
下の2曲はできればヘッドフォンで聞いていただきたいくらい。
上の「ア・カペラ」から「青春の光と影(Both Sides Now)」
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季節外れではありますが、下の「Christmas」からはオープニングの華やかな曲、「Deck the Halls」。
全体的におごそかな宗教音楽的な曲がほとんどのアルバム。しかし、それゆえにコーラスの美しさは光ります。
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