「
燃料電池車は“愚か”な選択」という記事が出た。
そして、その批判を書いたのはテスラのCEOイーロン・マスク氏らしい。
さもありなん、である。
電気自動車を販売している側としてみれば、燃料電池車は競合商品となるだろう。
さて、批判の内容がお粗末である。
・水素の取り扱いが難しい事。
・水を電気分解して水素を取り出すと、効率が非常に悪い事。
等である。
取り扱いが難しいのは事実だが、そんな事を言っていては、物事は進展しない。
トヨタは事実、商品化にまでこぎ着けた。次はホンダが予定している。
電気分解して、と断っているあたりが狡賢いところだ。
何も水素は電気分解して作られるだけではない。
石油や天然ガスなどからも、取り出せる。ただし、この場合は化石燃料依存から脱却出来ないので、将来的に問題が出る。現実にはこの手の燃料から取り出している事が多いようだ。
ちなみに、化石燃料や電気分解以外にも水素を取り出す方法は開発されている。
都市鉱山から取り出すという事も考えられるようだ。
一つは太陽光と鏡を用いた水分解装置。問題は強い太陽光線と広大な土地が必要となる。
二つ目は光触媒を用いて水から水素を取り出す。
技術発表が2~3年前であるから、どこまで実用化が進展しているのかは分からないが、電気分解だけではないのである。
化石燃料依存を減らす事も目的であると考えられるから、単純に効率だけの話ではないのだ。
また、電気自動車の充電時間の問題や電池の劣化問題、航続距離の問題など、不利な点には一切触れていない。
そして、こういう批判をされる場合、時代に対して進み過ぎている場合も多々ある。そういう場合は理解されず批判される事が多い。認められるのは後々、年月が過ぎてからだ。
また、分かって批判している場合には有効性が認められていて、自分たちが有利になる為に攻撃材料にする事もある。
かつて、マイクロソフトがよくやっていたような気がするが、批判するだけしておいて、裏では開発を進めていたりし、時期が来たら関連企業を買収して発表する、なんてパターンである。
又、日本の場合、海に囲まれているわけであるから、海上に水素工場でも作れれば、水の調達はいくらでも出来る。
電気分解するにしても太陽光・風力・波力発電等の色々な方法を組み合わせてまがりなりにも作る事が出来れば当面はそれでいいと考える。
ゆくゆく生産効率を上げていければ良いのではないか。
化石燃料に依存する事はいつまでも出来ないわけであるから、技術開発は早くからしておかないと、いざという時になって開発しても間に合わない。
多少効率が悪くても、実用化技術の確立も重要ではないか。
燃料電池車が本命といわれていた時代に、ハイブリッド車は所詮つなぎ、みたいなことを散々言われていたが、現実にはどうなったかよく考えてみればいい。
つなぎであったとしても、相当長い時間のつなぎになっていると思えるが、どうだろうか。
トヨタやホンダでは新車販売の半分以上がハイブリッド車になり、完全に普及段階に入っている。
数は少ないとはいえ、他社からも市販モデルが発売されている。
海外市場でも以前よりは販売数が増えた。
こんな状況になってもまだ、つなぎと言うのだろうか。
電気自動車はどれくらい売れた?
市場のごく一部を占めるにすぎないではないか。
電気自動車が成功を収める為には蓄電池の大幅な性能向上が不可欠だろう。
この点でも燃料電池車に負けている。
確かに水素ステーションの建設にはかなり費用がかかるだろう。だからといって何もしなければ進展しないのである。
電気自動車の充電器の設置の方が確かに費用は安い。しかし、十分な数の充電器が設置されたとして、日本の車の多くが電気自動車に置き換わったとしよう。
それだけの電気を発電・充電する電力が今の日本の電力会社にあるだろうか。
化石燃料で動いていた車両が電気に置き換わるわけである。必要となる電力も相当なものである。
そういうことは考えないのか。
夏場の電力需給の逼迫が報道される事もある通り、そんな状態で電気自動車を増やせるはずがない。充電電力がそのまま必要な電力として加算されれば、停電に陥るだろう。
しかし、何故にこんなずれた批判をするのだろうかと、私は思う。
Posted at 2015/03/04 20:58:08 | |
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