
きのう、ドイツ・ホッケンハイムで行われたDTM(ドイツツーリングカー選手権)の今季最終戦レース2は、
33号車アウディを駆るR.ラストがポールトゥウィンを決めたのと同時に、2年連続3度目のシリーズチャンピオンも達成する結果となりました。本当におめでとうございます!
今季は7勝のラストを筆頭に、6勝のN.ミューラーと3勝のR.フラインスが相まみえた三つ巴のチャンピオン争いや、
第6戦終了時点でメーカータイトルが決まったように、現体制からの電撃撤退を表明したアウディ陣営に有利なレースの続いたシーズンでしたが、そのアウディ勢に肉薄する活躍を見せながらも、L.アウアーとS.ヴァン・デル・リンデのそれぞれ1勝ずつ
(アウアーは第3戦、ヴァン・デル・リンデは第4戦のレース2で勝利)に止まったBMW陣営の惨状から比べたらもう…想定外の結果になりすぎてお手上げ
ララバイ状態になったほど、アウディ一強のイメージが脳裏に焼き付いて離れなかったですね。まあでもアウディ側にとっては、クラス1規定最後のシーズンを精一杯戦い抜き、是が非でも有終の美を飾りたかったという思いもあったのではないでしょうか?
2020シーズンの私的なレビューはここまでにして、アウディの一件に端を発する形でシリーズ存続が危ぶまれていたDTMは、来季よりFIA GT3車両を活用したレースカテゴリーへリニューアルされる格好になったようです。今回最終戦が行われたホッケンハイムに設けられたブースには、トップ画像のようにGT3マシンを代表してアウディR8 LMS(現行のエボモデル)を含む3台がサンプルとして展示された模様です。
後述するスーパーGTとの関係も生かされたクラス1規定をバッサリ止め、いまや世界中のGTカテゴリーで身近な存在となったGT3規定を活用することは、
(先月行った配信ライブの閉幕をもって電撃改名した)某坂道グループの有名曲の1フレーズを借りれば
“One of Themに成り下がった”印象が拭えず気持ち的には残念でなりませんが、既存体制への撤退を決めたアウディにはR8があるほか、競合相手のBMWにとっては参戦マシンのベースとなっていたM4クーペが新型にモデルチェンジし、おまけに同車派生の次期GT3車両を2022年度に本格投入することも明らかにしているので、元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガー氏率いる主催元はそういった事情が絡んでの大改革を決断したのでは?と、私的にはそう思っています。
ただGT3車両によるシリーズを一口に言っても、同じドイツ選手権には2007年より開催中の
ADAC GTマスターズが存在するんですが、今回発表されたDTMの新レギュレーションはドライバーを交代義務付けなしとするなど、これまでのスタイルを踏襲した項目も含む独自の規定が敷かれるとのことで、交代義務付けのあるADACとの棲み分けは為されるようです。
DTMといえば(クラス1規定導入で実証された)我が国のスーパーGTとの共通項を心配する声もありますが、どうやらスーパーGTを主催するGTアソシエイションからの回答として、
500クラスで採用されたクラス1規定は2023年シーズンまで継続する一方、その翌年からは新規定を導入する計画が浮上しているらしいので、DTM側の決断により昨年一度だけ行われた交流戦復活の可能性は事実上無くなったものの、コスト面の観点もあり、長年の構想が実を結んだ現規定の車両の雄姿がしばらく見られるのはファンにとって一安心できそうかと思います。
1984年にグループA車両で争われる形式から始まり、90年代以降は(マシン開発や運営コストの高騰などによる影響で、しばらくの休止期間がありながらも)他のツーリングカーレースとは一線を画すスタイルで世界中のファンを魅了し続けたDTM。果たしてこの大改革は新規のみならず旧来のファンをも納得させられるか、私はGT3車両の新たな可能性を信じる意味で温かく見守っていきたいと思います。
Posted at 2020/11/09 21:15:59 |
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