
お盆休み明けの朝の風はやはり真夏とは違いますね。日中は暑いことに変わりはありませんが、それでも少しずつ秋に近づいているってことなんでしょうね。
一部のみん友さんは事前にご承知の事かと思いますが、最近まで入院してました。当初は5日間の予定でしたが、延長されて結果的には11日間。お盆休みはほぼ入院で潰れました。手術を受けたわけですが、手術前には予想もしていなかった展開が待っており、現在も完治していません。
その入院期間をブログにして記録しておこうという試みですが、排泄とか排泄器官とか血尿とか、きれいとは言えない話が続きます。それでも構わないって方はお進みください。
私は40代くらいから尿路結石で度々苦しんでおり、定期健康診断でも腎臓に多くの結石があるとの指摘を毎年受けております。その上に前立腺肥大も患っており、頻尿気味でもあります。そのため、月に一度、近所の泌尿器科クリニックに通って薬を処方してもらっています。そこで、年に一度くらいは他の病気があると心配だからMRIを撮っておきましょうかと勧められ、撮ってもらったら、左の尿管に大きめの結石が降りてきていることが分かり、クリニックの医師から手術を勧められました。躊躇が無かったわけではありませんが、尿道に降りて来た時の苦しみが想像できるだけに、手術を受ける決心をしました。
手術は市内の大きな病院に入院して受けました。手術室に入るとベッドに横になり、背中を丸めて背骨の間に何本か麻酔の注射。下半身麻酔で術中も意識はありました。麻酔注射が終わると両足をそれぞれ台の上に乗せて足を開き、分娩台の妊婦のような恰好で、両足の間に医師が座ってこちらを向いて手術を行う形ですな。もちろん開腹手術ではありません。尿道から器具を挿入して行う手術です。
大きな病院と言っても岐阜の事ですから、大した設備もあるまいと思ってましたが、これをハイテクと言っていいいのかどうか分かりませんが、見たことも無い機械がベッドに覆いかぶさるようにあって驚きました。

医療機器メーカーのHPから
器具だけだとこんな感じ。

外科用C型アームと呼ばれているようです。
ベッド下の箱からX線が照射され、上の受像機で透過画像を得てそれをモニターでリアルタイムで見ながら手術を進めるようですね。3Dでも見られるようです。意外にハイテクでした。
で、手術中は、お腹に何か入ってる感じがするくらいのことで、特に痛みも感じることもなく、「こんなもんか」てな感じで終了。医師からは左の腎臓の結石も全て取ったと言われ、一安心。ただ、その意味はよく分かりませんでしたが、ステントを入れたかったが狭くて入れることができなかったと気になる一言も。
ベッドに寝かされたまま病室に移動してから初めて気づきました。自分が尿パックと繋がっていることを。尿パックの中は赤い血尿。そのパックからは私の寝巻の中に太いパイプが。この目で確かめようとは思いませんでしたが、これが私のムスコに差し込まれているのかと思うと・・・。そして腰にはオムツ。ま、仕方ありませんよね。下半身は麻酔で無感覚なんですから。
点滴に繋がれてはいるものの、その日は朝から寝るまで飲み物も食品も全く口にすることなく就寝。ところがアソコが痛いわけですよ。管が差し込まれているムスコの先端が。夜中に巡回に来た看護師にそれを訴えると、それなら座薬をということで入れてくれました。そしたら安眠。早く言ってよ。
翌日の昼過ぎだったでしょうか、やっとムスコに差し込まれた管を看護師に抜いてもらいました。その時、術後初めて自分のムスコの姿を直視したわけですが、我が身ながら哀れでしたね。麻酔は切れていますから抜くのも痛みが無いわけじゃありません。
それ以降は足の感覚も戻っていたので自分でトイレに行くこともできます。おしっこが出たらその都度教えて欲しいと看護師に言われて排尿後にナースコールで伝えると、下腹部を超音波で調べて残尿の量を測定します。それが2回連続で残尿0。つまり完全に排出されているということで術後は順調のようです。
ところが、その晩にそれがぬか喜びであったことを思い知ることになります。排尿を促すためにたくさん水分を取るように言われたこともあって、夜中に尿意を感じ、車輪付きの点滴スタンドを伴ってトイレに駆け込み、便座に座って力みますが一滴も出ない。一時的に尿意が紛れてベッドに戻りますがすぐにまた尿意が襲ってきます。それを何度も繰り返し、途切れない強い尿意を抱え下腹はパンパンに張っていますがそれをどうすることもできません。背中にはじっとりと冷や汗。決心して躊躇していたナースコールを押して状況を伝えます。やってきた看護師は管を挿入して導尿すると言います。
「え、それって医者じゃないとできないんじゃないの?」
「いえ、これは看護師でできる範囲ですからやります。」
手袋をした看護師が私のムスコを摘まみ上げて太い管を挿入。潤滑剤は塗るものの麻酔はありません。経験者で無いと分からないとは思いますが、これ痛いですよ。「イタイ、イタイ・・・」と声を上げ、手足がピクピクと動いてしまします。同室(4人部屋)の患者さんには迷惑をかけたと思いますが、この時、本人はそれどころじゃありません。痛みをこらえながら管を見つめます。そして疼痛と共に血尿が出始めて尿瓶に流れ込むと尿意が緩和され、下腹の張りも凹んでホッとします。正直、救われた気分です。結局、400ccも出たようです。これは成人の膀胱に一杯の尿が溜まった時の量だそうです。それでどうにか寝付くわけですが、多くの水分を取っていたせいもあって、この晩は朝までにあと2回も導尿してもらいました。その都度ナースコールで看護師さんを呼ぶわけで、悪いなぁって気持ちにもなります。
てことで、入院期間延長決定。翌晩にも導尿してもらい、その翌日には再び尿パックに繋がれることに。安心は安心なんですが、逆に今後のことが心配に。
尿の色が徐々に薄くなり、尿パックは再び外すことになりましたが、退院後をにらんで自己導尿の訓練をするように言われました。
「いや、人にやってもらったってあれだけ痛いのに、自分でなんて到底無理! できっこない!」
最初はそう言いましたが、医師は相手にしてくれません。
退院前の一日はその訓練に当てられました。大体6時間ごとですから一日に4回。

長さ33㎝、直径4㎜。
上の図の管を入れるわけです。まずムスコの先端、つまり管を差し込む部分をノンアルコールのウエットティッシュで清め、管の先端付近には潤滑剤を塗って、膀胱まで差し込むわけです。自分で。
ただ、脇で若い看護師が尿の量を計るための使い捨てのコップを持ってそれを見守ってくれるわけです。
やってみて分かったんですが、おそらく看護師にしてもらった時よりも管が細いように見え、痛みはありますが自分でやった方が楽でした。ただ、どこまで差し込めば尿が出てくるのかは手探りなんですよね。で、挿入しながら二人でジーッと息子の先端を見守るわけですよ。60過ぎの爺さんと20代の娘が。
よく考えたら、いや、考えなくても、これ、間抜けな図ですよ。夫婦だって恋人同士だってこんな時間無いですよ。いや、私も真剣に出したいと思ってるし、看護師さんにとっては仕事以外の何物でもないわけですが。
でもね、尿が出始めると私だけでなく、看護師さんもホッとしたのが伝わってきます。二人で共同作業したって感じなんですよ。
あんなに怖がってた自己導尿も回数をこなせば慣れるもんです。職場にも道具一式を持って行ってトイレの個室で行ったこともあります。大きな道具でもないので人に知られずに続けることもできるでしょうね。
私は現在では自律排尿もできるようになり、快方に向かっているように感じていますが、まだ完全には出し切れていないようです。もう少しだとは思うんですが。
今回の入院で、自分の意志で排尿できるということがどれだけありがたいことかを身に沁みて感じました。当たり前のことじゃなかったんですね。看護師の話では生涯自己導尿を続ける人もいるとのこと。そういう人の存在も近くに感じられるようになりました。
また、今回のことを、自分の体を自分の意のままに動かせなくなる老化の一過程と捉えることもでき、一つの心の準備にもなった貴重な体験だったのかなとも思っています。
Posted at 2025/08/19 23:25:43 | |
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