2012年もあと僅かということで…今年のドイツ5社で、私が気になった話題を、メーカー別にシリーズで振り返っていこうと思います。
今回はBMW編です。
今年のBMWは、気になった話題がたくさんありすぎたので、その中から5つに絞って書いてみました。
まず、い~ちばん←
日本市場でクリーンディーゼル車を6モデル投入
今年のBMWといえば、日本市場においてクリーンディーゼル車を積極的に導入したことが、一番の話題でしょう。
1月発表の
E70 X5 xDrive35d BluePerformanceを皮切りに、
F30・
31 320d BluePerformance、
F10・11 523d BluePerformance、そして
F25 X3 xDrive20d BluePerformanceと、中・上級モデルが中心ですが、これまでにラインナップされてきました。
とくに「320d」は評判がよく、8月
(F31ツーリングは9月)の導入以降は、なんとガソリンの「320i」などよりも3割近く売れているのだそうです。
価格が、マツダのCX-5や新型アテンザの「2.2 SKYACTIV-D」搭載モデルよりも高めであるにもかかわらず、320dがこれほどまで人気が高まったのは、やはりBMW車らしいスポーティさだけでなく、エンジンの力強いトルクと、JC08モードで19.4km/Lという燃費の良さが、最大の理由かと思います。
その甲斐あって、3シリーズは今年のRJCインポート・カー・オブ・ザ・イヤーと、日本インポート・カー・オブ・ザ・イヤーを見事にダブル受賞しましたね。
に~ばん←
F06 6シリーズグランクーペ発表
BMWが、CLSクラス
(メルセデス)とA7スポーツバック
(アウディ)打倒のために投入した「グランクーペ」は、3月のジュネーブショーで公開され、それから3ヵ月後の6月に販売が開始されましたね。
6シリーズ初の4ドアボディで、販売的に期待も大きくなると見込んでいたのか、BMWジャパンでは珍しく、
テレビCMなどでティザー広告を出すなどの戦略に打って出たことは、私的にも驚きました。
さ~んばん←
6気筒エンジン直系の3気筒ターボを新開発
これは旧来のビマー
(=BMWファン)にとっても、衝撃的なニュースだったことでしょう。
この新しい3気筒ターボは、ガソリンとディーゼルでほぼ部品を共通化することで、生産効率のアップとコスト削減を図ったものであり、とくにガソリン車のサウンドは、6気筒エンジンだと間違えてしまうぐらい似ています。
よ~んばん←
「M Performance Automobile」ブランドの設立
標準モデルとMモデルの中間に位置するモデル群として、今年新たに加わった「M Performance Automobile」のラインナップは、前述のグランクーペと同じく、3月のジュネーブショーで公開された、381馬力を発生する3リッターの直6トリプルターボエンジンを搭載した、M550d
(セダン&ツーリング)・X5 M50d・X6 M50dの4モデルでスタートし、5月からは初のガソリンエンジン搭載モデルであるM135iが新たにラインナップに加わっています。
(日本導入は8月)
M135iは私も大好きなモデルですが、本国仕様などに用意されている4WD(xDrive)仕様も、最初から日本市場へ導入していれば、S3やゴルフR32
(もしくはR)などの顧客を取り込むこともできたかなぁと思います。
ご~ばん←
DTM復帰初年度にして、トリプルタイトルを獲得
やはり最後はこの話題でしょう。
今年、E92 M3 DTMで、ワークスとして20年ぶりにDTM
(ドイツツーリングカー選手権)の舞台へ帰ってきたBMWは、名門の『チーム・シュニッツァー』、WTCC
(世界ツーリングカー選手権)でもおなじみだった『チームRBM』、ステファン・ラインホルト氏率いる新興チームの『チームRMG』という3チームから、それぞれ2台(計6台)がエントリーしました。
5月に開催された第2戦・ユーロスピードウェイ ラウジッツリンクで、シュニッツァーの#7 ブルーノ・シュペングラーが、メルセデスからの移籍後初となるポールトゥウィンと、BMW勢として20年ぶりとなるDTM優勝後も快進撃は続き、8月開催の第6戦・ニュルブルクリンク、9月開催の第8戦・オッシャースレーベンでシュペングラーがそれぞれ2勝をマークし、続く同月の第9戦・バレンシア(スペイン)では、RBMの#16 アウグスト・ファルフスが、ポールトゥウィンで見事DTM初優勝を達成、最後は10月開催の最終戦・ホッケンハイムで、予選3番手につけたシュペングラーが、スタートでファルフスとメルセデスの#11 ゲイリー・パフェットを一気に抜き去り、そのまま逃げ切ってシーズン4勝目と自身初のシリーズチャンピオン、そしてBMW勢に嬉しいチームとメーカーのトリプルタイトルを獲得する結果となりました。
私はシーズンの開幕前からずっとBMW勢を推してきたので、正直嬉しい気持ちでいっぱいでした。
【BMWの2013年は…】
まず市販車は、3シリーズGT・4シリーズクーペ・次期X5・1シリーズGT・M6グランクーペ・次期M3セダンといったラインナップに加え、EVの「i3」と、プラグインハイブリッドのスポーツカーである「i8」の市販版が発表されます。
4シリーズクーペは、コンセプトモデルとして今度のデトロイトショーでワールドプレミアされますが、私的にネーミングの格上げによって「3シリーズ」の一員でなくなるのが残念なところです。
1シリーズGTは、今年のパリサロンでお披露目された
『コンセプト・アクティブ・ツアラー』の市販版として、来秋のフランクフルトショー開催に合わせて発表される予定ですが、縦置きのFRレイアウト
(またはそれをベースとした4WD)を代々守り続けてきたBMWブランドに、新たな風を起こすことが出来るか注目したいところです。
モータースポーツでは、DTMへの参戦チームがもう1チーム+2台加わり、ミュンヘンのBMW本社にほど近い場所にファクトリーを構える『チームMTEK』が、新たに参戦することが発表されています。
すでに一人目のドライバーとして、今シーズンはM3 DTMの開発ドライバーを務めたマルコ・ウィットマンがステアリングを握ることが決定していますが、もう一人は海外のサイトによると、元F1ドライバーの
ハイメ・アルグエルスアリが濃厚という噂があるようです。
そして、再来年シーズンからGrand-Amと統合した新しいカテゴリーがスタートすることが発表されている、ALMS
(アメリカンル・マンシリーズ)のLMGTクラスに、これまで参戦してきたE92 M3 GTに代わるモデルとして、E89 Z4 GTEを新たに投入することも発表されています。
内容的にはこれまでと同じく、インディカーシリーズでもおなじみの名門チームである『レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)』とのジョイントで参戦し、ドライバーもビル・オーバーレンやダーク・ミュラーといった顔ぶれが、ニューマシンのステアリングを握ります。
2013年も、『駆けぬける歓び』のさらなる躍進から目が離せない1年となりそうです。