
日本時間おととい夜、ドイツ本国にて“992.2”こと現行911のMC版がワールドプレミアされました。
パワートレーンが電動化されていないベーシックなカレラもクーペ/カブリオレも揃ってデビューしましたが、注目は予てより噂されていたハイブリッド搭載グレードが何なのかという点。その答えは
以前【スクープだより】でも綴ったとおり、MC前が480hp仕様の3.0ターボを搭載していた“カレラGTS”シリーズでした。
新開発の3.6リッターはNAやツインターボという噂も流れていたものの、GTS各モデル向けはシングルターボとされたそうです。よって今後を従来の流れから考えると、NA版はGT3、ツインターボ版はターボ系や将来デビューするはずの(従来でいう)GT2 RS相当の超高性能系にそれぞれ与える格好になるのでしょうか。
エンジンのみならず、メルセデスAMGの現行SL43やC43 4マチック等々が積むM139l型直4のような電動ターボ、8速PDKに組み合わされたPMモーター、フロントにのみ搭載の駆動用バッテリー諸々から形成されるハイブリッドシステムの名は「T-ハイブリッド」と命名されました。販売戦略上、イメージ的にはカイエン/パナメーラのPHEVが「e-ハイブリッド」と呼ばれていることに関連付けた印象すら感じます。
後々「T-HEV」と略して表現する記事も出てきそうだけど、そう言うと語感的に国内H社の「e:HEV」に似て聞こえてしまうのが何とも…(苦笑)
エンジン単体は3.0ターボ時代より微増の485hp、しかしながらシステムとの総合出力は541hpを発揮させているそうです。後者はその値だけを見れば、ベースで510hp、RSで525hpとなっているGT3用純エンジンの4.0NAを凌ぐスペックとされたのが窺えます。クーペの本国公称値である3.0秒、カブリオレおよびタルガ4の3.1秒という0-100km/h加速
(いずれもスポーツクロノパッケージを装着した場合)はGT3よりもターボ系に迫る数値を叩き出したことに驚きました。
発表直前に公開した開発風景を見ても明らかでしたが、幅広い層に受け入れられる性能を実現すべく、量産モデルとして歴代初のハイブリッドを開発陣の英知と技術力でこれほどまでに仕上げるには紆余曲折あったと思われます。そもそもGTSはカレラ系グレードのなかでも旗艦な類に入り、とくに走行面でGT3やターボから“いいとこ取り”という表現も出来る知見を採り入れたのが特徴なので、そういう背景も踏まえながら思うと皮切りに選んだ理由が何となく見て取れた気がしますね。
ちなみにカレラに搭載された純エンジンのフラット6はMC前と変わらず排気量3リッターで、ターボチャージャーを従来GTSのものから流用するなどして環境性能向上やレスポンスアップを図った結果、MC前から9馬力増の394hpに引き上げられた模様です。となると、追ってMC版に切り替えられるはずのカレラS(4S)は従来が450hpでしたので、今回の“素カレラ”に倣って若干のパワーアップを実施するのは想像に難くないでしょうね。
Posted at 2024/05/30 20:43:30 |
ドイツ車(ポルシェ) | クルマ