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2014年10月08日 イイね!

間違いだらけの教習車選び ~トヨタ・コンフォート教習車~

都合により、かなり遅くなってしまったが、今回は時間に余裕が出来た為、急遽、コンフォート教習車についてレポートしようと思う。

■概要

1995年12月にX80系マークⅡをベースに誕生した、タクシー専用車である。

タクシー専用車とメーカー自体の宣言通り、日本国内の一般道での使用を最優先に考慮された、ストイックなドメスティックカーである。

姉妹車にクラウンコンフォートというものも存在するが、コチラは中型タクシー専用車で実は全長が105mm長く、その延長分は後席のスペースにそのまま割り当てられている。

今回レポートするものは、ショート版のコンフォートの方だ。


■スタイル、パッケージング

全長×全幅×全高:4590×1695×1515(mm)




実用性重視で角ばったデザインで、極めてオーソドックスな3BOXスタイルである。

教習車仕様ということもあり、見た目は非常に簡素なもので、必要最低限な装備しかない。



また居住性を取る為、全高もセダンとしては極めて高い。

その分車内も広く、また、グリーンハウスが必然的に大きくなることもあり、視界がとても良い。

さらに、全体的パッケージングが極めて優れている為、日本国内での取り回しは抜群である。



フロント及びリアには本来であれば、仮免許練習中のプレートが装備されるが、場合によってはフロント及びリアにダブルテンプラナンバーなる技も可能だ。

勇気のある猛者は是非チャレンジして頂きたい。但し責任は持たない。



運転席、助手席共にドアミラーが各2個装備されており、ナルシストにはたまらないことだろう。



また、ドアバイザーも専用の大型のものが装備されている。

コレは、教習中でしか人生で絶対行わないであろう、踏切通過前の確認時の為にある。

確認時に万が一雨天の場合は多少窓を開いても車内に雨が入り込まないよう考慮してあるのだ。




外観で特徴的なものとしては、現在ではとても珍しいデラックスのエンブレムが装備されていることである。

実際には教習車仕様は1グレードのみでデラックスもヘッタクレも無い。

一体なにがどうデラックスなのか??

筆者としてはこの上にマジックで「マツコ」と記しておきたいものである。


■装備、インテリア




コンフォートはとにかくシートの出来が素晴らしい。

座面もクッションの厚みが十分に確保され、シートバックも腰椎をしっかりと支えてくれる。

またシート自体も非常にガッチリとした造りで、見た目とは裏腹にホールド性も十二分にある。

とにかく長距離を乗っても全然疲れるコトが無い…結局、借り出し初日に下道を一気に200km走ってみたが、全く疲れる感じが無かった。

さすが、タクシー専用車だけあり、この辺りトヨタは分かって設計している。

そう考えると、やはりトヨタは出来るクセにやらないコトの多いメーカーであり、このシートには感動する反面、車種によっては手を抜くトコにはなんとも言えない気分になる。



インパネに関しても、シート同様質実剛健な造りで、機能美に溢れていて非常に使いやすい。

また、造形がシンプルなコトもあって、車両の見切りも良い。



タクシー仕様車がベースとなる名残として、ペンホルダーが装備される。

ココは受け狙いでロケットえんぴつでも刺してみてはどうだろうか。




しかしながら、後軸調整ダイヤルに関しては、後々の法規改正で装着義務化された為、コンフォートには無理矢理装備されたコトが如実に分かる位置となっている。



エアコンパネルに関しては、最初こそエアコンの使い方に少々戸惑ってしまうが、慣れてしまうとこんなに使いやすいものは中々無い。

実際に、最近のものはデザイン優先のものばかりで、多機能になればなるほど、使用性は比例して低下する。

ナビ画面連動の物などは特に最悪である。

エアコンパネル左横に設置されるのは、教官専用のデジタルメーターで、助手席側からしか速度が見えないような仕組みとなっている。

その他、運転席フットランプのスイッチも装備されている。




スポットランプは教習車仕様の専用装備だ。

タクシー仕様はココが運転席のみを照らす日報灯となっている。

ミラーは教習車専用のダブルミラーで、運転手が贅沢に2つ共使用すると、ワイドミラーが比にならない程にワイドに見るコトが可能だ。



タクシー仕様の名残として、センターコンソールのアームレスト上部が窪んでおり、支払い時に乗客が運賃を置きやすい形状となっている。

場合によっては、教習生の運転があまりにもヘタな際に、ワイロの授受がし易いようになっている。

その横には地図が入れられるマガジンラックがあり、場合によっては、教官にワイロ替わりとして、スーパー写◯塾やデラべ◯ぴんを密かに置いておくコトが可能だ。



そんな教習車は、教習生イジリに疲れた教官を癒す為の助手席用ランバーサポートが装備されている。

ちなみに、運転席にはランバーサポートが無い。



さらに教官用シートリフターもある。

コレにより、シートをより高く上げ、教習生を見下すコトが出来るのである。




助手席には、通称:人間アイサイトと呼ばれる教官用ブレーキが装備されている。

どんなコンピューターよりも正確に、そしてより確実に止まるコトが可能なのだ。

しかし、生徒も教官もよそ見をしていた場合はアイサイトもへったくれも無い。

さらに教官用フットレストは贅沢に2個装備されており、便秘の教官はココで両足を踏ん張り、思いっきり力んでみるコトをオススメする。

但し、勢い余り、シートが茶内装になってしまった場合は、「助手席シートはGX81マークⅡのものと入れ替えた」と、必死に言い訳してみよう。

生徒も、納得したようなフリをしてくれるハズだ。

その際、教官はセンターコンソールのアームレストの上に、福沢諭吉を2人程度座らせておこう。



リアシートに関しては、さすがタクシー専用車として開発されたコトだけのコトはあり、居住性は抜群だ。

掛け心地も文句無く良い。



この通り、レッグスペースも広大で、コンフォートでさえ、十分なスペースがあるので、クラウンコンフォートはさらに余裕がある。

セダンとしてのパッケージングとしては本当に素晴らしいものだ。



ドアカーテシランプも装備されるが、タクシー専用車だけあって、歩道側に面する助手席側にしか装備されていない。




トランクルームは広大で、日常生活による使用状況であれば、十分である。


■動力性能




エンジンは3S-FE型、直列4気筒2000ccで、140馬力、19.0キロ。



元々が高速教習車だった為、搭載されるトランスミッションは4速オートマチックである。


動力性能は十分で、車重が軽いコトもあり、全体的に軽快である。

また、とにかく車体の動きにクセが無く、非常に運転がしやすい。

さらに素晴らしいのはNV(振動、騒音)も取り立てて目立ったアラが無く、ミッションも変速ショックが少なく、非常に乗りやすい。

燃費は平均9.8km…2000ccの3S-FEで常時エアコンONとしては十分な数値であろう。



標準装着されるタイヤが14インチと言うコトも理由に含まれる。

とにかくバネ下が軽い為、クルマが素直に動く。

さらに限界もわかりやすい上、タイヤ幅が狭いコトもあり、外乱の影響を受けにくい。

本当にクルマの動きの基本が素晴らしく出来ており、運転教習車として考えるなら、現状コレ以上のものは無いのではないであろうか。

敷いて述べるならば、セダンボディでありながら、ボディ剛性が少々頼りの無いところか。

しかしながら、トヨタはこの辺も勿論理解した上で設計している。耐久性だ。

一般的にボディ剛性を上げるにはボディのスポット点数を増やし、剛性を上げてしまうのだが、反面、耐久性は乏しくなってしまう。

コンフォートは元々が長距離を酷使されるタクシー専用車である為、敢えてスポット点数を減らし、ボディ剛性を下げているのである。

「柔よく剛を制す」という言葉は正に的を得たもので、実際にコンフォートは結果的に強靭な耐久性を手に入れた。

酷使されるタクシーであれば100万kmなんて個体もザラなのだ。

結果的にボディ剛性が下がったコトにより、80年代の一般的なセダンのフィーリングが残っている。

しかしながら、このコンフォートというクルマが褒められる速度域はあくまで日本国内で法的に許される100km/mまでの話だ。

実際にそれ以上の速度は出していないのだが、それ以上の高速域になった場合、足の動きはまるで追いつかず、ボディ剛性が低い為、トコトン薄っぺらいフィーリングで、なんとも頼りないものになってしまうのが容易に想像出来てしまう。

コンフォートというクルマは時速100km/hまでの速度域であれば、日本国内では最高に使いやすい車のウチの1台として分類されておかしくない1台だと思っている。


■総括



現在はコンフォートもどうやら2018年で生産中止となるアナウンスがメーカーから正式に発表されている。

その後の日本国内で用意されているものはロンドンタクシータイプやミニバンタイプのタクシーばかりである。

さて…その今後のタクシーだが、日本のメーカーがバカの一つ覚えのように唱えている、「グローバル化」が邪魔をして、日本で使用するには、コンフォート以上の出来栄えにならないのではないのかと推測している。

それにしても、戦後の日本から現在まで、一般的にタクシーのボディタイプはセダンが主流だったのはご存知の通りであろう。

それが、近い将来、この手のタクシーは皆無になり、やたらと背の高いタクシーが増えるのかと思うと、筆者はどうもそんなタクシーに乗ろうという気が起こらない。

そう思うと、現在コンフォートに乗るコトが出来るというのは非常に幸せなコトなのかもしれない。

ちなみにこのコンフォート、車検は28年4月まであり、価格は全てコミコミで25万円というバーゲンプライスである。

県外でも格安で自走納車もやってくれるそうなので、気になる方は問い合わせてみてはいかがだろうか。

きっといい買い物になるだろう。
Posted at 2014/10/08 04:41:28 | コメント(20) | トラックバック(0) | インプレッション | クルマ

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