どうも(^^)v
今回は「失敗車」をお題としてカタログのアップをしております。
長々やってますが、今回含めあと2冊って感じで。
個人的にはクルマ自体というよりも、出すタイミングが失敗じゃないの?
なんて思わせる1台ですが…
ビークロス
175リミテッドエディションです♪
その前にビークロス自体に馴染みは無いんですがね…(^-^;
近未来的なデザインは確かに未だカッコイイですし、個性という面でもココまでぶっ飛んだSUVもそうそう無いですし、2023年の目線で見ると中々に気になる1台だとは思っています♪
そんなビークロスは1997年にデビューしています♪
元々は1993年に出したコンセプトカーが発端で、コレがどうやら反響を呼びまして、見た目の基本的なトコはほぼそのまんまで出ています…なのでかなり奇抜(笑)
しかし…しかしですよ…出てくるまでに4年掛かっちゃってるモンだから、新鮮味という意味では、この個性が非常に勿体ないコトになってます…(泣)
例えばRX-8なんてのも、最初のコンセプトから出て来るまでに結構掛かっちゃってるモンですから、結局出てきた時には見慣れた新型車という感じですからねぇ…。
この辺り、コンセプトからデビューまでの間ってのはホントに大事かと…。
で…デビューしてからは奇抜過ぎて中々売れない訳です。
そりゃそうですよね…コンセプトモデルを見て「カッコイイ!」ってなったとして、現実的に身銭を投入するかとなれば話は別ですからねぇ…各々生活環境がある。
ただ、この辺りメーカーとしても分かっていて、どうやら金型の耐久性の設計なんてのも、元々の規模が3000台位での総生産台数でやってた模様。
しかしながら、モデル途中でボディカラーの追加があったものの(コレがスゴイけど…)、特にテコ入れは無く、1999年に今回の175リミテッドエディションという特別仕様車を出すコトになった訳です。
コレがとにかく特別仕様車という感じのカタログでして、このようなケースに1枚1枚写真が入ってるような、気合の入った感じです(*'▽')
この175リミテッドエディションは文字通りで175台の限定車♪
なんでもビークロスの開発コードネームが「175」だったコトに由来するんですが…
総生産台数の10分の1がコレという(爆)
このカタログにはコンセプトで登場したビークロスを発端として(けど、どうやら左上に出てる1987年のCOA-Ⅲってのが予兆にあたるそう…ビッグワンガムでありましたね!)、実際に販売開始に至るまでのストーリーも掲載。
コンセプトモデルの細かい話はまた後程しましょう(*'▽')
今回は1999年2月の内容で、まさにこの特別仕様車が発表された時の内容です。
と…言うコトで、このように1度見たら忘れられないSUV…ビークロス。
コンセプトカー時代とはなるものの、この発端となったデザイナーは中村史郎。
個人的にはこの人のデザインってとにかく販売し出すとズッコケるイメージしか無いんですよ…(汗)
JT190のジェミニ、2代目ピアッツァ、更にゴーン時代の日産でチーフデザイナーになってからのV35スカイライン以降のヤツからと…。
台数出さないといけない大衆車含めどれも奇抜で、今見ると良いものの、当時はもう違和感しか無い、カッコ良く言えば、時代の先を行き過ぎたクルマばかり…(汗)
そんなイメージがどうも自分の中で抜けないんですよねぇ…(^-^;
下半分が無塗装樹脂で覆われたボディは、金属と樹脂という、熱膨張率が違うそれぞれの素材を大規模で使用する為、建付調整が大量生産には不向きで、ほぼハンドメイド…どうやら117クーペ時代の熟練工まで携わってるようです…(汗)
コレは新車時こそイイものの、経年劣化で必ず樹脂部分が白化しますからねぇ…現行車の大半も同じコトが言えるんですが、とにかく後々手入れも大変でみすぼらしくなっちゃうのがなんとも…(泣)
ちなみに少量生産を加味してたからか、レンズ類は他車流用が多いのも特徴!
特にミツオカが使う手法ですねコレ(笑)
ヘッドライトはオートザムキャロル、ウインカーレンズはL300オプティ、ヘッドライトとウインカーレンズの中間に位置するポジションランプは日産パオ。
サイドマーカーはユーノスロードスターと共用…と、けど常套手段ですねコレ。
リア周りもとにかくウネッとした曲面が印象に残ります♪
スペアタイヤがバックドアの内板に組み込まれるコトにより、とにかくスタイリッシュ…だけど一発でSUVなんだなと思わせる造り込みはカッコ良さにかけてはホントにイイなと思わせるポイント…カッコ良さにかけては。
で…これまたハイマウントストップランプはユーノス100の流用…流用先もマイナー(爆)
インパネは曲面を多用した外観とは対称的で結構スクエアな箇所が目立ちます。
上段一等地には、90年代後半に装着率が急上昇したカーナビ…と、いうよりビークロスの場合はナビ機能が無くてもモニターが標準…理由は後述。
その他、エアコンパネルやシフトレバー、各スイッチ類は恐らくビッグホーン辺りと共用なんでしょうかね…さすがにこの辺りまでコストが掛けれなかった感じは出ちゃってます…(^-^;
その前に外観でココまでコスト掛かってるのが異様なんですが…(笑)
インテリアはとにかく真っ赤なドアトリムが目立ちます!
そしてシートもですね…175リミテッドエディションには赤と黒のツートンカラーとなったレカロシートを装備するのが特徴!
当時のSUV/クロカンというジャンルでは飛び抜けて個性派なのが分かります♪
そんなビークロス175リミテッドエディションに搭載されるエンジンは1機種のみ…。
・6VD1…V型6気筒3200㏄DOHC、215馬力、29.0kg-m。
コンセプトモデルは1.6リッター直噴のスーチャー仕様でしたが、実際に搭載されたのは、ビッグホーンと同形式ながらも細部に改良が入った3.2リッターに…。
いすゞとしては意外でして、搭載されるのはガソリンのみ…ディーゼルが無いんですよ…(汗)
コレに組み合わされるミッションは4速オートマのみ。
足回りはフロントがトーションバースプリングのダブルウィッシュボーン、リアがコイルリジッドと、いかにもトラックメーカーらしいサスペンション形式。
基本的にはビッグホーンをベースとしているので、このような感じになっているものの、ショックアブソーバーがこの通り…カヤバ製のオイルタンク別体というかな~りコストが掛かった内容。
純正部品なのにショックだけで1本5万もするらしい…(汗)
ほぼほぼビッグホーンのラリー車用と同等の内容らしいです…凝ってるんです。
そして4駆のシステムにはトルクオンデマンドという機構を採用♪
電子制御で駆動配分をするシステムとなってます(*'▽')
装備としましては、175リミテッドエディション専用の内容も多く、ステンレス製のグリルガーニッシュや、限定車ならではのシリアルナンバープレート。
ホイールやエキパイもポリッシュ仕様になる他、エンブレムも3D化!
で…前述の通り、モニターが標準装備。
そしてバックミラーはマップランプ内蔵…ガラス貼付けまではイイとして、配線が出て来てる…(爆)
で…モニターが付いた理由はこの通りで、バックカメラが標準という…(汗)
コレ…当時としてはかなりスゴイコトですが、要はそれだけ後方視界が悪いってコトでもあります…(苦笑)
どうやらカメラにはシャッターが付いていて、バックに入れるとシャッターが開く構造のようですよコレ(*'▽')
給油口はアルミダイキャスト製とこれまた凝った造りではあるものの、オープナーは無く、鍵で開けるという、昭和感がやや漂う内容…(苦笑)
ちなみにバックドアもオープナーが無く、鍵のみで開閉…実用性はう~ん…(汗)
スペアタイヤはこの通りバックドアに内蔵し、確かに見た目はスッキリとするものの、バックドアにコレだけの重量物を内蔵する訳ですから、重みで建付が変わってこないのか?この辺り気になるトコ。
メーターパネルはカーボン調になってまして、スポーティ感を出してます!
で…グレードは当然ながら175リミテッドエディションという特別仕様車なので仕様も1つのみ。
■175リミテッドエディションの主な装備
・スペシャルカラーインテリア(レッド&ブラック)
・前席本革レカロシート(レッド&ブラック)
・ダブルフォールディング機能付5:5分割リアシート(レッド&ブラック)
・シリアルナンバーオーナメント
・グリルガーニッシュ
・3Dサイド&リアデカール
・245/70R16タイヤ+5本スポークポリッシュドアルミホイール
・大径ポリッシュドエキゾーストパイプ
・モノチューブ別体タンク式ショックアブソーバー
・強化キャブマウント
・LSD
・前席エアバッグ
・ABS
・集中ドアロック
・キー付グローブボックス
・電動格納ヒーテッドドアミラー
・バックアイカメラシステム(カラー)
・T165/90D17アルミスペアタイヤ
・フルオートエアコン
・チルトステアリング
・CD/MDチェンジャー対応AM/FMラジオ+カセット+5インチTV+6スピーカー
・前席バニティミラー
・残光式ルームランプ
・エアバッグ内蔵MOMOステアリングホイール
・本革巻ATシフト&トランスファーレバー
・カーボン調メーターパネル&ガーニッシュ
コレにボディカラーはなんと全部で25色!!
しかもココまでバリエーションがあると、もう手吹きなんだそうで…(汗)
前も話題にしましたが、どうやら実際に生産されてないボディカラーもあるんだとか…(汗)
なんせ各色キレイに割り振っても1色辺り5台ですので…。
ちなみに過去の生産車にあやかったボディカラーってもあるんだそうです(*'▽')
自分でしたらガーラピーコックマイカで(^^♪
オマケ
コチラは1993年のモーターショーで出たコンセプトモデルのビークロス。
1.6リッター4気筒スーチャー仕様の5速マニュアルだなんてメカニズムは実際の販売車両と大きくかけ離れていますね…(^-^;
こうやって見るとほぼほぼデザインはそのまんまですが、やはりまだ磨かれてない…と言いますか、アラの目立つデザインですね。
で…室内は全然違いますね…もうコッチのが断然近未来的(笑)
この内装なら更にぶっ飛び感が倍増してたコトでしょう(笑)
で…実はビークロス自体の販売は1999年の175リミテッドエディション発売で終了しています。
但し国内の場合。
北米ではエンジンがパワーアップして2002年まで継続販売されますが、99年にVX-O2なるオープンモデルのコンセプトカーも提案しています(*'▽')
その他、4ドアモデルもコンセプトモデルで出してはいたものの、結局はどれも販売までには行かず、あくまでコンセプトで終了しています。
最後に…個人的にこのクルマでもう一つ失敗なのではないかと思ってしまうのは、タダでさえいすゞの国内販売シェアが終了間際のような時代に、なんでこんなパイクカ―のようなクルマを出して来たんだ?と…(苦笑)
例えばコレが80年代後半のバブル真っ盛りに出てたら、ソレこそ飛び道具でウケたでしょうに、最早乗用車は全てOEM、更にSUV系もラインナップは少なく、国内販売シェアを上向かせたいなら、もっと多数の客層を取り込めるようなクルマにしないとダメだったんじゃないの!?ってなる訳です…。
少なくともその方向で台数が稼げたなら、ひょっとしたらいすゞがまだ国内販売で乗用車はともかくSUVを出せていたかもしれません…後のアクシオムとかも。
そうなるとつくづく惜しいクルマだなと思いますねぇ…。
どんなにイイクルマだろうとデビューさせるタイミングは重要だと思わせるクルマです。