前回のブログで記した通り、代車として驚くべきことにゴルフ77.5GTIを貸して頂けることになった為、今回はコチラについてレポートしようと思う。
■概要
2013年国内販売が開始されたゴルフⅦが2017年にいよいよ後期型へとマイナーチェンジされた。
通称:ゴルフ7.5と呼ばれるこのモデルは、通常モデルであれば、1200ccのトレンドラインをベーシックとして、同じく1200ccのコンフォートライン、そして1400ccのハイラインと構成される。
コレに2000ccのハイパワーエンジンを搭載して走りを意識したモデルが今回のGTIになる。
更に走りを意識し、ハイパワー化された上に4輪駆動となった、ゴルフRなるモデルも存在するが今回は割愛させて頂く。
今回は時間の都合もあり、計2時間、距離にして70km程走ってみたので、試せなかった内容も多々あるのだが、気付いた点や従来型ゴルフⅦに対して大きく変更した点のみについて取り上げて行く次第である。
■スタイル、サイズ
全長×全幅×全高=4275×1800×1470(mm)
サイズは通常モデルのゴルフと何ら変わりは無い。
しかしながら、2000ccというコトもあり、車両重量はゴルフⅦラウンジ比で140kg重くなっている。
今回のマイナーチェンジにより、各部ディテールが時代の変化に合わせ適度にブラッシュアップされているので各種変更点やGTIならではの装備を以下に説明していこう。
さて…ゴルフ7.5の中でもGTIには赤いラインが入ったハニカムグリルが装備される。
やはりハニカムグリルはスポ―ティなキャラクターを表現するには的確なモノだと言える。
そして従来のゴルフⅦではこの赤いラインがヘッドライトまで一直線に続いていた訳だが、
この7.5GTIではヘッドライトインナーの形状が変更されたので、赤いラインはメッキインナーガーニッシュへと沿う形状に変更された。
個人的には従来の繋がるラインの方が、デザインとして一体感があり好みではあったが、
GTIというキャラクターに対しやや大人し過ぎたのだろう。
より力強さを表現しているのはコチラと言える。
テールレンズも7.5になりインナー形状が変更され、よりスポーティ且つ近未来感漂うデザインへと変更。
最大のトピックはダイナミックターンインジケーターを装備したことだろう。
近未来的な印象を与える装備とも思うが、初代ローレルも同様と言える装備があり、時代は繰り返すとは正にこのことだとも言える。
そしてリアバンパー下部にはハイパワーモデルを印象付ける一つとしてデュアルマフラーが装備される。
実際に通常のゴルフとはかなり異なり、野太い低音を発生させ、明らかに別物だと思われる一品である。
■インテリア、装備
フロントシートは通常モデルと比較し、サイドサポートがやや大きく張り出した専用シートが装着される。
そして表皮にはGTIモデル伝統のチェック柄を用いているのも特徴だ。
このシートの座り心地が適度な硬さであり、またしっかりと体全体をホールドする。
インパネに大きな変更点は特に無いのだが、我が家のゴルフⅦラウンジと比較すると、センタークラスターパネルが金属調からピアノブラックへと変更されているが、コイツはキズが目立ちそうでなんとも扱いに気を使わなければならない。
また、各種装備は時代に合わせて進化をしており、メーターはフル液晶になった。
12.3インチのアクティブインフォディスプレイは確かにそのサイズが示す通り、見た目のインパクトが大きい。
そしてスピードとタコの間にはナビの画面も表示が可能なのだが、相変わらずナビは使用性で難しか無いと言えるディスカバープロである。
ちなみに液晶メーターはメーターの大きさが2段階で変更出来るが、燃料計が見難く瞬時に把握しにくかったのは、少々残念であった。
そして、インパネ中央に位置するディスカバープロは9.2インチへと大型化。
更にVW初のジェスチャーコントロールも装備された。
しかしながら、数時間の間に説明書をじっくり読むタイミングが無く、この機能を使うコトが出来なかった。
このように少々は進化を遂げたAV機能ではあるが、相変わらずナビの操作性、使い勝手は従来のままでとても褒められた物ではない。
一瞬のインパクトより確実な操作性にもっと力を入れて欲しい所だと思う。
ただ、コーナーセンサーに関しては大幅に進化を遂げている。
従来の物ではブザー音のみでどのセンサーがどの位の距離にあるのかという表示が一切無く、目安にするには使い勝手で今一歩の物であった。
今回からは、ナビ画面に各種センサーの詳細が表示されるようになったのは、国産の各車から比較すると大幅に遅れており、やっとという感じも否めないが改善されたのは嬉しい箇所である。
そしてセンターコンソール前端には2016年モデルよりコンフォートラインでもプッシュスターターが装備されるようになった。
やはりキー付きの我が家のラウンジと違い、利便性で非常に長けている。
さて、運転席から前方に目をやると、ステアリング下端にはGTI専用のエンブレムが奢られている。
そして、各種ペダルもメタル仕様になり、見た目でのスポーティに貢献している。
今度は上に目を向けたところにあるバックミラーは、フレームレスタイプの自動防弦ミラーへと変更された。
なるほど、確かにコチラの方がスッキリしており見栄えもよく、後方視界が気持ちだが広くなったようだ。
尚、リアシートについてはGTI専用の生地が奢られている以外は通常のゴルフと同様である。
■動力性能
今回のVWゴルフ7.5GTIに搭載されるエンジンは以下の通り。
CHH…直列4気筒2000ccターボ、230馬力、35.7kg-m。
Ⅶから7.5へのチェンジでこのエンジンは更に10馬力アップされた。
排気系にスポーティなチューニングが施されているようで、アイドリング時から野太い感じの低音が吐き出される。
そこから踏み出すにつれ、高回転まで野太い音が続き、いかにもスポーツモデルと思わせてくれる音だ。
但し、リアシートにしばらく座ってもみたのだが、いかんせん後席ではこれが非常にやかましく、後方より圧迫される音…つまりはリアマフラー辺りからの低周波のこもりが響き疲れてしまう。
1300~1400回転辺りでこのこもりは目立ち、高速域でのクルージングでの後席は少々キツイものがある。
最も1200のゴルフⅦからのこれなのだから余計そう感じるのかもしれない。
このエンジンに組み合わされるミッションが6速のDCT。
ギヤ比の配分は適度にあり、どの速度域でも十分な制御をしてくれる。
とにかくエンジンとミッションのマッチングが良く、踏んだ分だけ適切なギヤを選択し、気持ち良く伸びて行くのが特徴だ。
足回りはフロントがストラット、リアが4リンク。
装着タイヤはBSポテンザS001、サイズは225/40R18であった。
タイヤサイズが大きいコトもあり、ロードノイズは目立ったのだが、足回りのセッティングが適切なのか、バネ下の重さを余り感じさせず、全体的に非常にしなやかな動きをしていたのには驚いた。
無論、そのしなやかさは低速域でもタイヤサイズを考慮すると十分なものであり、高速域ではそのしなやかさに更に磨きが掛かり終始フラットな乗り心地に感激した。
ココまでスペックが通常モデルよりスープアップされているので、ブレーキも当然の如く強化される。
1200のゴルフⅦでもガッチリと効き、路面を掴むような感じで安心感のあるものだが、GTIのそれは更に通常モデルの比にならない程に協力なもので、路面を掴むどころか削るような勢いであった。
このブレーキをこのセグメントで体験してしまうと、国産の同クラスはもう少々ブレーキを強力なものにしていいのではないかと思うのだ。
勿論、ブレーキとしての基本的な考え方からしてお国柄で違うのもあるのだが。
参考程度にして頂きたいが、ディーラーから実家までは約70km。
大半が高速の使用で燃費はリッター辺り12.3キロであった。
確かに2000ccクラスのスポーツモデルとして考えるとそこまで悪くない数値だとも言えるし、このまま巡航して行くと燃費は更に伸びて行きそうな感じだったので、まだまだ伸びるものだと思う。
■結論
このように短時間ながら非常に貴重な経験をさせて頂いた訳だが、同じ赤いゴルフとは言えこうも違うのかとショックを受けた違いだ。
新車価格で100万円以上の違いがどれ位あるのか元々気にはなっていたのだが、ココまで違うとそれも当然だと思えてきたのだった。
しかしながら、我が家にこれだけのスペックは全くもって不必要なことも改めて感じることが出来たのもまた事実である。
そしてこのGTIの上にはゴルフRがある。
果たしてこの狭い日本で、このGTIのスペックでも結構な物だと思うのだが、Rとなると一体どうなるのであろう。
とにもかくにもこのゴルフGTI、週末にワインディングを流して行くような趣味人には適度な1台かと思う。
我が家のような、1日10km程度の走行且つ、自宅から5分のスーパーへの買い物での使用が用途の家庭なら1200のゴルフⅦで十分幸せな生活を送れるだろう。
しかしながら、こういうクルマは「粋」で乗るのもこれまた事実である。
この「粋」に500万円を払う価値があると思えるなら、それはそれで間違いの無い選択の1台だとも言えるのがゴルフGTIというクルマだと私は思う。