カムチェーンとシリンダーライナーの間にすっぽりと隙間があるホンダ狭角Vツインのシリンダー
これはトランザルプ600だかのやつ。52度V水冷です。
最初はアメリカ向けVT500アスコット、次にNV400→スティード、ブロスの流れ、45度Vの750も追加されて割と長い間続いたエンジン。
…たぶんこれのちょい前ヤマハが75度V空冷を出してきたんで負けんぞ、アメリカンならもっと狭角にせんとダメやろ→さすがに冷却がキツイからカムチェーンとシリンダーの間に風通せるようにするしそこはヤマハごときにはできんやろうて
だったのですが水冷に変更して販売したという流れ。シリンダーに謎の空間がすっぽり残ってしまったわけ。
すぐにアフリカツインの先祖の限定販売XLV750Rに空冷化して搭載され、アメリカのフラットトラックレーサーもそれベースの空冷、そのあとパリダカールレイド車両のNXR750では水冷に戻し使われた。
もとが空冷するつもりで風通すスペースをとっていたので変更は楽だったのだろうな。これらVツインのちょい前のDUCATI空冷Lツインがベベルからベルトにカム駆動が変わったんですが、シリンダーのフィンは全周にあってシャフトもベルトもシリンダーから浮いてる冷却重視の構成で、空冷にこだわっていたホンダももし空冷Vとして販売していたらそうしてたはず。むしろヤマハXVのほうがカムチェーン通す穴がシリンダーに近接しててフィンがカムチェーン外側を冷やすみてくれになってるほうが異常、それを40年以上作り続けるなんてね。
…で話のつじつまはあいますが、スズキの45度V水冷も似たようなシリンダー。
共通するのは位相クランク、前後クランクピンがオフセットしてると同時に間にウェブが挟まっているので、ベアリング間が長くなるからベアリング幅も確保しないといけない→その両端に前後気筒カムスプロケがある
てなわけでカムチェーンがクランクセンターから遠くなりがち。あと狭角Vだとボアを大きくできないってのも。
空冷化したXLV750Rではカムチェーンとシリンダーの間に風を通してたのは間違いないです。ヘッドのすきまから向こうが見えている貴重な写真
シリンダーのほうが透けて見えてる画像は見つけることができませんでしたが、どうみても風が抜けますね。
トランザルプのシリンダーでツーツーだったとこがXLV750Rではふさがってますし。

Posted at 2025/01/04 20:25:49 | |
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