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2009年08月12日

罪ヲ憎ミテ人ヲ許サズ

罪ヲ憎ミテ人ヲ許サズ 裁判員が参加する新方式の刑事裁判制度が始まって、12日はその2例目の判決が出た日だった。僕はもともとこの制度には賛成できない立場でいたのだけれど、今のところは「思ったほどひどいことにはなっていない」と感じている。

 その一方で、懸念していたことの一つはどうやら現実になっているようだなと(まだ2例しかないので傾向性を判断するのにも早計なのは重々承知の上で)、ちょっと憂鬱になっている。それはつまり表題にも書いたとおりの「罪ヲ憎ミテ人ヲ許サズ」という傾向が、判決に出てくるのではないかと言うことだ。

 この制度が始まる前、一部の弁護士あたりが「これで被告人がコッカケンリョクのオーボーに不当に罰せられる事から救われる」的なチョー楽観的な未来予想図を描いていたりして、そういうのを見るにつけ僕は「バッッッッッカじゃねーの!?」と思っていたわけである。
 どういうことかといえば、ごく大雑把に言って「犯罪者」を矯正し更生させ社会復帰させる『理想形』を前提にした刑事司法の原理原則――罪を憎んで人を憎まず――に対して、世間一般というヤツはもっと無慈悲で残酷なものだというアッタリマエのことを「コッカケンリョクとのタイケツ」のお題目ばかり唱えてるようなステロタイプの“人権派”は全く認識できていない、ということだ。

 ここまで2例の地裁判決は、そういう意味で「ごく当たり前の市井に生きる人々の“犯罪”や“犯罪者”に対する感覚」が比較的よく反映されていて、その結果従来の法律の専門家によるジャッジでは執行猶予がついたり量刑がもう少し軽かったり被告人の言い分にも耳を傾けたりしていたであろうものを一顧だにせず、或いは一蹴することによって、彼らに冷や水を浴びせたに違いあるまい。と、僕は想像している。
 とりわけ「被害者の落ち度」という情状要件に対して裁判員は、プロフェッショナルの法律家に比べると(予想していたとおり)相当冷淡であるように僕は感じている。

 これまで2例の裁判は、犯罪事実や動機面での争いがない。一応、学問として法律のお勉強をして、その後いくつかの裁判実例をウォッチしたこともある半可通の立場で言わせてもらうと、これらは「簡単な裁判」だ。

 しかし今後、この制度の対象となる事件では――例えば先年東京で起きた「妻が夫をワインボトルで撲殺し遺体をバラバラに解体して遺棄した事件」のように、最終的に被害者となった人物が日常的に物理的・精神的な暴力を被告人に加え続けていたような、週刊誌の見出しっぽく言うと「こんな男、死んじゃえばいいのに」的なものだって出てくるはずなのだ。そういう事件裁判にプロフェッショナルならざる人々の「普通の市民感覚」が何ほどの価値を持つと言うのか。

 あるいは、一時場外乱闘的な騒動に発展した、光市母子殺害事件のようなケースが扱われた場合、裁判員裁判の法廷は「私的な憎悪を晴らす場」「裁判員の溜飲を下げる場」になりはしないのか。いや、制度趣旨たる『市民の感覚』を刑事裁判に盛り込むのが何より大事だと言うのであれば、それはそれで筋は通るのであるが、その代わり刑事司法制度の理念や原理原則は打ち棄てられることになる。
 それも、三審制の全段階一貫して『制度趣旨が変更』されるのではなく、ただ第一審においてのみ『ほかと違うルールで人を裁く』ということになる。

 古く『角を矯めて牛を殺す』の喩えがある。この新制度が、そういうことにならなければいいんだけどなーと、かなわぬ希望をため息混じりに胸に抱く気分である。

 ところで添付の写真は8月3日に東京地裁で開かれた「記念すべき第1例」の裁判員裁判の傍聴券抽選に並ぶ希望者の列(と、それを撮影しているマスコミ各社)の図。そういう写真を撮ってることで分かるとおり、僕も行列してきたのだ。抽選には外れちゃったけど。
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Posted at 2009/08/15 17:18:47

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この記事へのコメント

2009年8月15日 23:09
マスコミが騒がなくなってこの制度が定着した時に、
買収とか裏から根回しなどできないと言い切れるのかすごく疑問です(´・ω・`)
だってマイアミバイスでもヤクザの裁判ではかなり露骨に
陪審員がや証人が脅かされて寝返ってたよねー。
アメリカと国民性が違うけど
悪は全世界共通だものねぇ。。。
コメントへの返答
2009年8月18日 20:09
初めてのケースのときのニュース報道を見ていてひっくり返りそうになったんですが、裁判員候補者が裁判所に入るところの様子って完全にオープンなんですね。これって「その気」になって追っかけようと思ったら追っかけられちゃうわけで、本職の法律家ならともかく一般の人にとっちゃ結構リスクあると思うんですよ。扱う事案によっては。ホントにどこまで暢気なのかと……。

それと、もうひとつ気になっているのが、検察側も弁護側も、裁判員への「分かりやすさ」のアピールに走ると、情に訴えたプレゼン合戦になる可能性が絶対にあるはずだ、と言うことです。
そんなの最早、刑事裁判じゃねえ~、と声を大にして言いたいです。
2009年8月17日 1:00
一例目の時には、一名が「体調不良」を口実に「交代させられた」という噂を耳にしました。
裁判官が描いたシナリオをトレースしないような主張をしたのが原因とのこと。
真偽のほどはわかりませんが、勘繰りたくなるような不透明感がある制度です。
所詮こんなもんだという向きもあるでしょうが…
コメントへの返答
2009年8月18日 20:11
まあ裁判員の交代そのものは、制度的に定められたルールですんでアリかとは思いますが、それが「~口実に交代させられた」んだとするとエラいこってすね。

いずれにせよ見てて思ったのは、当局者がそろいもそろって「上手くいってます」というポーズを取りたがり過ぎてるってこと。
何やってるんだかな~と感じられてなりません。
2009年8月17日 23:16
おっしゃる通り、市井の市民感覚で言えば、重罰気味になるだろう事は、昨今のワイドショーなどの反射的な騒ぎ様からすると、充分想像出来ますけどね。
(僕自身はあまり見ませんが…)
どうして最初から刑事のしかも重罪が対象なのでしょうか。
民事から始めた方が、市民感覚を活かせるような気がするのですが。
コメントへの返答
2009年8月18日 20:16
そうなんですよ。刑事事件の、しかも重罰が定められた事件に限って「市民感覚」を裁判に導入しようと言うのは、うがった見方かもしれませんが要するに「世間の報復感情を満足させ、溜飲を下げさせることこそが制度の目的」なんじゃないかと思えてなりません。
“世間様”の代表が下した重罰であるならば、小うるさく文句を言う世間様はもちろん、弁護側も検察側も批判はしにくかろう、という――一種の隠れ蓑と言うか、免罪符……と言うのもちょっと違うな、裁判所が「逃げの姿勢」をとるのに体のいい口実にされてる感じがして仕方ないです。

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