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惰眠のブログ一覧

2005年03月30日 イイね!

森岡浩之「夢の樹が接げたなら」

森岡浩之「夢の樹が接げたなら」早川書房お抱えのSF作家に、森岡浩之という人がいる。
言語というものに独特の鋭敏なセンスを持った小説家で、代表作「星界の紋章」(ハヤカワ文庫刊)以下の「星界シリーズ」はアニメにもなったと言う。僕は観てないけど。

 この作家のセンスは登場人物同士の会話―コミュニケーション―描写で特によく発揮される。
 例えば、ある主役格の向こう見ずな行動を「無謀だ…」と評した人物に対し、別の脇役が「言葉は正確に使いたまえ」とたしなめる場面がある。「『無謀』というのは、もっと冷静で理性的な行動に対して使う言葉だ」と言う具合。叙情描写の才には些か難があるとは思うけれども、森岡浩之はこういう婉曲な罵倒表現が抜群に上手い。

 彼の初期短編集「夢の樹が接げたなら」が同じハヤカワから刊行されている。デビュー当初の作品と言うことで、生硬な印象が強くこなれの悪い描写や舞台設定のガジェットが先走っている欠点 ―プロの小説家の作というよりはアマチュアの文芸同人が、読者に読ませるより自分の執筆欲を満たすことを優先したような感じ― があるけれども、それぞれの短編のモチーフとなったアイディアが秀逸だ。

 表題作の「夢の樹~」は、他言語を『学習』するのではなく大脳に直接『インストール』できる技術が確立された空想科学世界の話。異動で職場が変わった時など、この短編のように業務マニュアルやノウハウを頭に直接インストールできたらどれほどいいだろうと、思わず現実逃避したものだ。そういう技術、出来ないかなあ…。

 まあ流石に、何らかの知識をノーミソに直接植え付けるような技術は無理かもしれないが、SFが時々凄いのは、近未来の事象や風俗をヒョイと言い当ててしまうことがあること。
 森岡の作で言うと1994年に発表された「個人的な理想郷」(短編集『夢の樹が接げたなら』所収)がそうだ。
 インターネットが日本で爆発的に普及したのはウィンドウズ95が登場して以降のことだし、ましてウェブログ(ブログ)が広まったのなんか21世紀に入ってからの話である。にも関わらず、森岡が「個人的な理想郷」で描いた情景は、利用される媒体こそ違うものの、そのまま「ブログ隆盛」の今現在そのものだ。

 「Message In A Bottle(邦題「孤独のメッセージ」)でスティングは群衆の中における孤独な自分と、同じように孤独な千億もの群衆があてもなく世界の「誰か」に向かって、壜に詰めたメッセージを海に流しているという壮絶な心象風景を歌った。
 こうしてネット上に日記(ブログ?)を書いている身でこれを言うのも妙な気分だが、森岡の「個人的な理想郷」とポリスの「孤独なメッセージ」が同じく描いた情景 ―誰もがみんな人とのつながりを求めてメッセージを送っているのに、どこかコミュニケーション不全に陥った断絶した世界に孤立しているように感じている― が、インターネット世界においてウェブログ(ブログ)が隆盛を極めている今の状況と重なっているように思える。

 『夢の樹が接げたなら』を久しぶりに読みたいのだけれど、引越しのときにどこかに紛れたまま見つからない。机の中も鞄の中も、捜したけれど見つからないので捜すのをやめたけれど、やっぱり見つからないのだった。文庫本になっているようだから、また買うかなぁ…。
(※帰宅後、改めて本棚をよく調べたら見つかった…)
Posted at 2005/03/30 14:18:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | 芸能・文化 | 日記
2005年03月29日 イイね!

トヨタ自動車、世界一へ?!

トヨタ自動車、世界一へ?!朝日新聞の記事を信用するならば、という前置きが必要だが(何しろ他紙が後追い記事を載せていない)2003年策定のトヨタ中期経営計画で設定された2008年の世界生産台数(ダイハツ、日野含む)が970万台で、まだ丸3年も先のことだけども、昨今業績不振をかこつGMの世界生産台数を、高い確度で上回ることになるんじゃないかと言う話。

 すげぇなあ、と二つの意味で感心する。
一つは、文字通りトヨタの業績について。果たして3年後、記事が予想するような状態になっているかどうかは神ならぬ身には計り知れぬことであるけれども、敗戦国にして自動車生産後発国のメーカーが世界の巨人ゼネラル・モータースの生産台数越えを視野に入れるところまで来たことは快挙である。
 所謂「クルマ好き」の琴線に触れるラインナップが少ないとか、物真似が過ぎるとか、80点主義だとか色々と非難がましく言われるが(僕もほぼ同感だが)、好きか嫌いかを別にすればトヨタの商売が正しかったことをこれほど雄弁に物語る数字はないだろう。

 で、もう一つの「すげぇなあ」は、こういう記事を書いちゃう(そして掲載しちゃう)記者(と編集)の見識。見出しをつけた整理部の罪も重いと思うが、この「GMを追い抜く」って予測記事は、大袈裟に言うと開幕戦で楽天イーグルスが勝利したのを受けて「このまま行けばシーズン半ばにはイーグルスの優勝が確定する」って言っているようなもんだ。
 幾ら今GMが不振だからと言って、この先3年間ずっとそうだという保証は一つもないし、同じようにトヨタの業績がずっと好調でありつづける保証もない。

 まあ、記事の本質的な骨子はGMがどうとかって話じゃなくて「トヨタ業績好調、中期経営計画をさらに上方修正」なのだろうし、そんな見出しじゃアピールが弱いって言うんで大風呂敷気味の表現をしたんだろうと想像はつくんだけど…ペンで食ってるプロにしちゃあ文章力を鍛えてないなあ、なんてことを思った。
Posted at 2005/03/29 18:13:42 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日本の車 | 日記
2005年03月28日 イイね!

トヨタの原点回帰(笑)

トヨタの原点回帰(笑)トヨタ・クラシック(1996年)を原点回帰と呼んでいいものやら自分でも疑問に思うが、今のトヨタ自動車の前身にあたる豊田(とよだ)自動織機製作所自動車部が作った最初の乗用車であるトヨダAA型を、現代に甦らせたようなクルマだから、まあいいか。

 ハイラックスのフレームを流用して100台だけ作られたと言う話だが、確か800万とか1000万とか兎に角とんでもない値段がついていたように記憶している。
 憧れのクルマかどうかは横に置いておくとして、こんな珍しいものをまさか路上で見ることが出来るとは…まあ東京に生息するクルマの多様性を喜ぶべきなんだろう。

 ところで愛知のトヨタ博物館1階エントランスに展示されているAA型は、トヨタ・クラシックとは違って正統なレプリカ品だ。この一品ものをリプロダクトした当時、新聞か雑誌で紹介された記事を読んで驚いたのだけれど、たしか完全な図面がもう残っていないとかで、当時の写真から寸法を割り出したり昭和11年当時に実際にAA型を作っていた職工さんに取材したりして再現したらしい。
 そしてこれもうろ覚えなのだけれど、エンジンのシリンダ・ブロックだったかトランスミッションとの継手部分だったかが、今の設計の常識で考えれば潤滑油がだだ漏れになるような構造だったのに作ってみたら大丈夫だったなんて信じ難い話もあったらしい。

 過去の名車を今の技術でリメイクしたら…なんて夢想に対する、これが一つの答えなのかなぁなんてことをボンヤリ思った。
Posted at 2005/03/29 02:06:42 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日本の車 | 日記
2005年03月28日 イイね!

のび太の部屋は絨毯敷き?

のび太の部屋は絨毯敷き?仕事帰りに、なにやらドラえもん関係の展示が華やかなテレビ朝日のエントランスを覗いてみると「のび太の部屋」が再現されていた(写真)。
 カメラのレンズを通してしまうと遠近感や横幅の感じがきちんと再現されなくてもどかしいのだけれど、普遍性さえ感じさせる「6畳の子供部屋(男の子の部屋)」が見事に再現されていて、郷愁の波に呑まれそうになった。折角なので立体視できるようにしてみた(平行法)。

 今、大人の目で見れば6畳間なんて決して広くはないのだけれども、子供の夢と希望と空想と冒険と日常と、そんな幸せなものが「のび太の部屋」にはすべて揃っているようで「土管のある空き地」と同様に、これは永遠のネヴァーランドなんだなと思った。

 まるで、置き去りにしてきた子供時代をいきなり見せられたような感じがする。けど…のび太の部屋は絨毯敷きなんだったかな。畳の部屋の方が雰囲気なんじゃないかと言う気がするのだけれど。
Posted at 2005/03/28 23:34:50 | コメント(0) | トラックバック(0) | 芸能・文化 | 日記
2005年03月28日 イイね!

美しいは醜い、醜いは美しい

美しいは醜い、醜いは美しい個人的には「マクベス」に出てくる3人の魔女の台詞を思わず引用したくなってくるのがイタリアの老舗カロッツェリア、ザガートのデザインだ。
 最近ではトヨタのMR-Sをベースにした特装車も出しているが、それを含め近年のザガートのデザインは、よく言えば「極めて個性的」、明け透けに言えばエグ味とアクの強さがやたら強調されているように感じる。CAD-CAMを大々的に導入した頃からこの傾向に拍車がかかったように見受けられるのだが、好きか嫌いかといわれれば「勘弁してくれぇ…」と言うのが正直なところ。

 僕は1950年代から60年代頃にカロッツェリアが仕上げた車のデザインがとても好きなのだけれども、ではその頃からザガートはエグかったのかと言えば、もちろんそうではない。
 写真のアッピア・ザガート試作型(ランチア、1957年)なんか、時代の流行を感じさせはするけれども素直に綺麗でカッコイイと言える形をしている。この他にもザガートは、アストン・マーティンのDB4GTザガートやフェラーリ250GTのTdF(ツール・ド・フランス)などなど、惚れ惚れするほど素敵な姿かたちをした車を世に送り出した。

 もちろんこんなコレクターズ・アイテムは余りにも高嶺の花に過ぎて、一介の車好き如きの手が届くようなものではないけども「特別な顧客のために、とりわけ特別に拵えた、特別高価なクルマ」には、どこかしら美醜を越えた特別の存在感がある ―ような気がする。何となく、なんぼ金があっても、それだけでオーナーになるには相応しくないように思わされる車だ。
 それらと比べると、いわゆるスーパーカー・ブームの頃の(そしてそれ以降の)エキゾチック・カーは、極端に言えば「所詮はゼニさえあれば買える量産品」に過ぎない ―かもしれない。
 まあどちらも、ある種のエンスージアスムの極北…というか泰山北斗のような存在で、見ているだけでも幸せになっちゃうような車なんだけど。
Posted at 2005/03/28 17:16:21 | コメント(0) | トラックバック(0) | 海外の車 | 日記

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