2017年12月20日
なに?まだなんかあるの??
【新聞ウォッチ】スバルの無資格検査、きょう国交省に調査報告へ
気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2017年12月19日付
●トヨタ、全車種に電動車、25年めど、EV、10車種以上投入(読売・8面)
●大林、談合認める、4社幹部で協議か、リニア工事、鹿島・清水を捜索(朝日・1面)
●出光創業家側、持ち株28%超、昭和シェルとの合弁に対抗(朝日・9面)
●検査員登用で違反、スバル不正きょう調査報告(朝日・39面)
●ベア3000円以上要求へ、30年春闘、全トヨタ労組調整(産経・8面)
●素材大手次世代車に投資、積水化やクラレ増産(日経・15面)
●スバル、役員報酬一部返納(日経・15面)
●タクシー相乗り試行、日本交通などライドシェア意識(日経・17面)
●アクアライン開通20年、債務返済道のり遠く(日経・39面)
ひとくちコメント
日産自動車を皮切りに、神戸製鋼所、三菱マテリアル、東レなどの大企業の「不正」発覚が相次ぎ、こんどはJR東海が発注したリニア中央新幹線工事をめぐる大林組など大手ゼネコンの「談合」疑惑までが明らかになった。
大手ゼネコンの談合問題については東京地検特捜部が、公正取引委員会と合同で、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで家宅捜索を始めたばかりで、全容が解明されるのは新しい年が明けてからになりそうだ。
大手企業の不祥事が後を絶たない中で、うっかりすると忘れがちになっていたのが、日産に次いで発覚したSUBARU(スバル)の無資格者による新車の不正検査問題。当初の予定よりも遅れていた原因と再発防止策についての国土交通省への報告を、きょう12月19日に提出するという。きょうの朝日と日経が「スバル不正、きょう国交省に報告」などと、報じている。
スバルの吉永泰之社長は当初、原因と再発防止策について国交省への報告を11月末までに提出する意向を示していたが、事実関係を調べる弁護士による従業員らの聞き取りが、数百人以上にのぼっていたために報告書をとりまとめのに時間を費やしていたとみられる。
きょうの日経によると、一連の不正が続いている責任と、再発防止への決意を社内外に示すために、役員報酬の一部自主返納を検討すると伝えている。複数の役員を対象に数か月の報酬を返納する見通しという。
自動車業界を震撼させた日産、スバルの無資格検査問題だが、当初よりも半月以上も遅れたものの、ようやくスバルが報告書を提出する準備が整ったことで、不正へのケジメが新年にずれ込むことだけは避けられそうだ。
スバル吉永社長、信頼回復と再発防止の徹底に「全力尽くす」---国交省に報告書提出
SUBARU(スバル)の吉永泰之社長は19日午後、不適切な完成検査の実態とその対応策について、国土交通省に報告書を提出した。吉永氏は奥田哲也自動車局長に対して「心よりお詫び申し上げ、再発防止策を提出させていただく」と、述べた。
この報告書は、同社群馬製作所の本工場と矢島工場で発生した資格を持たない完成検査員による検査との実施について、弁護士を交えた第三者委員による調査をまとめ、その再発防止について記したもの。10月30日に自動車局から業務改善と報告を求められていた。
「本件については、型式指定制度の根幹を揺るがし、自動車の安全性に対するユーザーの信頼を損なうものとして、きわめて遺憾。猛省をし、再発防止に迅速かつ徹底的に努めていただきたい」と、奥田氏が語ると、吉永氏は「全力を尽くさせていただきます」と答えた。
吉永社長はこの後、同日17時30分より渋谷区恵比寿の本社で会見を開く予定だ。
スバルの不適切な完成検査---規程の拡大解釈、試験解答漏洩、監査対応という名の隠ぺい
SUBARU(スバル)の不適切な完成検査について、弁護士事務所がまとめた調査報告書が19日、同社により公表された。弁護士による調査は、社員役員延べ434人に及んだ。
資格を持たない検査員による業務は、社内規程上は本来、資格を持つ完成検査員が行うと定められていたが、完成検査員の養成課程で「完成検査員の候補者は『補助業務』を行うことができる」とされていたため、補助業務の範囲が拡大解釈されて、無資格者が完成検査そのものを行うようになっていたことがわかった。
また、完成検査員となるには全80時間の資格講習の実施、一定時間の補助業務、終了試験に合格することなどが規定されていたが、実態は社内規定に従った運用がされていなかった。
資格講習はそもそも記録管理がなく実施が確認できず、補助業務に従事して習熟する期間も、完成検査員となることとは無関係の業務について資格を与えられたケースがあった。また、日産自動車と同じように、終了試験において試験官が解答を教える、または暗示するなどの『ずさんな試験運営・監督』の実態があった。
現場には『習熟の見極めが行われており、検査に必要となる技術の十分性には問題がない』『検査に必要な技術を備えてさえいればよい』という『過度な技術重視の風土があった』と、調査報告書は指摘する。
ただ、こうした無資格者による検査について、国交省や社内での監査では、現場係長や班長が無資格者を完成検査ラインから一時的に外す『監査対応』が行われていた。
法令順守の精神は、ここでも軽視されていた。会見では吉永泰之社長と執行役員の大崎篤品質保証本部長が、30分以上にわたって報告書を読み上げた。
粛々と進めて頂きたい…
スバル、無資格試験検査の影響で国内受注が3割減…米国は72カ月連続で前年同月超え
SUBARU(スバル)は12月18日、無資格者による完成車検査についての外部調査報告書と再発防止策を国土交通省に提出したのを受け、本社は記者会見を行った。その中で、吉永泰之社長は国内販売へ影響が出ていることを明らかにした。
「10月27日に記者会見をした日からテレビコマーシャルを全部自粛している。その前までの販売は非常に好調だったが、今月の受注状況は前年の7割ぐらいになっている。年内は自粛したままと覚悟を決めたところで、とにかくきちんとしようと考えている。まずお客さまのリコール等々にスバルグループ全体で真摯に対応させていただいて、販売活動はその後と考えている」と吉永社長は話す。
そのコスト増については、まだ計算していないそうで、まずはやるべきことをすべてやるという覚悟で取り組んでいるとのことだ。2018年3月期はリコールなどの対策費用が200億円の減益要因となる見込みだが、この数字がさらに増える可能性が高い。
ただ、グローバル販売の6割以上を占める米国市場は相変わらず好調で、72カ月連続して前年同月を上回っている。今回の件による影響を全く受けていないわけだ。そもそも米国には日本のような完成車検査というルールがない。海外からは完成車検査を日本独自のルールとして認識しているようだ。
今回の件でスバルがリコールした結果、不具合は一切見つかっておらず、果たして完成車検査が必要なのかという疑問が残る。この種の制度は戦前、タクシーやバスの安全性確保を目的に始まったもので、今の時代に合わなくなっていると言っていい。このままでは日本の自動車産業、さらに言えば日本の産業全体の競争力を低下させる可能性もある。
AI、自動運転、コネクティッドなど自動車業界を取り巻く環境が大きく変わっており、時代遅れの制度に人を割くよりもそういった分野に人を回したほうが将来のためにも有効ではないだろうか。スバルでは完成検査員が約300人もいる。完成車検査をAIを使ったロボットに任すようにすれば、完成検査員をイノベーティブな仕事に回すことができ、ロボット業界もさらに技術革新が進んで、日本の産業競争力はさらに高まるだろう。
しかし、自動車業界が国土交通省に対してこういうことを言うのは難しい。吉永社長も「当社が決めたルールを当社の社員が守っていなかったことを心から反省すべきであって、制度については社内で論評するなと言っている」と話す。
今回の会見は約2時間にわたって行われたが、吉永社長の言葉は歯切れが悪く、質問を受けてしばらく沈黙する場面もしばしばあった。
スバル、今度は燃費データ改ざんの可能性…外部による調査に着手
スバルは、無資格者の完成検査に関する外部の調査過程で燃費試験データを改ざんする行為があったとの発言があったと発表した。同社は徹底した調査を実施して結果を公表するとしている。
同社は10月30日の国土交通省からの業務改善指示書に基づき、無資格者の完成検査の実態に関して外部専門家による調査を実施し、12月19日にその結果を公表した。また、国土交通省から業務改善指示と併せて、型式指定に関する業務全般の法令遵守状況を点検するよう指示を受けている。
同社では業務点検の過程で、これまでのところ車両開発時や型式指定届けの際の燃費試験のデータに関する改ざんなどの存在は確認されていないとしている。
ただ、外部専門家による調査で一部の完成検査員から抜取検査工程の一部である燃費測定の際、一部車種の量産開始の一定期間に計測値を改ざんする行為があったとの発言が確認されたとの報告を受けているとしている。
同社では、調査時点で具体的な計測値の変更の有無、範囲を客観的に確認できなかったことから公表していなかったとしている。
同社では、外部専門家を交え、これらの事実関係について徹底した調査に着手し、結果が判明し次第、公表するとしている。
ブログ一覧 |
リコールなど | 日記
Posted at
2017/12/20 09:54:00
タグ
今、あなたにおすすめ