2018年05月17日
ニュルの記事が文字数オーバーしてしまったので分断しますね(汗)
ニュルブルクリンク24時間レースのサポートレース、「ADAC 24H-クラッシック」が楽しすぎる件
ニュルブルクリンク24時間レースがスタートして8時間が経過。若干まったりしてきましたので、クルマ好きの皆さんを刺激する記事をアップしたいと思います。
もちろんメインの24時間レースは刺激的で見ていて興奮するのですが、サポートレースとして土曜日に3時間レースとして開催される「24h-Classic」は違った意味で目が離せません。
ショーに出展されるだけでも大注目を集めるようなマシンが150台もエントリー。クラッシュしたら即廃車必至のニュルブルクリンク旧コースを攻めまくります。
うん蓄はともかく、コースイン前のマシンを撮影してみましたのでご覧ください!
こんなスペシャルな旧車たちがノルドシュライフェを真剣に走るのですが、今年のレースでは、GT40がクラッシュ。。。
残念ではありますが、貴重な旧車であってもクルマを愛でるだけではなく、その本来の性能をとことん楽しもうというカルチャーがドイツにはしっかりと根付いていることを実感させられる光景です。
モータースポーツの聖地 「ニュル24時間耐久レース」 観客の「熱さ」にも注目
モータースポーツの聖地における祭典
モータースポーツの聖地、ノルドシュライフェで今週末に24時間耐久レースが行われた。この「ニュル24耐」はもしかすると、世界で最も風変わりなレース・イベントかもしれない。
特徴は数多い。1周約25kmの世界一過酷なサーキット。200台を超える、驚くほど幅広いカテゴリからの参戦車両。恐るべき勇敢さとスキルを兼ね備えたドライバー。そして、忘れてはならないのが、毎年観戦に押しかける、数多くのファンだ。
昨年のレースでは、コナー・デ・フィリッピ、クリストファー・ミース、マルクス・ウィンケルホック、ケルビン・バン・デル・リンデ操る、ランド・モータースポーツ・チームのアウディR8 LMSが勝利を収めた。
メルセデス-AMG GTやBMW M6、ポルシェ911をはじめとして、フォルクスワーゲン・ゴルフ、ルノー・クリオ、ポルシェ・ケイマンなど109台が完走を果たした。
「N24(ニュル24耐)」に行けば、レース観戦のための広大なキャンピング・エリアがあり、ハードコアな祭りの雰囲気がレースの期間中続くことを身をもって知るだろう。最もひとが集まるのは、カルーセルやブリュンヒェン、メッツゲスフェルト、アーデナウといった、ノルドシュライフェで最も観戦しやすいエリアの周辺だ。
毎年この時期になると、ファンが早くから詰めかけ、木や鉄、足場、しまいにはトラクターなどを使って複数階建ての建物を建てる。そしてひたすら飲み、騒ぎ、たった数メートル先の白熱したレースを観戦するのだ。
N24に出場しているドライバーたちは、一晩に渡る過酷なレース中にヘルメットの中に入ってくる、キャンプファイヤーやバーベーキューの匂いの話をすることも多い。彼らが語っているのがまさにそういったファンたちだ。
今年のレースはさておき、われわれが思いつきで敢行した、ブリュンヒェンとプランツガルテンのキャンピング・エリアを巡るツアーの模様を振り返ろう。写真を見れば、N24の熱狂的なファンの雰囲気が伝わってくるはずだ。写真は昨年のレースで、朝9時頃に撮ったものだ。レース開始から18時間が経過し、一晩中モータースポーツの熱におかされたまま朝を迎えたファンの様子がありありとわかる。
「ニュルブルクリンク24時間レース2018」日本勢の活躍は!?
世界最大の草レースと言われるニュルブルクリンク24時間レースが、今年も今週末に開催されます。
多くのプライベーターとともに、ポルシェやアウディ、メルセデスベンツ、BMWのワークス勢に混じり、日本の自動車メーカーやプライベーターも多く参加しており、日本での関心も年々高まっています。
現地時間12日土曜日の午後3時30分からはじまる24時間の決勝に向けて、レースプログラムが始まっています。
モーターファンjpスタッフも現地入りし、レポートを上げていく予定ですのでどうぞお楽しみに。
さっそく、今年のみどころと、現地の模様をお伝えしましょう。
(★メインカテゴリーは省略)
(1)GAZAOO RacingのLCがなにやら好調の模様
GAZOO RacingのLCが、走りだし好調です。
木曜日、最初のフリー走行で、総合優勝を狙うポルシェやアウディ、BMW、メルセデスのGT3勢に混ざってエントリー146台中17番手をゲットしました。
夜間に行われた予選1では、トップと30秒差の34番手となっています。
金曜日の公式予選が楽しみです。
LCが出場するのは車両スペックの関係からSP-PROクラスで出場が1台のみのクラスですが、クラス優勝ということよりも、24時間を走り切るポテンシャルを持っているのか、そしてその技術をいかに市販車開発に活かすのかということに主眼を置いているようです。
一方、そのポテンシャルがトップカテゴリーのGT3マシンとどの程度の差があるのかが明確になるということで、1セッションごとの結果が非常に意味をもってくるでしょう。
もし、ライバルと比べて燃費が非常に良く、現状のタイム差を保ちながらピットストップ回数を減らせるようなことができれば、あわよくばシングルフィニッシュを狙えるようなこともあるかもしれません。
松井孝允選手もマシンの調子には好印象の模様です。
(2)WRX STIは井口卓人選手の加入で戦闘力アップ!!
スバル/STIチームのWRX STIは、昨年の雪辱(エンジンからの出火によるリタイア)を晴らすべく、相当の覚悟で現地入りしています。
最初の走行セッションはコントロールラインはほぼ通過せずに1周ずつドライバーを交代しながらマシンやタイヤのマッチングを確認しながらの走行となりました。
先だって開催された予選レースではミッショントラブルによるリタイアという結果に終わり、本番は信頼性が保障されている昨年モデルの新品ミッションに戻しての走行でしたが、ひとまずはクルマの調子もよいということで一安心です。
参戦するSP3Tクラスのライバルは3台。
金曜日の予選でその差を確認してみたいところです。
また、今回から加入した井口卓人選手の活躍にも注目です。オランダ人のカルロ・ヴァン・ダム選手とドイツ人のティム・シュリック選手とともに、スバルWRX/STIのSP3Tクラス制覇に挑みます。
(3)SP3クラスはトヨタ車率高し!
筆者の個人的には、SP3クラスがユニークで注目しています。
このクラスへのエントリーは14台。そのうち、ドイツでのカップレースに参戦しているトヨタ86が5台、そして、タイトヨタチームのカローラ・アルティスが2台とトヨタ車が半数を占めています。
ライバルはルノー・クリオRSや、レジェンドマシンのオペル・マンタなど、おなじみのマシンとなっています。
(4)ワークス以外の日本勢にも注目!
また、実力派日本人ドライバーがエントリーしている42号車NOVELチーム。かつてスバルWRXでニュルを制覇している佐々木孝太選手や、VLNではニュル走行経験があるものの24時間初参戦の吉本大樹選手、といったスーパーGTでも活躍するドライバーの戦いも楽しみです。
チームメイトのドイツ人ドライバーは、ファーンバッハー兄弟。かつて日本のスーパーGTでの参戦経験があり、現在はヨーロッパでのGTレースに参戦している兄のドミニク氏を御存知の方も多いのでは? 実は大の日本車コレクターで、ランサーエボリューションやGT-R、RX-7(FD3S)、MR-Sなど、イニシャルDの出演車ラインアップをすべてそろえる勢いです。
その他、見どころたくさんなのですが、今回はこのへんで。
次のレポートをお楽しみに!
ニュルブルクリンク24時間:予選1回目はアウディ勢躍進。前年覇者の1号車がトップに
第46回ADACチューリッヒ24時間レース(ニュルブルクリンク24時間レース)は5月10日、現地時間20時30分から3時間の予選1回目が行われ、アウディスポーツ・チーム・ランドの1号車アウディR8 LMS(クリストファー・ミース/ケルビン・バン・デル・リンデ/シェルドン・バン・デル・リンデ/レネ・ラスト)が8分18秒914でトップタイムをマークした。
WTCR世界ツーリングカーカップのレース1に続き、すっかり暗くなり始めた現地時間20時30分からスタートしたニュルブルクリンク24時間の予選1回目。このタイミングで、日中のプラクティスで走行しなかった多くのマシンもコースイン。ピットレーンも頻繁に出入りするマシンがあふれ、大混雑となった。
コース上ではクラッシュも相次ぐなか、トップタイムをマークしたのは昨年もこのレースを制した1号車アウディ。8分18秒914でトップタイムをマークし、終盤には多くのチームがタイムを上げたものの、首位で予選1回目を終えた。
2番手につけたのは、オートアレーナ・モータースポーツの11号車メルセデスAMG GT3。次いでアウディスポーツ・チームBWTの24号車アウディが、4番手にはクース・チーム75・ベルンハルトの75号車ポルシェ911 GT3 Rが、5番手にはカーコレクション・モータースポーツの15号車アウディが続き、ワークスドライバーたちが乗り込むマシンが上位独占。特にアウディ勢の躍進が目立った。また、トップ6は1秒差以内という僅差の戦いになっている。
日本勢では、SP-PROに参戦するTOYOTA GAZOO Racingの土屋武士/松井孝充/中山雄一/蒲生尚弥組56号車レクサスLCはドライバー交代を順調にこなしながら周回。8分49秒289で総合34番手につけた。ただ、フリープラクティスとは異なりGT3勢の後方につけるポジションとなった。
一方、SP3Tクラスに参戦するスバル/STIの90号車スバルWRX STI(カルロ・バンダム/ティム・シュリック/山内英輝/井口卓人)は、セッション後半にステアリング系の小さなトラブルが起きピットで作業を行うが、その後コースに復帰。最終周に山内が9分07秒581をマークし、総合45番手/SP3T首位につけた。
SP8クラスに参戦するNovel Racingの佐々木孝太/吉本大樹/ドミニク・ファーンバッハー/マリオ・ファーンバッハー組42号車レクサスRC Fは9分44秒069を佐々木がマークし、総合84番手/クラス5番手に。43号車レクサスIS F CCS-Rの東徹次郎/小山佳延/松井猛敏/佐々木孝太組は10分13秒315というベストタイムで総合106番手/クラス7番手につけている。
ニュルブルクリンク24時間は5月11日(金)には予選2回目とトップ30クオリファイが行われ、グリッドが決することになる。
24時間レースを戦い抜いた後に見えたものは?【ニュルブルクリンク24時間レース初体験レポート・決勝終了~帰国編】
5月12日土曜日の15時30分に、いよいよ決勝レースがスタートするニュルブルクリンク24時間レース。参加台数が約150台というもの凄い数があるために、グリッドに整列するのすら時間が掛かる訳です。13時30分から15時10分までが整列及びグリッドウォークとなっています。参加台数が多いのと、1つのピットボックスを4~6台で共有する訳ですから、ピットロード側にあるマシンが出て行かないことには、ピット奥に入っているマシンは出て行くこともままならない感じになります。
今回のレースではTOYOTA GAZOO RacingとスバルWRX STIが日本からワークスとして参戦しており、TOYOTA GAZOO Racingはピット入り口側に陣取っていました。どのピットボックスにどの参加者を配置するかは主催者が決めるのですが、ピットボックス内の配置はある程度リクエストが効くようで、TOYOTA GAZOO Racingは入り口側に決めたそうです。なので、コースインは容易にできるようになりますが、ピットボックス内で重整備が必要な時は狭いピット内で全てを行わなくてはならないよう。それでもそのスペースがあれが十分できる。とのことでした。
一方のスバルはピットボックス奥側に陣取っており、予選時に重整備を行うことがありましたが、ピット裏側のパドックのテントまでマシンを運び、整備を行っていました。レース本番時はパドックまで行くことは無く、ピット奥のスペースで整備を行っていました。しかし、いざ発進しようとした時に、前で整備や通常のピット作業が行われると、コースインに時間を要してしまう場面も発生してしまいます。どちらが良いのかは分かりませんが、それぞれのチームの考えもあるでしょう。
話しは戻りますが、グリッドウォークに並べるにも、この原理が発生し、TOYOTA GAZOO Racingは割と早めにピットからグリッドに整列できていましたが、スバルは前のチームが出て行かないことにグリッドに行くことすらままならない。ということが起きていました。
さていよいよグリッドウォークも終わり決勝レースのスタートです。台数が多いので、全体を3グループに分けてスタートさせます。TOYOTA GAZOO RacingのLCは第1グループ中段からスタート、スバルWRX STIは第3グループ先頭からスタートです。
どちらも順調にレースをするのかと思いきや、スバルWRX STIは序盤に予選でも発生していたステアリング系のトラブルが発生し1時間近くロスしてしまいます。その修理が完了した後も排気音量規制に引っかかりマフラーの交換など思いもよらない事で時間を奪われます。TOYOTA GAZOO RacingのLCもブレーキトラブルやミッショントラブルなどが発生し修理に時間を要してしまいました。
その後は両者とも順調に周回を重ねていきますが、深夜になって雨が降りはじめ、今度はTOYOTA GAZOO RacingのLCに雨によるエアフロセンサーが壊れるという思いもよらないトラブルが発生し、またもやピットインで時間を要してしまいました。一方のスバルWRX STIは雨の中AWDの強みを活かし安定したタイムでどんどん順位を上げていき、クラストップに返り咲きます。レース終盤になると雨とともに深い霧が立ち込めレースは赤旗中断となります。この時にスバルWRX STIは雨の中ピット前に置かれていましたが、この雨の影響で電気系にトラブルが生じてしまい、残り1時間というところでストップしてしまいます。
ピットで懸命な修復作業を終えて、グランプリコースをショートカットしてチェックを行い、残り15分でチェッカーフラッグが振られるのに合わせたコースインを行いました。そして見事スバルWRX STIはSP3Tクラスのクラス優勝を勝ち取りました。一方のTOYOTA GAZOO Racingは雨でのトラブルを解消した後は順調に周回を重ね、SP-Proクラスで優勝を果たしました。
今回のニュルブルクリンク24時間レース、TOYOTA GAZOO Racingとスバルもどちらも同じようなテーマを掲げて参戦しています。それは技術者を鍛える・車を鍛える・継続することで次の世代に繋げていく、ということ。
その中でも違いが見られたのは、TOYOTA GAZOO Racingはそのままトヨタ・レクサスの開発陣が参戦しており、周りにいる人もほとんどが関係者や開発に携わる関係会社の人たちばかりで、まさに走る実験室という様子が濃く見えました。一方のスバルも、もちろんスバルとSTIの開発者が中心になって参戦していますが、実験はしているのだけどそこまで実験に終始しているとは感じられませんでした。
これはトヨタは次世代に向けた実験をしているのと、スバルの次世代はもちろんですが量産車の性能の証明も行っている。という若干のスタンスの違いかもしれません。またファンによる応援ツアーが催されており、ピット周辺には常にファンがその様子を固唾を飲んで見守っていたというのもあるかもしれません。終盤雨と霧が激しくなり、ピット裏で様子を見ていたファンをオフィシャルの許可を取り、ピット内に入れて上げていたのも、どこかチームとファンの距離に近さも感じられました。
結果はTOYOTA GAZOO Racingが総合96位SP-Proクラスでクラス優勝、スバルWRX STIは総合62位SP3Tクラスでクラス優勝となりました。とはいえ、SP-ProクラスはTOYOTA GAZOO Racingの1台のみ参戦なので完走さえすれば優勝です。しかし開発を優先させているので、クラス優勝という言葉よりも完走の方が重要なように感じられました。一方のスバルが参戦するSP3Tクラスは合計4台が参戦、うち1台は予選時にクラッシュを喫してしまい決勝レースは不参加、SP3Tクラスは全3台で争われていました、ライバルというライバルが居ない中でのレースで下位に沈むことは許されません。そういった意味では負けることは許されないような状況が見えました。
ちなみにクラス分けは全部で24クラスに排気量や駆動方式などにより分けられており、その中には1台のみ参戦や2台しか居ないというクラスも多くあります。TOYOTA GAZOO Racingはクラス1台しか居ないのにクラス優勝かよ、とか、スバルWRX STIも3台中の1位じゃんという批判は当てはまらず、皆どのクラスだからという訳では無く自分たちと向かい合って必死に戦っている姿が印象的でした。
初参戦の自分は、コースサイドの撮影や24時間レースを取材するにあたり、自分の体力配分やレースの流れなどをうまく把握しきれず、あのタイミングでこういう撮影をしたかったのにできなかった。などの反省が多くあり、来年以降も継続して参戦していきたいと思いました。1度来るとその魅力にハマるという噂は本当だったようです。
レースが終わった翌日にもサーキットに行ってみました。濃い霧に隠れた建物を見ると、今日だったらレースはできなかったかもしれない。と思うと、ニュルブルクリンク24時間レースというのは気候やレース運、実力だけではなく全てを味方につけないと勝てないレースなのかもしれないな。と思い、帰国の途につきました。フランクフルトから羽田までは西からの追い風もあり、行きは14時間程度かかりますが、帰りは10時間ちょい。言うまでも無く疲れ切った体は睡眠を欲しがり、景色を楽しむことも無く帰国してきました。
(雪岡直樹)
2018 ニュルブルクリンク24時間耐久レース 強いポルシェが戻ってきた
2018年5月10日~13日、ドイツ・ニュルブルクリンク・サーキットを舞台に、恒例のニュルブルクリンク24時間耐久レースが開催された。日本からはGAZOOレーシングのレクサスLCプロトタイプがSP-PROクラスで、スバルはWRX STIをSP3Tクラスで、純プライベートのノーベル・レーシングが2台のレクサスで出場している。
今回の24時間レースのエントリー台数は2017年の161台から11台減り、全22クラスで計150台、レース出場は147台となった。総合優勝を争うSP9(FIA-GT3)クラスには前年とほぼ同数の29台が出場した。
内訳は、ポルシェ911 GT3 Rが8台、アウディR8 LMSとメルセデスAMG GT3が各7台、BMW M6 GT3が5台、ランボルギーニ・ウラカンGT3とフェラーリ488 GT3が各1台という顔ぶれで、いずれもカスタマー・レーシング、つまりユーザーチームという位置付けだ。が、連覇を狙うアウディに加え、ポルシェが本腰を入れて出場している。
■ポルシェがカムバック
ポルシェは数年前の911GT3 Rハイブリッドの出力を規制する同レースのレギュレーションに反発し、それ以降はワークスチームは関与せず、純プライベートチームの参戦にとどまり、その間にアウディ R8 LSMやメルセデスAMG GT3が優勝をもぎ取っていた。しかし、今回はポルシェ・ワースが開発・熟成に力を入れ、カスタマー・レーシングとはいえ準ワークスチームのマンタイ・レーシングを筆頭に、戦力をアップした911 GT3 Rが優勝を狙ってる。
公式予選では、ポルシェ911 GT3 R勢が猛威を振るい、マンタイ・レーシングの911号車を筆頭に、1~3番手を独占した。ついで、メルセデスAMG、アストンマーチン・バンテージGT3が入っている。
今回のニュルブルクリンク、『第46回ADACチューリッヒ24時間レース』は5月12日、現地時間15時30分に21万人のファンが見守る中、決勝レースがスタートした。今回からは3グループに分かれてのローリングスタートとなった。
レース序盤は、ポルシェ911 GT3 R、メルセデスAMG GT3が接戦を演じ、それをアウディR8 LMSが追いかけるという形になった。そして天気予報どおりに夜半に雷鳴が響き、雨が降り始めた。その後も弱まったり強くなったりと雨の様子は変化したが降りやむことはなく、夜が明けてからもウェット路面が続いた。ポルシェのエースカー911号車は夜半にスピンしてガードレール衝突してしまう。これでトップに立ったメルセデスAMG(4号車)、追撃する6番手からスタートした911GT3 R(912号車)の2台はウエットでも圧倒的な速さで後続を引き離す。しかし912号車は軽い接触やペナルティの影響で4号車を捉えられない。
天候はさらに急変し、13日の午後には濃い霧がコースを覆い、ゴールまで3時間半を残してついに赤旗が振られレースが中断した。この中断は2時間に及び、残り1時間半の時点で、強い雨の中、ローリングスタートによりレースは再開した。この結果、メルセデスAMG 4号車に遅れを取っていた912号車が4号車との差を縮めることができた。
そして、ドラマはまたもや決勝レースの終了間際に起きた。先行するメルセデスAMG 4号車に迫ったマンタイ・レーシングの912号車は、23時間を過ぎた時点で南コースのホームストレート・エンドで勝負をかけた。コーナー出口で2台は接触し、4号車がハーフスピンをする間に912号車はトップに立ち、その後は26秒の差をつけてゴールを迎えた。優勝した912号車から3位のメルセデスAMG 5号車までが135周の周回数だった。
なお、最新スペックのマシンを得て、予選で2番手につけたファルケン・モータースポーツの911 GT3 Rは、ドライ路面では上位につけていたが、雨が降り出すとずるずる後退し、9位に終わった。
■レクサスLCは傷だらけの完走
GAZOOレーシングのレクサスLCプロトタイプは、今後の市販モデルの先行開発のために製作され、エンジンは5.0LのV8(2UR-GSE型)をチューニングしてパワーアップ、フリクションの低減を行ない、パドルシフト式シーケンシャルMT、ボディの軽量化(1380kg)と高剛性化、ドライバー支援システム、先行開発のサスペンションを備えたプロトタイプだ。
パフォーマンス的にはSP8(GT3)クラスに匹敵するが、エントリーはただ1台のSP-Proクラスのためライバル不在だ。このLCプロトタイプは、日本での開発テスト、ニュルブルクリンクのVLNレースへの出場などを経て本戦に望むという周到な準備を整えている。ただし例によってメカニックは社員で、チーフメカニックも凄腕技能養成部員が担当するなど、あくまでも高性能市販モデル開発のための経験を得るための参戦だ。ドライバーは土屋武士/松井孝允/蒲生尚弥/中山雄一の4名体制としている。
予選は8分34秒591を記録し、総合32位となった。トップ30はGT3クラスで、それに肉薄するタイムである。決勝ではスタート直後に他車と接触し、その後も深夜までパワートレーン、ブレーキ、タイヤ、電気系などのトラブルが相次いで発生し、その都度修理が行なわれ、一時はコース上でストップしてしまった。だが、なんとかピットに戻り、レースに復帰。その後は大きなトラブルなく周回を重ね、97周を走り総合96位で完走した。
■予想外のトラブルに遭遇したスバル WRX STI
スバル WRX STIが出場する2.0LターボのSP3Tクラスは、メーカーの支援を受けるアウディ TT RS 2.0など強力なライバルが存在するが、今回からアウディの力点はTCRクラスのRS3 LMSに移った。TCRカテゴリーは2.0Lターボ、車重1285kgのFF車で330ps、410Nmの出力を持つが、ボディワークはレース用にメーカーで開発されているため、SP3Tクラスより速い。
また、最大のライバルのアウディTT RS 2.0は予選中に大クラッシュし、結局決勝レースには出場できなくなった。このためスバルのライバルは純プラベートチームのゴルフ7 TCR、セミワークスのオペル・アストラの2台のみとなるという幸運に恵まれた。
しかし、WRX STIは予選2回目にパワーステアリングの高圧側オイルホースが抜けるというトラブルが発生し、2回目はほとんど走行できない状態だった。結果的に予選は9分7秒581で、総合では50番手、SP3Tクラストップとなったが、目標の9分切りは実現できなかった。ただし、ドライバーのカルロ・バンダム選手によれば、もう少しコース・コンディションが良ければ9分を切ることはできそうだという。
決勝ではスタートグループ3のトップのポジションからスタートとなり、混戦を避けられ好調な展開となった。しかし2スティント目で早くもトラブルが発生した。今度はパワーステアリングの低圧側のホースが脱落し、その結果修理に50分間を要した。
その後は順調に走行を続け、深夜に雨が降り出した10時間目にクラストップのポジションに復帰した。13日の昼頃から濃霧によりレースが中断。レース再開後に再びトラブルが発生した。エンジンがばらつくトラブルだ。このためピットでエンジンルームの電気系部品を片っ端から交換する作業となったが、ゴールまで後22分というタイミングでコースに復帰し、112周を走って総合62位、SP3Tクラスの1位となった。
本来、ノートラブルであれば総合20~25位あたりに位置できるはずだったが、2度のトラブル発生により従来より大幅に下位に沈んでおり、後味の悪いレース結果となっている。パワーステアリングホースの脱落は通常ではありえないトラブルだし、雨天走行での電気系のトラブルも十分に事前に対策できる内容で、今後に課題を残したレースとなった。
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自動車業界あれこれ | 日記
Posted at
2018/05/17 23:18:35
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