2019年02月13日
現代版ストラトスとしてアップデートされながらもストラトスのかたちをしているっていうのは興味深いな
英国製ランチア ストラトス レプリカ『the STR』、日本での受注・販売がスタート
ジェイブランディングの自動車部門UK CLASSIC FACTORYでは、英国リスターベル社が製造するランチア『ストラトス』のレプリカ、『the STR』の日本国内での輸入販売を開始した。
ストラトスと言えば、スーパーカー世代はじめ、多くのクルマ好きがあこがれる一台だ。イタリアのランチアがWRC世界ラリー選手権のために開発したホモロゲーションマシン。1974~75年の短期間に製造され、エンジンはにはフェラーリ『ディーノ246GT』用の2.4リットルV6エンジンを採用。ボディデザインはベルトーネ(チーフデザイナーはマルチェロ・ガンディー二)が手掛けた。
初代ランドローバー『レンジローバー』をはじめとする希少車や少量生産車を日本に紹介しているUK CLASSIC FACTORYが、ストラトスのレプリカ、the STRの日本での独占輸入販売契約をリスターベルと締結した。2月8日に東京墨田区のUK CLASSIC FACTORYのガレージで発表会が行われた。
発表会では、英国へ渡りリスターベルの工場を視察して来た自動車ライターの武田公実と、カーライフ・エッセイスト吉田由美トのトークセッションも行われた。
ストラトスに関しては数多くのレプリカが作られてきたものの、もとの車種に訴求力があるため、レプリカは、クルマとしての魅力に関しては今一つというモデルも少なくなかったという。しかしthe STRは「ストラトスが今までアップデートを繰り返していたら」という、クルマ好きのロマンの結晶のような一台に仕上がっているのだという。英国のカントリーロードを200km/hで走行でき、普通に乗って楽しめる、と武田さんは話す。英国『AUTOCAR』誌でもハンドリングが絶賛されたと紹介された。
the STRは車体中央にアルファロメオ製の6気筒エンジンを搭載。お披露目された日本上陸1号車には3リットルエンジンだったが、2.5リットルや3.2リットルも搭載できる。オリジナルモデルよりもより深く容量の大きいトランクを備え、実用性の点でも配慮がなされている。
多くがキットカーとして販売されるものの、年間数台程度が完成車(コンプリートカー)としてラインオフされることになっており、その一部が日本にも持ち込まれる。すでに2年先までオーダーを抱えているという。価格は装備や為替によって変わるが、概ね1200万円程度で日本に持ち込みたい、とUK CLASSIC FACTORYでは話す。
あの名車が1200万円で日本上陸!? ランチア「ストラトス」のレプリカモデル「The STR」公開
■英国製「ランチア・ストラトス」日本上陸
ukクラシックファクトリーは、2019年2月8日、英国製ランチア・ストラトスのレプリカ「The STR」のジャパンプレミアを実施しました。
ランチア「ストラトス」とは、1971年のイタリア・トリノ―ショーでプロトタイプが発表され、翌年より販売が開始されたイタリア製のスポーツカーです。
市販車である一方で、その構想段階からラリー参戦を意識した生粋の戦闘機でした。数々のラリーシーンで活躍を見せ、WRCで3年連続メイクス・チャンピオンを含む14回のワールド・チャンピオンと68回の世界タイトル受賞という、まさに伝説のラリーカーなのです。
一方で、市販仕様のストラトスの販売は決して成功したとはいえず、総生産台数は492台に留まり、開発及び生産を請け負ったベルトーネの工場火災の影響を受け、世に出ることがなかった車両も存在します。
悲劇のヒーローであり、現存数 400台に満たないとされます。生産終了後、素晴らしい戦歴と優れた運動性能を持つストラトスの魅力が見直され、多くのレプリカモデルが誕生しました。
今回、日本初披露された「The STR」も同様のレプリカ車ですが、開発生産を行う英国「リスター・ベル・オートモービル」は、姿だけでなく、性能面でもストラトスらしさを表現することに注力したといいます。
他社のレプリカのように、パイプフレーム構造ではなく、RAC ブルーブックに準拠したシャーシ一体型のロールケージ持つスペースフレームを自社にて独自開発し、実際のラリーに参戦可能な領域まで、ボディ剛性を高めているのが大きな特徴です。
そして今回、ukクラシックファクトリーが国内独占輸入販売を結んだことから、日本導入が決定したとのことです。
■日本初披露された「The STR」のスペックは?
スタイルは、見事にオリジナル・ストラトスの雰囲気を再現しており、まるで1970年代にタイムスリップし、ストラトスを手にしたような気分が味わえます。
インテリアもストラトスらしさを追求しており、7連式のメーターパネルを備えたシンプルなダッシュボードや小物入れを備えたドアパネル、バケットシートなど、レプリカだからといって、現代的なアイテムは追加されていません。
唯一、エアコンは装備されていますが、これに異を唱える人はいないと思います。また、オリジナル同様にラゲッジスペースは皆無ですが、その生い立ちを考えれば当然です。
オリジナルモデルのパワートレインは、フェラーリから提供を受けた「ディーノ246」用の190psを発揮する2.4リッターのV6自然吸気エンジンを搭載していました。
今回の「STR」では、アルファロメオ製の3リッターV6自然吸気エンジンを搭載。これは、アルファ「166」(中古車)から流用したものであり、二世代ほど前のややクラシカルなアルファロメロ製エンジンです。
しかし、高回転まで気持ち良い吹け上りが楽しめるもので、約220PSを発揮し、トランスミッションは、6速MTを組み合わせています。
足回りは、ボディ同様に同社の専用設計で、オリジナルよりワイドな前16インチ後17インチの異形サイズを装着。このあたりからも「STR」のポテンシャルの高さをうかがえるのです。
リスター・ベル・オートモービル社では、購入者が組み立てを行う「キットカー」販売が中心。完成車の製造について、「年間3~5台程度と極めて少なく、既に2年分のバックオーダーを抱えているが、生産体制の強化を目指している」としています。
価格は、「装備や納車までに掛かる期間によって、為替変動も考えられるため、1200万円程度で日本に持ち込みたい」と説明。
およそ1200万円。リアルに乗れる、かつて憧れた名車を手にすると考えれば、決して高いプライスではないかもしれません。 【了】
ランチア・ストラトスの英国製レプリカ「the STR」、日本での輸入販売開始!
先ごろ東京都墨田区にガレージをオープンした「ジェイブランディング:UK CLASSIC FACTORY」では、英国リスターベル社が開発・製作するランチア・ストラトスのレプリカ「the STR」および、同じく英国AKスポーツカーズ社が製作するACコブラ427のレプリカ「AK427」の日本国内での輸入販売を開始した。文・武田公実
「the STR」と「AK427」
型式認定や法規のクリアが困難な日本ではあまり例を見ないレプリカ車ながら、片や欧米ではかつて憧れた名車たちを比較的気軽に楽しめることから、けっこうな人気を誇るという。
特に、アマチュアリズムが尊重されるイギリスにおいては数多くのレプリカ車が製作されているのだが、数多い英国製レプリカの中、UK CLASSIC FACTORY代表の勝見祐幸氏がクオリティやパフォーマンスの面で吟味を重ねて選んだのが「the STR」と「AK427」だったとのことである。
2019年モデルのランチアHFストラトスがあったなら?
まず「the STR」のモデルとなったランチアHFストラトスは、1970年代のスーパーカー世代には懐かしい一台と言えるだろう。名門ランチア社がWRC(世界ラリー選手権)制覇を唯一最大の目的として開発し、FIAのホモロゲーション(認証)を取得するべく1974~75年に約500台を生産したモデルである。
1974-75-76年シーズンにWRC製造者部門三連覇を果たし、生来の目的を達成したHFストラトスは、そのスーパーカー的資質も相まって1970年代のアイコンとしての評価を獲得。英国では複数の小規模コンストラクターがレプリカを販売してきた。
ところがリスターベル社代表のクレイグ・ホワイト氏は、若き日からそれらレプリカ車の開発にも関与しつつ、既存のストラトス・レプリカには満足できなかったという。そこで、レーシングドライバーを志したのちにエンジニアに転向した彼は、2010年に独立。自身が理想とする「2019年モデルのHFストラトス」として開発し、2013年に発表したのが「the STR」とのことなのだ。
そのシャシーは、スチール製センターモノコック+サブフレーム構造を採るオリジナルHFストラトスに対して、ホワイト氏が自ら設計したというロールケージ一体型鋼管スペースフレーム。現代のレーシングカーと同様のスペックで製作される炭素鋼性アップライトに軽合金製アームを組み合わせた、高度なサスペンションも採用する。
筆者は英国の私有地内で少しだけステアリングを握る機会に恵まれたが、トリッキーな挙動で知られるHFストラトスと共通のディメンジョンながら、実に安定したハンドリングに驚かされた。
またホワイト氏の操縦で工房周辺のカントリーロードに出ると、さすが元レーサーらしく、あっという間に200km/h超(!)までスピードを上げられてしまったのだが、そんな強烈なドライブでもFRP製のボディはミシリとも言わない。
英国の権威「AUTOCAR」誌の元名物記者、スティーヴ・サトクリフ氏がそのハンドリングを絶賛したというのも、さもありなんと納得させられてしまったのである。
今回、お披露目された「the STR」日本上陸第一号車には3リッター版、アルファ166用のアルファロメオ製V6エンジンが搭載されるが、ほかにも2.5リッター版や3.2リッター版。あるいは注文主の希望によっては3リッター/3.2リッターのフェラーリV8も搭載できるとのこと。
また、エアコンディショナーも装備できるなど、実用性の点でもオリジナルのHFストラトスから大幅に向上していると言えるだろう。
最もクオリティの高いコブラ・レプリカを目指して
一方、発表会では二台が展示された「AK427」は、ジョン・フリーマン氏とその家族で運営されるAKスポーツカーズ社が改良を施しつつ、実に30年にも亘って綿々と製作してきたACコブラ427レプリカである。
ACコブラ427、別名「シェルビー・コブラ427」は、1953年にデビューしたイギリスの2リッター級スポーツカー「ACエース」に、1959年のル・マンで優勝したアメリカ人ドライバー、故キャロル・シェルビーのプロデュースで北米フォード製V8エンジンを詰め込んだ、こちらも伝説的なスーパースポーツである。
搭載されるエンジンは、当初「260(約4.2リッター)」でスタート。ほどなく「289(約4.7リッター)」を経て、最強の「427(約7リッター)」まで進化し、主目的であったアメリカのみならず、本場ヨーロッパのGTレースでも大活躍。1970年代のランチアHFストラトスと同等かそれ以上に、1960年代スポーツカーのカリスマ的存在となった。
それゆえ、コブラは最もレプリカ化された事例の多いクルマとして知られ、アメリカやイギリス、さらにはヨーロッパ大陸や南アフリカなどでも作られてきたとの由だが、フリーマン氏は自身のAK427が、少なくとも英国製レプリカの中では最もクオリティが高いと胸を張る。
もともとFRP専門業者であったフリーマン氏の父、ケン・フリーマン氏がコブラ・レプリカの製作を始めたのは1988年のこと。それまでボディ製作の委託を受けていたものを含めて、既存のコブラ・レプリカたちのボディラインやクオリティに不満を抱き、自ら開発・生産に乗り出したという。
息子であるジョン氏に代替わりしたのちは、サーキット走行を趣味とする同氏が自らテストドライバーとして、メカニズムをブラッシュアップ。現在では自社製の鋼管スペースフレームに自慢のFRP製ボディを組み合わせ、シボレー・コルベットなどにも搭載されるシボレーLS3エンジン(6.2リッターV8・430ps)を搭載した最新世代に進化を遂げている。
AK427については、既に日本上陸を果たしていたAKスポーツカーズ社の元デモカー、オプションのスーパーチャージャー付LS3ユニット(600ps!)を搭載したメタリックブルーの個体に試乗する機会を得たが、非常にコントロールしやすいことに感銘を受けた。
ただし、スーパーチャージャーのフルパワーを不用意に解き放たない、という条件付きではあるのだろうが、それでもシャシーの剛性感とサスセッティングの巧みさ、そしてFRPボディの圧倒的とも言いたくなるクオリティと作りの良さは特筆に値すると思われる。
リスターベル社、AKスポーツカーズ社ともに、英国内では税制上有利なキットカーとしてのフォーム販売が多くを占めるとされるが、年間数台ていどはコンプリートカー(完成車)として製作されるそうで、日本総代理権を獲得したUK CLASSIC FACTORYではその一部を輸入することになるという。
日本での販売価格は装備やオプション、あるいは契約時の為替などによって変動するものの、UK CLASSIC FACTORY勝見代表によると現状での「the STR」は1200万円~、「AK427」は1350万円~で設定しているとのこと。ご興味を持たれた方は、UK CLASSIC FACTORYまで問い合わせされることをおすすめしておきたい。
ランチア ストラトス レプリカの the STR を日本公開---夢見ごとを本気で
ジェイブランディングの自動車部門、UK Classic FACTORYはイギリスのリスターベル社と国内独占輸入販売契約を締結。ランチア『ストラトス』のレプリカである『the STR』の販売を開始した。
◆オリジナルシャシーでさらに走りを追求
UK Classic FACTORYは2015年よりクラシックレンジローバーのレストア販売から事業をスタート。その後、今回のthe STRや『コブラ』のレプリカを扱うようになった。
the STRを製造するリスターベル社は2010年にクレイグ・ホワイト氏が設立。氏は1989年から複数の英国小量生産車メーカーに勤務し、ストラトスをはじめ、『セブン』や、コブラ、『T70』等の様々なレプリカ製造に従事。そこでは、シャシー設計、ボディ製造、サスペンション開発、組立てまで幅広い業務を20年経験したのち、走行性能で妥協のない理想のストラトスレプリカを作るべく同社を設立したという。同社では、車両開発からFRPボディ制作、シャシー製造、パーツ開発、組立てまで一貫して実施している。
今回の発表に際し、車両説明を担当した自動車ライターの武田公実氏によると、「ランチア・ストラトスが製造を中止した後も進化を続けていたらどうなっていたか。そのような夢見ごとを本気でやったクルマだ」と評する。
CADによるオリジナルのスペースフレームシャシーにアルファロメオ『166』などに搭載されていたV6エンジンをミッドシップにマウント。サスペンションもCADによるアルミニウム製オリジナルで、前/後はそれぞれストラット/ダブルウィッシュボーン式を採用している。このスペースフレームはRACブルーブックに準拠したシャシー体型のロールケージを持ち、自社にて独自開発したものだ。
オリジナルとの最大の違いについて武田氏は、「センターモノコックにサブフレームを合わせ、そこにエンジンやサスペンションを組み込んでいるオリジナルに対し、STRは自社製の鋼管スペースフレームを組み、かつ、細い鋼管を組み合わせていることだ。このため明らかに軽くなり、これも魅力のひとつとなっている」と説明。
リスターベル社は現在キットカーとしての供給が中心だが、年間3から5台程度を完成車として販売。バックオーダーが2年分入っており、増産体制を準備中であるという。
ジェイブランディング代表取締役の勝見祐幸氏によると、「価格は1200万円程度を考えているが、完成まで2年ほどを要するので為替の影響も考慮し若干の上下動は否めないだろう」とした。
◆最もオリジナルボディに近いコブラ・レプリカ
当日はUK Classic FACTORYが扱うコブラ・レプリカ、『AK427』も公開。こちらはオーダー後およそ6か月で完成予定だが、現在2台の在庫がありどちらも1350万円で販売されている。
AK427を製造するイギリスのAKスポーツカーズは、1980年半ばにFRP製造業を営んでいた創業者ケン・フリーマン氏が、当時入手可能だったコブラ・レプリカのボディラインと性能に満足できなかったことから、自ら製造に着手。同社工場ではボディ/シャシーの製造、塗装を行っている。
創業以来800台を超える車両を生産。大半はキットカーとして供給されているが、年産5台程度が自社工場で完成車に仕上げられている。
武田氏は、「世界中にコブラのレプリカは多くあるが、ボディの作りや塗装の仕上がりが格段に良く、そこにこだわりを持っている」とコメント。コブラのレプリカメーカーは多数ある中で、AKスポーツカーズのコブラレプリカが最もAC コブラのボディラインに近いといわれている。
日本に在庫されている2台に搭載されるエンジンはシボレーの6.2リットル430馬力とスーパーチャージャー付きの600馬力を超えるものだ。コブラであるならばフォードエンジンではないかという疑問もある。武田氏によると、「アメリカの自動車メーカーのスポーツ部門では組みあがったエンジンをレプリカメーカーなどに供給している。フォードもこのクレートエンジンを供給しているが、両方を比べると、シボレーエンジンの耐久性や、チューニングの自由度も高いことから、シボレーエンジンを選んでいる」と述べた。
あのランチア ストラトスが復活?!──超本格的なレプリカモデル「The STR」日本上陸!
イギリス車の輸入・販売を手掛けるUKクラシックファクトリーは2019年2月8日、ランチア「ストラトス」のレプリカ「The STR」を日本初披露した。
The STRを紹介する前に、まず、オリジナルのストラトスについて説明しよう。1970年代のラリーシーンを席巻したストラトスは、WRC(世界ラリー選手権)グループ4への参戦を前提に開発された生粋のコンペティツィオーネ(競技車)であった。
ストラトスでWRCに参戦したランチアのワークスチームは、1974年から3年連続メイクタイトルを獲得した。また、多くのプライベーターたちにも愛され、数々の好成績を収めた。
華々しいモータースポーツでの活躍とは裏腹に、市販向けロードカーの販売は苦戦を強いられた。生産台数は、たった492台に過ぎない。しかも、製造工場出火のアクシデントに見舞われたため、ユーザーにわたった数は492台より少ないと言われている。現在は、その希少性から世界中のエンスージアストに見直され、コレクターズアイテムとなった結果、中古車市場では高値で推移している。
そのため、世界中の小さな自動車メーカーがガレージキットを中心に、レプリカモデルを手がけてきた。今回、日本に初上陸したThe STRも、レプリカモデルの1台である。
開発・生産をおこなうのは、イギリスのリスター・ベル・オートモービル社だ。2010年に設立された比較的新しい会社であるものの、同社を率いるクレイグ・ホワイト氏は、これまでイギリスの小さな自動車メーカーをわたり歩き、ストラトスをはじめ、ロータス セブン、AC コブラなどのさまざまレプリカモデル製造に従事してきたキャリアを持つ。こうした経験をもとに、とりわけ走行性能に妥協のない、理想的なストラトスのレプリカモデルを世に送り出すべく、起業したという。
グレイグ氏によれば、これまであったストラスのレプリカモデルの多くは、安価なキットカーとして開発されたため、シンプルな丸形パイプフレームを採用した結果、センターモノコック構造を持つオリジナルに比べ、剛性面等で劣っていたという。
そこで、理想とするレプリカを生み出すべく、リスター・ベル・オートモービル社は、パイプフレーム構造は採用せず、シャシー一体型のロールケージを持つスペースフレームを独自開発した。それにより、ラリーに参戦可能な領域にまでボディ剛性を確保したうえ、エクステリアデザインも、細部にわたりオリジナルを忠実に再現出来たという。
迫力に満ちたスタイルは、まさにストラトスそのもの。デッドストックの新車が出現したような錯覚さえ覚える。違いは、メーカーのエンブレムが異なる程度かもしれない。インテリアもおなじく、オリジナルを忠実に再現。7連メーターを備えたシンプルなダッシュボード、フロアから生えた短いマニュアル・トランスミッションのシフター、2座のバケットシート、大型ポケットとグリップを備えたドアパネルなどは、オリジナルに近いデザインだ。現代的なアイテムといえば、エアコンくらいかもしれない。
搭載するエンジンは、アルファ・ロメオ製の3.0リッターV型6気筒自然吸気だ。最新世代ではなく、アルファ・ロメオ「166」から流用したエンジンだ。なお、オリジナルのストラトスは、フェラーリより供給を受けた、ディーノ246用2.4リッターV型6気筒自然吸気エンジンを搭載していた。
発表会でエンジンを始動させたが、V型6気筒は一発で目覚め、専用マフラーによる重低音を響かせた。組み合わされるトランスミッションは6速のマニュアルで、足まわりは専用設計だ。タイヤは、オリジナルよりワイドなフロント16インチ、リア17インチの異径サイズを装着する。
輸入元のUKクラシックファクトリーによれば、価格は約1200万円。正確な金額は、購入時の為替相場と納期を考慮し決定する。なお、The STRの年間製造台数は約3~5台ときわめて少ないうえ、すでに約2年分のバックオーダーを抱えているという。ただしメーカーも、The STRの好調なセールスを受け、生産体制の強化を検討しているそうだ。
ストラトス・レプリカが生まれた文化的背景を知る
英国生まれのランチア・ストラトス「the STR」のジャパン・プレミアが行われ、その会場で自動車ライター武田公実氏とカーライフ・エッセイストの吉田由美氏によるトークセッションが行われた。文/写真・栗原祥光
ランチア・ストラトスのレプリカが日本上陸
ランチア・ストラトスは1970年台に世界ラリー選手権(WRC)で3年連続マニュファクチャラーズ・チャンピオンを獲得した名車。ラリーで勝つために生まれ、そのホモロゲーションを獲得するために作られたため生産台数は492台と少ないため、愛好家の間では今なお高額で取引されている。
そのためレプリカが数多く存在。今回日本に上陸した「the STR」も、そんなレプリカの1台だ。製造するのは、英国で20年以上に渡り複数のメーカーで「ランチア・ストラトス」や「ロータス・セブン」「ACコブラ」「ローラT70」などのレプリカモデルに携わってきたクレイグ・ホワイト氏が2010年に創業したリスター ベル オートモーティブ社。
その後、2013年に「the STR」を発表し、英国の自動車雑誌「AUTOCAR」で絶賛されると、人気が急上昇。現在でも2年待ちというバックオーダーを抱えているという。
武田氏、「the STR」について語る
今回の輸入に先立ち、武田公実氏は2018年にリスター ベル オートモーティブ社を訪問。その様子を今回トークショーで聞かせてくれた。
武田氏は「英国では、往年の名車のレプリカを楽しむ文化があります。これらの車は主にキットカーという形で販売されており、買い求めたユーザーは自宅ガレージで組み立て、レースや走行会などに参加する文化があります」と紹介すると、吉田由美氏は日本では馴染みのない文化に興味津々の様子。
もっとも、日本では運輸省の型式認定が無い国内で組み立てた車両を新規登録することはできないため、このようなキットカーの文化はない。自分のガレージで名車を組み立てるというキットカーの文化の話を聞き、欧州の自動車文化の奥深さを感じさせた。
キットカーのストラトスは、数多く存在するという。武田氏は「こうしたレプリカの中には、外観はストラトスでも走りが耐えないものがあるのは事実です。しかしthe STRは違います。走りが楽しめるよう作られています」と力説する。
「特に足回りのこだわりは異常とも言えるもので、アルミブロックの削りだし部品もあったりします」とその一端を紹介。さらに「オリジナルがモノコック+サブフレームであるのに対して、the STRは鋼管フレームとしています。設計にCADが用いられており、サスペンションも前がダブルウィッシュボーン、リアがストラット式と、走りの面でも問題はありません」と解説が続く。
そして「もしストラトスが現在でも作り続けられていたら、こういった進化を遂げていただろうな、と思わせるものがある」とし、単なるレプリカの枠を超えた存在であることを示唆した。
武田氏は、既にthe STRを現地で試乗したそうだ。その印象について「カントリーロードを時速200km/hで走行しても大丈夫でしたし、一般道も楽しめました」とのこと。普段の脚として、the STRは楽しめる車であることを語り、このイベントは幕を閉じた。
UK CLASSIC FACTORYが輸入販売
輸入するのは、墨田区で英国生まれのヴィンテージ・ランドローバーのレストア販売を主に行うUK CLASSIC FACTORY。
マンションの地下一階にあるガレージには、程度のよい往年のレンジローバーのほか、同社が輸入する英国オートクラフト社が製造・販売するACコブラのレプリカ、AK427などが並ぶ。バーカウンターのような店内と、ガラスを隔てたコンクリートのガレージは、男なら一度は夢見る空間で居心地がとてもよい。
代表の勝見氏に話を伺うと「レプリカーの文化って面白いですし、日本でもこういう車で楽しむ文化が根付くことのお手伝いができればと思っています。子供の頃憧れたスーパーカーに乗って走る、というのはもちろんですが、今の車にはない個性がたっぷり詰まっていますし、車を操る楽しさがあります。ぜひ一度触れてみて欲しいですね」と楽しそうな笑顔で意気込みを語ってくれた。
自動車大国と言われる日本。どうしても新車に目が行きがちだが、このようなレプリカーであったりクラシックカーなどにも目を向けて、文化の成熟していく時代が訪れることを願わずにはいられない。
早くも2台成約! ストラトス・レブリカ、リスターベル『the STR』…納期は2年
UKクラシックファクトリーがイギリスから輸入を開始した、ランチア『ストラトス』のレプリカ、リスターベル『the STR』。反響は大きく、早くも成約が出ているのだという。8日に墨田ガレージ(東京都墨田区)のお披露目と併せて発表された。その後、改めてガレージを訪れた。
UKクラシックファクトリーの勝見代表は、発表後の反響が予想を大きく超えたという。「成約も2台出ました。手付金の額を増やしたら納車の順番は先になるか、といった問い合わせや、展示車でよいので売ってもらえないかという相談もいただきました」と話す。
レプリカはキットカーとして販売されることが多いものの、日本では完成車しか登録ができない関係で、コンプリートカーのみの輸入となる。しかし、現在、リスターベルでのコンプリートカー生産能力は、年間5台。すでに納期は2年ほどかかる。
「本物のストラトスのもつストーリーや、ヘリテージはこのクルマにはありませんが、ワイドトレッド、ショートホイールベースという乗り味に魅力があるかもしれません。現代の技術で作り上げられた、比類のないドライビングマシーンに興味を持つエンスージアストが日本でも増えてきたということでしょう。日本でも受け入れてもらえる土壌ができつつあるというのは、こうしたモデルを紹介する立場としてうれしいこと」と勝見代表。
この状況を英国の製造元に持ち込み、生産体制の増強を申し入れたい、と勝見代表は意欲的だ。
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Posted at
2019/02/13 10:51:04
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