2019年10月29日
オフローダーでEV化しているんだから耐水、耐粉塵とか耐久性高いんだろうか
ボルグワーナーがEVデモカー開発…超軽量オフローダーからホンダエンジン下ろす
ボルグワーナー(BorgWarner)は10月25日、超軽量オフロードスポーツカーのアリエル『ノマド』を電動パワートレイン化した、デモ車両を発表した。
◆ベース車両のノマドは車両重量670kg
ノマドは、英国のスポーツカーメーカーのアリエルモーターカンパニー(以下、アリエル社)が開発したモデルだ。アリエル社は1999年に復活した。同社の名前を有名にしたのが、超軽量スポーツカーの『アトム』だ。2003年から、ホンダ『シビックタイプR』用の2.0リットル直列4気筒ガソリンエンジンを搭載している。
ホンダは2016年、アリエル社との間でエンジンサプライヤー契約を更新し、シビックタイプR用エンジンの供給を継続すると発表した。ホンダはすでに、累計1500基以上のエンジンをアリエル社に供給している。
アトムシリーズの最新モデルには、シビックタイプR用の2.0リットル直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載し、最大出力は320psを発生する。車両重量は595kgに抑えられ、0~100km/h加速2.8秒、最高速260km/hの性能を実現している。
このアトムのオフローダー版として登場したのが、ノマドだ。オフロードタイヤや、オフロード仕様のサスペンションを採用する。ホンダ製の2.4リットル直列4気筒ガソリン「i-VTEC」エンジンは、最大出力235ps/7200rpm、最大トルク30.6kgm/4300rpmを引き出す。車両重量は670kgに抑えられ、0~100km/h加速3.4秒、最高速201km/hの性能を備えている。
◆ボルグワーナーの最新電動化技術をフル搭載
ボルグワーナーは、このアリエルノマドを、電動パワートレイン化したデモ車両を発表した。ボルグワーナーのCAE(コーポレート・アドバンスド・エンジニアリング)グループが、初めて手がけたEVデモカーとなる。
ボルグワーナーのCAEグループは、およそ6か月でデモ車両を完成させた。プロジェクトのベース車両としてアリエルノマドを選ばれた理由は、車台が剥き出しの設計により、コンポーネントの取り付けや取り外しが簡単にできるためだという。
EVデモカーには、ボルグワーナーの最新電動化技術をフル搭載した。トラクションインバーター、トルクベクタリングリアドライブユニット、電動クーラントポンプ、トラクションコントロールソフトウェア、DC/DCコンバーター、高電圧バッテリーパックなどを採用している。
◆モーターは最大出力272ps
モーターは最大出力272psを獲得する。バッテリーは水冷式で、蓄電容量は30kWhとした。このEVパワートレインの開発には、ボルグワーナーの子会社のCascadia Motion社が参画した。2つのボルグワーナー製の高電圧電気モーターに、「eGearDrive」と呼ばれるトランスミッションを組み合わせる。独立して後輪を制御する後輪駆動システムを開発した。このシステムには、ボルグワーナー製の2つのインバーターも搭載している。
電動パワートレイン化の利点は、トルクベクタリングによって、ステアリングレスポンスが引き上げられたことにあるという。電動化により、回生ブレーキの利用も可能になった。もうひとつの重要な技術は、ボルグワーナーの熱管理システムだ。これは、電動ポンプを使って、インバーターとバッテリーパックの冷却システムを作動させる。
ボルグワーナーは、電動化を加速していく方針だ。同社は、このEVデモカーは電動化におけるボルグワーナーのリーダーシップを示すものであり、複数のパートナーと協力ながら、現在および将来の技術を評価していく、としている。
ボルグワーナー:デモンストレーション用に高電圧の電気自動車を製作
ボルグワーナーは、同社コーポレート・アドバンスド・エンジニアリング (CAE)グループ初となるデモンストレーション用の高電圧の完全電気自動車を開発し、電動化に関する専門知識を証明している。あらゆる地形に対応したアリエル社の「ノマド」から製作した新しいテスト・プラットフォームは、顧客にボルグワーナーのテクノロジーと性能を提示する。本車両で採用されている技術には、ボルグワーナーの牽引インバーター、トルク・ベクタリング後輪駆動ユニット、電気式冷却ポンプ、車両および牽引制御ソフトウェア、DC/DCコンバーターおよび高電圧バッテリーパックなどがあり、ボルグワーナーの先進的な製品群および完全電動推進システムを提供できる能力を示している。
本車両の電動パワートレインの長所は、トルク・ベクタリング機構を通じてステアリング・レスポンスを向上できる点。この機能により、車両の前進運動と回生ブレーキの両方を併せ持つこと
ができ、ダイナミックかつ操作性のある運転を実現する。もう一つの重要な技術は、冷却材を電動ポンプでインバーターとバッテリーパックへ循環させるボルグワーナーの熱管理システム。液冷式の350V 30kWhパックのピーク電力は200kW。
ボルグワーナーのCAEグループは、車両を構成する重要な推進技術の域を越え、わずか6カ月でデモ車両を製作した。このデモストレーション・プロジェクトの基本車両としてアリエル社の「ノマド」が選ばれた理由の一つには、車両デザインがオープンエア型のため、部品の取り付けおよび取り外しが容易であることが挙げられる。なお、本車両は、ボルグワーナーのパートナー企業にとっての性能試験車でもある。ボルグワーナーの完全子会社であるカスカディア・モーション社が後輪駆動システムを開発し、ボルグワーナーの高電圧ヘアピン (HVH) 250電動モーターとeGearDriveギアセットをふたつずつ搭載し、それぞれが独立して後輪を制御している。また、ボルグワーナーの
インバーターを2台搭載することで、車両を完全に制御し、さらなるパワーと耐久性を実現する。
また、先進技術を駆使したバッテリーパックおよびモジュールのサプライヤーであるボルグワーナーとロメオパワー社との間で設立した合弁会社により、ボルグワーナーはさまざまなバッテリーパワーの構成でデモンストレーション車両に電力供給し、具体的な車両用途または運転体験に対する特定のバッテリーパック利用についてテストし、検証することができる。この合弁会社のバッテリー・モジュールおよびパックには、性能およびサイクルライフ向上のための独自のアルゴリズムを使用した高度なバッテリー管理システムと、アクティブおよびパッシブ冷却のための独自の熱管理システムを採用する予定。デモンストレーション車両を短期間で製作したことは、ボルグワーナーが将来のプロジェクトで新技術をいち早く導入する能力があることを実証するとともに、パワフルかつ新しいデモストレーション車両を通じて、プロジェクトの工程をますます短期化できることを表している。
ボルグワーナーの副社長兼最高技術責任者であるハカン・ユルマズ氏(Hakan Yilmaz)は「当社の新しいデモンストレーション用高電圧車は、電動化における当社のリーダーシップを示すとともに、広範にわたる能力を示し、業界パートナーと連携し、現在および未来のテクノロジーをシステムレベルで評価するための素晴らしいツールとなります。当社はこれからも、次世代の製品を検証し、最終的にはよりクリーンでエネルギー効率の高い世界への業界の推進を後押しする、このEVデモンストレーション車のようなプロジェクトを今後も取り入れていきます」と述べている。
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Posted at
2019/10/29 21:46:21
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