2019年12月21日
車名としては「ヤリスGR-4改めGRヤリス」って事なのかな?標準車をベースにしたヤリスGRやGRスポーツも用意があるって考えて良いのかね
【GRヤリスに乗った】ヤリスとは別モノのスポーツカー。ホモロゲモデルなんて久しぶりに聞いた!
WRC降臨モデルを手ごろに
予告映像がインターネット上を賑わせたあと、12月15日に富士スピードウェイで開催されたTGRF(トヨタ ガズー レーシング フェスティバル)で、まだカモフラージュされた状態ながら、いよいよその姿を現したGRヤリス。そのプロトタイプ車両を、グラベルとターマックのふたつのステージでテストした!
このGRヤリスには大きな使命がある。まずひとつは、WRCマシンのホモロゲーション車両としての役割。WRCで使われるWRカーは市販車に対して非常に改造範囲が広いとはいえ、ベース車の素性が戦闘力に大きく関わってくる。車重、前後バランス、サスペンション取り付け位置、空力特性……と、さまざまな点で優れたベース車両が必要なのだ。その点で現行モデルは車重が30kg重く、空力やサスペンションストロークの点でも妥協を強いられているという。GRヤリスは年間25000台という生産台数をクリアしてホモロゲーションを取得し、WRCで勝てるマシンの土台となることがひとつ目の大きな使命なのである。
もうひとつが「WRC降臨モデル」を「素の状態でローカルラリーに勝てるポテンシャル」を持つものとして、しかも「誰でも買えるスポーツカー」として世に出すことだ。つまり手ごろな値段、そして速くなければならない。
GRヤリスは、ヤリスをベースとしながらボディ形状を大胆に変更。3ドアの、しかもルーフ後端が低く落ち込んだクーペ的なボディを仕立てた。3ドアとしたのはリヤホイール周辺のボディワークの自由度を高めるため、全高を下げたのはフロアからの高さが規定されているリヤウイングに風を効率よく当てるためといった具合で、すべてのデザインに理由がある。
軽量化のため前後フードと左右のドア、リヤゲードなどの蓋物はアルミ製に。そして驚くべきことにカーボンルーフが全車に標準装備とされる。もちろんコストをかければ何でもできるが、「誰でも買えるスポーツカー」としてそれを実現するために、SMC(シートモールディング・コンパウンド)と呼ばれる短繊維の樹脂で固めるかたちの成形法を用いている。表面がマーブル模様となるのが特徴だ。
ハイスペックな1.6L “3気筒” ターボにスポーツ4WDを
エンジンは1.6Lターボ。これも特徴的なのは直列3気筒だということである。おそらく3気筒ユニットとしては世界でも最大の排気量になるが、それでも4気筒としなかったのは軽量・コンパクト化のため。WRカーだけではなく、WRC R5車両として市販車に近いかたちでの競技車両としても販売を視野に入れていることが、その前提にはある。
東富士研究所、TMG(ドイツ・トヨタモータースポーツ)、TMNA(北米トヨタR&D)の叡智を集めて開発されたこのエンジンは、ベースをもたない純レーシングユニット。ボールベアリングタービンなどを採用し“2Lターボ並み”というからおそらく最高出力260~280馬力程度を発生する。トランスミッションは、こちらも専用の6速MTで、自動ブリッピング機能などを備える電子制御のiMTとなる。
そして、こちらも注目の4WDシステムは、やはり軽さを追求して複雑な電子制御システムとはせず、高応答カップリングを採用したトランスファーを使い、前後輪に回転差を生じさせることで、つねにリヤに駆動力が伝達されるという機構を用いる。前後駆動力配分は3段階に切り替え可能。ノーマルが曲がりやすく直進安定性も高い60:40、スポーツがFRライクな30:70、トラックがサーキットでもグラベルでも最速という50:50に設定されている。
ヴィッツの皮を被ったGRヤリスが踊る
前置きが長くなったが、いよいよ走りの印象に触れていこう。まずグラベルで現行ヴィッツの外観で艤装したテスト車に乗って得た最初の印象は、とにかく軽快だということ。クルマが小さく、軽く、剛性感が高いから、操作に対するレスポンスがきわめて鋭いのだ。
エンジンも、やはりパワフルなのはもちろんアクセル操作に対するツキがよく、それがマシンコントロール性の高さにも貢献している。3気筒のネガはまったく感じられず、低回転域から回転、トルクの出方ともども非常にスムーズなことにも感心させられる。
そして4WDシステムは、切り替えればハッキリとその差がわかるほど、クルマのキャラクターを変化させられる。挙動は各モードのコンセプトそのままで、ノーマルは非常に安定していて走りやすく、スポーツに切り替えればリヤを思い切り振り出す走りが、より簡単にできるようになる。それでいて前輪にもしっかり駆動力が伝わっているから、最後の最後で安定性が担保されるという印象だ。
トラックの50:50が一番速いというと意外と思われるかもしれない。しかし走らせてみると、リヤが流れた状態でも確かなトラクションがかかってフロントが引っ張り、リヤも流れ過ぎない絶妙な姿勢を作りやすい。
一方、ターンインで姿勢を作るのに、ややオーバーアクション気味な操作が必要なのは気になった。安定性が高いとも言えるので難しいところではあるけれど。とはいえグラベルで乗ったのはギヤボックスやデフなどが市販スペックとは異なる仕様だったので、市販時にはまた違った印象になるのだろう。
少量生産でも利益を出し、
スポーツカーをつくり続ける使命
ターマックは富士スピードウェイのモビリタで、パイロンを並べた広場に水をまいたところで走らせただけ。しかも筆者のテスト中はトランスファーもしくはリヤデフがオーバーヒートして肝心な4WDシステムがほとんど機能していない状況だったので、挙動云々については多くを細かく語ることはできない。それでも言えるのは、ボディやステアリングまわりなどの剛性感がきわめて高いレベルにあり、またシフトフィールをはじめとする手の触れる部分の感触が凄まじく上質だということだ。回すほどに音が澄んでいき、回転上昇に弾みがつくエンジンのフィーリング、精度感にも圧倒された。おそらくこれなら、何気ないふだん使いのときにも満足感、高いに違いない。
振り返ればトヨタは2007年に販売を終了したMR-Sが最後になるだろうか。86やGRスープラを発売はしたものの、とにかく長い間、自社開発のスポーツカーは持っていなかった。つまり開発チームは、技術もノウハウもまったく足りないなか、しかも限られた時間で、この使命を果たさなければならなかったのだと、開発責任者の齋藤尚彦氏は振り返る。
そのため開発にあたっては、まずスーパーGTや全日本ラリー、WRCなどのプロドライバーが高い目標設定を行い、課題を明確化。そこで得られたデータを縦割り組織でではなく、チームを横断したかたちで活用してすぐに開発に反映させていくクロスファンクショナルチームで具現化していくという手法が取られたという。まさにレーシングガレージが作ったスポーツカーのようだが、齋藤氏によれば、これは「従来のトヨタ自動車という大会社、大組織では無理なことで、カンパニー制を採用したことで小回りが効くようになったからこそ可能だった」という。
スポーツカーの火を絶やさないためには、それこそ1円でもいいから利益を出し続けることが必要。小規模生産ながら、それをクリアできる体制ができたからこそ、GRヤリスは世に出ることとなった。トヨタとしては、先に書いたように手ごろな価格でこのクルマを出し、しかも継続して楽しんでもらえるような仕掛けもさまざま考えているようだから、この後の発表も楽しみに待ちたい。とにかくこのクルマ、走ることが好きな人なら、大いに期待して待っていて間違いない1台だと断言しよう!
〈文=島下泰久 写真=山内潤也&難波賢二〉
トヨタGAZOOレーシングが放つスポーツカー第2弾、「GRヤリス」が2020年1月公開!
東京オートサロンではトヨタGAZOOレーシングの最新WRC参戦マシンなどもお披露目!
トヨタは、2020年1月10日から12日の3日間、幕張メッセで開催される東京オートサロン2020で「GRヤリス」を世界初公開する。GRヤリスは、「GRスープラ」に続くトヨタGAZOOレーシング(TGR)が展開するスポーツカーシリーズ、「GR」のグローバルモデル第2弾となる。
TGRは、モータースポーツ活動を通じてクルマを鍛え、人を鍛える「もっといいクルマづくり」に取り組んでおり、国内外を問わず草の根から世界選手権まで幅広い競技に参戦している。中でも、FIA世界ラリー選手権(WRC)においては2017年に参戦復帰。2018年はマニュファクチャラー選手権、2019年はドライバーおよびコ・ドライバー選手権などのタイトルを獲得している。GRヤリスは、そんなTGRがWRCで学び・鍛えた知見を惜しみなく投入したモデル。すでに世界初公開に先がけ、マスタードライバーでもあるモリゾウこと社長の豊田章男氏が最終テストを行なった映像が公開中だ。
なお、東京オートサロンではGRヤリスに加えWRC2020年参戦車両やGRパーツ装着車両、GRスープラではGT4車両、スーパーGT参戦車両、GRパーツ装着車両を展示予定。さらにコンセプト車両の「86ブラック・リミテッド・コンセプト」や、「TS050ハイブリッド」2019年ル・マン優勝車両などモータースポーツ車両の展示や、トヨタGAZOOレーシング・ワールド・ラリーチームの2020年新体制とGRヘリテージパーツプロジェクトの発表も予定されている。
トヨタGAZOOレーシング WebサイトURL https://toyotagazooracing.com/jp/eventexhibition/tokyoautosalon/
【270馬力のヤリスGR-4 カローラGRスポーツ発売】トヨタGR怒涛の新車攻勢!!
トヨタは、スポーツ性の高いモデルの開発を担う社内カンパニー、GAZOO RACING(ガズーレーシング)が手がける3つのGRブランドのうち、GRスポーツ(GR SPORT)のラインナップ拡大に積極的だ。
GRスポーツは、エンジンやトランスミッションなどに手を入れることはなく、ボディの補強やサスペンションのチューニングでオンロードでの走行性能を高めるのが狙い。
これまで、GRスポーツにはスポーツモデルの86からノア/ヴォクシーのようなミニバン、ハリアーのようなSUV、エコカーのアクアまで9車種に設定されてきた(GRは2車種、GRMNは2車種)。
近々では2019年10月15日にコペンGRスポーツを設定。その発表から3日後の10月18日にはC-HRのマイナーチェンジと同時にC-HR GRスポーツを発売。
そして2019年12月5日、トヨタモーターヨーロッパは2020年1月に欧州でカローラスポーツGRスポーツを発売すると発表した。日本では2020年夏頃になる見込みだ。
こうしたGRスポーツのほかにも、2020年2月に発売予定の新型ヤリスには1.6L、直3ターボ(270馬力と予想)のヤリスGR-4が設定される。
当初、2019年11月17日から開催されるラリーオーストラリアでプロトタイプが初公開される予定だったが、森林火災の影響で発表は中止。12月4日にトヨタ公式You Tubeにてティザー動画がアップされた。
https://www.youtube.com/watch?v=O_tJYpjA-h4
24秒間のヤリスGR-4のティザー動画
正式発表は、2020年1月の東京オートサロンで公開される可能性が高い。 発売は、2020年8月になる見込みだ。
盛り上がりをみせるトヨタGRブランド。今後どんなクルマがデビューするのか? 今わかっていることすべてをお伝えしよう。
文/ベストカーWEB編集部
写真/ベストカーWEB編集部
CGイラスト/ベストカー編集部
【画像ギャラリー】これまで販売されたGRMN車種の凄さ
GRMN、GR、GRスポーツという3つのブランド
モリゾウこと豊田章男社長の肝いりで始まったGAZOO RACINGが担うスポーツブランド、GR
まずは、GRブランドを知るうえで重要な、3つに分かれているブランドについて説明しておきたい。
トヨタは新しいスポーツブランドとして「GR」を2017年9月17日に発表した。GRとは「GAZOO Racing(ガズーレーシング)」の頭文字で、トヨタ自動車本体にある社内カンパニーのひとつ。
モータースポーツ活動と、それとリンクしたスポーツ性の高いモデルの開発を担う社内カンパニーだ。
GRブランドのテーマは「すべての人に、スポーツカーのある楽しさを」である。目的に応じてチューニングのレベルは3段階設定されているものの、デザインテイストは共通で、イメージの統一が図られている。
具体的には、「ファンクショナル・マトリックスグリル」を採用したフロントフェイスや“非日常的な華やかさ”を追求したスポーティなインテリアが特徴となっている。
GRはこれまでのスポーツコンバージョン車シリーズ「G's」に代わるもので、GRMN/GR/GRスポーツと3ブランドに細分化している。
最高峰に位置するのが「究極のスポーツモデル」の「GRMN」。走りの味を追求するために専用エンジンが与えられ、限定生産となる。
さらにその下にはドライブトレーンにも手を加えた量産型スポーツモデルの「GR」があり、操る喜びを日常的に実感できることを目指している。
そして、最近急速にその数を増やしているのがエントリークラスで「拡販スポーツモデル」という位置づけの「GRスポーツ」。専用デザインに加えてボディとシャシーにファインチューニングを施している。
これらに加え、ノーマル車のユーザー向けに「GRパーツ」も用意。好みに応じたドレスアップを楽しむことができる。
最近、急速に増えているのがエントリーモデルであるGRスポーツ
2019年10月15日発売/コペンGRスポーツ
フロントマスクはGRのアイデンティティである「ファンクショナル・マトリクス・グリル」が採用され精悍さが増したコペンGRスポーツ
次に、最近リリースされたコペンとC-HRのGRスポーツを紹介しておこう。2019年10月15日に発表されたコペンGRは、ダイハツとトヨタ GRカンパニーの間で初の協業となったもので、車両開発をダイハツで行ない、GAZOO Racingの開発実験ドライバーの意見を反映したモデル。
画期的なのは、ダイハツとトヨタの全チャンネルで販売されることだ。両販売店で売られるクルマはバッヂも含めて共通。
エクステリアでは、水平基調のフロントグリルと空力を意識した角ばったフロント&リアバンパーが特徴だ。どこか愛嬌のあるコペンが一気に精悍になった印象である。
インテリアではGR専用の自発光式3眼スポーツメーター、ピアノブラック調センターコンソール、レカロシート、MOMOステアリングホイールなどに目がいく。
足回りはスプリングやショックアブソーバーを最適化するなどサスペンションを刷新し、専用のBBS製鍛造16インチアルミホイール(タイヤはブリヂストンPOTENZA RE050A 165/50R16)も標準装備。
「しなやか」「ちゃんと動く足」「動かない目線」をモットーに、前後足回りのスプリングは既存のスポーツグレード「S」やノーマルコペンより柔らかくしてあるそうだが、その分、専用開発のKYBのダンパーでしっかり動きをコントロールするというコンセプト。
さらに専用に追加したフロア下のフロントブレースやセンターブレースなどの補強パーツが効いていて、ボディ剛性がノーマルとは段違いだという。
試乗した自動車評論家、小沢コージ氏は、
「足がちゃんと動くし、タイヤがあらゆる領域でちゃんと接地してる感じ。実際、走り味は発進直後から全然違って、乗り心地はもちろんステアリングフィールが一段上質に変化した」と絶賛。
注目の価格はCVTモデルが238万円、5速MTモデルが243万5000円。コペンローブSと比べると、CVT車で29万円高、5MT車で32万3000円高という価格差(※コペン GRスポーツのMT車は「フロントスーパーLSD」が標準装備)。
2019年10月18日発売/C-HR GRスポーツ
19インチホイールを履いているにもかかわらず、上質でしなやかな乗り味だったという
続いて2019年10月18日に発売されたC-HR GRスポーツ。マイナーチェンジモデルチェンジ後のスタンダードモデルは、ダンパーがザックスから日立製となり、キュッと締まった感じから乗り心地志向となった。それに対してGRスポーツは、ブレース、スタビライザーが追加され、足回りを変更し、タイヤは18インチから19インチにアップされた。
注目の走りについて、試乗した清水草一氏は、
「ノーマルもGRスポーツもしなやかで適度にスポーティな走りという方向性はまったく同じだが、ノーマルよりもGRスポーツのほうがしなやか。嫌な路面からの突き上げなしに19インチを履きこなすというのはノーマルより高級な乗り味だ。これ以上スポーティにして質感を維持するにはさらにコストをかける必要があるだろうから、いい落としどころではないか」とこれまた絶賛。
エクステリアではヘッドライトとリアランプの意匠が変更され、フロントマスクはGRのアイデンティティである「ファンクショナル・マトリクスグリル」が採用され、精悍さが増した。
C-HRの価格帯は240万~309万5000円。マイナーチェンジ前の同グレードと比べると、STが6万7593円のアップ、G-T、S、Gが1万1556円のアップ。
一方、 GR SPORTSは、1.2LターボのS-T GR SPORTSは273万2000円。1.8LハイブリッドのS ”GR SPORTS”は309万5000円となっている。
価格差は1.2LターボのSTとST”GR SPORTS”、1.8LハイブリッドのSとS”GR SPORTS”ともに36万5000円となっている。
注目の6速iMTは1.2LターボのS-T、G-T、S-T”GR
SPORTS”に設定されており、CVTに比べ3万3000円安となっている。
カローラスポーツ GRスポーツは2020年夏日本発売
カローラスポーツに設定されるGRスポーツは2020年夏頃に日本発売となる見込み
さて、今後、どのようなGRの新規モデルが発売されるのだろうか? まずは、カローラスポーツのGRスポーツだ。2020年1月から欧州で発売され、日本では2020年夏頃に発売される見込み。同じ時期にマイナーチェンジ後のプリウスをベースにしたプリウスGRスポーツが設定されるという情報も入ってきている。
カローラスポーツGRスポーツのフロントマスクは、「ファンクショナル・マトリクスグリル」は採用されておらず、ダーククローム仕上げの専用フロントグリル、専用ロアスカート、専用18インチのアルミホイール、サイドロッカーパネル、ディフューザー、ツインテールパイプなどを装備し、スポーツハッチに仕立てられている。
インテリアはGRスポーツ専用の黒と赤のステッチが配され、ブラック&グレーのファブリックのスポーツシートを採用したほか、オプションでフルレザーが用意される。
欧州仕様のカローラGRスポーツのパワートレーンは、1.8Lハイブリッドと、2Lのハイブリッドが設定されるが、日本仕様はノーマルのカローラスポーツハイブリッドと同じ1.8Lハイブリッドがラインナップされるだろう。
こちらはタイで発表された新型カローラアルティスのGRスポーツ。アグレッシブなフロントマスクがカッコいい。これが日本で販売されるカローラセダン&ツーリングのGRスポーツの顔になる可能性が高い
ヤリスGR-4はどうなる?
2020年2月に正式発表される新型ヤリス
ティザー動画に写っていたヤリスGR-4のフロントの一部分
ティザー動画に写っていたリア、サイドの一部分
ヤリスGR-4は、2019年11月17日のラリーオーストラリアでプロトタイプが発表される予定だったが、森林火災の影響でラリー自体の開催が中止になったことからヤリスGR-4の発表も中止になった。
その後、トヨタは2019年12月4日に公式You TubeでヤリスGR-4のティザー画像をアップした。
この映像を見て疑問に思った人は多いハズだ。そう、2020年2月に発売される新型ヤリスは、欧州仕様も含めて全車5ドアボディになる。
ところが公開されたヤリスGR-4は3ドアで、ノーマルのヤリスとは別モノのワイドボディだ。ホイールベースの短縮や補強などもされるからGR-4専用開発と考えていい。
注目は搭載されるエンジン。現在のヤリスWRカーは4気筒エンジンだが、ヤリスGR-4は専用開発の1.6L、直3ターボエンジン。そのスペックは270ps/350Nmになると予想されている。
駆動方式はもちろん4WDで、ターマックだけでなく、グラベルでの旋回性能を高いレベルまで上げるためにヤリス専用に開発されたものだ。
ヤリスGR-4は、2020年1月10日から開催されるオートサロンで公式発表される可能性が高い。価格の発表は2月以降になる見込みだが、同時に事前予約が開始される。
ただ従来のGRMNと異なり、限定車ではないという情報が入ってきており、納車が始まるのは2019年8月以降になるとのこと。気になる価格は350万~370万円と予想。
またベース車には現行ヴィッツ同様、GRスポーツとGRが設定されるが、こちらは1.5LのNAエンジンを搭載する。
クラウンGRMNはどうなった?
開発が一時的に凍結されてしまったクラウンGRMN(ベストカー予想CG)。その走りの性能は高そうなだけに非常に残念!!
注目を集めていたクラウンGRMNだが、中断、凍結……、表現はいろいろとあるのだが、完全に中止となったということではなく、当面は開発をストップし、具体的な投入計画は白紙に戻す、ということになったらしい。
開発の現場では非常に前向きに進められ、実際、現行型クラウンの開発過程ではGRMNを念頭においた企画が進行していた。
しかし、新型に切り替わって1年を過ぎたクラウンだが、トヨタ上層部の判断としては販売的に”厳しい”と見ているようなのだ。
基準車が必ずしも大ヒットとはいえない状況のなか、あえてスポーツ性能を高めたGRMNモデルを投入しても販売的に苦戦を強いられると見て投入を見合わせるという。
クラウンGRMNは基準車にはない422ps/61.2kgmを発揮する3.5L、V6ツインターボエンジンを搭載。
さらに高めたシャシーチューニング、ボディ剛性アップなどにより、ベンツのAMGモデルやBMWのM5のような本格的Dセグメントスポーツサルーンを目指したモデル。
クラウンの持つ基本プラットフォームのポテンシャルの高さをベースにすれば、ハイレベルのスポーツサルーンが完成することは間違いない。
ただ、価格的には1000万円をオーバーすることになり、レクサスモデルとの価格バランス、また欧州スポーティサルーンとの価格面での競争力などを考えると「難しい」との判断になった模様。
ただし、完全に開発を中止したのではなく、現段階では中断とのことなので、再開に期待をしたい。マークGRMNは完売するなど引き合いがあるのも事実で、クラウンでも実現される可能性はある。
また、こちらもかねてから情報のあるC-HR GRMNは開発は続行されているという。こちらもニュル仕込みでそもそものポテンシャルが高いシャシーも特徴。
価格についてもクラウンのような超高価とはならず、頑張れば手の届く1台になりそうだ。
RAV4 GRスポーツは鋭意開発中!
TNGAによりノーマルでも評判が高い走りのよさがGRスポーツになることで、さらに上質でしなやかな乗り味になりそうだ(ベストカーが製作した予想CG)
現行型RAV4はオフロード性能の高さをアピールしているが、GRスポーツではあえてオフロード性能を犠牲にしてもオンロードでのフットワークを高めることでノーマルシリーズとの差別化を明確にする。
最低地上高はあえて下げ、オフロードイメージのブラックのフェンダーモールは、ボディ同色のオーバーフェンダーのようなデザインとすることで大きく外観の雰囲気は変わる。
GRカンパニーではすでに開発に着手しているという情報で、再来年の2021年の市場投入を目指しているという。
一方、日本国内では2019年3月にデビューしたばかりだが、北米では2018年12月より発売されていて、2022年秋にはマイチェンが予定されている。
現在RAV4は販売的には絶好調ということもあり、トヨタ本体ではマイチェン後のモデルにGRスポーツを設定するべきであるという意見もあり、そうなるとGRスポーツ投入時期が若干後になる可能性もある。今後の情報を注視していきたいと思う。
スープラGRMNは2021年後半デビュー!
GRMNモデルになって過激な走りになるのか、楽しみだ(ベストカーが製作した予想CG)
そのほか、トヨタはすでにGRスープラにもGRMNを設定することを公表している。早ければ2021年に登場しそうだ。
あと気になるのは、2018年秋に公開され、2019年1月の箱根駅伝でも走ったセンチュリーGRMNは2台存在するが、これは市販化はされないもよう。
2019年1月の東京オートサロンに出展された漆黒のセンチュリーGRMN。箱根駅伝バージョンは純白で両モデルともナンバー付きだったが市販化はないもよう
最後にもう1台。WECに参戦しているTS050で得られたノウハウをフィードバックしたGRMNスーパースポーツが登場する。
2019年6月、トヨタ GAZOO Racingは、トヨタ自動車のプレスカンファレンスにおいて、WECに2020年から新設される「ハイパーカー」カテゴリーに今回の「GRハイパースポーツ」をベースにしたレーシングカーで参戦することを発表している。
そうした経緯から「GRハイパースポーツ」も2022年度中のデビューも予定されているということなのだが、一部ではすでに優良顧客に向けた案内も始まっているという。
それにより初期ロットの国内割り当てぶんについてはすでに枠が埋まっており、抽選により購入者を決定することになりそうだという。
価格についてはまだ確定していないということなのだが、「2億~3億円程度」になることは確実。
デビューは2023年1月の東京オートサロンの頃か。世界にGRの存在感をアピールする、超本格派のロードゴーイングマシンが姿を現わす日も近い。
市販開始は2022年度中と予定されている。価格については決定しておらず、2億円とも3億円ともいわれているが、それでも購入希望者は多く、すでに初期生産分は「完売」状態だという(上記画像2点はベストカー予想CG)
【ラリーシーンから派生】トヨタGRヤリス、1月に披露 東京オートサロン2020で
東京オートサロンで披露されるGRヤリス
text:James Attwood(ジェームズ・アトウッド)
トヨタは来月、ホットハッチバックGRヤリスを発表する。
新しいモデルにはトヨタの世界ラリー選手権の経験から開発された技術が組み込まれることとなる。
GRスープラに続き、トヨタのGazoo(ガズー)レーシングブランドのGRスポーツカーラインの2番目のモデルとなるGRヤリスは、1月10~12日に東京オートサロンで初めて披露される。
当初は、12月初めのラリー・オーストラリアで発表される予定だったが、壊滅的な山火事が原因でイベントがキャンセルとなっている。
GRヤリスに関する技術情報はまだ公開されていないが、ヤリスWRCで参戦し世界ラリー選手権のタイトルを獲得したチームから学んだ「すべての技術、知識、経験を取り入れた」とトヨタは述べている。
現在テスト中のこのモデルは、コード「GR-4」を特徴とするカモフラージュを施されていて、WRCバージョンを継承した4輪駆動エンジンを搭載することが予想される。
トヨタが公表したビデオには、同社のCEOであり、マスタードライバー「モリゾウ」として活躍する豊田章男が、GRヤリスのテストドライブをする様子が映し出されている。
プロトタイプモデルは、12月15日に日本で開催されるトヨタガズーレーシングフェスティバルにも登場する。
モータースポーツ活動との関係性を強める
限定版として発売されたスモールハッチのトップグレードモデル、ヤリスGRMNを継承するこのGRヤリスは、ヤリスGRMNよりも多く生産され、「ホモロゲーション・スペシャル」として、次世代のヤリスWRCのベースとなる可能性も高いだろう。
画像からは、既存のヤリスのスタイルを引き継いでいることがわかるが、かなり幅の広いリアホイールアーチと、高性能モデルに合ったアグレッシブなボディキットが追加されている。
カモフラージュの柄からも、最近復活したスープラなどのホットな高性能モデルとの関係性が感じられる。
新しいヤリスの発表時に、トヨタのエグゼクティブ・プレジデントを務めるマット・ハリソンは、AUTOCARの取材に対し次のように述べている。
高性能バージョンは、トヨタの公道用市販モデルと、Gazoo(ガズー)レーシングでのモータースポーツ活動との関係性を強めるものになる、と。
近年、トヨタは高性能モデルの開発に対し、Gazooレーシングのブランドイメージを展開することに力を入れている。
GRエンブレムが与えられたライトチューンのものの上には、ハードコアなGRMNを設定。「本物のスポーツモデル」という位置付けを取っている。
またGRスポーツ・グレードを各モデルにも提供。メカニカルな部分での変更はないものの、スタイリング上のスポーティさを演出している。
ちなみにトヨタは、2018年に世界ラリー選手権でマニュファクチャラーズ・タイトル(自動車メーカーとしての優勝)を獲得。
ヤリスWRCをドライブしたオット・タナクはドライバーズ・タイトルを獲得した。
【トヨタ20年ぶりの自社開発スポーツカー】新型「GRヤリス」の奥深い魅力とは
■新型ヤリスとは全然違う? GRヤリスの凄さとは
2017年、18年ぶりにWRCの復帰を果たしたトヨタ。WRCへの参戦理由は「勝つ事」と「もっといいクルマづくり」のためです。
GRカンパニーの友山茂樹プレジデントは「モータースポーツ活動で得たノウハウや知見、人材を車両開発に直接的に投下していくのが、我々のクルマ作りの基本です」と語っていますが、ズバリWRCの知見を盛り込んだロードカーが「GRヤリス」になります。
じつはこのGRヤリス、1999年に生産終了した「セリカ GT-FOUR」以来、トヨタとして20年ぶりのスポーツ4WDモデルです。
開発を担当した齋藤尚彦氏は「セリカGT-FOURをやめて以降トヨタはスポーツ4WDの技術・技能を失っていました。失った20年を取り戻すためには『モータースポーツから学ぶ』ことが最短の近道であると考えました。さらにトヨタがもっとも苦手とする『少量生産』への挑戦もおこなっています」と語っています。
今回、2010年1月に開催する東京オートサロン2020でのワールドプレミアムに先駆け、詳細の一部発表に加えて、プロトタイプに試乗することができました。
開発コンセプトは「Strong Sport Car」と単純明快で、具体的には「次期WRCホモロゲモデル」、「素のままでもローカルラリーで勝てるパフォーマンスを備える」、「誰でも購入可能なスポーツモデル」だといいます。
その実現のためには「高い目標」と「課題の明確化」をおこなったとし、クルマ作りもトヨタのさまざまなカンパニーと連携しながら開発をおこなう「クロスファンクションチーム」を実施。これらトヨタ×TMG(トヨタモータースポーツ有限会社)×TMR(トミ・マキネン・レーシング)と3極連携で開発をするやり方は、WRCのマシン開発に近いそうです。
外観デザインは、ベースの新型「ヤリス」にはラインナップされていない3ドアハッチバック、それも単純にドアの枚数を減らしたのではなく、ボディライン自体が異なります。
これは空力を考慮した“機能”のためです。またフェンダーも大径タイヤを装着するためにワイド化されており、結果としてノーマルよりもグラマラスなスタイルです。
ちなみに軽量化のためにこのクラスでは贅沢なカーボン製ルーフ、アルミ製ボンネット/ドアを採用するマルチマテリアルボディとなっています。
内装デザインは、インパネ形状など基本的な部分は標準モデルの新型ヤリスと共通ですが、専用のステアリングやメーター、スポーツシートを採用。
全体的なまとまりは非常にいいのですが、個人的にはメーターはもう少し遊んでもよかったと感じました。シフトレバーの前には前後駆動力配分を変更可能なドライブモードスイッチも加えられています。
また、JBL製オーディオシステムや運転支援デバイス、大人が乗っても似合うインテリアコーディネイトなど、日本のスポーツカーが苦手だった部分に関しても抜かりはないようです。
パワートレインは、GRヤリス用に新開発された1.6リッター直列3気筒ガソリンターボエンジンと6速MTの組み合わせになります。
詳細なスペックは未公表ですが、専用エンジンブロック/シリンダーヘッド、ボールベアリングターボ、排気バルブの大径化などが採用されており、出力はもちろん、クラス最軽量/最小サイズも特徴だそうです。
前出の齋藤氏によると「これもWRCからのフィードバックで出力/レスポンス/軽量化にこだわりました」と説明します。
AWDシステムは、スバル「WRX STI」や三菱「ランサーエボリューション」のような複雑な機構ではなく、シンプル/軽量化にこだわったハイレスポンスカップリングを採用。
前後駆動配分はアクティブに変更できますが、3つのドライブモード(ノーマル 60:40、スポーツ 30:70、トラック 50:50)がセレクト可能です。
プラットフォームは、標準モデルの新型ヤリスと同じくGA-Bながらリア部分は専用開発となっています。
サスペンションは、フロントがストラットでリアはマルチリンクの専用品。ブレーキは、対向ブレーキキャリパー+大径ローター、タイヤは225/40R18サイズのミシュラン・パイロットスポーツ4S、ホイールは鍛造のBBS製が装着されています。
■クルマと対話ができる? 走りの魅力とは
新型GRヤリス(プロトタイプ)の試乗は、ターマックとグラベルの2か所。ターマックは市販に近いプロトタイプ(外装が新型ヤリスベース)です。
グラベルのプロトタイプは外装が現行ヴィッツで、中身はすべてGRヤリスという初期のテスト車両に現在開発中のラリー用パーツ(強化クラッチ、クロスミッション、サスペンション)を加え、ラリータイヤを装着した特別なモデルとなります。
どちらも試乗時間10分という短い時間でしたが、その魅力を直感的に感じることができました。エンジンは、小排気量ターボながらもターボラグを感じないフラットなトルク特性とレスポンスの良さ、そしてレッドゾーン(7000rpm)までストレスなく回る気持ち良さがあります。
体感的には250馬力オーバー、350Nmオーバーの実力があると感じましたが、アクセルを踏んだときの応答性やツキの良さは2リッターターボエンジンを搭載するWRX STIを大きく超えていると思います。
ストロークはやや長めで軽いタッチながらもカチッと決まるフィーリングの6速MTは、横置きMT最良といっていいかもしれません。
ちなみにセンターコンソールにはiMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)のスイッチがあり、今回は使用しませんでしたが、シフトダウン時にブリッピングもおこなってくれます。
ハンドリングは、まず「軽さは正義」であることを実感しました。体感的には1200kg代後半といった感じでしょうか。
ターマックは、ウエットな路面の上に低速かつRがキツいコーナーがメインのコースでしたが、セオリー通りに走る限りは4WDを感じさせない素直なハンドリング特性で、リアの安定性も非常に高いレベルと感じましたが、ウエット路面に関してはリアに対してもう少しフロントが粘ってくれると安心感は高まるでしょう。
また、シートポジションはやや腰高に感じ、ターマックではもう少し低めに設定できたほうが一体感は増すと思いました。
コーナー進入ではドライバーの操作次第でアンダーもオーバーも可能な自在性を備えています。ただ、クルマ自体の限界がかなり高い所にあるので、円旋回をスライドしたまま繋げるにはドライバーの腕も要求されます。
ちなみにドライブモードはノーマル(安定方向)、スポーツ(ノーズが入りやすい)、トラック(バランスの良さ)と、各モードの差は解りやすいと思います。
一方、グラベルでは路面のグリップが低いので思い切って振り回して走らせることができましたが、ボディのカッチリ感と自分の手足の如く意のままに操れることにビックリです。
コースはパイロンで作られた8の字レイアウトでしたが、1周を繋げて走らせることはもちろん、パイロンギリギリまで近づけられるコントロール性の高さ、そして絶対的なスピードは高いのにクルマの動きがスローに感じるくらいの余裕がありました。
ただ、ダートで気になったのはペダルレイアウトで、普段は気にならないのですが素早い操作のときにアクセル/ブレーキの間隔がやや広い感じることです。クルマが良くなると細かい所が気になってくるのです。
今回、両方のコースを走って解ったことは、基本は安定志向ですがドライバーの操作で引出しがたくさん用意されている、仮にドライバーが失敗したら失敗をシッカリ教えてくれる、つまり、「クルマとの対話」がしやすいことで、この辺りは「86」や「スープラ」にも通じるトヨタの「味」なんだろうなと思います。
今回は性能の一部を味見した程度でしたが、正直に白状するとGRヤリスの持っている引出しを見つけるために「時間があればいつまでも乗っていたい」と思ったくらいです。
もちろん、細かい部分で気になる所もありますが、現在も開発は続けられているようなので、市販時までに改善を期待したいところです。
価格も多くの人が頑張れば手に入るプライスが予想され、2020年の正式発表が楽しみです。
ちなみに筆者(山本シンヤ)は久々に直感的に「欲しい!!」と感じた一台であり、資金の目途さえ付けばぜひとも手に入れたいと思っています。
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Posted at
2019/12/21 08:38:25
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