セリカGT-FOUR以来、20年ぶり!やりすぎヤリスが降臨 【東京オートサロン2020】
ついにフルヌード。トヨタのモータースポーツ部門、トヨタ ガズーレーシングが手掛けた本格4WDスポーツ、それがGRヤリスだ。2020年1月10日、東京オートサロン2020で鮮烈なデビューを飾り、同日先行予約を開始した。発売は2020年夏ごろを予定する。
いきなりだがスペックの紹介から。新開発エンジンは1.6リットル直3ターボで、272馬力/37.7kgmを発生させる。トランスミッションは、自動ブリッピング機能「iMT」付きの6速。駆動方式は4WDで、新開発のシステム「GR-FOUR」を搭載。あの、セリカGT-FOUR以来、20年ぶりの本格4WDスポーツの復活。しかも、トヨタの工場で造られる、正真正銘“トヨタのスポーツカー”なのである。
ボディサイズは、全長3995mm×1805mm×1460mm。ホイールベースは明かされておらず、3サイズも社内測定値だ。
今回予約受注を開始したモデルは導入記念のファーストエディション。バリエーションは2つあり、RZは396万円、RZハイパフォーマンスは456万円となっている。
2月10日に発売する新型ヤリスは、139万~249万3000円。それと比較してしまえば、「GRヤリスってそんなに高いの!?」という声が聞こえてきそう。でも、前述のスペックを振り返ってほしい。完全に別物のマシンなのだ。
新型ヤリスは、世の情勢と同じように3ドアを廃止。グローバルで5ドアに統一した。一方でGRヤリスは、専用の3ドアボディを開発。ヤリスと共通形状なのはヘッドライトぐらいで、GRブランドで統一される台形グリルのみならず、前後の超ワイドなフェンダーしかり、クーペルックなルーフラインしかり。「ヤリス」という名前でつながるものの、まったく違うクルマだ。
何せ出生が違う。GRヤリスは、WRCのホモロゲーションモデルとして開発。おそらく2021年シーズンからこのクルマをベースとしてWRC参戦を見据えている。2017年シーズンから参戦しているヤリスWRCで培った技術を盛り込み、造り込まれたクルマなのだ。
東京オートサロンでGRヤリスのお披露目を仕切ったガズーレーシングカンパニー 友山茂樹プレジデントはこう語る。「『BORN FROM WRC!』。このクルマのコンセプトは明快です。一言で言うなら、『ラリー王国トヨタを不動のものとするウエポン』であります」。
本気度がハンパではない
GRヤリスの大きな使命。まずひとつは、前述したWRCマシンのホモロゲーション車両としての役割。WRCで使われるWRカーは市販車に対して非常に改造範囲が広いとはいえ、ベース車の素性が戦闘力に大きく関わってくる。車重、前後バランス、サスペンション取り付け位置、空力特性など、さまざまな点で優れたベース車両が必要となる。その点で現行WRカーは車重が30kg重く、空力やサスペンションストロークの点でも妥協を強いられているという。GRヤリスは年間2万5000台という生産台数をクリアしてホモロゲーションを取得、WRCで勝てるマシンの土台となる役目がある。
もうひとつが「素の状態でローカルラリーに勝てるポテンシャル」を持つものとして、しかも「誰でも買えるスポーツカー」として世に出すことだ。つまり手ごろな値段、そして速くなければならない。
そのためGRヤリスは、ヤリスをベースとしながらボディ形状を大胆に変更。3ドアとしたのはリヤホイール周辺のボディワークの自由度を高めるためであり、全高を下げたのはフロアからの高さが規定されているリヤウイングに風を効率よく当てるためである。すべてのデザインに理由があるのだ。
さらに、軽量化のため前後フードと左右のドア、リヤゲードなどの蓋物はアルミ製に。そして驚くべきことにカーボンルーフが全車に標準装備となる。もちろんコストをかければ何でもできるが、「誰でも買えるスポーツカー」としてそれを実現するために、SMC(シートモールディング・コンパウンド)と呼ばれる短繊維の樹脂で固めるかたちの成形法を用いてコスト上昇を抑えている。表面がマーブル模様となるのが特徴だ。
新開発のスポーツ4WDとは?
プラットフォームは、TNGA思想に基づきながら、これまたWRCの現場からのフィードバックを踏まえて新たに開発。高剛性かつ軽量なボディとの組み合わせは、走りの楽しさを高次元で味わわせる。その最大の特徴は新開発のスポーツ4WDシステム。重さを嫌い、レスポンス重視の多板クラッチによる前後駆動力可変システムを採用した。その可変度合いは自由度が高く、ハイパワーを余すところなく四輪に伝える。
どんな乗り味なのか相当気になってきたのではないだろうか。そんなGRヤリスの本気度はプロトタイプ試乗インプレッションで確認してほしい。
【GRヤリスに乗った】ヤリスとは別モノのスポーツカー。ホモロゲモデルなんて久しぶりに聞いた!
【GRヤリスに乗った】ヤリスとは別モノのスポーツカー。ホモロゲモデルなんて久しぶりに聞いた!
〈ファーストエディション〉
■発表:2019年1月10日
■発売:2020年夏ごろを予定
■先行予約:1月10日~6月30日
■バリエーション&価格(ファーストエディション)
〈4WD・1.6L直3ターボ・6速MT〉
RZハイパフォーマンス:456万円
RZ:396万円
■GRヤリス ファーストエディション(4WD・6速MT)主要諸元 【寸法mm・重量kg】全長×全幅×全高:3995×1805×1460 ホイールベース:ー 車両重量:1280kg 【エンジン・性能】型式:G16-GTS 種類:直3DOHCターボ 最高出力:200kW(272ps) 最大トルク:370Nm(37.7kgm) 乗車定員:4人 【諸装置】サスペンション:前ストラット/後ダブルウイッシュボーン ブレーキ:前後Vディスク タイヤサイズ:225/40ZR18
〈文=driver@web編集部 写真=岡 拓〉
トヨタは「自社開発のスポーツカーが欲しかった」 20年ぶりの新型スポーツ「GRヤリス」の存在意義とは
■いままでのトヨタ方式がGRヤリスによって変わる!?
トヨタは、東京オートサロン2020で新型「GRヤリス」を初公開。そのお披露目では、サプライズゲストとして登場した豊田章男社長が語った「トヨタが自らの手で作るスポーツカーが欲しかった」という言葉が印象的でした。
トヨタはいま、スポーツカーのラインナップ構築にもっとも力を入れている国産自動車メーカーです。同社には「86」も「スープラ」もありますが、いずれも開発から設計までを、86はスバルとスープラはBMWというトヨタ以外のメーカーが担っています。
デザインや商品企画、そして走りの味付けなどはトヨタがおこなっているのですが、完全にトヨタの手で作られていないことを気にする人は少なくないようです。しかし、もっとも気にしていたのは章男社長自身だったのかもしれません。その気持ちの表れが冒頭の言葉といえるのでないでしょうか。
WRC(世界ラリー選手権)に出場するために開発されたGRヤリスは、そんな章男社長にとって待望のスポーツカーといえるでしょう。
ボディは、5ドアの標準ヤリスとは異なる3ドアで、全幅はオーバーフェンダーによって標準車の1695mmから1805mm、さらに110mmもワイド化されているのだから驚きです。
エンジンは、272psを発生する排気量1.6リッターの直列3気筒ターボで、駆動方式は“GR-FOUR”と名付けられた新開発のスポーツ4WDシステム。小さな車体にハイパワーエンジンを搭載した、まさにリトルダイナマイトといえるキャラクターです。
ボディはエンジンフード、ドアパネル、そしてテールゲートをアルミ化。また天井をカーボンとするなど高価な素材を使って徹底的に軽量化と低重心化をすすめ、さらにバッテリーをエンジンルームではなく荷室床下に置くなど前後重量バランスの最適化を図っているのも、一般的なトヨタの量産車作りとは大きく異なる部分です。
じつはこのGRヤリスは、単なるヤリスのスポーツモデルではありません。WRC(世界ラリー選手権)で戦うためのベース車両です。
トヨタにとってラリー参戦用のホモロゲーションモデル(競技に出場するために性能を高めて認証を取得する特別仕様)の設定は1991年8月にデビューしたST185型「セリカGT-FOUR RC」以来29年ぶり。トヨタがWRCと、このGRヤリスに大きな期待を込めていることが理解できます。
豊田章男社長は、GRヤリスのお披露目の場で、次のようなコメントをしています。
「これまでは一般のお客さまが使うクルマを作り、レースに使えるように改造していた。しかし今度は違います。ラリーに勝つために普段乗るクルマを作りました」
GRヤリスが初期段階から特別な目的をもって開発されたことがわかります。単なるスポーツモデルではなく、競技で勝つことが目的なのです。
しかしいっぽうで、運転する人を選ぶのではなく、「多くのお客さまに“クルマを操る楽しさを教えてくれる”。そんなクルマでもあります」とGAZOO Racing Companyの友山茂樹プレジデントは話します。
そんなGRヤリスは、作り方も通常のトヨタ車とは異なります。なんとトヨタはGRの特殊なモデルのために新たなライン「GRファクトリー」を新設。
従来ベルトコンベアでの流れ作業が一般的ですが、GRヤリスは台車に乗せて熟練の職人が丹念に1台ずつ作る、まるでスーパーカーのような生産方式としているのだから驚きます。
これにより、一般的なベルトコンベア式のラインのように製造時間の制約がなく、自由度の高い車両生産を実現。
トヨタが得意とする大量生産ではなく、多品種少量生産を可能にしました。なんとGRは製造ラインのありかたやクルマの製造方法まで従来のトヨタ車とは変えてしまったのです。
そんなチャレンジが意味するのはGRヤリスに留まらず、特殊なモデルが今後も登場するということにほかなりません。
セリカ GT-FOURの再来! WRC制覇を狙う「GR ヤリス」誕生【東京オートサロン2020】
GR YARIS
GR ヤリス
6月末まで先行予約を開始! 価格は396万円から
TOYOTAは東京オートサロン2020の会場にて、FIA世界ラリー選手権(WRC)のホモロゲーションモデル「GR ヤリス」を世界初公開。特別仕様車としてRZ“First Edition”とRZ“High-performance・First Edition”を設定し、1月10日から6月30日までの約6ヵ月間、Web限定で先行予約をスタートした。
「BORN FROM WRC!」
GR ヤリスの開発目的は単純明快で、WRCを「勝ち抜く」こと。プレスカンファレンスではGAZOO Racingの友山茂樹・トヨタ自動車副社長が「ラリー王国・トヨタを不動のものとするウェポン」がコンセプトであると語り、発表の最後にはトヨタ自動車の豊田章男社長がサプライズで登場し「トヨタのスポーツカーを取り戻したい。ずっとそう思い続けてきました」と熱く語る。
もちろん既存の86やスープラもトヨタのスポーツカーにカテゴライズされているが、いずれも他社との共同開発であり、豊田章男社長は「トヨタが自らの手でつくるスポーツカーが欲しい」と訴え、WRCへの参戦もそのための布石だったことを明かす。そしてGR ヤリスはWRCで得た知見や技術を盛り込んで一から開発し、市販車ありきのレーシングカーとは逆に、レーシングカーを市販車へフィードバックしたモデルであると力説する。
トヨタのモータースポーツへの本気度が伝わる展示
GR ヤリスのお披露目に際しては1988-1991年のWRC参戦モデルのセリカ GT-FOUR ST165も壇上に配され、GR ヤリスがWRCのホモロゲーションモデルであることを強くアピール。さらにGR ヤリス ラリーコンセプトやGR ヤリス CVTコンセプトもディスプレイされていた。
東京オートサロンのGAZOO Racingブースには、GR Supra GT4やGR Supra GT500、ル・マンウイナーのTS050 Hybrid #8、ダカールラリー参戦モデルのTEAM LAND CRUISER TOYOTA AUTO BODY #326も展示され、まさにモータースポーツ一色の華やかな世界を披露していたのも印象深い。
新開発のスポーツ4WDシステム“GR-FOUR”を採用
新開発の1.6リッター直列3気筒直噴ターボ“G16E-GTS”は、3気筒エンジンとしては世界最高レベルの最高出力272ps/最大トルク370Nmを発生。エンジン出力は6速MT(iMT=intelligent Manual Transmission)を経て多板クラッチによる前後駆動力可変システム採用の新開発4WDシステム“GR-FOUR”に伝達され、「いかなる道も、誰もが安心して思いのままに運転できるクルマ」に仕上がっている。
専用のコンベアレスラインで熟練工が製作
バランスのとれた高剛性ボディはTNGAの思想に基づくスポーツ4WDプラットフォームを用い、アッパーボディはアルミ製のエンジンフード/トランクリッド/ドアパネルに加え、SMC(Sheet Molding Compound)工法で成形したCFRP製ルーフパネルを採用するなど軽量化を図りながら強固な3ドアタイプのキャビンを実現。
生産は元町工場の専用ライン「GR ファクトリー」を新設。複数のセルをAGVでつなぎコンベアレスのボデイと組立ラインで構成されるという。これによってスポーツカーに不可欠なボディの高剛性化と超高精度の組付けが可能となり、さらにトヨタ全社から集められた「匠」の技能を有する従業員の意志が込められ、大量生産ではなく多品種少量生産が行われる。
先行予約限定モデルは396万円から
先行予約限定モデルとなるRZ“First Edition”は、RZグレードをベースにマットブラック塗装を施したラジエーターグリルとフロントサイドディフューザー、リヤスポイラー及びリヤバンパーを特別装備とし、RZ“High-performance・First Edition”はさらにBBS製鍛造アルミホイール、トルセンLSD、冷却スプレー機能付空冷インタークーラーなどを搭載する。
車両本体価格は、RZ“First Edition”が396万円(税込)、RZ“High-performance・First Edition”が456万円(税込)を予定している。先行予約の申込みは予約専用Webサイトにて、6月30日まで実施中。
【SPECIFICATIONS】
GR ヤリス RZ“High-performance・First Edition”
ボディサイズ:全長3995 全幅1805 全高1460mm
ホイールベース:2558mm
車両重量:1280kg
エンジン:直列3気筒DOHC直噴ターボ
総排気量:1618cc
最高出力:200kW(272ps)
最大トルク:370Nm
トランスミッション:iMT(6速MT)
駆動方式:4WD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後225/40ZR18
車両価格(消費税10%込):456万円
【関連サイト】
・GAZOO Racing 公式サイト
https://toyotagazooracing.com/jp/gr/yaris/
【3日間で1000台突破!】トヨタGRヤリス 購入層は40~50代男性 8割が上級グレード 「ヤリスRS」の噂も
トヨタGRヤリスの予約注文 はやくも1000台に
1月10日東京オートサロンのトヨタGRブースにて初公開されたGRヤリス。
発表と同時に、10日午前10時から予約受付が開始されているが、1月12日夕方までの3日間ですでに受注台数が1000台を突破したことがわかった。
購入しているのは40代~50代の男性が多く、8割は上級グレードの「ハイパフォーマンス」(税込456万円)が選ばれている。
実は筆者の知人もRZ「High-performance・First Edition」を注文したひとりだ。
「(AUTOCARの記事で)『First Edition』のお得感が良くわかったから、即注文したよ! いずれは欲しいと思っていたけど、今買う方が絶対トクだよね」
確かに「First Edition」はお得感がある。
同モデルの予約受付は2020年6月末で終了となり、それ以降もGRヤリスの購入はできるが、それ以降のGRヤリスは、「First Edition」だけの特別装備や特典はつかずに同じ価格となる。
「ヤリスRS」の噂も
なお、今年6月にはスパルタンなモデル「ヤリスRS」が追加されるという噂も。こちらはCVTとなるようだ。
GRヤリスとはエンジンを始め、まったく異なる仕様で、通常ヤリスと同じ岩手県金ケ崎町のトヨタ自動車東日本岩手工場で生産される可能性がある。
スポーツカー製造に集結した高い技術者がつくる
GRヤリスは注文を受けた順番で製造に入るという。
トヨタ自動車は「製造には専用の『GRファクトリー』ラインを新設。スポーツカー製造に集結した高い技術者の『匠』の手による丹念な造り込みにより、モータースポーツには欠かせない精度の高い超高剛性を実現。量産スポーツカーの新たな価値観を提供します」と、案内している。
具体的にGRヤリスが製造されるのは元町工場(愛知県豊田市)だ。その製造ラインとはあのレクサスLFAと同じだ。
豊田章男社長が語るGRヤリスの不満点とは【東京オートサロン2020】
東京オートサロン2020で、ついに正式発表されたGRヤリス。そのお披露目の舞台となったプレスブリーフィングで、GAZOO Racingカンパニーの友山茂樹プレジデントが気になることを話していた。
「じつは、まだマスタードライバー、モリゾウからは合格点をもらっていません」
そう、モリゾウこと豊田章男社長が、まだ量産スペックのゴーサインを出していないというのだ。先に行われたプロトタイプ試乗では、すでに素晴らしい完成度を見せていたというのに、まだ上を見据えているとは…。
そんなGRヤリスの、まだ合格点を出していない理由を含めた開発状況、そしてそもそもの開発に至る経緯について、サプライズ登場したプレスブリーフィングの直後に、ご本人モリゾウ氏に直接聞くことができた。さて、その理由とは!?
「トヨタのスポーツカーってよく私は式年遷宮って言うんですよね。話は1960年代に始まって、あのころに2000GTとかヨタハチ(スポーツ800)といったクルマが出てくるんです。そして、それから20年経ってスープラとかハチロクとかMR-S(MR2)が出てくる。でも大きな会社ですからね、20年ごとに出すたびに『台数売れるクルマがいいよね』とか『もうかるクルマじゃないとダメだよね』という勢力も大きいですからね、それがどんどん消えていくんですよ」
話はGRヤリス開発の経緯から始まった。ちなみに式年遷宮とは、伊勢神宮にて20年ごとに行われている遷宮という大事業のことである。
「ところが(2000年代には)、20年ごとにあるかと思ったら全然なくて、2010年にやっと30年ぶりに出たのがLFAだったんですよ。ですが残念ながらLFAは500台の限定生産でした。やっぱりトヨタが作るクルマというのはね、欲しい人がいたら手に入るものでなければ。それがトヨタのファン・トゥ・ドライブのクルマじゃないかなとそのときから思っていたんです。
それと、社長になってから『もっといいクルマづくり』ということを言ってきましたが、何も別にこういうスポーツタイプのクルマだけをもっといいクルマと言うわけではありません。ただマスタードライバーとして、OEMメーカーのクルマが(電動化、知能化などにより)コモディティとかね、そういうものになっていくなかで『ブランドをもったクルマの味ってどういうものなの?』ということをずっと追求してきた身として見るとね、一番それを表現しやすいのはこういうクルマなんですよね」
トヨタとしては2012年に86を登場させ、また2019年にはスープラ復活も実現させた。しかし、それだけでは足りないと豊田社長はずっと考えていたそうである。
「(80年代)当時にスープラ、ハチロク、スターレットがあったように、その3兄弟を揃えたいというのが私の思いでした。私の社長としての実力のなさで、完全内製化というかたちでのクルマづくりは、86でもスープラでもできませんでしたが、それがやっとのこと、3兄弟の末っ子的な今回の(GR)ヤリスで内製化ができて、しかもGAZOO Racingカンパニーができて、そこはクルマの作り方をね、普通のお客様のために作るものをレースに使えるよう手を入れていくのではない、逆のプロセスにトライしてくれている。それは今までのトヨタにはなかったものです。あるとすれば、1960年代のトヨタ2000GTの作り方がそれだったと思います。そうしたDNAがまったくなくなる前に、こういうクルマをトヨタの内製で作り上げるプロジェクトができたこと。これは自分自身としてはうれしいなと思っています」
そして話は冒頭に戻る。そうして生み出されつつあるGRヤリスに、社長がいまだ合格点を出していない理由だ。
「社長というかマスタードライバーとしてね。それとモリゾウとしては合格点はまだ出せていない。えーとね、野性味がないんですよ。野性味が。だけど、コマーシャルでああやって出しているじゃないですか、野性味あふれる走りを。あのイメージがインプットされちゃってますからね。あれを超える野性味が、乗った瞬間に出るようにしたい。出るようにしないとダメなんじゃないのかなと思っています。それと、私がオッケー出したらダメでしょとも言ってるんです。そこで進化が止まるでしょと。だから私はどんなクルマであれ最後までダメ出しですから(笑)。ダメ出しのクルマは、乗ってすぐに『もういいや』って帰ります。だから、降りずにずっと乗っていれば、私としてはいいクルマなんでしょうね」
乗った瞬間から感じられる野性味。豊田社長もといマスタードライバー、モリゾウはそれを求めているという。それは具体的にどんな要素なのかについても取材してきたので、続けて報告するつもりだ。
〈文=島下泰久 写真=岡 拓〉
だから先行カタログに車重が書いてなかったりとかなのかな?
流石に「GRヤリス GR-FOUR」だと名称がGRGRし過ぎか
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Posted at
2020/01/16 22:55:57