2020年03月18日
この2台はもう少し振り切った方向に仕上げてくれても良かった気もするけどね~RA-Rはもっと軽量化とか
【試乗】スバル WRX STI タイプRA-R|最後のSTIコンプリートモデルだけあって納得の完成度の高さだ
30年の集大成ともいえるエンジンを搭載したSTIモデル
スバルのスポーツブランドであるSTIの創立30周年を記念し、2018年に限定販売した特別仕様車のWRX STI タイプRA-R。
手を加えられたエンジンや専用のECU、徹底的に軽量化を図ったボディなどスポーツ性能を最大限に引き上げたSTIのコンプリートモデルだ。
搭載されるエンジンは、スバルのモータースポーツを支えたEJ20型。1989年から30年にわたり改良を重ね作り続けられたにも関わらず、このクラスとして常にトップのパフォーマンスを保持してきた。
この環境性能に対してシビアな世の中で、30年以上対応し続けていただけでも奇跡的である。
量産エンジンでありながら第一線のスポーツエンジンと言っても過言ではないだろう。それにSTIにより手を加えられただけあって、どのような仕上がりになっているのか、試乗が楽しみである。
エンジン、足回りは熟成され完成度が高い
エンジンを始動すると、高めのアイドリングと冷えたときにエグゾーストから発するリッチな燃料によって燃えたオイルの匂いがする。なんとも言えないノスタルジーな感じだ。
気温は5°Cを下回っている。とても寒いがこの匂いと音を聴くべく窓を開け、環状8号線の外回りを走り第三京浜方面へと向かう。 シフトアップダウンをを繰り返し、ギアの感触を手で感じながらフィーリングを確かめる。クラッチの切れがとても良いのでスポーツパフォーマンスを重視して作られていることがよくわかる。
軽くヒール&トーをしてブレーキとアクセルペダルの位置を確認してみるが、ブレーキフィールの剛性感が高くて安心感がある。
路面からの入力にステアリングホイールがダイレクトに反応する。一見ハンドルが取られやすそうにも思われるが、路面状況が判断しやすいという側面もある。
アクセルを深く踏むと、エンジンはノーマルよりスムーズに吹け上がる。20馬力以上パワーアップされたエンジンは、特に中速域での加速性能が高められているように感じた。
加速時には、ぐっとリアを沈めて四輪で路面を確実に捉えている。曲がりくねるツイスティな道が楽しみになる。街中の速度域でもワクワクがとまらない。
第三京浜に入り、加速して段階的に車線変更を行う。
ステアリングとアクセルの相性に車はピタリと反応する。これは、通常モデルには装着されていない特別な仕様のサスペンションの恩恵だろう。
S字の高速コーナーは、後輪にトラクションがかかる。トランクリッドにスバルスポーツカーの象徴ともいえる大型スポイラーは装着されていないが、トラクション性能は全く問題ない。 横揺れしない程度にほんの少しステアリングをあてて曲がる。我ながら運転が上手くなった? と感じるほど、ステアリングが正確に反応してくれる。
ボディ剛性が高いので、硬めのサスペンションでも容赦なくねじ伏せる。無駄な動きが一切ない。「もっと速度レンジの高い道で走らせたい」そう思わせるマシンで、個人的には好きな仕様である。
最高潮に熟成したエンジンは、じっくり寝かして初めて完成する。そんな熟成しつくされたモデルを体感できただけでも運がいい。
これから30年後には、作り続けられたひとつの型式の内燃機関を味わうことはまず無理であろう。歴史的なEJ20に感謝である。ありがとう。 文/松本英雄、写真/尾形和美【試乗車 諸元・スペック表】●STI 2.0 タイプ RA-R 4WD型式CBA-VAB最小回転半径5.6m駆動方式4WD全長×全幅×全高4.6m×1.8m×1.47mドア数4ホイールベース2.65mミッション6MT前トレッド/後トレッド1.54m/1.55mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)2.01m×1.49m×1.21m4WS-車両重量1480kgシート列数2最大積載量-kg乗車定員5名車両総重量1755kgミッション位置フロア最低地上高0.13mマニュアルモード-標準色クリスタルブラック・シリカ、WRブルー・パール、ピュアレッドオプション色クリスタルホワイト・パール掲載コメント※500台限定※2018年7月19日から12月17日までの期間限定受注 -受注は7月19日で終了-型式CBA-VAB駆動方式4WDドア数4ミッション6MTAI-SHIFT-4WS-標準色クリスタルブラック・シリカ、WRブルー・パール、ピュアレッドオプション色クリスタルホワイト・パールシート列数2乗車定員5名ミッション位置フロアマニュアルモード-最小回転半径5.6m全長×全幅×全高4.6m×1.8m×1.47mホイールベース2.65m前トレッド/後トレッド1.54m/1.55m室内(全長×全幅×全高)2.01m×1.49m×1.21m車両重量1480kg最大積載量-kg車両総重量1755kg最低地上高0.13m掲載用コメント※500台限定※2018年7月19日から12月17日までの期間限定受注 -受注は7月19日で終了-エンジン型式EJ20環境対策エンジンH17年基準 ☆☆☆種類水平方向4気筒DOHC使用燃料ハイオク過給器ターボ燃料タンク容量60リットル可変気筒装置-燃費(10.15モード)-km/L総排気量1994cc燃費(WLTCモード)-燃費基準達成-最高出力329ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm432(44)/4800エンジン型式EJ20種類水平方向4気筒DOHC過給器ターボ可変気筒装置-総排気量1994cc最高出力329ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm432(44)/4800環境対策エンジンH17年基準 ☆☆☆使用燃料ハイオク燃料タンク容量60リットル燃費(10.15モード)-km/L燃費(WLTCモード)-km/L燃費基準達成-
スバルの“名機”は色褪せない~WRX STI EJ20 Final Edition試乗記
なんとももったいない話だ。このエンジンがもう作られなくなってしまうなんて。
2019年に生産中止が決定したスバルの水平対向エンジン「EJ20」型。このエンジンを搭載する最終モデルとして、限定販売されたのが「WRX STI EJ20 Final Edition」。
乗ると、「心底、惜しいなぁ」と、思った。それほどいいクルマなのだ。
【主要諸元】全長×全幅×全高:4595mm×1795mm×1475mm、ホイールベース2650mm、車両重量1500kg、乗車定員5名、エンジン1994cc水平対向4気筒DOHCターボ(308ps/6400rpm、420Nm/4400rpm)、トランスミッション6MT、駆動方式4WD、タイヤサイズ245/35R19、価格452万1000円(555台限定・完売)。WRX STIは、2014年の販売開始以降、時折、性能を引き上げた限定モデルを販売してきた。2015年の「S207」、2017年の「S208」、そして2018年の「TYPE RA-R」など。エンジンパワーや、エンジンのバランスどり、足まわり強化など、チューニング内容は多岐にわたる。
これら限定モデルの“有終の美”を飾るのが、2019年12月に販売開始された「EJ20 Final Edition」だ。「WRX STI Type S」をベースに「回転系パーツの重量公差および回転バランス公差を低減したバランスドエンジンを採用」したとメーカーが謳うモデルである。
エンジンまわりは、ピストン、コンロッド、クランクシャフトの再軽量化と組み合わせの調整をおこない、よりスムーズにまわるよう目指したという。クラッチカバーとフライホイールも、選び抜いた部品を組み付けたとのこと。精度にとことんこだわったのである。
くわえて、足まわりはブレンボ製のブレーキシステムを採用。ゴールドに輝く19インチ径のアルミホイールは、BBS社製の鍛造だ。
超希少な555台2019年10月23日に開幕した東京モーターショー2019で、プロトタイプを公開。555台の限定販売と発表された。で、フタを開けてみたら、あっというまに売り切れ。周囲にも買い逃した自動車ジャーナリストがいるぐらい。
“555”の数字といえば、1990年代に世界ラリー選手権で活躍した「インプレッサ555」を彷彿とさせる。アーダス・タバコカンパニーの銘柄「ステートエクスプレス555」のロゴを貼った、バカッ速いマシンはじつにカッコよかった。
EJ20型エンジンの生産中止は、各国の排ガス規制強化の影響だ。ひとつの時代が終わったのである。初代「レガシィ」への搭載が発表された当時、“新世代のスバル エンジンが登場した!”と、話題を呼んだのが懐かしい。
久しぶりのEJ20型エンジンは、まさに“熟成”という言葉がぴったり。ウルトラスムーズな感覚で、レッドゾーン手前までシュンッとまわるときの快感などが味わえなくなるのは寂しい。
昨今、すぐれたスポーツモデルはあるものの、全長4595mmの適度なサイズ感にくわえ、マニュアル トランスミッションを操作し、思いどおりの回転域を使って走れるモデルはほとんどない、ドライバーとクルマとの“一体感”という点でWRX EJ20 Final Editionのキャラクターは際立つ。
初めて乗るとき、アイドリングのままクラッチを1速とつなげようとすると、トルクが細くてエンジンがストールしそうになるが、これもWRXの魅力かもしれない。
そこでアクセルペダルを軽くあおって、1000rpmの手前あたりまでブンッとエンジン回転をあげ、そこでスパッとクラッチをつなぐ。ボディはパッと弾けるように加速する。
くわえて、「スバルの開発者やるなぁ」と、感心したのは、パワーバンドを上のほうに持っていった点だ。227kW(308ps)の最高出力は6400rpmで、422Nmの最大トルクは4400rpmで発生。まわして楽しめるように開発されているのだ。
5速でほぼ直結となる、クロースレシオの6段ギアボックスは、短いトラベルでのシフトアップとシフトダウンが可能なので、やや上でつながるクラッチペダルを操作しながら、こまめに3000rpmから上を使うよう走ると、たいへん気持ちがよい。
3000rpm以下の場合、追い越し加速時などにややトルクの薄さを感じる。それこそ、むかしの小排気量スポーツカーを思い出す。したがって、こまめにギアを変更し、アクセルペダルへの反応が速いトルクバンドを使う。とはいえ、まったく苦にならない。これこそ操縦の醍醐味である。
マニュアル トランスミッション搭載車でも、ずぼらな運転を許容するクルマもある。が、WRX EJ20 Final Editionはちがう。5000rpmあたりまで引っ張って、そこでぽんっとシフトアップ。回転はそんなに下がらない。そして上の回転域までひっぱって……を、繰り返すのが楽しい。
インテリアは、もとになるWRX STIとほぼおなじである。試乗車は「フル パッケージ」装着車両だったため、フロントシートは、レカロ社製のスポーツタイプ(電動調整式)。ホールド性、座り心地はいずれも良好だった。
ライバル不在「マニュアル車はひさしぶり」という人でも、すこし運転すれば慣れるはず。WRX EJ20 Final Editionは決して運転の難しいクルマではない。
マニュアル トランスミッションを操りながら、EJ20型エンジンのサウンドを聴けば「運転ってこんなに楽しかっただろうか…」と、思うだろう。とはいえ、WRX EJ20 Final Editionは完売。もし気になるのであれば、素のWRX STIでも良いと思う。中古車という選択肢も大いにアリ。
WRX EJ20 Final Edition とおなじ400万~500万円の価格帯で、ライバルといえばホンダ「シビック タイプR」だ。まもなくマイナーチェンジモデルが販売開始される。WRXと異なり5ドア ハッチバック。
ほかにマニュアル トランスミッション搭載モデルといえば、スバル「BRZ STIスポーツ」(359万7000円)やトヨタ「86 GRスポーツ」(385万円)、マツダ「ロードスターRF」(343万9700円~)などがあるものの、いずれも2ドアのスポーツモデル。
なるほど、WRXはライバル不在である。輸入車にも目を向けると、ルノー「メガーヌR.S.トロフィMT」(489万円)がある。最高出力221kW(300ps)、最大トルク440Nmを発揮する2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ エンジンを搭載する。とはいえ、メガーヌもシビック同様、5ドア ハッチバック。ミドルクラスの4ドア セダンで、マニュアル トランスミッション+高性能エンジンという組み合わせは世界的にも希少だ。
WRX EJ20 Final Editionの不満を強いてあげるとすれば、ダッシュボードの質感か。とはいえ、これは買えなかったものの負け惜しみにしか聞こえない……。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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富士重工 | 日記
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2020/03/18 11:05:26
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