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2020年04月16日

ハイパワーって訳でもないし、燃費が劇的に良いって訳でもないし…

ハイパワーって訳でもないし、燃費が劇的に良いって訳でもないし… 【なぜ失敗作の烙印が?】BMW i8 惜別の辞 前編

唯一無二の存在

初めてBMW i8を運転したのは2014年のことだった。

初めてのドライブを終え、少しでもこのクルマに対抗し得るモデルを考えてみたが、「時代に先行し過ぎた実験的なモデルというだけでも唯一無二の存在」だという結論に落ち着いている。

そして、「他メーカーも追随するとともに、この完ぺきとは言えないi8を上回るモデルを創り出すかも知れないが、現時点ではこのクルマの独壇場であり、大成功は間違いないだろう」と記事にしたのだ。

だが、わたしは間違っていた。

他にi8のようなモデルが登場することはなく、いまもこのクルマは唯一無二の存在であり続けている。

i8の失敗などあり得ないと思っていたが、事実は残酷であり、BMWが後継モデルを登場させないことが何よりの証拠と言えるだろう。i8は登録後1年でその価値を半分失うのだ。

ある1台を深く愛していると思っていても、次々と興味深いクルマが登場する自動車世界では、ひとつのモデルが姿を消したからといってそれほど悲しむことなどないが、少なくとも個人的にはi8に関してはそうではない。

沸きあがるアドレナリン

長期テストを担当したクルマのなかで、もっとも別れを寂しく感じさせたのがマクラーレン720Sだったことは確かだが、次点がi8であり、マクラーレンとの差は決して大きくなかった。

i8との別れを寂しく思うのにはふたつの理由がある。

まずは何といってもこのクルマのパフォーマンスだ。

大陸横断のような冒険行から近所の買い出しまで、このクルマはどんなドライブも特別なものにしてくれるのであり、朝ガレージに停まっているi8を目にするだけでアドレナリンが沸き上がって来る。

スタイリングの見事さはいまも変わらず、その斬新なボディラインも色褪せることがない。

そして、このクルマのパフォーマンスは常に不当に評価されてきたと言えるだろう。

限界でのステアリング特性がオーバーステアであれアンダーステアであれ、このクルマはそうしたことを評価するようなモデルではないのだから大した問題だとは思えない。

適切なギア比を与えられた正確なステアリングとともに、i8には素晴らしく軽快な乗り心地が備わっているという事実のほうがより重要だろう。

見事なバランス

さらに、このクルマはパワートレインも素晴らしい。

見事なレスポンスとサウンドを備えており、もしi8のエンジン音を人工的だと批判するのであれば、他の現行モデルを見てみれば良い。

いまや多くのモデルが何らかの形でサウンドコントロールシステムを導入しているのだから、個人的にはまったく問題だとは思わない。

だが、i8のドライビングで何よりも素晴らしいのは、このクルマのシャシーとパワートレインとの見事なマッチングだ。

まったくオーバーパワーなど感じさせないこのクルマであれば、つねにブレーキングに気をとられることなく、ドライビングのリズムに集中することが出来る。

一方でアンダーパワーだと感じさせられることもない。

現代のクルマとは思えないほど細身のタイヤが、i8のドライビングを素晴らしく感じさせるもうひとつの理由であり、まさに見事なバランスだと言える。

だが、i8との別れを惜しむもうひとつの理由はまったく別のところにあるのだ。

感じる知性

このクルマが感じさせる知性がその理由であり、BMWはi8のために時代を先取りしてみせた。

強固なボディがこのクルマを素晴らしいモデルにするとともに、驚異的な軽量化によってドライビング性能を引き上げ、スーパーカーだというのに14.0km/L台に達する燃費性能まで確保することに成功している。

だが、このクルマに対するひとびとの評価は、「6桁ポンドのプライスタグを掲げ、ミニの3気筒エンジンを積んだBMWなど冗談でしかない」というものだったのだ。

これほど大胆なクルマを創り出したBMWを尊敬するとともに、彼らの勇気はもっと高く評価されるべきだったと思っている。

アルミニウム製シャシーとカーボン製ボディを組み合わせたこのミッドシップスーパーカーの終焉を決議したBMWの取締役会は、深いため息に包まれたに違いない。

ロードスターを除けば、おそらく同じプラットフォームを共有する派生モデルを創り出すことなど不可能だと知りながら、BMWでは莫大なコストを掛けてi8を開発している。

後編に続く。


【なぜ失敗作の烙印が?】BMW i8 惜別の辞 後編

サマリー
今年生産終了を迎えるBMW i8ですが、ロードテスターのアンドリュー・フランケルはこのクルマを高く評価していました。その先進性と見事なパフォーマンスによって成功間違いなしと思われたi8は、なぜ失敗作の烙印を押されることとなったのでしょうか?
もくじ
ーそれだけの価値
ー失われたチャンス
ー番外編1:ユーズドi8 購入のポイント
ー番外編2:i3はどうなる?

それだけの価値
text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
なぜなら、i8にはそれだけの価値があったからだ。

BMWには2020年代を迎えてもまだi8の時代が来ないなどとは想像すら出来なかっただろう。

もし、より高い持続可能性を備えた現代に相応しいグランドツアラーというものを考えた時、i8のようなクルマを思い浮かべることが出来ないとすれば、その理由は単にわたしの見識不足でしかない。

BMWはi8をディスコンにする一方、同じような価格帯の2+2クーペでありながら、2t近くの車重にV8ツインターボエンジンを組み合わせたM8コンペティションをデビューさせている。

だが、i8をディスコンにしたからといってBMWを責めることなど出来ないだろう。

実に6年もの間i8は販売されてきたのであり、このクルマが体現していた時代の変化を受け入れなかったのはわれわれの方なのだ。

それでも、個人的には後継モデルの不在こそがこの喪失感の本当の理由であり、もし新型i8が登場していれば、今度こそは十分な成功が期待出来ただろうと思っている。

失われたチャンス
いまの世界はi8が想定していたものとはまったく異なるものだが、あと数十年もすれば、V8エンジンを積んだ車重2tのモデルなど目にすることは出来なくなるだろう。

その代わり、急激に進むだろう時代の変化に対応出来る唯一の選択肢として、バッテリー式EVとともに、ダウンサイズ・ハイブリッドパワートレインを積んだ軽量なクーペが数多く登場するはずだ。

1.5Lエンジンと電気モーターがこのクルマを見事なグランドツアラーにしている。
1.5Lエンジンと電気モーターがこのクルマを見事なグランドツアラーにしている。
もちろん、ラゲッジスペースやクーペに相応しい特別なインテリアなども重要だが、こうしたことはそれほど大きな問題ではない。

数年の開発期間で、新型i8はさらなるパワーアップとEV航続距離の延長、そして燃費性能の向上が可能だっただろう。

そうすればさらに時代に即したモデルとなり、ついに世界もこのクルマの偉大さに気付いたに違いない。

だが、もはやそうしたチャンスは失われてしまった。

ここからわれわれが学ぶべきは、もっとも先進的で魅力に溢れ、燃費性能に優れた興味深いモデルを創り出したとしても、成功が保証されているわけではないという事実であり、i8が残した教訓とは、ほどほどで満足しておくべきだということなのだ。

何よりもそれが残念でならない。

番外編1:ユーズドi8 購入のポイント
電気関係の不具合がいくつか報告されているものの、i8は驚くほど高い信頼性を誇っている。

登録1年で大きく価値を落とすことは本編でご紹介したとおりだが、その後、価格は急激に安定を取り戻しており、他のモデルに比べても新車に近い車両はお買い得だと言えるだろう。

それでも、ロードスターは本当にエクストラの金額を支払うに値するかどうか検討すべきであり、わたしならクーペを選ぶが、このクルマの欠点も知っておいた方が良いだろう。

最小限のスペースしかもたない後席と狭いトランクスペース、そしてその長大なドアはつねに隣のクルマとの間隔を考えて駐車場を選ぶことを求める。

2015年モデルi8クーペ:4万2000ポンド(560万円)、 走行距離6万1000km
いまや年式の古いi8あれば、4万ポンド(534万円)以下に値切ることも可能であり、驚くほどお買い得だと言えるが、より新しいモデルにこそこのクルマの価値はある。

2019年モデルi8クーペ:7万3000ポンド(974万円)、走行距離161km
この価格帯であれば、納車されただけと言えるようなi8を大量に見つけ出すことが出来る。

その高い信頼性にもかかわらず、ほぼ新車と言える車両が5万ポンド(667万円)オフで手に入るのだ。

2019年i8ロードスター:7万6000ポンド(1014万円)、走行距離8km
1年目の価格下落は比較的ロードスターの方が大きい。

見事な開閉動作を見せるルーフだが、このクルマの見事なラインをややスポイルしている。

番外編2:i3はどうなる?
i8はディスコンとなるが、幸いにもBMWの「i」の冒険がこれで終わるわけではない。

それでも、その将来はバッテリー式EVのみとなるようだ。

まず初めに登場するのがiX3であり、このジャガーIペイスとアウディeトロンのライバルは今年デビュー予定となっている。

さらに来年にはテスラ・モデル3に対抗するモデルであるi4の登場が控えている。

だが現時点ではi8よりも先にデビューした高い信頼性を誇るi3のみであり、ディスコンが近いという噂もあるが、少なくともいま直ぐこのクルマに対して大ナタがふるわれることはなさそうだ。

決して大ヒットしたわけではないが、2013年の登場以来、毎年販売台数を伸ばしており、それは社会の変化と拡充される優遇税制、正しいタイミングでの改良とともに、入念な販売価格の見直しのお陰と言えるだろう。

もしこのクルマがあなたのライフスタイルにマッチするとともに、その独特なルックスも気にならないのであれば、依然としてi3は強くお勧めすることの出来るモデルだ。

速いだけでなく運転しても楽しく、そのインテリアは依然として新鮮でモダンな印象を与えてくれる。

ただ、レンジエクステンダーモデルはすでにディスコンとなっており、新車のバッテリー式EVモデルを購入するか、ユーズド市場でレンジエクステンダーを探し出すしかないことには注意が必要だろう。
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Posted at 2020/04/16 21:06:55

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