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2020年04月18日

グループB時代だからってのもあるのかな

グループB時代だからってのもあるのかな 【今でも刺激的な456ps】フェラーリ308GTB グループB ラリーカーへ試乗

珍しいグループBラリー仕様の308GTB

text:Matt Prior(マット・プライヤー)

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


フェラーリのレーシングカーと聞いても、大きな驚きはないかもしれない。同様にフェラーリ製のロードマシンと聞いても、目新しさはない。では、フェラーリのラリーカーと聞いたらどうだろう。

このフェラーリ308GTBは、かつてのグループB規定に合わせて作られたクルマ。1980年代に始まった熾烈な競争は加熱しすぎ、ラリーカーは極めて高速で、危険になった。モータースポーツを変えるきっかけともなった。

フェラーリ308GTBのラリーカーは、公式的なプロジェクトではなかった。主に制作していたのは、イタリアのレーシングチーム、ミケロット。1970年代後半に、グループ4に準拠する308を相当数作っている。

世界ラリー選手権(WRC)へグループBが導入され、ランチア・ストラトスの活躍を見たミケロットは、ミドシップのフェラーリも充分に競争力があると考えた。そこで欧州でのラリー選手権出場を目指し、4台の308ラリーを生み出した。1982年には実際に1台が優勝している。

英国では、エンジニアリング企業の代表でレーシングカーの設計やフェラーリを専門とする、トニー・ワーズウィックが同様のアイデアを持っていた。その結果生まれたのが、この黄色い308GTBだ。

現存する右ハンドル車としては唯一の、当時のグループB規定に合うフェラーリ308GTBとなる。

最高出力456psで車重は970kg

フェラーリとしては、英国のラリーカーへも公式に感心を示すことはなかった。だが英国の販売代理店、マラッネロ・コンセッショネアは理解を示し、参戦への協力をしている。

「イタリアから部品が届いたと、マラッネロ・コンセッショネアから電話がありました。それはわたしたちのための部品でした」 とワーズウィックが振り返る。

実際には、英国でのマシン開発と参戦での成功は、すべてワーズウィックの手にかかっていた。ベースとなったエンジンは、308の3.0Lフラットプレーン・クランクを持つV型8気筒の自然吸気。

エンジンヘッドはワーズウィックのオリジナルで、可能な限りコスワースDFVエンジンの設計に似せたものとした。7500rpmまで吹け上がり、最高出力は456psに届いている。

トランスミッションは1速が離れた位置にある、ドッグレッグの5速マニュアル。もちろん後輪駆動だ。

普通の308GTBでも、これだけの馬力があれば不足はない。標準のクルマでも300ps程度だったのだから。加えてこのクルマの場合、車重は970kgと軽量。

車内をしっかり囲むロールケージが組まれ、剛性も確保。ボディパネルはフロント部分が軽量なカーボンファイバー製で、リア周りはケブラー・カーボンファイバー製。ワーズウィックによれば、これを参考に、フェラーリは同じ素材を1987年発表のF40にも用いたのだという。

今でも充分にセンセーショナル

燃料タンクは、エンジンの両脇に分割配置される。フロント周りはラジエターとスペアタイヤに専有されている。リアタイヤの後ろにあるのは、小さなオイルタンクだけ。

つまり、308に積まれた重量物の大半は、ホイールベース内に納まっているということ。ホイールベースはストラトスより長いが、一般的なクルマとしては短い方だ。優れたラリーカーになると考えても不思議ではない。

実際そうだった。ワーズウィックは笑顔で、308GTBはとても競争力が高かったと話す。欧州のラリーステージを戦い、トロフィーを持って帰国した、素晴らしい日々が思い出になっているという。

地元の観光協会などが後援してくれ、資金的にも困らなかったらしい。大勢の観衆は、フェラーリがラリーを戦う珍しい姿に熱狂した。

筆者もドライバーズシートへと座った。この308GTBは運転が楽しいというレベルではない。今でも充分に、センセーショナルと呼べるほどだった。

エンジンは鮮烈で、2000rpm以下からでも力強いパワーを発生させる。そのままリミッター目掛けて、リニアにエネルギーを高めていく。

アクセル操作に合わせて奏でるサウンドは、今日のスーパーカーの多くよりも心地良い。加速後のアクセルオフでは、魅了するようなオーバーラン・ノイズが炸裂する。これを超えるクルマが思いつかないほど。

ラリーマシンとして然るべき仕上がり

トランスミッションは、驚くほどカシっと変速が決まる。回転数を合わせる作業が満足感を高める。ブレーキとステアリングは、ラリーマシンとして然るべき仕上がり。速度が上がるほどに、感触が良くなっていく。

身のこなしは目をみはるほど機敏で、グリップ力も良好。ワーズウィックによれば、テールスライドの仕草も温厚なものだという。筆者は、狭いチャムリー城に設けられたスプリントコースで試すことはなかったけれど。

今回の試乗は、英国のチャムリー・パワー&スピードというイベント会場で行った。穏やかな雰囲気の中に、沢山のクルマが集っている。敷地の中には、本気で走行するクルマを見学できる、スプリントコースも設けられている。

現代でもかなり速いと感じる308GTB。当時は、圧倒的なパフォーマンスに感じられただろう。

グループBはいかに人気が高かったのか、なぜ短命に終わったのか、という理由もわかる。クルマの持つ性能を発揮できる機会がなくなるほどに、高性能だったのだ。

現代では、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードやこのチャムリーで、勇姿を毎年見ることができる。ワーズウィックの308GTBだけでなく、多くの過去の競技車両へ、新しい表舞台を提供している。見学の敷居も高くない。

百聞は一見にしかず。まだまだ先となりそうだが、新型ウイルスが落ち着いたのなら、読者も一度機会を作って訪れてみてはいかがだろうか。

※この記事のオリジナルは、2016年に書かれたものです。
ブログ一覧 | 自動車業界あれこれ | 日記
Posted at 2020/04/18 08:02:32

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