2020年07月16日
ターボ+ハイブリッドとかには出来ないもんかね?
「新型ハリアーはライバル不在?」ボクサー4+4WD、無骨さが魅力。フォレスターはSUBARUの思想を体現した
大自然が似合うクルマ。悪路対応Xモードを標準装備
フォレスターが、現行インプレッサから導入を始めた新世代のプラットフォーム「SGP」を採用して5thモデルに生まれ変わったのは、2018年6月。ボディサイズは全長×全幅×全高4625×1815×1715mm。旧型比でわずかに大型化したが、全長と全幅はハリアーに比べてひと回りコンパクト。その一方で正統派SUVらしく、全高は明確に高いという関係になる。2670mmのホイールベースは、ハリアー比で20mm短い。
スタイリングは、よくいえばワイルド、言い方を変えれば無骨だ。都会派のハリアーとはキャラクターがはっきりと異なる。現行フォレスターの特徴は、歴代モデルの中でもクロスカントリーテイストが強い点だ。大自然が似合う。
フォレスターがオフロード性能を強く意識していることは、メカニズム面でも明白。急坂での安定性を高めるヒルディセントコントロールとともに、4輪の駆動力を路面に応じて適正にコントロールするXモードを標準装備する。駆動方式は全車4WD。最低地上高は220mmとたっぷりと確保した。
その一方で、オンロード性能をおろそかにしているわけではない。しなやかなフットワークとステアリングの正確性は、特筆レベルにある。
最新のボディ骨格に低重心の水平対向エンジンを搭載し、フルタイム4WDシステムを組み合わせた高い実力は、ライバル車を明確に凌ぐ。
eボクサーはマイルドハイブリッド仕様。アクティブ派にぴったりのSUV
フォレスターには2.5リッター直噴エンジン(184ps)+CVTと、「eボクサー」と称する2リッター直噴エンジン(145ps)+モーター(13.6ps)+CVTのハイブリッドが設定されている。2種のうちでお勧めは、オールラウンド性に優れた2.5リッターだ。
ハイブリッドのeボクサーは、搭載スペースの関係からモーター出力が低く抑えられている。標準車比100kg超という大きな重量ハンデを背負う一方で、パワーの上乗せ感や燃費の向上効果は限定的。発進時のモーター走行、加速時のモーターアシストなどの効果は確認できるが、メリットはさほどでもない。パワーフィールの自然さという点では、2.5リッター仕様にアドバンテージがある。
フォレスターのeボクサーは、よくも悪くもマイルドハイブリッドという表現が適当だ。
ハリアーのハイブリッド・システムとの実力差は大きいが、クルマ自体の完成度が高いだけに、パワーユニットはユーザーの好みしだい。ときにはオフロードに踏み込むというアクティブ派にぴったりのSUVである。
走りの良いハイブリッド!? スバルのe-BOXERの評判がいい理由
スバルにはEE20というクリーンディーゼルエンジンが存在した。日本への導入も期待されたが、2020年になって消滅してしまった。
そのクリーンディーゼルが消滅したのと密接に関係しているのが、スバルのオリジナルハイブリッドであるe-BOXERの存在だ。
スバルは電動化という分野では後れを取っていたが、e-BOXERを機に電動に舵を切り、その代わりクリーンディーゼルの生産をやめたというわけだ。
スバルオリジナルのハイブリッドであるe-BOXERはすこぶる評価が高い。どこがほかのメーカーのハイブリッドと違うのか? 魅力はどこにあるのかについて考察する。
文:松田秀士/写真:SUBARU
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スバルのハイブリッドへの取り組みの歴史
まずe-BOXERについて見ていく前に、今や当たり前となってきたハイブリッドに対し、スバルはどのような取り組みをしてきたのかを見ていく。
スバルのオリジナルハイブリッドが初めてお目見えしたのは、東京モーターショー2003で、B9スクランブラーというコンセプトカーにハイブリッドシステムを搭載。
東京モーターショー2003で公開されたB9スクランブラーは、2ドアオープンで、当時スバルに在籍していたアンドレアス・ザパティナス氏がデザイン
スバル初のハイブリッドシステムは、シーケンシャル・シリーズ・ハイブリッド・エレクトリック・ビークル(SSHEV)と命名されていた。名前のとおりシリーズハイブリッドで、モーターだけでは力が足りない場合にエンジンがアシストする、というユニークなものだった。
次にお披露目されたのが、東京モーターショー2005で公開されたターボ・パラレル・ハイブリッド(TPH)と呼ばれるまったく新しいシステムで、B5-TPHというコンセプトカーに搭載されていた。
SSHEVから2年後の2005年に公開されたB5-TPH。ターボ・パラレル・ハイブリッドの市販に期待がかかっていたが、結局市販されず
システムはターボエンジンとトランスミッションの間にモーターを挟み込んだパラレルハイブリッドで、エンジンがミラーサイクル化されていたのが特筆だ。
ミラーサイクル化することによりトルクは下がるが、それをターボで補うというのが、いかにもスバルらしい発想だと当時も言われていた。
上記2つのシステムは市販されなかったが、スバル初の市販ハイブリッドカーとして2013年に発売されたのがXVハイブリッドだ。
シンプルなシステムながら、スバルのアイデンティティであるAWDと組み合わせるなど、オリジナリティを存分に発揮していた。
2013年にスバル初の市販ハイブリッドカーとしてXVハイブリッドがデビュー。当時はハイブリッドらしくないハイブリッドと言われていた
加速感がとにかく気持ちいい
XVハイブリッドの登場から約5年経過して登場したのが、今回紹介するe-BOXERで、5代目フォレスターのADVANCEというグレードに初めて設定された。
基本的にはXVハイブリッドに搭載されていたシステムの進化バージョンということになるが、制御の緻密さは格段に違う。
e-BOXERのシステム図。動力伝達はエンジン→トルコン→クラッチ→モーター→CVT→クラッチという順になっている
まず、このe-BOXERは、燃費重視ではなく、当然燃費をよくする効果はあるが、それ以上に走りの楽しさを追求したハイブリッドである点がほかのメーカーのハイブリッドシステムとはひと味違うところで、最大の魅力だろう。
バッテリーの状態やクルマの負荷にもよるが発進から40km/hくらいまではモーターでのいわゆるEV走行が可能となっているのが旧タイプと違う。この速度域は街中で多用するので、その時に積極的にエンジンを止め、EV走行できるのは大きなメリットだ。
そしてe-BOXERは、加速感が気持ちいい。スポーツモードにすると、30~40km/hの速度域で、エンジンが積極的にアシストしてくれるから、電気ターボのようなフィーリングでグイグイ加速してくれる。このフィーリングはハイブリッドカーらしくない気持ちよさだ。
これは後述するが、オンロードだけでなく、オフロードでもこの気持ちよさを味わうことができる。
e-BOXERを初搭載したフォレスターADVANCEは重量級ボディを軽々と加速させる気持ちよさが最大の魅力
AWDとのマッチングもバッチリ
それからスバルがスバルであるための重要事項、AWDとのマッチングのよさもすばらしいレベルの仕上げとなっている。
スバルの理念としては積極的に4輪を使うというのがあるが、モーターアシストによるe-BOXERはまったく違和感がないどころか、駆動力の配分、そのタイミングなど見事に制御されている。
フォレスターにはX-MODEというものが用意されている。どんな路面でも最大限のトラクションを得て、安心・安全に運転できるためのデバイスだが、e-BOXERはこのX-MODEとのマッチングもすばらしい。
低回転から大きなトルクが立ち上がるモーターのトルク特性を生かすことにより、悪路での緻密なアクセルコントロールを可能とし、その結果、悪路での走破性を高めることに貢献している。
e-BOXERはX-MODEとのマッチングもいいので、モーターの起動トルクの立ち上がりを利用して悪路走破性の向上にひと役買っている(写真はX-BREAK)
ノーマルとの燃費性能比較
燃費性能は二の次、というスタンスに感じるe-BOXERだが、前述の運転を楽しむためのスポーツモードのほか、インテリジェントモードというものも備えている。
このインテリジェントモードは、運転のしやすさと燃費の両立を狙ったモードで、積極的にエンジンを止め、EV走行することで燃費を稼ごうとしている。
では、カタログ燃費はどのようになっているのか? ノーマルエンジン搭載のツーリングとe-BOXERのADVANCEで比べてみたい。
インテリジェントモードにすると40km/h以下では積極的にエンジンを止めるが、高速走行ではそれがないため、燃費面でのアドバンテージはない
【WLTCモード燃費】※数値はツーリング、ADVANCEの順
■WLTCモード:13.2km/L、14.0km/L
■市街地モード:9.6km/L、11.2km/L
■郊外モード:14.6km/L、14.2km/L
■高速道路モード:16.4km/L、16.0km/L
カタログ燃費を比べて、ハイブリッドとしては物足りなくなく感じるのももっとも。郊外モード、高速道路モードでは、ノーマルエンジンのほうが燃費がいいからだ。
しかし、街中での使用がメインの人にとっては、燃費性能の向上が見込まれるのも事実。
燃費面でそれほど大きな効果が発揮できていないのは、ツーリングに対してADVANCEは120kg重いのが影響しているのは間違いないところ。
フォレスターに続きe-BOXERが搭載されたのがXVで、旧型のXVハイブリッドからの買い替え組はその進化を実感して感激しているようだ
まとめ
今やハイブリッドは当たり前、なんも珍しくない、という時代だ。当然各メーカーからいろいろなタイプのハイブリッドカーが登場しているなかで、ほかが燃費性能の向上ありきなのに対し、e-BOXERは燃費も重要だが、最優先は走りの気持ちよさを追求している。
百花繚乱のハイブリッド時代で、ある意味個性を発揮している。
何もかもが満たされた時代だからこそ、e-BOXERのようなハイブリッドがあっていいと思う。そして、そのような気持ちを抱いている人がいることが、e-BOXERの評価を高めている要因だと思う。
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富士重工 | 日記
Posted at
2020/07/16 21:10:10
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