2020年10月13日
公道を走ってくれるのはまだまだ先になるんだろうな〜発売はまだですから
「新型レヴォーグの走りにレーシングドライバーも大興奮!」飯田章も納得のアイサイトXとは!?【V-OPT】
【新作】スバル新型レヴォーグプロトタイプ飯田アキラ試乗
ついに発売となった新型レヴォーグ。その走りの性能を徹底チェックすべく、V-OPT取材班はレーシングドライバーの飯田章選手とともにサーキット試乗会へと潜入。旧型と新型の走りを比較インプレッションした。
新型レヴォーグのトピックスといえば、やはり世界最高峰の予防安全性能を誇るアイサイトX。実際の公道で起こりうる、危険なシチュエーションを模した実験でその性能を見定めていく。
新型レヴォーグ登場記念! 過去~現在 快速スポーツワゴンの系譜を辿る
2020年8月20日、満を持して予約開始となった新型レヴォーグ。ターボエンジン専用の国産ステーションワゴンというと、もはやレヴォーグしか選択肢がなくなっているのだが、もともと日本は快速ステーションワゴンの宝庫だった。本企画ではその系譜を辿る。
【画像ギャラリー】歴代レガシィからカルディナ ステージア アコード アベニール… 国産快速ワゴンたちをギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年9月のものです
文:永田 恵一、ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部ほか
初出:『ベストカー』 2020年10月10日号
■なぜここまで少なくなったのか? 新型レヴォーグにみる「GT思想」
(TEXT/編集部)
今年(2020年)10月の正式発表を前に、8月20日から全国のディーラーで先行予約が始まった新型レヴォーグ。
8月末までにすでに5000台を突破しているとの情報もあり、新型コロナ禍にあってもその出足は非常に好調のようだ。
スバル 新型レヴォーグ
現在の国産ワゴンのラインナップは、新型レヴォーグ以外だと同じCセグのカローラツーリング、Dセグのマツダ6ステーションワゴン、Bセグのシャトルがあるくらい。
トヨタ カローラツーリング
このなかで新型レヴォーグと若干ターゲット層や価格が重なるのは、2.5Lターボや2.2Lクリーンディーゼルを設定しているマツダ6ステーションワゴンだが、こちらはやや上級志向でもある。
マツダ6(アテンザ)ステーションワゴン
新型レヴォーグの価格は最廉価グレードのGT(310万2000円~)、中間グレードのGT-H(332万2000円~)、最上級グレードのSTI Sport(370万7000円~)となり、最新の先進安全装備「アイサイトX」がつくEXグレードの場合、各グレードの価格に38万5000円が上乗せされる。
新型レヴォーグの心臓部には新開発のCB18型水平対向4気筒、1.8L直噴ターボ(177ps/30.6kgm)を搭載。
試乗の様子から。スタイリッシュな外観は公道でも一際目を引く存在になるだろう
歴代レガシィツーリングワゴン、そして初代レヴォーグに脈々と受け継がれている「より遠くまで より快適に より速く」というスバルのGT(グランドツーリング)思想は、この新型レヴォーグにも色濃く継承されている。
初代同様、欧州の一部を除いた準国内専売車としての存在感を大いに示しそうだ。
■スバル以外にも快速ワゴンモデルは多く存在! 国産スポーツエステートモデル列伝
(TEXT/永田恵一)
日本車の快速ワゴン、というよりステーションワゴン自体、「レガシィ&レヴォーグの歴史」と言い換えても過言でないくらい、レガシィ&レヴォーグの存在感は大きい。
昭和の時代にも快速ワゴンといえるモデルは、ターボ車のブルーバードやスカイラインのワゴンなどがあった。
しかし、昭和のワゴンは商用のライトバンベースや力の入っていないものが多く、ワゴンとライトバンが混同されがちで、イメージがあまりよくなかった。
そのため、その頃日本で売れていたワゴンは5代目カペラカーゴワゴン(後ろ向きのサードシートがある7人乗り)とボルボに代表される輸入車くらいだった。
その流れを変えたのが平成最初の新型車でもあった初代レガシィである。新型レヴォーグのように「すべてが新しかった」初代レガシィは、セダンは地味なところも否めなかったが、ワゴンはスタイルがとても新鮮だった。
初代レガシィツーリングワゴン(1989年)…AT用にチューニングされた2Lフラット4のEJ20ターボは200psでスタート。2段のルーフや黒いDピラーも新鮮だった
さらにレオーネから続いた長い経験による使いやすさやレガシィワゴンは乗用車専用だった点も後押しし、人気車に成長。
現代でいえばカングーやハスラーのような「新しい生活」を感じるクルマだったのだ。
さらにレガシィワゴンは登場した年にATもある4WDターボのGTを追加。燃費は悪かったが、レガシィのイメージリーダーとなり、「ワゴン=レガシィ、GT」というポジションを確立した。
新しいマーケットができただけに、他社も参入した。
トヨタ 2代目カルディナGT-T(1997年)…2代目で2Lターボを設定。エンジンはレガシィに勝る面もあったが、それ以外は劣勢だった。
しかし、ライバル車は部分的にはレガシィに勝っても、総合的に見たら当時のスバルにとって4番バッターだったレガシィに及ばす、レガシィと勝負できる快速ワゴンはとうとう現われなかった。
つまりレガシィワゴンは全盛期のスカイラインのような孤高の存在だった。
2000年代に入るとミニバンの台頭もあり、ワゴンの需要は大幅に減少し、レガシィのライバルも次々と消滅したが、それでもスバルが今に至るまで快速ワゴンを作り続けているのは本当に立派だ。
レガシィが2代目後期だった1990年代後半になると、ステージアをトップバッターにラージワゴンのジャンルも活性化し、快速モデルも多くのモデルに設定された。
2代目レガシィツーリングワゴン(1993年)…エンジンはシーケンシャルツインターボとなり、1996年のモデルチェンジ後のMT車は2Lで初となる280psに到達している
初代ステージア260RS(1997年)…RB26DETTやアテーサET-S、ブレンボのブレーキといったR33GT-Rの基幹部分を、ほぼそのまま移植したスペシャル快速ワゴン
しかしラージワゴンの快速モデルはステージアが成功したくらいであまりパッとせず、現在はジャンル自体が絶滅に近い状態となっている。
【画像ギャラリー】歴代レガシィからカルディナ ステージア アコード アベニール… 国産快速ワゴンたちをギャラリーでチェック!!!
スバル新型「レヴォーグ」は気になる存在!? 初代オーナーが期待することとは?
■スバル新型レヴォーグは受注好調!? 納期はどうなる?
スバル新型「レヴォーグ」の先行予約の受付が2020年8月20日に開始されました。
発表は10月15日となり、9月末時点では車両価格などが公表されていませんが、それにもかかわらず受注は好調とのこと。いまからオーダーすると納車は2021年になるといわれているほど、人気を博しています。
大きな注目を集めている新型レヴォーグですが、なかでもその動向を気にかけているのは旧型となる初代レヴォーグのオーナーではないでしょうか。
そこで、初代レヴォーグとその前身の「レガシィツーリングワゴン」のオーナーに、新型レヴォーグについて聞いてみました。
「1.6GT アイサイト(2014年)」を所有するTさんは次のように話します。
「私のクルマはデビューしたての2014年式ですが、初代レヴォーグは1月に予約開始されたあと、詳細の発表は4月、そして実際の発売(納車)は6月からとタイムラグがありました。
最近のクルマはこういう販売方法が多いようですが、予約してから相当待たされたのはマイナス点だと思っています。新型レヴォーグも同じようなので、購入するつもりではいますが予約はしていません」
事前予約制は販売する台数や、グレードやオプション装備の人気をある程度把握でき生産計画を立てやすく、メーカーにとってメリットがある一方、予約してから発売まで長く待たされるユーザーにとっては、「待ちきれない」との声があがるのも確かです。
「初代レヴォーグはクルマ自体に関しては大きな不満はないのですが、燃費がカタログ数値ほど良くありませんでした。新型レヴォーグが搭載する新開発の1.8リッターターボエンジンは、どれぐらい燃費が向上するのか楽しみにしています」(Tさん)
初代レヴォーグの1.6GT アイサイトのデビュー当時のJC08燃費は17.4km/Lでしたが、2017年のマイナーチェンジで16.0km/Lへ変更。実用燃費の向上を目指しエンジン制御を最適化したとされていますが、カタログ燃費は逆に下がっていたのです。
新型レヴォーグでは、新開発の水平対向エンジン「CB18型」を初搭載。低回転、低負荷時にリーン燃焼することで燃費向上を目指したエコなエンジンとされています。
排気量は初代モデルの1.6リッターから1.8リッターに拡大されていますが、最高出力はわずか7馬力アップの177馬力。
しかし注目なのは、最大トルクが250Nmから300Nmと20%も向上しているうえに、その発生回転数が1800rpm-4800rpmから1600rpm-3600rpmに下げられていることです。
これはピークパワーよりも日常域での扱いやすさを重視したことが分かるスペックで、スムーズな運転がもたらす実燃費の改善を狙っています。
新型レヴォーグの公式サイトでは、社内測定値としてJC08モード燃費は16.6km/L(GTグレード)と公表するとともに、より実燃費に近いとされるWLTCモード燃費は13.7km/Lで、2リッター近い排気量のガソリンエンジンとしてはまずまず優秀な燃費だといえます。
■ハイパワー版はどうなる!? 進化したアイサイトに期待!
後期型の「2.0GT-Sアイサイト(2018年)」に乗るWさんは、いずれ登場すると予想されるハイパワー版を心待ちにしているといいます。
「1.6リッターターボから1.8リッターターボになったとはいえ、300馬力の2リッターターボからそれへの乗り換えは考えていません。
2021年に迎える最初の車検までにハイパワーモデルが登場してくれたら嬉しいですが、新開発のエンジンは排気量アップが難しいともいわれており、どうなることかわかりませんね。
正直、いまのレヴォーグに不満がまったくなくて、買い換える目的は大型のセンターモニターです。初代のインテリアもシンプルで使いやすいのですが、新型レヴォーグの未来っぽい雰囲気はとても気になります。メーターも液晶らしいですし、実物を見るのが楽しみです」
ハイパワー版が登場するかどうかは現時点で未定ですが、従来モデルの2リッターターボ車は300馬力を発揮するパワフルなエンジンなので、Wさんのように、通常仕様ともいえる1.8リッターターボへの乗り換えを躊躇する人も多そうです。
ちなみに、新型レヴォーグはベーシックな「GT」と、装備充実な「GT-H」、スポーティーな「STIスポーツ」の3グレードに、先進装備の「アイサイトX」を搭載した「EX」がそれぞれに用意され、6グレードでの展開となっています。
12.3インチのフル液晶メーターと縦型の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイは、EXに標準装着(11.6インチディスプレイはEX以外にもオプション設定)。
車両の情報確認からエアコン操作までさまざまな機能が盛り込まれており、国内のスバル車では初めて搭載装備されます。
また、アイサイトの進化版であるアイサイトXは、新型レヴォーグで注目となる新機能です。これについては、レガシィツーリングワゴン(4代目)のオーナーであるKさんが期待を寄せています。
「初代レヴォーグへの乗り換えを考えて試乗したことがあるのですが、どうしてもアイサイトの感覚がなじめませんでした。
今回、EXに装備されるアイサイトXは進化版になっているとのことで、いろいろレビューを見ると、高機能になっているのはもちろん、フィーリングが自然だという評価が多かったので、とても期待しています」
新型レヴォーグのアイサイトは、これまでのステレオカメラに加えてレーダーも併用し、より広範囲にモニタリングできるように進化しています。
さらなる機能を追加したアイサイトXは、衛星やGPSからの情報や3D高精度地図を利用して、高速道路での運転をアシスト。
渋滞時のハンズオフ機能や、高速走行時にカーブ前で減速したり、料金所手前で約20km/hまで車速を落として通過するなど、高度な運転支援をおこなうのが特徴です。
※ ※ ※
新型レヴォーグは、初代モデルからわずかにボディサイズを拡大。全長4755mm×全幅1795mm×全高1500mm(参考値)と、従来モデルに比べて全長が65mm、全幅が15mm拡大し、ホイールベースは25mm延長しました。
サイズアップのぶん後席の膝元のスペースが拡大されたといいますが、今回話を聞いたレヴォーグオーナーからは、初代モデルの居住性についての不満はほとんどありませんでした。
初代レヴォーグ自体の完成度が高く、これといった不満が聞かれないクルマだっただけに、新型レヴォーグは「これ以上にどう良くなるの?」と関心を寄せている人が多いようです。
渋滞で手放し運転できる機能って自動運転? スバル「アイサイトX」で考えた
■ステアリングから手を離して運転できる「ハンズオフ」機能
ステアリングから手を離して運転できる「ハンズオフ」の機能に注目が集まっている。
2019年より、BMWの「3シリーズ」や日産「スカイライン」にも搭載され、2020年11月末に発売されるスバル新型「レヴォーグ」にもハンズオフ機能を含む「アイサイトX」が搭載されることが決まったからだ。
ただ、ハンズオフに対する誤解も少なくない。手放し運転ができるとなれば「もしかして自動運転が実現できた?」と勘違いする人も少なくないようなのだ。
このハンズオフを理解する上で知っておくべきこと、それは自動運転の基本概念だ。ここで重要なのは、走行中における責任を誰が負うかということにある。
現在は部分的に自動化が進んでいるものの、運転中の責任はドライバーが負う。アダプティブクルーズコントロールやプリクラッシュブレーキといった機能は、あくまでドライバーの運転をアシストする先進安全運転支援システム(ADAS)に過ぎず、事故の一切の責任はドライバーにあるのが今の状況なのだ。
一方で自動運転という概念は、運転の責任がシステム側にある。この状態で仮に事故が起きれば、ドライバーは運転をしていないから責任はなく、その責任はシステムが負うことになる。言い換えれば、この責任をシステムが終える段階にまで達しなければ、自動運転は実現しないということになる。
しかし、この実現までのハードルは極めて高く、現状では技術的にも法律/制度的にも、その段階には達していない。
ならば現状のハンズオフ機能はどういったものなのか。新型レヴォーグを例に説明しよう。
新型レヴォーグが実現しているのは、高速道路を走行中に、50km/h未満の速度域でハンズオフが可能となるものだ。これは、高速道路での渋滞時の利用を想定して搭載されており、モード時は停止と発進を繰り返す渋滞でもスイッチ操作なしに追従できる。これだけなら、50km/h未満での自動運転を実現していることになる。
しかし、このシステムで重要なのは、ドライバーが前方を視認していることを作動条件としていることだ。
そのために、新型レヴォーグではダッシュボードの中にドライバーの視線を監視する赤外線センサーが組み込まれている。これを使ってドライバーが前方を見ているか、昼夜を通してチェックしているのだ。
仮にドライバーが前方を見ていないことをシステムが気付くと警告音を発し、それを放置すればハンズオフ機能は直ちに解除されてしまう。
これこそが、ハンズオフであっても、走行中の運転の責任はドライバーが負っていることを示している証なのだ。
■自動運転の定義はレベル1から5まで
では、そもそも自動運転とはどんな概念で展開されているのだろうか。
自動運転の到達レベルとして広く利用されている、アメリカ自動車技術者協会「SAE(Society of Automotive Engineers)」が定めた自動運転の定義によると、自動運転レベルは以下の5つに分けられている。
●レベル1/運転支援
車両走行中にコンピュータにより、ステアリングあるいは加減速操作がアシストされる。具体的には、プリクラッシュブレーキやアダプティブクルーズコントロール(ACC)、レーンキーピングアシスト(LKA)などが単独で発揮される運転支援機能に例えられる。現在、多くのクルマが採用している運転支援システムは、これに相当する。
●レベル2/部分自動運転
車両のコントロールはステアリングとブレーキ、アクセルがコンピュータにより操作され、ACCやLKAなどが組み合わされて総合的にアシストする状態を指す。ステアリングの制御もおこなうため、ハンズオフも可能となる。ただし、何らかの事象があった際は、ドライバーの責任のもとで対応することが作動条件となる。BMW3シリーズや日産スカイライン、新型レヴォーグに搭載されるシステムはこれにあたる。
●レベル3/条件付き自動運転
コンピュータが車両の操作をおこなうため、自動運転実行下でドライバーは運転操作をする必要はない。システムの責任で走行しており、ドライバーは走行中でも前方を見ずに他の作業ができる。ただ、システムが制御不能になった際はドライバーに運転を委譲するため、その準備としてドライバーは運転席に座っている必要がある。
●レベル4/高度自動運転
一定の路線内や自動車専用道路、特定敷地内や低速走行地域など、特定エリアにおいてシステムが周辺環境を認識して走行する。ドライバーは運転操作から基本的に解放され、レベル3とは違って、ドライバーは必ずしも運転席に座っている必要はない。車内で食事や読書等、自由な時間を過ごしながら移動できる。
●レベル5/完全自動運転
システムがすべての運転領域に対応し、ステアリングといった操舵機能もなく、ドライバーは運転操作から完全に解放される。乗車しても運転する必要はなく、作業は目的地などを設定する作業をおこなうだけとなる。自動運転の継続が困難になっても、自動的に路肩へ停止して対応。運転免許の可否もこのレベルで初めて議論される。
※ ※ ※
この区分けを見て、気づいた人もいると思うが、レベル2までは走行中の責任はドライバー側にあり、レベル3になるとシステム側が責任を負うようになっていく。
つまりレベルが上がるにつれて、責任の範囲がシステム側に広がっていくというものだ。新型レヴォーグのハンズオフはレベル2に相当する。だから、運転中の責任はすべてドライバー側にあることになる。
前述したように、新型レヴォーグのハンズオフがレベル3になるためには、目に見えない高いハードルが立ち塞がっている。
それは技術的な面だけでなく、法律/制度の整備をしていくことだけにとどまらない。クルマが自動で走行していることに対する、人々の不安を取り除く受容性についても解決していかなければならないのだ。
しかし、それらを解決できる兆しは現状ではまったく見えていない。おそらく完全自動運転のレベル5が実現するのは、当分先の話と考えて間違いないだろう。
となれば、重要なのは足下の状況をどう進化させていくか、ということになる。いまは各自動車メーカーが技術競争のなかで、ドライバーを安全に導くさまざまな機能が実用化されるようになってきている。
ハンズオフ機能についても、周囲をセンシングする高度な技術の実現が背景にあるし、その積み重ねこそが将来の自動運転を実現する糧となっていくのは間違いない。
つい「自動運転」というワードに踊らされがちだが、闇雲に自動運転を目指すのではなく、ドライバーの運転をサポートできるADAS性能をしっかり固めることがもっとも重要なのだと思う。
「最新モデル試乗」話題の新型SUBARUレヴォーグはドライバーズカーの理想型だった! サーキット全開チェック
魅力実感。新設計1.8リッターターボは力強く、スッキリ回る
新型レヴォーグの先行予約が8月20日から開始された。注目度はここ数年のSUBARU(スバル)車トップレベル。先行展示会は乗車体験1時間待ち、という話も聞く。予約は順調で、スバル関係者によると、受注台数は〝メーカーも驚くレベル〟だそうだ。
そんな中、2回目のプロトタイプ試乗会が開催された。今回はサーキット(袖ヶ浦フォレストレースウェイ)が舞台。ズバリ「走る/曲がる/止まる」という基本性能チェックがメインだ。試乗車はフラッグシップのSTIスポーツEXと、スタンダード系の上級グレードGT-H。比較用に現行のSTIスポーツも試した。
まずGT-Hでコースイン。新型の実力は、ピットロードを走り始めた時点から実感できる。1.8リッター直噴ターボ(CB18型・177ps/300Nm)は1500rpmから最大トルクを発揮。1.8リッターとは思えない実用域の力強さと、高回転までスッキリと回るのが好印象。新開発のリニアトロニック(8CVT)は、並のステップAT顔負けのダイレクトな感触。これならCVT嫌いも納得するだろう。
シャシー性能は、素晴らしいと思っていた現行型が、心もとないと感じてしまうほどの差がある。現行型はコーナリング時に応答遅れを考えて「ドライバーが曲がるための準備や補正をする必要」があった。新型は準備や補正が不要。自然にステアリングを切るだけでいい。つまり、誰でも安心して上手く走らせられる。
走りの味付けはスポーティ。しっかりボディが基本性能大幅アップに貢献
試乗時は突然の雨に見舞われた。ウエット路面で現行型は、限界を探りながらの走行で予期せぬ動きにドキッとした。新型は安定した挙動で何事もなし。鉄壁のリアのスタビリティと応答性に優れるフロントが、絶大な信頼性とコントロール性を生み出す。タイヤからの情報もわかりやすく、不安はまったくない。ウエット路面が楽しいと感じたくらいだ。
新型の高い完成度は、フルインナーフレーム構造の第2世代SGP(ねじり剛性44%アップ)やデュアルピニオン式電動パワーステアリング、ロングストローク化されたサスペンションなど、すべての刷新により、基本性能が飛躍的にレベルアップした成果である。
走りの味付けは現行型、新型ともにスポーティ。だが考え方は異なる。現行はどちらかというとロールを抑え、クイックに動かすセットだが、新型は基本性能が高められたことでロールを上手に活かし、きれいに動かすというセッティングだ。
セッティング変更は、ハンドリングだけでなく快適性にも貢献している。袖ヶ浦フォレストレースウェイは、サーキットながらところどころに細かい凹凸がある。新型は〝路面が変わったのか〟と錯覚するほど、スムーズな足さばきと吸収性を見せた。
STIスポーツの完成度に感動。ドライブモードセレクトが楽しい
「GT-Hで十分かな!?」と思いながら、STIスポーツに乗り換える。走り始めて、「上には上がある」と実感。しなやかさを損なわない範囲で、無駄な動きを抑えた絶妙なセッティングが心地いい。ノーズの入りのよさなど、より攻めたくなる味付けである。タイヤはGT-Hと同じなので、STIスポーツ専用アイテムのひとつ、ZF製の電子制御可変ダンパーの効果に違いない。
STIスポーツは、ダンパー、パワートレーン、電動パワーステアリング、AWDなどの特性が変更可能なドライブモードセレクトを標準装備。ノーマルの万能性に感心しながらも、ダイレクト感が高いスポーツ+、しなやかな足の動きと安心感がより高まるコンフォートを試す。走行モードごとの違いは明確。インディビデュアルは各種設定が好みで調整できる。自分だけの1台に仕上げられる。
新アイサイトのプリクラッシュブレーキのデモを取材した。60km/hでの衝突回避を確認したが、短い距離でも余裕で止まった。実際は70、いや80km/hくらいからでも止まれるのではないだろうか? 新機能の前側方プリクラッシュブレーキや対歩行者の対向(自車右左折時)対応機能も確認したが、こちらも見事に危険を回避。リアルワールドでよく起きるシチュエーションだけに、被害低減に大きく貢献するだろう。これらのアイサイト機能は、全車に標準で装備される。
新型レヴォーグの完成度は実に高い。前回の試乗でも基本性能のレベルアップは一目瞭然だったが、速度域の高いステージでのチェックを通じて、シャシー性能は世界の強豪と戦えるレベルだと確信した。スバルはすべてのドライバーに〝安心と楽しさ〟を提供することを企業スローガンにしている。新型レヴォーグはその理想形にかなり近づいた。
正式発売直前 走りが絶品!! 新型レヴォーグ 本気の試乗で実力判明
2020年10月15日に正式発表、11月に発売開始となる予定のスバル「新型レヴォーグ」。先行予約は、すでに8月20日から全国のスバルディーラーで開始されている。
新型はSGP(スバルグローバルプラットフォーム)を採用し、新世代の運転支援システム「アイサイトX」の搭載、大幅な進化を遂げていることで注目を集めている。
そんな新型レヴォーグの走りの実力はいかほどのものなのか!? 歴代レガシィツーリングワゴンを初代~4代目まで乗り継いだ国沢親方が判定する!
※本稿は2020年9月のものです
文/国沢光宏
写真/小林邦寿、SUBARU
ベストカー2020年10月26日号
【画像ギャラリー】すべてにおいて進化していた! 新型レヴォーグの詳細をチェック!
■スバルのDNAをしっかりと注入するための”こだわり”
ユーザーからすれば試乗できていないだろうし、情報もアイサイトX(エックス)&チョイ乗り記事くらいしか出ていない。にもかかわらず新型レヴォーグの売れゆきが順調だという。スバル、やっぱり期待されているかもしれません。
そんななか、新型レヴォーグの試乗会を袖ケ浦サーキットで行うという。走りの楽しさを前面に打ち出すスバルながら、考えてみたらサーキットでの試乗会は長いことしていないです。
まず、決して安い価格といえないのに売れ筋になっている『STI Sport(STIスポーツ)』から。このグレードの特徴は世界で最も優れていると評価されている「ZF」製ダンパーを採用している点にある。ZFよりザックス、と言ったほうがわかりやすいかもしれません。
2020年8月20日に先行予約を開始し、2020年10月15日発表予定の新型レヴォーグ(写真はSTI Sport)
STI Sport EXのインテリア。インパネ中央には11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイを採用し、メーターには12.3インチフル液晶タイプを採用。いずれも国内でのスバル車では初めての採用となる
なんたってF1をはじめ、競技用ダンパーじゃ圧倒的なシェアである。メルセデスやBMW、ポルシェなどの乗り味もザックスのダンパーによるものが大きい。なら日本勢も使えばいいじゃない、と思うだろうが、絶品と言われるドイツ本国製ダンパーは高価でなかなか使えないのだった。
なぜ新型レヴォーグに採用したのかといえば、正直なところわからない。
開発チームに聞くと「スバルのDNAが入った青い血が流れていると自称する五島さんの決断」という人もいれば「五島さんはコスト管理が厳しい」という人もいる。いずれにせよ、最終的に判断したのが開発責任者の五島賢さんであることは間違いない。そんなザックスの素晴らしさを味わうなら、街中でもサーキットでも「コンフォート」でしょう。
■コーナーでのスタビリティの高さは「猫や魔法の絨毯」
最初の動き出しこそ滑らかなのだけれど、入力が大きくなっていくと徐々に粘り始める。もう少し具体的に説明すると、コーナーに進入すべくハンドル切り込んだ場合、最初は素直にロールし始めるが、だからといってフワフワなイメージなし! そしてコーナーのクリッピングで最大の横Gがかかった時は、ドシッとしたスタビリティを出しているのだった。
少しばかり誇張して表現するなら、猫足や魔法の絨毯ってこんな乗り心地だと勝手に想像している。実際のクルマでいうと、よくできたラリー車ですね。路面は凸凹してるのに、まるでフラットなコースを走っているように感じるほどサスペンションが動く。
左が新型レヴォーグのSTI Sportで、右が先代型レヴォーグの1.6STI Sport。新型はSGP+フルインナーフレーム構造の採用により、ねじり剛性を44%向上する
2ピニオン電動パワステの採用により、なめらかで応答遅れのないダイレクトなステアフィールを実現。さらにフロントを25%、リアを5~10%ロング化して乗り心地を向上させたほか、マスオフセットを15%低減してステアフィールを向上
今回も袖ケ浦サーキットの高い縁石に乗り上げたりしてみたものの、身構えても拍子抜けするほど滑らかに乗り上げ、脱出してしまう。
だったら4段切り替えモードは不要かとなれば、そんなことない。一番ハードな『スポーツ+』で走れば、あらま! スポーツカーのようにシャッキリした挙動になる。標準装着されているヨコハマの『ブルーアースGT』は転がり抵抗とウェット性能を重視しながら、なかなかのグリップレベルを持つ。けれどスポーツ+にセットするや、アドバンA052くらいのスポーツタイヤを履きたくなるほどだった。
個人的には標準タイヤを強く推奨するけれど、高性能タイヤに履き替えても足回りはそのまんまでOKだと思う。スバルによれば街中での推奨は「ノーマル」だという。ディーラーで試乗する機会あればぜひともさらにしなやかなコンフォートを試してほしい。いまだに伝説となっている2代目レガシィのビルシュタインを確実に超えてきましたね! レガシィのDNAを感じる。
新型レヴォーグは初代レガシィツーリングワゴンから綿々と受け継がれる”より遠くまで、より早く、より快適に、より安全に”というスバルのGT思想を継承する
エンジンには177ps/30.6kgmの新開発直噴1.8L水平対向ターボを搭載
となると、気になるのが動力性能かと。新型レヴォーグは従来型に存在した2Lターボを設定していない。あまり期待せずアクセル踏むと、意外や意外! 元気です。考えてみたら最大トルクはターボなしの3000ccと同等の300Nm。加えて極低回転域から小径のタービンを回して過給しているそうな。したがってターボラグも感じない。レスポンスいいです。
もちろん絶対的な出力は177psである。サーキットだと物足りない。でも街中なら必要にして十分なパワーだと思う。新設計となるCB18はエンジン自体の余力が大きいということで、遠からず200ps/330Nmくらいのロムチューンも出てくるんじゃなかろうか。多少燃費落ちるだろうけれど、一段と気持ちいい走りを楽しめるようになることだろう。
また、使用燃料にレギュラーが強く推奨されている。ハイオクはオクタン価こそ高いけれど、リーンバーン燃焼時の着火性でレギュラーより悪い。ハイオクのほうがパワーが出ると思っている人も多いようだけれど、そら間違い。少なくともCB18だとリーンバーン領域の燃焼が悪くなってしまうという。とはいえ派手さを感じないエンジンは新型レヴォーグの数少ない課題。私ならロムチューンを考えますね!
続いてふつうのサスペンションとなる『GT-H』を試す。ZFのダンパーより大きく劣るかと思いきや、それほどでもない! どうやら開発途中にZFとの比較を何度も行ったため、日本のメーカーが気合い入れてきたようなのだ。そらそうでしょう。ダンパーの仕上がり、乗り比べたらハッキリわかりますから。ということで、乗り心地とハンドリングのバランスはいい。
サーキットで限界走行しても、レベルの低いアンダーステアになったり、急に限界を迎えてテールが流れたりしない。そもそも現行インプレッサから採用されている新世代プラットフォームは、奥ゆきがあって高い評価を得ている。従来型レヴォーグも決してレベルの低いハンドリングではなかったけれど(今回乗り比べ用に従来型車が用意されていた)、一段とレベルアップした感じ。
■一般道をふつうに走っても欧州車のような仕上がりに
日本車だとホンダ「シビックタイプR」などスポーツモデルにしか使われていない正確な操舵フィールを実現する2ピニオンタイプの電動パワステや、エンジン負圧を使わないシャープな電動ブレーキブースター(欧州車が好んで採用してます)もいい仕事をしており、日本車というより欧州車のような乗り味になっている。一般道をふつうの速度で走っても違いはわかるだろう。
欧州車に負けない仕上がりの走りを見せる新型レヴォーグ。国沢親方は「安いとは言えないが、真正面から輸入車と勝負できる!」と太鼓判を押す
さて。新型レヴォーグをどう考えたらいいだろう。絶対的な価格は決して安いとは言えない。とはいえアイサイトは格段に進化しているし、嬉しいことに歩行者エアバッグまで標準装備されている(助手席の座面にまでエアバッグがつく!)。安全と楽しさを両立させているという点からすれば、輸入車と真正面から勝負できると思う。ぜひ試乗してみることを薦めたい。
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富士重工 | 日記
Posted at
2020/10/13 23:22:43
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