2020年10月29日
EJ系エンジンはもっと燃費か馬力に振り切った仕様で育てられたら違ったんかな〜並行して別のエンジンを育てるのが正直微妙に終わってしまった気もするし
スバルの名機が欲しいなら待ったなし!! 最後のEJ20搭載車「WRX STI」が高騰!
平成の30年間スバルを支えたエンジンといえば、EJ20型 2L水平対向4気筒ターボエンジンだ。2019年末をもってEJ20型エンジンを搭載していた「WRX STI」が生産終了となり、輝かしい歴史に幕を閉じた。
その生産終了直後の2020年1月にWRX STIの中古車事情を執筆したが、WRX STIの中古車の流通台数は約84台で、特別仕様車はおおむね1~2台流通していた。
2017年5月に行われたマイナーチェンジで前後期を分けると、2020年1月の時点では前期型が約73.9%、後期型は約26.1%と圧倒的に前期型の中古車が多かった。
平均価格は全体的には値上がり傾向であったものの、2015~2016年式の初期モデルは値落ちしていたのだ。また、限定車も「S207」が約476万~約486万円、「NBRパッケージ」が約578万円。そして「S208」は約639万円そして、「NBRパッケージ」が約700万~約857万円だった。
それから約9カ月が経過した現在、絶版車となったWRX STIの中古車事情はいったいどうなっているのだろうか。1月の時点予想したとおり値上がり傾向となっているのであろうか。
文/萩原文博
写真/編集部、SUBARU
【画像ギャラリー】2019年12月をもって受注生産の注文受付を終了した「WRX STI」 その詳細をチェック!!
■減少する流通数 後期型の最終モデルが最多に
現在、WRX STIの中古車の流通台数は約64台と2020年1月の約76%に減少している。
年式では2014~2017年までの前期型が約22台、後期型が約42台となり、比率も前期型が約34.3%、後期型が約65.6%となりわずか9カ月で大きく様変わりしている。
2014年に登場した「WRX STI(前期型)」。かつては、インプレッサの「 WRX STI」というグレードだったが、フルモデルチェンジを受けてひとつの車名として独立した
WRX STI(後期型)。それまで機械式LSDを組み込んでいたDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)を、電磁式LSDのみのフル電子制御に変更するなど、見た目でなく走りに直結する部分も変更された
年式別でも2014年式が10台、2015年式が9台、2016年式が3台、2017年式が17台、2018年式が4台そして2019年式が21台となっている。特に注目なのは2019年の最終モデルで、1月時点ではほとんど流通していなかったが、現在は最も多い年式となっているのだ。
続いて、WRX STIの中古車のグレード構成を見てみる。最も多いのは約54.6%の「STI タイプS」。続いては、STIの「標準車」で約34.3%。そのほかは特別仕様車で「S207」が1台、「S208」が5台、「タイプRA-R」が1台となっており、9カ月経過しても「EJ20ファイナルエディション」は出回っていない。
2019年末に555台限定で販売された「EJ20ファイナルエディション」。9カ月経過した現在でも出回っていない
■プレミア価格の中古車も! 値上がり傾向で購入なら待ったなし
それでは、各モデルの価格帯を見てみよう。まずは中古車の流通台数が最も多い「STIタイプS」だ。中古車の価格帯は約237万~約638万円で、新車時価格の414万8000円を上回るプレミアム価格の中古車が14台も出回っている。なかには走行距離30kmという未使用車もある。ボディカラーは人気のWRブルーを中心に、黒、白、そしてシルバーの順となっている。
続いては、STIの「標準車」だ。中古車の価格帯は約245万~約650万円でこちらも新車時価格を上回る中古車が10台以上もある。ボディカラーはWRブルーが中心だが、タイプSでは見られなかった赤のボディカラーも数は少ないものの見つけることができる。
さらにWRX STIの特別仕様車を見てみる。まずは2015年10月に400台限定で販売された「S207」。2020年1月の時点では数台流通していたが、現在はわずか1台だけで、価格は約436万円で値落ち傾向となっている。
WRX STIベースの特別限定車第1弾が「S207」だった。NBR チャンレジパッケージ(写真右)は最大数100台があっという間に完売した
2017年10月に限定450台で販売された「S208」。S208の標準車は2台流通しているが、価格は1台が約670万円で、もう1台は応談。走行距離がわずか2000kmなので800万円近いと考えられる。WRX STIの特別仕様車で最も多いのが、4台流通している「S208 NBR チャンレジパッケージ カーボンリアウィング」。価格帯は約800万~約850万円で値上がり傾向となっている。
インプレッサ&WRX STIベースのS200シリーズの日本での最後のモデルが「S208」。写真はニュルブルクリンクチャレンジパッケージのクールグレーカーキ
そして1台だけだが、2018年7月にSTI創立30周年を記念して発売された「タイプRA-R」も流通している。価格は約700万円で1月の時点より大幅な値上がりを示した。流通台数が減少したS207は値落ちしているが、そのほかの特別仕様車は値上がり傾向や高値キープといった状況だ。
2018年7月、STI創立30周年記念モデルとして500台限定で発売された「タイプRA-R」
最後にWRX STIの年式ごとの平均価格の推移を見てみる。2014年式は3カ月前の約300万円から現在は308万円へと値上がり。2015年式は約328万円から約347万円へと値上がり。2016年式は約302万円から約307万円へと値上がり。2017年式は約371万円から約404万円へと値上がり。2018年式は約394万円から約451万円へと値上がり。そして2019年式は約550万円から約595万円へと各年式とも揃って値上がり傾向となっている。特別仕様車で複数台流通している「S208 NBR チャンレジパッケージ カーボンリアウィング」は約830万円付近で横ばいとなっている。
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2020年1月の時点ではまだ値落ちしている年式もあったのだが、現在は全年式で値上がり傾向となっており、もう今後値落ちするケースは考えにくくなった。これからは高値安定もしくはさらに値上がりという二者択一になると考えられる。欲しいと考えている人はもう待ったなしとなった。
新型レヴォーグで勢いに乗るスバル なぜ一斉に受注終了? 燃費規制にまつわる厳しい事情とは
■ほとんどのモデルが受注終了の“怪”
2020年10月15日、スバルから新型「レヴォーグ」がいよいよ発表されました。数少ない国産スポーツワゴンであり、高度運転支援システムである「アイサイトX」が搭載されているなど発売前から大きな話題を呼んでいました。
また、10月8日にはスバルの主力である「インプレッサ」と「XV」の改良モデルを発売。加えて、「フォレスター」も10月22日に“C型”と呼ばれる新モデルへ年次改良されます。
さらに、次期「BRZ」のティザー画像も公開され、ほとんどすべての主力車種を刷新するなど、ここ最近はスバルの勢いを感じます。
一方で、主力モデルのモデルチェンジや改良がここまで重なるのは、非常に珍しいことだといえます。そして、必ずしも喜ばしいことともいえません。
一般的に新モデルと旧モデルを併売することはあり得ないため、モデルチェンジ直前に旧モデルを売り切る必要があります。
在庫状況を見計らって受注を終了しなければならないため、モデルチェンジの前後ではクルマを買えないタイミングができてしまいます。また、新モデルの情報が見られるようになると、ユーザー側も買い控えが起こります。
実際、2020年7月から8月にかけて、上記の主力モデル以外にも「レガシィ」や「アウトバック」、「ジャスティ」「ステラ」「サンバー」などほぼすべての国内でスバルが販売するモデルが受注終了となりました。
受注終了が相次いだ理由として販売店は、「モデルチェンジが重なったため」と話します。
しかし、自動車メーカーのモデルチェンジカレンダーは数年先まで決められているのが普通で、生産やマーケティング上の都合で多少前後することはあるものの、一斉にモデルチェンジをすることはありません。
一時的とはいえ、売るものがない状態なので販売店も厳しい状況だったことが想像できます。
じつは、これほどまでにモデルチェンジが重なった理由には、スバルとしてやむを得ない事情がありました。
世界的に見ても日本は燃費規制の厳しい国です。石油資源をほとんどもたない日本にとって、燃費の良いクルマを増やすことは至上命題であり、そうした背景も合って日本ではハイブリッドカーなどが普及してきました。
これまでの燃費規制は、原則としてそのモデルごとに設定されるものでした。しかし、年々規制が厳しくなる燃費基準に合わせようとすると、すべてのラインナップをハイブリッド化するなどする必要があり、メーカー側としても柔軟なクルマづくりができなくなるという問題点があります。
そこで導入されたのが通称「CAFE規制」と呼ばれる「企業間平均燃費」による規制という考え方です。これは、モデルごとではなく各メーカー全体の販売台数における平均燃費を基準とするものです。
実際の計算式は非常に複雑なため割愛しますが、現在の基準では販売された新車の燃費がおおよそ20km/Lを超えている必要があります。
この数値は、あくまで販売台数の平均であるため、たとえばエコカーを多く販売していれば、燃費の悪い大型車やスポーツカーもある程度販売できることになります。
その点で、モデルごとに燃費基準を設けるよりも、メーカーにとっては多様な戦略をとれるという点でメリットがあります。
CAFE規制はすでに北米や欧州でおこなわれており、一定の成果を出していることから、日本でも導入されることになりました。そして、このCAFE規制が導入されるのが2020年度だったのです。
スバルのモデルチェンジラッシュは、このCAFE規制が影響しているといえます。スバルの魅力のひとつである水平対向エンジンは、その独特のフィーリングに定評がありますが、燃費という観点で見るとライバルに見劣りするのも事実です。
また、スバルは、トヨタやホンダのようなフルラインナップメーカーではなく、いくつかの主力モデルが販売をけん引するという構成です。
そして、その主力モデルに搭載されている既存の水平対向エンジンでは、CAFE規制をクリアできないことは明らかだったのです。
そこで、新型レヴォーグでは、CB型と呼ばれる新開発の1.8リッター4気筒水平対向エンジンを搭載しました。
さらにインプレッサにはハイブリッド仕様である「e-BOXER」をラインナップするなど、環境性能に優れた新型車を投入することで、厳しい規制への対応を図っているといえます。
つまり2020年度基準を達成するために、主力モデルのモデルチェンジを急いだというのが真相だと考えられるのです。
■北米一本足打法のツケ? 今後のスバルはどうなる?
自動車の歴史は規制対応の歴史でもあり、それはスバル以外のメーカーも同様です。
一方で、CAFE規制が導入されること自体は以前から決定していたものであるにもかかわらず、なぜスバルがこれほどまでに急いで対応をしているのでしょうか。
それは、2010年代以降スバルが採用してきた「北米一本足打法」の戦略があります。2019年のスバルの世界販売台数は104万1712台ですが、そのうち北米では70万117台を販売しています。日本国内の販売台数は13万1261台と、北米の20%程度しかありません。
そして、北米は日本よりも燃費基準が緩やかな地域です。また、スバルが強いとされるアメリカ中西部では、電動化のニーズもそれほど高くありません。
つまり、スバルは北米での販売を優先させたため、相対的に環境規制への対応が遅れたと見ることができます。
そこで新規開発のCB型エンジンに期待がかかるわけですが、じつはこのエンジンそのものは決して圧倒的な燃費性能を持っているわけではありません。
実際、このエンジンを搭載した新型レヴォーグのカタログ燃費は、WLTCモードで13.7km/L(17インチ車)と、従来型から改善しているとはいえ、決して低燃費とはいえません。
このように考えると、新型レヴォーグを投入したからといって、CAFE規制の基準をクリアできるかどうか定かではありません。おそらく、難しいでしょう。
燃費規制を主導する国土交通省と経済産業省は「未達成の製造事業者等には、相当程度の燃費の改善をおこなう必要がある場合、勧告、公表、命令、罰則(100万円以下)の措置がとられる可能性がある」としています。
2019年の売上高が3兆円を超えるスバルにとって、せいぜい100万円程度の罰金は痛くもかゆくもないでしょう。しかし、お金で解決するのは得策ではありません。
上述の通り、環境対応は国家の至上命題であり、国民全体が目指していくべき方向です。
もしその方向に従わないのであれば、極端な例ですが、国土交通省は車両認可をおこなわない、つまりそもそも新車を販売させないということもできてしまうのです。
そのように考えると、CAFE規制をクリアできるかどうかよりも、それに向けて努力しているという姿勢を見せることが先決だと考えたのかもしれません。
しかし、燃費基準は年を追うごとに厳しくなり、2030年には25.4km/Lの企業間平均燃費を達成することが求められます。
燃費向上技術も年々進歩しているとはいえ、既存のガソリンエンジンのみで達成することはかなり難しく、遅かれ早かれ電動化が急務です。
すでに北米では、クロスオーバーSUVの「クロストレックハイブリッド(日本名:XV)」というPHEVモデルを販売しています。
また2020年1月にスバルは、「2030年までに全世界販売台数の40%以上を電気自動車+ハイブリッド車にする」ことと「2030年代前半には生産・販売する全てのスバル車に電動技術を搭載する」と発表。さらには2020年代に投入予定のバッテリーEVのSUVコンセプト(トヨタとの共同開発)を公開するなど、準備を進めている段階です。
今後は、スバルは新型エンジンをベースにしたハイブリッド、もしくはプラグインハイブリッド(PHEV)を発売することが予想されますが、いまはそれまでの時間稼ぎのタイミングと見ることもできるでしょう。
※ ※ ※
もし主力市場である北米の燃費規制が急速に厳格化するなどして、スバルの燃費対応が間に合わなかった場合はどうなるでしょうか。
そうなると、エコカーを多く販売しているより大手のメーカーに吸収されるしかないでしょう。たとえば、すでに資本関係があり、世界でもっとも多くのハイブリッドを販売しているあのメーカーかもしれません。
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富士重工 | 日記
Posted at
2020/10/29 21:53:49
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