2020年11月01日
ボライド?ボリード?どちらが読みとして正しいかな〜動画を見るとボリードが正しいのかな
1850馬力!! ブガッティ「ボライド」はついにF1並みの速さを手に入れた!
■まさしく「火の玉」1850馬力の「ボライド」とは
ブガッティがかねてから開発していた、サーキットに特化したハイパースポーツカーの全容を明らかにした。ブガッティが打ち立てていたこれまでのハイパースポーツカーの常識をも打ち破る、究極のハイパースポーツカーの速報をお届けしよう。
究極のハイパースポーツカーの名前は「Bolide(ボライド)」、「火球」という意味である。
ボライドのスリーサイズは、全長4756mm×全幅1998mm×全高995mm。アンダーボディのグランドクリアランスは75mmだ。
搭載されるエンジンは、7993ccのW型16気筒ターボで、最高出力は1850ps/7000rpm、最大トルクは1850Nm/2000-7025rpm。これに組み合わされるトランスミッションは、7速DSGで、もちろん4輪駆動となる。
乾燥重量は1240kgであるため、パワーウェイトレシオは、なんと0.67kg/ps。
最高速度は500km/hをはるかに超え、F1とほぼ同等のスピードを達成。それを証明するかのように、ル・マンのラップタイムは3分7秒1、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェは5分23秒1だ。
参考までにニュルブルクリンクの市販車最速であるランボルギーニ「アヴェンタドールSVJ」が6分44秒97であることを考えると、その速さがわかっていただけるだろう。
最近のスーパーカーの動力性能の基準となる0-100km/h加速に至っては、2.17秒だ。
ブガッティは、15年前に「ヴェイロン16.4」で新たなセグメントである優れたハイパースポーツカーのセグメントを打ち立てた。そして2016年に発表した「シロン」で、そのセグメントを体系的に発展してきた経緯がある。
これらのモデルは、パワーとエレガンスの証であり、テクノロジー、デザイン、ラグジュアリー、品質をこれまでにない形で融合させたハイパースポーツカーである。
一方のBolideは、W16エンジンの純粋なパワーを、視覚的にも技術的にも純粋な形で伝えることを唯一の目的として開発されている。
W16エンジンを搭載したボライドは、内燃機関を動力源とするクルマでは、絶対的な頂点に立つことになり、ブガッティCEOのステファン・ヴィンケルマンは次のようにコメントしている。
「私たちは初めて、W16エンジンの真価を示しています。
エンジンと可能な限り軽量なシャシを組み合わせ、究極のブガッティを創造し、究極のドライビングエクスペリエンスを実現しました。
ボライドによって、私たちは現代のブガッティのサーキット専用モデルの解釈を世界中のブガッティ愛好家に提示し、彼らの熱烈な願いをついに叶えようとしているのです」
ちなみに、ボライドがシリーズ化されるかどうかは、まだ決まっていないそうだ。
ブガッティ史上最速・最軽量! 究極のトラック専用コンセプト「ボリード」デビュー!【動画】
Bugatti Bolide
ブガッティ ボリード
ノルドシュライフェを5分23秒1で駆け抜ける
ブガッティは、同社を象徴する8.0リッターW型16気筒エンジンを搭載した、超軽量ハイパースポーツコンセプト「ボリード(Bolide)」を発表した。サーキット専用車両として開発されたボリードは、強大なパワーを誇るW16ユニットをダウンフォースレベルを最大化した小型軽量ボディに搭載。究極のパフォーマンスを発揮する1台として完成している。
ボリードとは「火球」を意味し、近年のブガッティ製モデルで最もエクストリームで妥協を排した最速・最軽量のコンセプトカー。1psあたり0.67kgという驚異的なパワーウェイトレシオは、最高出力1850psを発揮するW16エンジンと1240kgにまで削ぎ落とされた車両重量が可能にした。
最高のハンドリングと俊敏性を損なうことなく最高速度は500km/hをはるかに超え、最新F1マシンとほぼ同等のスペックを達成。ル・マン24時間が開催されるサルト・サーキットは3分07秒1、ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェは5分23秒1というタイムを記録している。
現時点でボリードが生産化されるかは、まだ決定していないという。
「もしも」という問いかけから生まれたボリード
ブガッティのステファン・ヴィンケルマン社長は、ボリードの開発に至った経緯について次のように語った。
「卓越した性能、勇気や献身というブガッティブランドが持つ価値に沿って、我々は常に技術革新を追求し続けています。そして、我々は決して立ち止まることはありません。常に新しいエキサイティングな目標を設定しており、常に心に留めているのは『もしも』という問いかけです」
「私たちは、4つのホイール、エンジン、ギヤボックス、ステアリングホイール、そして唯一の贅沢としてふたつのシートのみを備え、ブランドの技術的なシンボルである強大なW16エンジンを純粋に表現するにはどうすべきか考えました。最も重要な点はパワートレインに制限をかけず、W16エンジンにチューンを加えることでした」
「様々な議論や検討の結果、このブガッティ ボリードが誕生しました。妥協を嫌うサラブレッドのような存在です。ボリードは何よりも高性能、軽量、そして全く新しい次元のドライビング体験により、ドライバーに感動を与えてくれるでしょう。ボリードをドライブすることは、まるで火の玉の上に乗っているようなものです」
わずか8ヵ月で作り上げられたボリード
ブガッティの取締役であり、技術開発責任者を務めるステファン・エルロットは、ボリードの技術的コンセプトについて、以下のように説明した。
「もしブガッティがFIAの安全基準を満たし、サーキットに特化したハイパースポーツを開発したらどうなるだろう? この疑問に対する究極の解答が『ボリード』です。W16パワートレインを中心にデザインされ、最小限のボディ構造と信じられないほどのパフォーマンス・スペックを備えています。可能な限り小型のボディシェルが採用され、W16の真価である息を呑むようなパフォーマンスを発揮することができました」
「ブガッティのすべてのノウハウがボリードには凝縮されています。これは単なる技術的なコンセプトモデルではありません。将来的に市販モデルへと投入される技術の貴重なテストベッドとなるでしょう」
今回、ヴェイロン16.4やシロン開発において重要な役割を果たしたエンジニアのフランク・ゲッケが、ボリードの技術コンセプト策定を担当。彼は実績のある「W16ユニット+AWD」パワートレインをベースに、わずか8ヵ月でまったく新しいハイパースポーツを作り上げている。
「技術的にもチームとしても、ボリードは私のキャリアで最も野心的なプロジェクトになりました」と、ゲッケは振り返った。
サーキット走行に特化された冷却システム
ブガッティが誇る8.0リッターW型16気筒ガソリンターボエンジンは、最高出力1850ps・最大トルク1850Nmを発揮。ブガッティは、サーキットでの使用に特化したドライブトレインとシャシーを設計し、超高速域に適応すべくエンジンとギヤボックスの仕様を最適化した。
吸排気系をデスロットル化することで、より速く、より自然なレスポンス特性を獲得。新たに開発された4基のターボチャージャーには最適化されたブレードを装着し、より高いブースト圧を実現した。また、コーナリング中に極度に強い横Gを受けてもオイルの最適な循環を確保するため、油圧、チェックバルブ、バッフル、オイルタンク、オイルリザーバー、ポンプの設計を変更。同時に駆動系の大幅な軽量化も実現している。
サーキットのパフォーマンス向上を目指し、水冷式インタークーラーの代わりに冷却スプレー機能付き空冷式インタークーラーを採用。車両前方からのフレッシュエアは、ボディ両サイドにあるエアダクトから取り込まれる。
フロントアクスルの前方には2基のウォータークーラーを配置。これはF1マシンでも採り入れられている手法で、効果的なエアフローを提供する。また、エンジン、トランスミッション、デフ用の空冷式オイルクーラーにも冷却スプレー機能を搭載。厳しい負荷のかかるレーシングラップでも、効果的に温度を下げることができる。
また、ホイールに装着された新開発の「ハイブリッド・カーボン・チタン・ターボファン・ラジアルコンプレッサー」は、高性能レーシングブレーキシステムの熱換気と冷却を行う。
徹底された軽量化とエアロダイナミクスの追求
1240kgという乾燥重量を実現するため、現在導入できることと将来的に導入できる可能性があることの両方の観点から、使用する材料や製造工程などあらゆる検討が行われた。
ボリードに使用されているビスやボルトなどの結合パーツはすべてチタン製。さらに航空宇宙用チタン合金で作られた中空薄肉のパーツが様々な箇所に採用された。これらのパーツは3Dプリンタで製造されており、0.5mmという極薄を実現。同時に1平方mmあたり1250ニュートンの引張強度を確保しており、非常に高い安定性も誇る。
ルーフに設置された可変エアスクープは速度域に応じてアクティブにエアフローの最適化を実現した。低速域ではスクープの表面は滑らかなままだが、高速走行時にはバブルフィールドが膨張。これにより、スクープの空気抵抗が10%も減少し、ドラッグも17%減少する。さらに、リヤウイングへのエアフローも最適化。320km/hでのダウンフォースは、リヤウイングで1800kg、フロントウイングで800kgとなっている。
足まわりにはプッシュロッド式ダブルウィッシュボーンを採用し、サーキットにおける正確なハンドリングを実現した。オイルリザーバーはダンパー内側に配置され、空力特性を向上し、プッシュロッドの重量はわずか100gに抑えられている。航空宇宙分野でも使用されている強化ステンレス鋼製コントロールアームは、1平方mmあたり1200ニュートンの引張強度を持ち、さらに空力デバイスとしての機能も備えている。
歴史的名車「タイプ35」と同じ車高を実現
ボリードの全高はわずか995mm、ステアリングホイールと低く抑えられたフロントガラスによって、歴史的な「ブガッティ タイプ35」とまったく同じ全高を実現した。これはシロンよりも、約300mmも低いことになる。
ホイールベースは2.75m、全幅は1.99m。LMP1プロトタイプレーシングカーのようにドアは斜め上方に折りたたみ、ドライバーは70mmしかないシルに座って足からフロアに置いてコクピットに収まる。一見タイトに見えるコクピットだが、身長2mまでのドライバーに対応している。
安全面ではFIA規定に基づいて設計された装備を採用。自動消火システム、牽引装置、加圧式燃料補給、センターロック式ホイール、軽量ポリカーボネート製ウインドウ、HANSデバイス対応6点式ハーネスシステムなどが含まれる。
ドライバーは前方に装着されたモータースポーツディスプレイを介して、車両に関するすべてのデータを確認することができる。最適なシートポジションを実現するため、ペダルと助手席のフットレストは150mm可動する。
性能から導き出された究極のフォルム
究極のハイパースポーツを数多く手掛けてきたデザインディレクターのアキム・アンシャイトにとっても、ボリードのプロジェクトは特別な経験になったという。
「ブガッティでの16年間において、これほど極端なコンセプトに取り組んだことはありませんでした。ボリードの開発プロセスは、すべて超軽量コンセプトに則って行われています。パワーウェイトレシオ『1psあたり0.67kg』という目標を達成すべく、エクステリアもデザインされました」
「我々デザインチームは、初めて制約を取り払われ、W16エンジンを取り囲むミニマルなデザインを自由に描くことができました。その結果、現代のブガッティのなかで最も挑発的なプロポーションを実現しています。まさにデザインは性能に付いてくるという、ブガッティ・デザインのポリシーを具現化した存在です。このフォルムは、スタイル優先ではなく、技術によって形になったのです」
アンシャイトが説明するように、ボリードのフォルムはクラシックなスポーツカーというよりも、空力を追求したF1マシンを彷彿させるものとなった。また、航空史に登場するいわゆる「Xプレーン」を思わせるデザイン要素も採用。1947年に米国空軍大尉のチャック・イェーガーの操縦でマッハ1.06を記録し、初めて音速の壁を破ったロケット実験機「ベル X-1」を彷彿とさせるものとなっている。
【SPECIFICATIONS】
ブガッティ ボリード
ボディサイズ:全長4756 全幅1998 全高995mm
ホイールベース:2750mm
オーバーハング:前963 後1040mm
地上高:75mm
車両重量:1240kg
エンジン:W型16気筒ガソリン
総排気量:7993cc
最高出力:1361kw(1850ps)/7000rpm
最大トルク:1850Nm/2000-7025rpm
パワーウェイトレシオ:0.67kg/ps
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(ミシュラン・レーシングスリック):前30/60R18 後37/71R18
0-100km/h加速:2.17秒
0-200km/h加速:4.36秒
0-300km/h加速:7.37秒
0-400km/h加速:12.08秒
0-500km/h加速:20.16秒
0-400→0km/h:24.64秒
0-500→0km/h:33.62秒
ル・マン・サルト・サーキット:3分07秒1
ニュルブルクリンク ・ノルトシュライフェ:5分23秒1
最大横G:2.8g
【パワーウエイトレシオ0.67kg】新型ブガッティ・ボライド発表 圧倒的パフォーマンス 量産は未定
W16クアッドターボの実力を証明
text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
ブガッティは、サーキット専用の新型スーパーカー、ボライド(Bolide)を発表した。
現代における「最も過激で、妥協を許さない、最速かつ最軽量のクルマのコンセプト」とされている。
ボライドは1馬力あたり0.67kgという驚異的なパワーウエイトレシオを実現。最高出力1850ps、車両重量はわずか1240kgで、コンパクトカーのフォード・フィエスタSTとほぼ同じ車重だ。
この2つの数字を可能にしたのは、ブガッティの伝統的な8.0L W16クアッドターボエンジンだ。4輪すべてにパワーを供給し、シロン・スーパースポーツ300+の1600psをはるかに上回るパワーを発揮している。
ブガッティのステファン・ヴィンケルマンは、「今回初めて、W16エンジンの実力を示しました」と述べている。
吸排気系の「デスロットル化」、新開発の4基のターボチャージャー、新設計のドライサンプ潤滑システムによるパワーアップのほか、パワートレインの軽量化を図っているという。
また、カーボンチタン製の「ターボファン」コンプレッサーによりブレーキの通気性を確保。エンジン、トランスミッション、デファレンシャルには空冷式オイルクーラーが搭載され、水冷式のプレクーリングも備わっている。
しかし、最高出力はオクタン価110のレーシング用燃料を使用した場合にのみ得られる。オクタン価98のガソリンを使用した場合、スーパースポーツ300+と同じ1600psを発揮することになる。
軽量化とダウンフォースに特化
重量を1240kgに抑えるため、ボライドは超軽量かつ高剛性のカーボン製モノコックを採用している。フロントとボディ下部にもカーボンを使用。ブガッティによると、カーボンの引張強度は航空宇宙産業で使用されているものに匹敵するという。
さらに、ネジや締結部品はすべてチタン製で、3Dプリンターで製造された超薄型の中空チタン合金が多く使用されている。
セラミックブレーキは、キャリパーの重量が2.4kg、センターロック鍛造アルミホイールはフロントが7.4kg、リアが8.4kgと軽量だ。
タイヤはフロントが340mm、リアが400mmと非常にワイドなものが装着され、圧縮空気式のジャッキを備えることでタイヤ交換を容易にしている。
サスペンションには、チタン製のプッシュロッドとダンパーを採用。プッシュロッド自体の重量はわずか100g。
派手なボディ形状は、当然のことながら空力を考慮してデザインされている。ブガッティによると、時速320km付近でリアウイングが1800kg、フロントウイングが800kgのダウンフォースを発生するという。
また、ルーフに取り付けられた吸気口スクープには「世界的な革新」があるようで、速度に応じて空力特性を変化させるという。
FIA基準の安全装備 レース参戦は?
「ブガッティでの16年間で、これほど極端なコンセプトに取り組んだことはありませんでした」とデザイン責任者のアヒム・アンシャイトは語る。
ボライドは非常に低床で、全高はわずか995mmと、シロンよりも300mm低い。LMP1のレーシングカーのように、上に跳ね上がるドアを備えているし、エアダクトはF1マシンにインスパイアされている。
前後に見られる「X」のデザインテーマは、1947年にチャック・イェーガーが操縦して初めて音速の壁を破った実験用ジェット機「ベルX-1」にちなんだものだという。
性能面では、ブガッティはハンドリングに妥協することなく、理論上の最高速度は500kmをはるかに超えるとしている。さらに驚くべきことに、ル・マンを3分07秒1で、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを5分23秒1で周回することができると主張している。これは、ポルシェ919エボLMP1のラップタイムと数秒しか変わらない。
「ボライドを運転するのは、まるで大砲の玉の上に乗っているようなものです」とヴィンケルマンは語った。
興味深いことに、ボライドにはFIAのレーシング・レギュレーションに適合するように設計された安全装備が搭載されているという。また、ブガッティは1920年代の象徴的なレースカーであるタイプ35についても言及している。
この新型車にレース参加の意図があるのかどうかは不明だが、ブガッティがいずれル・マン24時間耐久レースに参戦するのではないかとの噂は長い間流れていた。
ただ、ボライドが市販化されるのかどうかも不明だ。ブガッティは、生産に入るかどうかは「まだ決まっていない」としており、現時点では「将来の技術のための革新的な情報源」だと述べている。
ブガッティが究極のサーキットマシン「ボリード」を発表。1850psのパワーで最高速は500km/h超!
ヴェイロンやシロンなどのハイパースポーツカーで知られるブガッティ社が、サーキット専用ながら新型ブガッティ ボリードを発表した。どのような形でリリースされるかは不明だが、火球の意味を持つブガッティ ボリードの驚愕のパフォーマンスをご紹介する。
パワーウエイトレシオは0.67ps/kgを実現
2020年現在、ブガッティ シロンは間違いなく究極クラスのロードゴーイングマシンだ。そんなシロンを開発したブガッティ社が究極のサーキットマシンを開発したら、どんなマシンになるのか。その答えが、今回発表されたブガッティ ボリードだ。FIA基準に適合したマシンであることから、レース参戦を睨んでいることは間違いないだろう。サーキットマシンとして一定の安全基準を満たしながら、ブガッティ ボリードが到達したパフォーマンスは、まさに圧巻のひと言だ。
搭載エンジンはブガッティお得意の8L W型16気筒で、W型に配置された4つのバンクそれぞれに4気筒とターボ(つまりはクワッドターボ)を備え、絞りだす最高出力は1850ps/7000rpm、最大トルクが1850Nm/2000−7025rpmに及ぶ。駆動方式は4WDで、トランスミッションは最高速に照準を当てたギア比に設定された7速DCTだ。
車両重量はわずか1240kgで、パワーウエイトレシオ0.67ps/kg、トルクウエイトレシオ0.67Nm/kgと驚くべきものだ。最高速は500km/h以上で、同社のシロン スーパースポーツ300+が記録したギネス最高速記録の490km/hを上回る。0→100km/hはハイパーカーとしては平凡な2.17秒だが、0→500km/hは20.16秒だ。またル・マンのサルテ サーキットを3分7秒1、ニュルブルクリンクの北コースを5分23秒1で駆け抜けるという。
通常、飛行機が離陸する時の速さは240~300km/h程度だが、ブガッティ ボリードの最高速は飛行機の離陸速度をはるかに上回ることになる。最高速500km/hを達成できた秘密は、車両デザインに施されたエアロダイナミズムにある。
各種スポイラーや筋肉質にデザインされた前後フェンダーなどのエクステリアが効果的にダウンフォースを発生させ、車体の浮き上がりを防いでいる。320km/h走行時で発生するダウンフォースはフロントウイングで800kg、リアウイングではフロントの倍以上の1800kgというから、1240kgのブガッティ ボリードでは到底浮き上がりようもない。
さらにブガッティ ボリードの揚力低減の努力は独創的で、ルーフ上に設置されたエアインテークの上面は低速走行時は平面で空気を滑らかに流すが、高速走行時には泡状にデコボコを作り揚力を低減させる。これは世界初の装置だ。
ブガッティ ボリードは1850psを発生するW16型エンジンを搭載するのだから、シャシやボディはかなり頑丈なはず。しかしブガッティ ボリードの車両重量はわずか1240kgで、一般に自動車部品の重さと頑丈さは比例する。この常識を打ち破ったのが、ブガッティ ボリードに採用される先端素材の数々だ。
ブガッティ ボリードの車体で、ネジやボディ骨格などの固定部品はチタン製だ。稼働する機能性部品の多くは、3Dプリンターで制作したチタン合金製中空パーツが使用される。最大肉厚が0.5mmながら引張強度は1平方ミリメートルあたり1250ニュートン(以下Nと表記)を達成している。引張強度は外部から力を受けてどれくらい変形しづらいかを示す指数だが、1250N/平方ミリメートルがどれくらいの強度かと言えば、震度7の地震に耐える建築物に使用される鋼板の引張強度が最大1000N/平方ミリメートル程度なので、ブガッティ ボリードの部品はエンジンパワー程度ではビクともしないだろう。
部品の軽さは、エンジンにも好影響を与える。エンジンのクランクシャフトにつながる補助ドライブシャフトは中空チタン合金パーツと高強度で超剛性のカーボンを組み合わせて制作されており、重量は従来部品の50%から1.5kg軽量だという。ドライブシャフトが全体として軽量になったため、クランクシャフトの回転抵抗が減り、エンジンの回転もより鋭くなる。
ボディは軽量モノコックで、高強度カーボン製だ。強度は航空宇宙産業で使用される素材並みだという。リア回りでは溶接鋼が使用されるが、厚さ1mmの鋼材で最大引張強度が1200N/平方ミリメートルだという。こちらも震度7の地震に耐えられるレベルの頑丈さだ。
ここまで尖った性能のブガッティ ボリードは、サーキットマシンとして開発されたからこそ。ワークス専用になるのか、プライベーターにも販売するのかなどリリース詳細はまだ不明だが、甲高いサウンドでサーキットを駆け抜けるブガッティ ボリードの雄姿を早く見たいものだ。(文:猪俣義久)
ブガッティ ボリード 主要諸元
●全長×全幅×全高:4756×1998×995mm
●ホイールベース:2750mm
●車両重量:1240kg
●エンジン:W16クアッドターボ
●排気量:7993cc
●最高出力:1850ps/7000rpm
●最大トルク:1850Nm/2000-7025rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:4WD
●フロントタイヤ:30/60 R18(※)
●リアタイヤ:37/71 R18(※)
※:ミシュランレーシングスリックタイヤ装着
その名は「火球」、ブガッティが1850馬力のサーキット専用ハイパーカー提案…『ボリード』
ブガッティは10月28日、サーキット専用のコンセプトハイパーカー、『ボリード』(Bugatti Bolide)をデジタルワールドプレミアした。ボリードとは、「火球」を意味する。
◆シロン用の8.0リットルW16+4ターボを強化
ボリードは、ブガッティがFIA(国際自動車連盟)の安全要件を満たすサーキット専用ハイパースポーツカーを製造した場合、どうなるかという質問に対する究極の回答だ。軽量化を追求した最小限のボディ構造に、圧倒的なパフォーマンスを備えたW型16気筒パワートレインを中心に設計されている。ブガッティによると、息を呑むようなパフォーマンスを実現しているという。
『シロン』用の8.0リットルW型16気筒ガソリンエンジン+4ターボは、最大出力が1850ps、最大トルクが188.6kgmに強化された。ブガッティは、シロンのパワートレインをサーキット向けに再設計し、より高いエンジン回転数を可能にするために、エンジンとトランスミッションを最適化した。
具体的には、吸排気システムのスロットルを解除することにより、さらに速くレスポンスに優れるエンジンを可能にした。新開発の4基のターボチャージャーには、新形状のブレードが取り付けられ、高回転域でより多くのブースト圧とパワーを獲得する。ハードなコーナリング中でも最適なオイル潤滑を実現するために、油圧、チェックバルブ、バッフル、オイルタンク、オイルリザーバー、ポンプの設計が見直された。パワートレイン全体の重量も、大幅に軽量化されているという。
水冷式のインタークーラーは、ウォータースプレー機能が付いた空冷式のインタークーラーに変更された。車両の両側のエアダクトから、冷却用の空気が取り入れられる。フロントアクスルの前方に配置された2つのウォータークーラーは、F1マシンと同じ方法だ。エンジン、トランスミッション、デフの空冷式オイルクーラーにも、ウォータースプレー機能が付く。新開発の「ハイブリッドカーボンチタンターボファンラジアルコンプレッサー」が、高性能なレーシングブレーキシステムの放熱性を引き上げている。
◆995mmの全高はシロンよりも300mm低い
ブガッティの開発チームは、カーボン製の軽量モノコックを新設計した。ボディも、高強度のカーボンファイバーで作られている。使用されるカーボンファイバーの強度は、航空宇宙産業向けのレベルにあるという。
ボリードの全高は、995mmで、ブガッティの名車、『タイプ35』と同じとした。995mmの全高は、シロンよりもおよそ300mm低い。全幅は1990mm、ホイールベースは2750mmとした。LMP1レーシングカーと同様、ドアは斜め上に折り畳まれる。ドライバーは70mmのサイドシルに座ってから、足を滑り込ませるようにして着座する。身長2mまでのドライバーに対応しているという。
安全性に関しては、FIAの基準に従って設計された。HANSデバイス、自動消火システム、けん引装置、軽量のポリカーボネート製ウィンドウ、6ポイントハーネスシステムなどが装備される。
ドライバーはモータースポーツ用ディスプレイで、すべての情報を見ることができる。最適な着座位置を得るために、ペダルとフットレストは、最大で150mm調整することが可能だ。
◆軽量化により乾燥重量は1240kgに
1240kgの乾燥重量を達成するために、すべての素材と製造プロセスが見直された。ボリードのすべてのネジは、チタン製とした。航空宇宙向けのチタン製の中空薄肉の機能部品が、多くの部分で使用された。3Dプリンター製の部品は、厚さが最大0.5mmと非常に薄い。それでいて、高い強度も備えているという。
エアロダイナミクス性能も引き上げられた。320km/h走行時のダウンフォースは、リアウイングで1800kg、フロントウイングで800kgに到達するという。
F1マシンと同様に、ボリードはセラミックディスクとコーティングを施したレーシングブレーキで減速する。ブレーキキャリパーの重量は、2.4kgと軽い。センターロック付きの鍛造マグネシウムホイールの重量は、フロントが7.4kg、リアが8.4kgとしている。
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Posted at
2020/11/01 23:13:28
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