2021年04月14日
STIがGCのラリーカーも持ち込んでいたんだっけ
テーマは時代を進めたラリーカーの戦闘美!ヒストリックカーを愛する大人の社交場「AUTOMOBILE COUNCIL」
自動車を歴史的視点で捉え、文化として根付かせたいとの想いから始まったヒストリックカー・イベントが「AUTOMOBILE COUNCIL (オートモビル・カウンシル)」だ。その想いに賛同した自動車メーカーやインポーター、ヒストリックカーを扱う専門店などが一同に会するこのイベントは、2016年にスタートし、今年で5回目を迎える。昨年からの新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開催を危惧する声もあったが、入場者数の制限や徹底した感染対策を行って開幕。歴史や文化は何より継続することで培われる、という主催者の強い想いが結実したと言えるだろう。
歴戦の勇者が集うテーマ展示
今回のイベントのテーマは「時代を進めたラリーカーの戦闘美」。“(一箇所に)参集する”という意味を持つラリーの起源は中世にあるが、19世紀末に始まった自動車競技のラリーでは、市販車で都市間を走破して製品の信頼性や耐久性をアピールし、技術の進化のテストベッドとしての役割を担って人々の耳目を集めてきた。その競技において特に人気を博していた1970~2000年代のラリー・ウェポンが今回の主催者展示として選ばれている。会場の幕張メッセ10・11ホールの中央には、かつて世界ラリー選手権(WRC)を戦ったランチア・フルヴィア・クーペ 、ランチア・ストラトス、フィアット・アバルト131ラリー、ランチア・ラリー037の4台が鎮座。日本勢ではサファリ・ラリーなどで日産自動車に数々の勝利をもたらしたダットサン・ブルーバード、240Z、バイオレットGT、ニッサン240RSが登場。SUBARUからは近年のWRCで活躍したインプレッサが持ち込まれている。
さらに今年はマツダが日本車として初めてル・マン24時間耐久レースで総合優勝を飾ってから30年に当たり、これを記念した特別展示「マツダ、ル・マン優勝までの軌跡」も行われている。世界一過酷な耐久レースと言われるレースを初完走したRX-7 254をはじめ、グループC2カテゴリーの737C、そして1991年にル・マン制覇を成し遂げた787Bが会場入口近くに居並んだ。独特の迫力を漂わせる歴戦の勇者たちを間近で観察できるという点でも、一見の価値ありだ。
先達に学ぶヒストリックカーの世界
このイベントが興味深いのは、競技などにおける歴史的価値を持つヒストリックカーの展示だけでなく、実際に購入できる車両が並んでいる点にある。20社近くの専門店が持ち込んだ車両の数々は、どれも自らが得意とするブランドやモデルに精通したメカニックによって整備されたものばかり。一般的な中古車販売とは一線を画した車両が扱われるという点において、何より安心感や信頼性の高さは絶大。会期中に成約される車両も多く、今回もイベント初日の午後にはすでに“売約済み”のプレートを掲げたモデルも散見された。このほか、マルシェ・ゾーンにはドライビングギアやモデルカー、自動車関連書籍といった様々なジャンルのアイテムを扱うショップが軒を連ね、ファッションやアートとのコラボレーションコーナーが設けられていたりと、あらゆる角度から自動車を捉えて、カーライフを豊かにしたいという思いがあふれていた。
最近では日本でもヒストリックカーをテーマとしたイベントが盛んになってきているが、一方で門外漢にとっては敷居が高く感じられるのも事実。そんな人たちに向けた、ヒストリックカーの世界への入口にもなるのがこのイベントだ。会場には様々なジャンルの専門家が集い、有益な情報交換が可能。その交流を通して歴史を学び、あるいは実際に購入して整備やドライビングから車を知り、愛情や愉しみの度合いを深めていくことができる。ヒストリックカーの世界は大人の社交場としての役割も果たしているが、そこで同好の士とともに本物を見る目を養い、次の世代へと受け継いでいくことが、何より文化の創生につながっていくはずである。
マツダからは787Bを始めとする独自のロータリー技術を用いたレーシングカー3台が展示された。
最も過酷といわれるサファリ・ラリーで活躍した日産自動車のラリーカーたち。
インプレッサWRCで一時代を築いたSUBARUは1998年(手前)と2008年仕様(奥)の2台を用意。
コンペティション仕様とデイトナ仕様という特別な2台のフルヴィア・ザガートも販売車両。
京都の専門店が扱うシトロエン2CVは、ヒストリックレンタカーとしても供される個体。
SUVのヒストリックモデルも根強い人気を誇る。奥はロシア製のUAZ(ワズ)2206。
雑誌『CG CLASSIC』の特集記事で扱われた、個人所有のナロー・ポルシェも登場。
自動車趣味を充実させるアイテムを取り扱うショップが軒を連ねる。
文/桐畑恒治
自動車専門誌『CAR GRAPHIC』で編集記者として取材・執筆から進行管理のデスク業務を担当したのち、ライター・エディターとして独立。専門知識を軸に読み手の知的好奇心を刺激する記事の執筆を心がける。
往年のレーシングマシンが幕張に集結! オートモビルカウンシル2021開催
今年も稀少なヘリテージカーが見られる稀少なイベント
新型コロナウイルスの影響で、東京オートサロンや大阪オートメッセなど各地でイベントが中止になっているが、自動車業界では今年で6回目の開催となる「AUTOMOBILE COUNCIL 2021(オートモビルカウンシル)」が本日より4月11日(日)までの3日間、千葉県・幕張メッセで行われている。
毎年テーマを設定し稀少なヘリテージカーの展示が見られることや専門ショップによるその場での商談(購入)ができるという日本でも数少ないイベント。
自動車関連グッズの販売も行っていたりするため、すでに旧車ライフを楽しんでいる人から、これから旧車趣味を始めたい人まで足を運びやすい内容となっている。嬉しいことに会場はワンフロアに凝縮されているため、普段はそれぞれに距離がある販売店であればなおさら立ち寄りやすく、1度に多くの店舗に足を運びにくい人には嬉しい内容だ。
闘うラリーカーの美しさを間近で堪能できる
主催者側がセレクトしたメイン展示車は、イタリア車のラリーカー好きなら冷静にはいられない4台。「時代を進めたラリーカーの戦闘美」をテーマにランチア・フルヴィア・クーペ 1.6HF、ランチア・ストラトス HF Gr.4、フィアット・アバルト 131ラリー、ランチア・ラリー037エボリューション2が展示されている。実車をなかなか見ることができないため、同車のミニカーを集めている人も多いのではないだろうか。
ほかにも、かつて「ラリーの日産」と呼ばれ、一世を風靡したマシンたちが会場に持ち込まれた。1970年式ダットサン・ブルーバード 1600SSS、1972年式ダットサン240Z、1982年式ダットサン・バイオレットGT、1982年式ニッサン240RSの4台だ。またスバルからは、1998年式スバル・インプレッサ 555 WRC、2008年式スバル・インプレッサ WRCが展示されてもいる。時代とともに進化を遂げてきたマシンたちを目に焼き付けてほしい。
ジャガーEタイプ誕生から60周年
さらに注目の展示車としては、ジャガーも見逃せないだろう。2021年は伝説の名車「Eタイプ」誕生から60年という節目である。同車はイタリアのフェラーリを創立したエンツォ・フェラーリでさえ「世界で最も美しいクルマ」と認めるほど美しいプロポーションが特徴である。
ロングノーズ・ショートデッキというFRスポーツカーの代名詞だったシルエットが美しい。また当時としてはかなり高性能で、最高速度は150mph(240km/h)を誇った。今回、1963年型Eタイプ・ロードスターS1 3.8。同1962年型Eタイプ・レーシング・モディファイド・クーペが展示されていた。
さらに1951年と1953年にルマンを制したCタイプのベースとなったXK120ロードスター(52年型)とフィクスドヘッド・クーペ(53年型)。そしてサルーン代表として72年型デイムラー・ダブルシックス・シリーズ1ロングホイールベースも会場に持ち込まれている。
なお、4月10日(土)、11日(日)の入場料は当日券が3000円(税込)となっている。
また遠方からの来場が難しい方には嬉しい施策として「AUTOMOBILE COUNCIL 2020 Virtual Mall」を行っている。これは、実際の展示会と並行して開催するオンラインによる有料展示会で、会期初日の様子を動画でリポートするというもの。さらに「Virtual Mall」でしか見られない専用コンテンツも用意しているというから見逃せない。
その模様は、土曜日と日曜日の2日間に「AUTOMOBILE COUNCIL」の公式ホームページでチケットを購入(税込み1500円)すると見られる。なお、販売数は両日ともに1000組限定となるので注意をしてほしい。
【イベント詳細】
AUTOMOBILE COUNCIL2021◆会場:幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)◆会期:開催中/4月11日(日)まで◆開催時間:9時~17時◆入場料: 4月10日~11日(Public Day)3000円
「ストラトス」「131アバルト」「037ラリー」! イタリア往年の名門ラリーカーに昂ぶるオートモービルカウンシル2021
博物館級の名車が4台も展示!
4月9日(金)から11日(日)までの3日、千葉県・幕張メッセで「オートモビルカウンシル2021」が開催されている。同イベントは日本の自動車文化を継承していくために2016年から行われている。毎年、主催者の展示テーマが発表されているが、今回は「時代を進めたラリーカーの戦闘美」としてイタリアの往年の名ラリーカーたちが展示されている。早速紹介をしていこう。
ランチア・フルヴィア・クーペ 1.6HF
1966年に登場したフルヴィア・クーペHFは、狭角V型4気筒エンジンをフロントに縦置きしたFWD駆動車。1966年のモデルは1.2リッターだったが、翌年の1967年には1.3Lエンジンに拡大し、同年のツール・ド・コルスなどで優勝を遂げている。
そして1969年後半には、さらに排気量をスープアップし、1.6Lエンジンを搭載。1972年には、サンドロ・ムナーリがモンテカルロラリーで初優勝。翌年はよく知られているかの「ストラトス」へバトンを渡してゆくが、フルヴィアこそ、「ラリーのランチア」のイメージを定着させた1台だ。
今回展示されたマシンは、ランチアのレース部門「HFスクアドラ・コルセ」が実戦に用いたワークス・ラリーカーそのもの。18台製造されたうち最後の1台で、なんとのちに日産のサファリ偉業を成し遂げるレジェンド・ラリードライバー、シェカー・メッタ/マイク・ダウティ組が1974年にイースト・アフリカン・サファリラリーに出場し11位でフィニッシュした経歴を持っている実車である。
ランチア・ストラトス HF Gr.4
ランチア・ストラトスを一言で表すなら、ラリーで勝つために産まれた「パーパスビルドカー」に尽きる。ちょうど日本では、スーパーカーブームが巻き起こり、ランボルギーニ・カウンタックやミウラに継ぐ人気車種だった。WRC(世界ラリー選手権)は、1973年からスタートしていたが、ストラトスは1974年10月のサンレモラリーから参戦しデビューウィンを飾っている。さらに、74、75、76年のWRCマニュファクチュアラー・タイトルをランチアにもたらしている。
全長は3.7mとコンパクトながら、全幅は1.7mという特殊なディメンションを採用。ボディデザインを担当したのはベルトーネ時代のガンディーニで、成層圏に向かう宇宙船のような大胆なウェッジシェイプスタイルが印象的だ。ホイールベースは2180mmと軽自動車のホンダ・ビートよりも短く(2280mm)、ラリーのような峠の多いコースにはうってつけのコーナリングマシンに仕上がった。エンジンはディーノ246GTのV型6気筒をジャン・パオロ・ダラーラが設計したモノコックフレームに搭載していた。
展示されている個体は、2012年のランチア・ランチ開催2日前に日本に上陸している。当時からロスマンズカラーを纏っており、1981年のスペイン・ラリー選手権、翌82年はスペイン・ツーリングカー選手権に出場し、いずれもシリーズチャンピオンを獲得している。エンジンはクラウディオ・マリオーリがチューンした2バルブのビッグバルブ仕様が搭載されている。
フィアット・アバルト 131ラリー
1974年にフィアット124の後継モデルとして発売された大衆車の131ミラフィオーリをベースに、当時のWRCのグループ4の車両規定(生産台数400台)に対応したラリーマシンとして開発されたのがアバルト131ラリーだった。
太いタイヤを収めるためのフロントオーバーフェンダーは、フロントスポイラーと一体化。今回、一緒に展示されているランチア・ストラトスにも似ているルーフスポイラーと、ダックテール型のトランクリッドはエアロダイナミクスも突き詰められた最先端のデザインを採用。ベースモデルのミラフィオーリと見比べても明らかに違う。
ボディはランチア・ストラトスやランボルギーニ・カウンタックのデザインを手掛けていたベルトーネが担当をしていた。エンジンは2L4気筒をフロントに搭載しリヤ駆動で大暴れした。
世界ラリー選手権への出場は1976年シーズンの途中からで、77年、78年、80年の3度にわたりフィアットにメイクスタイトルをもたらした。アリタリアカラーを纏った展示車は1977年のモンテカルロラリーでジャン-クロード・アンドリュー/“ビシェ”組が2位に導いたマシンそのもの。
ランチア・ラリー 037 エボリューション2
1982年から始まるGr.Bカテゴリーで争われるラリーが決定すると、ランチアは再び、「パーパスビルドモデル」を製作。同社のベータ・モンテカルロをベースに、機能と美を追究したラリーは、シャーシはダラーラ、開発と製作はアバルト、ボディはピニンファリーナという豪華な陣容だ。開発車両コードには「SE037」が付けられた。マニアから「037ラリー」とも呼ばれる理由は、これに由来している。
ライバルのアウディ・クワトロはフルタイム4WDを採用したが、ランチアはまったく違うアプローチでラリーに挑んでいた。ターボ全盛期の時代に、あえて2L4気筒に機械式スーパーチャージャーを組み合わせ(アバルトチューン)、ミドシップマウントにしたものだった。
残念ながら1982年に成績を残すことはできなかったが、翌1983年のモンテカルロラリーを皮切りに5勝を挙げ、アウディとの互角の戦いを見せつけた。
展示車は、アッティーリョ・ベッテガのドライブでアクロポリスラリー5位入賞を果たした経歴を持つ、ランチア・マルティニ・レーシングの由緒正しきワークスカーの1台。
テーマ車だけでもお腹がいっぱいになりそうな主催者テーマ展示。もし次に見られる機会があるのなら、その走る姿をひと目見てみたいと誰しも感じるはずだ。
【WRCを闘ったホンモノ】ランチア、フィアットのラリーカーが勢揃い オートモビルカウンシル2021
歴史を創り上げたラリーカー4台
text&photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)
今年で6回目の開催となる「オートモビルカウンシル2021」が、千葉県・幕張メッセで開催された。
主催者によるテーマ展示は「時代を進めたラリーカーの戦闘美」と題され、WRCで大活躍した3台のランチアと1台のフィアットのラリーカーが登場。
いずれも日本国内のコレクターが所有する車両で、どれも完璧といえる素晴らしいコンディションに保たれていた。
それでは栄光の4台をご紹介しよう。
ランチア・フルビア・ラリー1.6HF
ランチアの競技部門である「HFスクアドラ・コルセ」は、レース用マシンからラリーカーまで手掛けてきた。
1960年代後半からフルビア・クーペでラリーに挑み、当初ラリー1.3HFで闘う。
のちに戦闘力を高めるために1.6Lに拡大したラリー1.6HFを投入し、1972年はモンテカルロ・ラリーでの優勝を皮切りにモロッコ、サンレモを勝ち取る活躍を見せた。
展示されたのは、18台製造されたワークス・ラリーカー最後の1台。
1974年のサファリ・ラリーで、後にサファリ・マイスターとなるシェカ・メッタ/マイク・ダウティ組が駆り、11位でフィニッシュした個体である。
ランチア・ストラトスHFグループ4
ランチアがラリー制覇のために開発した「パーパスビルド・マシン」がストラトスだ。
回頭性を高めるためにホイールベースは2180mmと短くされ、全長3710mm、全幅1750mmという特殊なディメンジョンを持つ。
パワーユニットはディーノ用のV6 2.4Lをミドに搭載。デビューするや本領を発揮し、1974年から3年連続でWRCのマニュファクチャラーズ・チャンピオンを獲得する強さを見せつけた。
展示されたのは、1981年のスペイン・ラリー選手権を戦い、シリーズ・チャンピオンを勝ち取ったストラトスHFグループ4後期型2バルブ仕様である。
フィアット131アバルト・ラリー・グループ4
フィアットの首脳部は、ストラトスで優勝してもプロモーション効果が薄いため、直接セールスにつながるファミリーセダンのフィアット131をベースとしたラリーカーにスイッチすることを決める。
開発を担当したのはアバルト。公認後に改造できないサスペンションやボディワークを大きく変更し、実戦に焦点を合わせた改装が行われた。
デビューするや1977年、1978年、1980年にワールド・チャンピオンをフィアットにもたらす大活躍を遂げる。
展示されたのは、1977年開幕戦のモンテカルロ・ラリーでターマックの名手ジャン-クロード・アンドリュー/ビシェ組が、ムナーリ駆るストラトスに2.16秒まで追い上げて2位でフィニッシュしたマシンそのものである。
ランチア・ラリー・エボリューション2
1982年から発効されたグループB規定に合わせて製作されたのが、ランチア・ラリーだ。
義務生産台数が200台に引き下げられ、先鋭化した専用マシンを製作し易くなった。フィアットはランチア・ブランドで参戦することにし、開発はアバルトが担当し、コンベンショナルなミドシップ後輪駆動を採用。
ミドに積まれる2L直4エンジンはラグのないスーパーチャージャーで武装したのが特徴だ。
デザインはピニンファリーナが担当し、最も美しいラリーカーと評された。
デビューした1982年は熟成に徹し、翌1983年は開幕戦のモンテカルロ・ラリーを皮切りに勝利を重ね、WRCのマニュファクチャラーズ・チャンピオンを勝ち取った。
今回展示されたのは、EVO-2として製作されたワークスカー。1984年のアクロポリス・ラリーを、アッティリオ・ベッテガ/セルジオ・クレスト組が4位で入賞したヒストリーを持つ。
現オーナーは日本で登録を済ませ、アルペン・クラシック・ラリーのSSで本気に走らせる熱血漢である。
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Posted at
2021/04/14 18:27:52
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