2021年10月08日
バーキンは乗ったことあるけどケーターハムのこいつら一度は乗ってみたいかもな〜
【スズキ製660ccが復活】ケータハム・セブン170 Rへ試乗 ブランド最軽量の440kg 前編
英国で買える量産車として最軽量
執筆:Matt Prior(マット・プライヤー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
実際にケータハムを購入することは、簡単な決断ではないと思う。でも、コンフィギュレーターであれこれ妄想することは、クルマ好きにとって楽しみの1つだろう。
価格表を見ながらモデルを選び、希望するオプションのチェックボックスをクリックすれば、概算の見積もりがわかる。実りある時間ではないかもしれないが、インターネットのおかげで昔よりずっと妄想しやすい。
近年は、ケータハムも選択肢が複雑になっている。見た目は似ていても、幅広いスペックがラインナップされている。関心が薄れないように、比較的頻繁にアップデートも繰り返されている。
ケータハム・セブンは、スポーツカーの初代ランドローバー・ディフェンダーともいえるかもしれない。最終的には似たような体験が得られるとはいえ、バリエーションは多く、興味をそそられるセブンが複数台ある。
何台か乗り継いだ後に、最終的に理想的な1台に絞られるかもしれない。筆者も、そんな1台を所有していたことがある。
今回試乗したのは、車重440kgの新しい170シリーズ。現在の英国で買える量産車として、最軽量なモデルだとケータハムは主張する。間違いなく、過去最も軽いケータハムだといえる。注目すべき1台だ。
軽い理由は、660ccのスズキ製3気筒ターボエンジンが、ケータハムへ復活したから。過去にK6A型からR06A型まで数年間搭載されていたが、一度姿を消していた。
軽自動車用660ccから85psと11.8kg-m
新しいエンジンは、日本ではスズキの軽自動車にも搭載されている。リジッドアスクルを含むコンポーネントが、ケータハムのシャシーに都合よく載るのだという。さらにこの170 Rは、日本の軽自動車規格にも合致している。
かつて、日本の輸入代理店を担っていたVTホールディングス社は、軽自動車規格に収まる160を要求した。そんな彼らがケータハムのオーナーとなり、新しい170シリーズを生み出したのだ。
ケータハムは、古典的なブリティッシュ・スポーツカーを好む日本でも比較的好調に売れている。日本市場で売れるセブンのうち、約8割が170シリーズになるだろうと予想されている。
日本市場単独でも、170シリーズは成り立つのかもしれない。でも最軽量のケータハムなら、世界各国で販売する価値がある。
多くのセブンと同様に、170シリーズには2種類が用意される。よりレーシーな「R」と、少し穏やかで公道向きの「S」だ。今回は両方を運転させてもらったが、長時間ステアリングホイールを握ったのはオレンジ色の170 Rだった。
RでもSでも、最高出力は85ps/6500rpm、最大トルクは11.8kg-m/4000-4500rpmを発揮する。パワーカーブは、5250rpm前後からフラットな線を描いている。
カタログ燃費は20.7km/Lで、CO2の排出量も109g/kmに留まり、ケータハムの中で最も環境負荷の小さいモデルでもある。0-100km/h加速は6.9秒と予想され、軽量化と正面面積の小ささが、いかに効果的なのかを示している。
RならクワイフLSDに4点ハーネス
トランスミッションは、5速MT。170 RにはクワイフATB社製のリミテッドスリップ・デフが、スズキ由来のリアアスクルに組まれる。車高調整の可能なスポーツサスペンションも装備される。
カーボンファイバー製ダッシュボードや、コンポジット素材のスポーツシート、4点ハーネスなどもRなら得られる。穏やかな170 Sには備わらない。
英国での価格は、Sで2万2990ポンド(349万円)から。Rでは2万3990ポンド(369万円)から。もしガレージや工具があるなら、英国では自身で組み立てることも可能だ。ケータハムは、2395ポンド(36万円)で仕上げてくれるが。
セブンだから、オプションでスペックアップするのも悪くない。オレンジ色の170 Rには、サーキット走行に耐えられるロールバーや、カーボン製ボディパネルとフロントフェンダーなどで武装。一層の軽量化を実現していた。
この状態でも、英国なら3万ポンド(456万円)に収まる。内容を考えれば、お手頃なケータハムといえるだろう。
英国編集部では、以前のセブン160の運転を心から楽しんだ。ベストのケータハムというわけではなく、既存のセブン・オーナーが160へ乗り換えるほどではなかったとはいえ、入り口を広げてくれる魅力的なモデルだったことは間違いない。
新しい170の「R」では、スズキ製3気筒エンジンの魅力に、アグレッシブさも追加されている。
この続きは後編にて。
【スズキ製660ccが復活】ケータハム・セブン170 Rへ試乗 ブランド最軽量の440kg 後編
ロータスの軽量化の精神に通じる
執筆:Matt Prior(マット・プライヤー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
筆者は、ナローボディのケータハム・セブンが好きだ。ロータスの、軽量化の精神に通じていると感じるから。
試乗車にはオプションのローワード・フロアが装備され、ドライビングポジションは標準より低い。さらにコンポジット・シートで下げられている。4点ハーネスも、エンジンのパワーやタイヤ以上にシリアスな雰囲気を高めている。
155/65のタイヤで包まれる、14インチ・ホイールは細身。ディスク面はセンター部分が高く、ホイールキャップに見えなくもない。
筆者としては、従来の160が履いていたスチールホイールの方がカッコイイと思う。アルミホイールの方が軽いのかもしれないけれど。85psと11.8kg-mという数字を考えれば、タイヤ幅は充分に足りているようだ。
ちなみに、スタットボルトのPCD値はスズキ車に準じるため、通常のセブン用ホイールは履けないという。
小さな軽自動車用3気筒エンジンは、アイドリング時からとても静か。そのことを好ましく感じるドライバーも多いだろう。今回の取材では観光客の多い自然の中で撮影を行ったが、何度も止まったり往復しても、不快そうに目線を向けてくる人はいなかった。
コンペティション・エグゾーストの典型的なケータハムなら、排気音は大きく迫力もある。でも、案外直ぐに聞き疲れてしまうものだ。
660ccでも大多数のモデルより運転が楽しい
確かに静かなエンジンだが、ドライバーとの距離が遠いわけではない。音響体験は他のセブンとは異なるが、3気筒ターボらしいオフビートを伴い、アフターファイヤーで弾けるノイズが楽しめる。
アクセルペダルのレスポンスも、170シリーズ以外のセブンとは違う。充分魅力的といえるものの、ダイレクト感が弱い。慣れるまで、少し不自然さを感じる人もいるだろう。
乗り心地は良好。170 Sの方がさらに良い。軽量なボディのおかげで、大きな隆起などを超えるとボディが弾かれる。それでも姿勢制御は素晴らしく、しっかり路面へ追従し落ち着きもある。
グリップの限界は他のセブンと比べれば低いものの、郊外での積極的な走りを充分に受け止められる水準にはある。LSDを装備していても、テールを流すには挑発的な操作が必要なほど。今回は天候に恵まれたが、濡れた路面なら、より自由度が高まるはず。
もしドリフトでの爽快なコーナリングを楽しみたいなら、シャシーバランスへ手を加える以上に、直線的なアクセルレスポンスと太いトルクが必要になりそうだ。しかし170 Rの最大の魅力は、その身近さにあると思う。
スーパーセブン1600に備わるスロットルボディと、排気量の余裕が生むリニアなレスポンス、13インチのミニライト・ホイールが、筆者を誘惑することは確か。しかし、大多数のスポーツカーより、小さなセブンも運転が楽しいことは間違いない。
まるで真新しい状態のクラシックカー
日本のドライバーの多くが、170シリーズの「R」を方を好むことは想像できる。同時に、170 Sが漂わせる、よりリラックスした雰囲気も筆者は好ましく感じた。標準サスペンションにクッションの効いたレザーシートが備わり、乗り心地はだいぶ良い。
キャスター角を調整することで、より軽快でレスポンシブな操舵感を得ることも可能だろう。Rより着座位置がやや高めなこともあって、Sの方が変速もしやすい。
フロントガラスに通常のシートベルトを装備した170 Sは、まるで真新しい状態のクラシックカーのようにすら感じられた。これにスチールホイールを履いたなら、一層見栄えするに違いない。
筆者ならLSDを組みたいところ。エントリーグレードのセブン170 Sでも、コレぞという仕様で仕立てられるはず。コンフィギュレーターへアクセスし、じっくり時間をかけて悩んでみてはいかがだろうか。
ケータハム・セブン170 R(英国仕様)のスペック
英国価格:2万3990ポンド(369万円)
全長:3100mm
全幅:1470mm
全高:1090mm
最高速度:168km/h
0-100km/h加速:6.9秒(予想)
燃費:20.7km/L
CO2排出量:109g/km
車両重量:440kg
パワートレイン:直列3気筒660ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:85ps/6500rpm
最大トルク:11.8kg-m/4000-4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル
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Posted at
2021/10/08 22:21:33
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