• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2021年12月09日

販売台数っていう意味では言うほど出てはいないんだね…もっと台数多くなっているかと思ったけど

販売台数っていう意味では言うほど出てはいないんだね…もっと台数多くなっているかと思ったけど ロータス・エリーゼの生みの親 ジュリアン・トムソンxリチャード・ラックハム 前編

25年の歴史に幕を閉じるエリーゼ

1995年のドイツ・フランクフルト。ロータス・カーズは財政難に苦しむなかで、親会社のブガッティを率いるロマーノ・アルティオーリ氏のアイデアを元に、新しいスポーツカーを創造した。そのクルマには、孫娘のエリーサにちなんだ名前が与えられた。

自動車ファンの欲求を満たすモデルとして、当初は限定的な生産台数が想定されていた。しかしエリーゼは、ロータス・カーズ史上最も多売のモデルへと、またたく間に成長した。多様なモデルバリエーションを生み出しながら。

寂しいかな、何事にも終わりは来る。エリーゼは2021年をもって、3万5000台という生産台数で、25年の歴史に幕を閉じる。

そこで英国編集部は、ジュリアン・トムソン氏とリチャード・ラックハム氏を招聘し、誕生秘話を伺うことにした。ロータス・カーズが買い戻した、フランクフルト・モーターショーへ出展されたグリーンの初代エリーゼとともに。

クリエイティブなビジョンを持ち、最大の友人でもある2人は、公私ともに交流が深い。エリーゼのモデルライフに、誰より深く関わってきた。傑作プラットフォームを生み出すことで。

ラックハムは、1987年に技術者としてロータスへ入社。急速に拡大するへセルの開発現場で車両コンセプトのチーフへ就任し、確固たる地位を築いてきた。

他方のトムソンは、当時はロータスでデザイナーとして既に手腕を奮っていた。その後ジャガーに移籍するが、今はこれまでの経歴を活かしジュリアン・トムソン・デザイン社を立ち上げている。

忙しいお2人にご参集いただいた。早速エリーゼ誕生当時を振り返っていただこう。

VWのヘッドライトと同じ開発予算

リチャード・ラックハム氏(以降:RR)「当初の事業計画では、公道用モデルで年間750台を4年間製造する予定でした。ですが、その限られた数字では我慢を強いられる人が大勢いたんですね」

「主要なシャシー構造が設計された後に、ドアと屋根を追加する変更が加えられました。乗降性に制限が出た理由です。最初からドアとルーフが想定されていれば、だいぶ違っていたでしょう。当時のわれわれができる、最もシンプルなクルマでした」

「複雑さを増すことは、大きな問題になります。ボディはクラムシェル構造として一体化されており、実際とてもシンプルです。インテリアも同じ。何かを追加するほど、コストも増えます。パネルの数を減らすことが、重要な課題でした」

ジュリアン・トムソン氏(以降:JT)「準備できる専用の製造用機械の数は、極めて限定的でした。そのため、ウインカーとテールライトのレンズは、同じ成形型を用いています。それでも、大きな投資といえるものでした」

「いかに全体の予算が限られていたのかわかりますよね。わたしは1998年にロータスを離れ、フォルクスワーゲンへ移っています。そこで最初に関わったのが、ヘッドライトのデザイン。その部品1つで、エリーゼ全体の開発予算より多かったんですよ!」

グループCカーやバイクに影響

RR「開発の早い段階で、ドニントン・コレクション(英国のレーシングカー博物館)を訪ねています。グループCカーに乗ると、ドライバー両脇の燃料タンクが安心感を生み出していると思いました。それが、シャシー設計に影響を与えています」

「側面衝突に関する開発上の規定はありませんでした。でも、ベンチマークとしたケータハムが脆弱に感じられたことは確かです」

JT「(エリーゼは)レーシングカーに乗るような体験。すべての人に向けられたクルマではありませんが、魅力の1つです」

「デザイナーとして、ドアの追加には落胆していません。ボディのサイドラインが大きくえぐられており、ビーチバギーのようにも見えます。そのラインは、与えたいと思っていましたが」

「ビバリーヒルズ高校白書というドラマに、ポルシェ356スピードスターが登場します。そのサイドラインと低いプロポーションが、以前からとても好きでもありました」

「それと、バイクにも影響を受けています。ホンダCBRのエンジンカバーや、ヤマハのヘッドライト、燃料キャップなど。リチャードも、サンビームのバイクに影響を受けたようです」

「開発チームは驚くほど若かった。クルマに対する考え方や実用性には、深く考えが及んでいなかったといえます。でも、それが開発プロジェクトには良かったのだと思います」

RR「わたしはドゥカティ916を、彼はドゥカティ748というバイクを持っていました。能力が限られるなら、916並みにチャレンジングなことが必要になります」

プロジェクトのために生活をともにした

JT「デザインからエンジニアリングへ、切り替わった境界線はありませんでした。すべてが美しく、狙ったとおり。通常、車内の構造は殆どが覆われますが、エリーゼではほぼすべてが露出しています」

RR「ブガッティは、いつもそうでした。すべての部品は美しく丁寧に仕上げられます。それでいて、すべてが機能的な必要もある。考えが異なるメーカーもあります」

「交友関係は助けにもなりました。当時は2人とも独身で、プロジェクトのために生活をともにした感じ。いつもエリーゼのことを話し合っていましたが、楽しい時間でした。おかげで、創造的な部分の決断もスムーズでした」

「2人が仕事をしていたのは、それぞれのプレハブ事務所。小さなチームでしたが、同じ使命を持って働いていたと思います」

JT「当時のロータスは、いつ経営者が変わっても不思議ではない状態でした。ロータスは技術力に定評がありましたから、ロータス・デザインでも同様の信頼を構築したいと考えていました」

「ある時、大きな荷物が届いたんです。イタリアのデザイン事務所が手掛けた、エリーゼと新しい2+2モデルの、別のデザイン案だと聞きました。その時、われわれのアイデアはスケールモデルの段階に入っていました」

「スタジオの壁一面にデザイン・スケッチをピンで留め、どちらが良いか選出したんです。とても緊張する苦痛の時間でしたね。新しいロータスのスポーツカーを作りたいと、何年も働いてきたんです」

「選ばれるのは自分たちの案だと、強く望みましたよ。良く練られており、見た目も最高。幸運にもすべてが一体になっていましたから」

この続きは後編にて。



ロータス・エリーゼの生みの親 ジュリアン・トムソンxリチャード・ラックハム 後編

芸術性を端的に表すペダルボックス

ジュリアン・トムソン氏(以降:JT)「リチャードとエリーゼのデザインに関われたことは、とても良い経験になりました。彼は美しく見せることにも考えが及ぶ、素晴らしい技術者です。ミニマリスト的な構造の必要性を、明確に共有してもいました」

「可能な限りシンプルに、ごまかさない。サイドシルのソフトパッドも、必要だとは思いませんでした。当初はダッシュボードも構造が露出していたんです。最終的にカバーが付きましたが」

リチャード・ラックハム氏(以降:RR)「ヘッドライトはカウリングが前提で、発表段階では付いていました。111Sでは復活していますが、初期のエリーゼはコストの都合で省かれています」

JT「ペダルボックスの美しさは、彼の芸術性を端的に表している部分でしょう。美しく、機能的。エンジニア出身のアーティスト。とても特別な才能です」

RR「確かにこれまでに関わったプロジェクトでも、エリーゼのペダルは満足度の高い仕事の1つ。ロータスと刻まれていた初期のデザイン案は、踏むのには重すぎました」

「ロータスの技術者は、当時ランドローバーの新しい構造開発にも関わっており、わたしもその1人でした。プロジェクトは中止になりましたが、押出成形の可能性を知るきっかけになっています」

「接着結合がどれほど強固なのかは不明だったので、100mm四方の結合部分は、推測から出した大きさ。実際は、半分のサイズでも充分だったかもしれません」

コストを理由に一部で選ばれたスチール

RR「アルミ材の供給元、ノルウェーのノルスク・ハイドロ社は販売を拡大したいと考えていました。押出成形材で新しいことに取り組んでいるとも、知っていたようですね」

「反面、わたしたちは使用量の削減を模索していました。例えば、ルーノー・スポール・スパイダーのシャシー・ウオールの厚みは、溶接できるようにエリーゼの2倍あります」

JT「常にネイキッド・バージョンの考えはありました。最終的に、340Rでカタチになります。エリーゼは洗練され過ぎている、というケーターハム・オーナーからの要望に応えるために」

RR「押出成形材は、知覚品質の面でも意義があると気づきました。ドアヒンジにも用いています。機能だけでなく、造形として驚きや喜びも与えてくれます。品質も高く、剛性も確保できるので、サスペンションのアップライトにも採用しました」

「スパルタンなクルマとして、ピッタリですよね。リアのサブフレーブもアルミ材にしたかったのですが、エンジンの熱による影響を防ぐには重量が増え、コストも高くなる。そこで、適した素材としてスチールを選んでいます」

「シャシーのサスペンションマウント部分にも、スチール製のボビンが使われています。鉄とルミが接することで起きるガルバニック腐食が心配で、アルマイト素材を選びたかったのですが、コストが許しませんでした」

「サイドシルは100mm低くしています。車重は6kgから7kgほど増えていますが、乗降性を考えれば、その価値はありましたね」

ミニマルでも、すべてに特別感がある

JT「でも当時の自分たちにとって、乗降性はそもそも問題ではありませんでした。若かったので、ウサギのようにジャンプして乗れましたから」

「エリーゼのシートは、ランボルギーニ・ディアブロのモノがモデル。膨らませられるランバーサポートを付けてあり、良く機能します。ミニマルなクルマですが、すべてに特別感があります。サイドステップのプレートもカッコイイ」

RR「わたしがエリーゼのデザインで最も満足しているのが、インテークまわりからリアに向けて、パワー感が増していく雰囲気。古いスーパーカーのようにね」

「悪い部分は、恐らくサイドウインドウのワインダー。でも、ジュリアンに責任はありません。ワイーパーのアームも、あまり好きではないですね。もっとエレガントなカーブに作れたはず。ここまで丈夫そうな見た目である必要もない」

JT「テスラは、ロードスターを宇宙に打ち上げました。ヘネシーのモデルでは、世界最速のフロントガラスにもなりました。スバッロのコンセプトカーでは、水中にも潜っています。世界で最も有名なフロントガラスかも」

RR「フロントガラスは、シングルワイパーで拭ける曲面で仕上げてあります。これも、大きな制限でした。レースカーと同じ構造ですし、シンプルで安価に作れる。2脚のシートが近い理由も、ガラスを拭ける面積が小さいためです」

自分のための設計が導いたベストな結果

JT「ボディのリア・クラムシェルは、少しワイド過ぎたと思います。製造プロセスを短くするという点でも誤算でした。リア側のエアベントがフェイクなのも、気に入らないポイントですね」

「押出成形材の構造や結合部分、ペダルの造形などはとても気に入っています。自分がエリーゼで気に入らないことは、うるさすぎること。メカニズムの音が」

RR「当時は、ノイズや振動に関する要件はありませんでした。純粋に、楽しむためのクルマでした」

JT「それと、オーナーという視点では、バッテリーへのアクセスが悪い。(トムソンはエリーゼ・シリーズ1のスポーツ160を所有している)」

RR「重量配分という点で、可能な限り低い位置に搭載されているんです」

JT「一般的な自動車会社では、デザイナーがエンジニアと緊密に連携しながら仕事を進めることは珍しい。でも、お互いの考えや意思を尊重することで、純粋に良いものを仕上げることができます」

「エリーゼのようなクルマをもう一度作れれば、と時々想像します。でも考えるほどに、現在では難しい。それがユニークなところでしょう」

「最近まで働いていたJRL(ジャガー・ランドローバー)には、1万人の技術者がいます。でも、エリーゼに携わったのはほんの数名。自分たちのクルマを、自分たちで作っているようでした。自分のための設計ですから、ベストな結果が得られるわけですよ」
ブログ一覧 | 自動車業界あれこれ | 日記
Posted at 2021/12/09 21:10:14

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

🍜グルメモ-1,062- 中華蕎 ...
桃乃木權士さん

早朝徘徊を中断中😩
S4アンクルさん

おはようございます!
takeshi.oさん

自撮りして喜ぶ甥っ子❣️iPhon ...
青いトレーラーNo.IIIさん

あゝ旅行きぶん
ポンピンさん

今日の朝飯は〜😋👍
一時停止100%さん

この記事へのコメント

コメントはありません。

プロフィール

「@うーさー トランクに切れ込み入っていて車体にウイングの足を残しながら外れてくれます(開くって表現はしなくなります)」
何シテル?   06/22 22:42
初めまして。 インプレッサG4に代替を致しました~ 自分色に染めて行こうと思います 燃費を気にする割にアクセル踏んじゃうんですよ~ バトンに関し...

ハイタッチ!drive

みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

FrogDrive S660用リアダクトフレーム取り付けその1 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2021/11/29 15:26:19
ポケモンGO攻略まとめ  
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2018/08/12 02:23:37
 
マギレコ攻略Wiki 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2018/08/12 02:22:57
 

愛車一覧

スバル インプレッサ G4 スバル インプレッサ G4
初の新車に代替をいたしました~ ターボからNAになりましたが、インプレッサはインプレッサ ...
スバル インプレッサハードトップセダン スバル インプレッサハードトップセダン
GC6を自らの事故で失った後、次の愛機を探している所コイツが浮上しました。 車重は10 ...
スバル インプレッサハードトップセダン スバル インプレッサハードトップセダン
初のマイカーです。NAという事とコズミックブルーマイカって色なのであまり回りにいない車な ...
スバル BRZ スバル BRZ
兄貴の増車なんですが、いじる許可を貰っているので気ままに弄り回します。
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation