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2022年05月13日

A110に比べてA310は重いイメージあったけどそんなこと無いんだもんな〜

A110に比べてA310は重いイメージあったけどそんなこと無いんだもんな〜 兄弟エンジンの軽量スポーツ RRのアルピーヌA310 x MRのロータス・ヨーロッパ 前編

手頃な価格のミドシップという理想

ロータス・ヨーロッパから降りるのは難しい。サイドシルとルーフを掴みながら、思い切り前かがみになって足を出すしかない。サービスエリアの駐車場などでは、注意が必要。遠くで誰かが眺めていたりする。

乗り込む場合は、先にお尻をシートに乗せてから、足を曲げて引き込めば大丈夫。それでも、殆どの場合はつま先がドアに当たってしまう。

ロータス・ヨーロッパほど、走る魅力に対して妥協のないデザインが与えられた、公道用モデルは少ないだろう。乗降性の悪さにも、目をつぶりたいと思わせる。何しろ、全高は1098mmしかない。

もしそれが、127psを発揮するビッグバルブ・ツインカム・エンジンと、ルノー16 TXやルノー12 ゴルディーニと同じ5速MTが組まれたスペシャルなら、尚のこと。

ロータスを創業したコーリン・チャップマンが、ヨーロッパを発売したのは1966年。セブンの後継モデルとして、ルノー16用のパワートレインを流用し、たった18か月という短期間で開発された。

その名のとおり欧州市場での販売が前提で、1957年のエリート以来、最も意欲的な公道用モデルといえた。手頃な価格のミドシップ・スポーツカーという彼が抱いた理想へ、完全には一致していなかったかもしれないけれど。

新しいノーフォーク工場の稼働率を高めながら価格を抑えるという、難しい課題にも取り組んでいた。実際、生産効率を上げつつコスト削減へつなげる、多くの工夫が凝らされている。

約700kgのボディに79psのエンジン

初期型のシートは、前後スライドできない固定式。ペダルの位置を、スパナで調整することで対応した。左右ドアのガラスは開けることができず、ダッシュボードは簡素なアルミニウム製だった。

フロント・サスペンションは、トライアンフのものを由来とした、エランからの流用。ステアリング系も同じ。リア・サスペンションは、トランスバースリンクにラジアスアームという構成が採用された。

Yの形状をしたスチール製バックボーン・シャシーという基本的な車両構造も、エランに通じるものだった。初期のヨーロッパでは剛性確保のため、バックボーン・シャシーがFRP製ボディへ接着されている。

ジョン・フレイリング氏によるカムテールのスタイリングは、当時の公道用モデルとして最高水準の空力特性を実現。Cd値は0.29だった。ボディの前後を守ったバンパーは、フロントがフォード・アングリア用で、リアがフォード・コルティナ用だ。

車重は約700kgと、MGミジェットより約90kgも軽量だった。オールアルミ製のルノー・エンジンは、軽くチューニングされ最高出力79psを発揮。177km/h以上の最高速度と、0-97km/h加速10秒以下という、俊足を獲得した。

一方、フラットなボディの後方視界は悪く、路面に近いドアは歩道の縁石に当たることも少なくなかった。換気は良くなく、渋滞に巻き込まれると車内へ排気ガスが流れ込んだ。走行時に主眼が置かれたボディ内の圧力差が、裏目に出た。

実用性や俊敏さで、エランには届いていなかった。完成度への批判はゼロではなかった。

ビッグバルブにピンストライプのボディ

英国仕様の右ハンドル車が登場したのは、1969年に更新されたヨーロッパ・シリーズ2になってから。車内の防音性が高められ、パワーウインドウ化され、シートの前後スライドも可能になった。ベンチレーションも改善されている。

熟成を重ねた109ps仕様のヨーロッパ・ツインカムは、1971年の発売。リアデッキ左右に立ち上がった、フライング・バットレス部分が低く削られ、見た目でも識別しやすい。

車内にも改良を受け、足先を伸ばせる空間が与えられた。ずっと居住性は良くなっている。

そして、127psを発揮するビッグバルブ・エンジンを搭載した、ヨーロッパ・スペシャルの登場は1972年。1975年まで生産が続いた、ロータス・ヨーロッパのトリを努めた。

ゴールドのピンストライプが入ったボディに、シルバーメタル・フレークのサイドシルというツートーンの組み合わせは、多くの人の記憶に残っているはず。ダンロップのアルミホイールで、シックに決めたロータスだ。

ブラックのボディにゴールドのピンストライプで仕立てられた、JPS(ジョンプレイヤー・スペシャル)仕様も当初100台限定で登場。想像以上に多くの支持を獲得し、最終的にはモデル末期まで購入することができた。

今回ご登場願ったカーニバル・レッドに塗られたクルマは、記録では最後に製造されたヨーロッパ・スペシャル。ロータスで長年セールス・ディレクターを務めた、ロジャー・パットナム氏が初代オーナーだったという。今は、見事にレストアされている。

A110からグランドツアラーへ振ったA310

他方、同じ頃のフランスにはリアエンジンのスポーツカーが存在した。アルピーヌ・ルノーA310だ。ロータスは1970年代初頭までにF1で名声を掴んでいたが、アルピーヌはラリー界で圧倒的な強さを誇った。

鮮やかなブルーに塗られた初代A110は、世界ラリー選手権(WRC)の前身に当たる、1971年の国際マニュファクチャラーズ選手権(ICM)で優勝。さらにWRCとなった1973年にも、優勝している。モンテカルロ・ラリーでの勝利を含めて。

好戦的なA110の後継モデルとしてフランスの技術者が考案したのが、グランドツアラー寄りのA310だった。それでも、バックボーン・シャシーにリアエンジンという基本的なパッケージングは踏襲された。

ボディは、ワンピース成形のグラスファイバー製。主要コンポーネントは、ルノーの量産モデルから流用されている。

さかのぼること1955年、ルノーのディーラーを営んでいたジャン・レデレ氏によって設立されたのが、アルピーヌ社。1971年にA310を発表した時点でも、独立した自動車メーカーだった。

しかし、年間666台という好調の波に乗っていた1973年にルノーが買収。アルピーヌ・ルノーへ改組されている。

長く生産されたA310シリーズが積むエンジンは、プジョーとルノー、ボルボの共同によるPRV社のV6ユニットだけではない。1971年から1976年にかけて生産された1600VEと呼ばれる初期型には、ゴルディーニ・チューニングの直列4気筒が載っている。

オールアルミのブロックにクロスフローのヘッドが組まれ、実はロータス・ヨーロッパのエンジンとも縁が深い。一緒に載る5速MTも。

この続きは後編にて。



兄弟エンジンの軽量スポーツ RRのアルピーヌA310 x MRのロータス・ヨーロッパ 後編

6灯のヘッドライトが印象的なルックス

アルピーヌ・ルノーA310 1600VEの生産台数は、合計2340台。今回登場願った1台は1973年式で、ワイドなガラスカバーの奥に、6灯のヘッドライトが並んだフロントマスクが最大の特徴だろう。イエローのシビエ・レンズが、フレンチだ。

6灯のうち2灯がメインビームで、2灯はハイビーム、さらに2灯はラリー用のロングレンジ・スポットライト。1970年代としては、夜間でも優れた視認性を確保している。

先代のアルピーヌA110のスタイリングを手掛けたのは、イタリアのカーデザイナー、ジョヴァンニ・ミケロッティ氏だったが、A310は社内で描かれた。スポーツカーに飢えていたフランス人にとっては、会心といえるルックスだった。

ホイールベースは2273mmと短いながら、リアエンジン・レイアウトとしたことで、ランボルギーニ・ウラッコよりわずかに広いリアシートが備わっている。実用性も良い。

前後の重量配分は40:60で、タイヤサイズもリアの方が広い。車重はロータス・ヨーロッパより重いものの、825kgと充分に軽量だった。

サスペンションは、リアがスイングアスクル式からウイッシュボーン式へ進化。前後にアンチロールバーも備わっている。

ミドシップの小さなロータスとは異なり、こちらは乗り降りもそれほど難しくない。全高は1048mmと更に低いが、視認性にも優れ、レザーで仕立てられたインテリアには上級感がある。ヨーロッパでは、合皮が用いられている。

魅力度的なロータスのツインカム

ドライビングポジションは、A310の方がやや不自然。ヨーロッパは、レーシングカーのように高いサイドシルとセンターコンソールに挟まれ、身体は適度に保持される。

ステアリングホイールは、2台ともにドライバーの中心線上から僅かに外側へオフセットしている。3枚のペダル・レイアウトもかなりタイトだ。

A310のボンネットを開くと、スペアタイヤと燃料タンク、ラジエーターが満たしている。ヨーロッパは、前後にそれぞれ小さな荷室がある。そのかわり、荷物を置ける+2のリアシートはない。

アルピーヌのテールゲート下には、四角いヘッドカバーとウェーバー・キャブレターが組まれた、直列4気筒エンジンが隠れている。ゴルディーニの手が加えられているが、キーをひねるとすぐに目覚めた。

見た目もそうだが、サウンドも、威勢の良いロータスのツインカムほど魅力的ではない。125psという最高出力に不足はないものの、サイドマウント・カムのアグレッシブなタイミングを活かすには、高めの回転域まで引っ張る必要がある。

今回のクルマの場合は、4000rpmから6000rpmくらいまでの間で若干スムーズさに欠けていた。プラグコードの交換時期かもしれない。

それでも、A310は低回転域でトルクが太く、出だしが良い。そのまま加速を続ければ、滑らかなボディと相まって190km/h以上の最高速度まで到達できる。

MTの感触を忘れるほど気持ちが良い

ギア比は長めで、活発に走らせるには高速道路でも4速が良い。ヨーロッパとは異なりシフトフィールが正確で好感触だから、頻繁に変速が必要だとしても不快には感じない。リア寄りの重量配分らしく、時々むずがるような仕草を見せる。

5速MTは基本的に2台で共通だが、エンジンの前か後ろかで、リンクの長さが変わる。ミドシップのヨーロッパの方が長く、微妙な調整が必要になる。だとしても、走りは爽快。

ストレートでもカーブでも、冴えないシフトフィールなど忘れてしまう。エンジンは鋭く吹け上がり、一気にクラッチをつなげばブラックマークを残しながら、野蛮な加速も披露する。120km/h位までは、フェラーリ・ディーノ 246のように勢いがある。

今回のエンジンはリビルドされたばかりで、高めの回転域までは許されていない。甘美なサウンドを楽しめるから、強い自制心が求められる。低回転域でも、アルピーヌのように粘り強い。早めのシフトアップも受け入れてくれる。

ヨーロッパの低い着座位置が、一層スピード感を高める。機敏な走りに、周囲の交通が邪魔にすら思えてしまう。

現代的なクルマと比べるとタイヤは驚くほど細いが、グリップ力は極めて高い。軽くダイレクトな操舵感と相まって、意のままにヨーロッパの進路を決めていける。

アンダーステアもボディロールも生じない。タイトコーナーでも、ブレーキングの必要性を感じない。路面が荒れていても構わない。乗り心地も、うれしいほどに滑らかだ。

欲しいと思わせるA310の訴求力

操縦性では、A310もヨーロッパへ肉薄している。しかし特性が異なり、高速域へ重点が置かれた印象。ロックトゥロックが2.5回転のステアリングは、初め重いものの、速度の上昇とともに軽くなる。

太めのリムへ、正確な情報が伝わる。身軽でありながら、乗り心地はグランドツアラー・ライク。ブレーキはヨーロッパと同様に前後ともにディスクで、効きは優れたスポーツカー級だ。

A310も公道で必要とされる以上に、清々しいほど小気味よく旋回する。フラットでニュートラルで、ヒヤリとする瞬間もほぼない。エンジンは意図どおりにパワーを生み出し、ブレーキの出番も少ない。

コーナリングスピードを高めていくか、急にアクセルペダルを戻すと、アンダーステアからオーバーステアへ切り替わる。その瞬間、ドライバーが試される、リアが重いという物理の法則が待っている。

ロータス・ヨーロッパ・スペシャルは、いつくかの弱点を上回る天才的な能力を持ち合わせている。ドライバーの若い気持ちを、永遠に保ってくれるようなクルマだ。筆者の心もくすぐってくれた。

アルピーヌ・ルノーA310は、近づきやすく奥行きのある、エキサイティングなスポーツカー。A310は英国へ正規輸入されなかったが、6灯のライトが並んだフロントマスクがゴージャスで強い印象を残してくれた。

シトロエンSMにも通じる、1970年代のシックさとスポーツカーという組み合わせは、唯一無二。素晴らしいヨーロッパ・スペシャルとは別の訴求力がある。欲しいという気持ちを抱かせるほど。

協力:ジャスティン・バンクス社、UKスポーツカーズ社

ロータス・ヨーロッパとアルピーヌA310のスペック

ロータス・ヨーロッパ・スペシャル(1972~1975年/英国仕様)のスペック

英国価格:2708ポンド(1972年時)/5万ポンド(約800万円)以下(現在)
生産台数:3130台
全長:3988mm
全幅:1651mm
全高:1098mm
最高速度:197km/h
0-97km/h加速:6.6秒
車両重量:705kg
パワートレイン:直列4気筒1558cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:127ps/6500rpm
最大トルク:15.5kg-m/5500rpm
ギアボックス:5速マニュアル

アルピーヌ・ルノーA310(1971~1976年/欧州仕様)のスペック

英国価格:4000ポンド(1972年時)/3万ポンド(約450万円)以下(現在)
生産台数:2340台
全長:4191mm
全幅:1626mm
全高:1048mm
最高速度:201km/h
0-97km/h加速:8.1秒
車両重量:825kg
パワートレイン:直列4気筒1605cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:125ps/6000rpm
最大トルク:15.0kg-m/5000rpm
ギアボックス:5速マニュアル
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Posted at 2022/05/13 21:35:36

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「@まなひろ エアバルブ側でダブルナットとかにして固定は難しそうですかね🤔」
何シテル?   04/12 09:49
初めまして。 インプレッサG4に代替を致しました~ 自分色に染めて行こうと思います 燃費を気にする割にアクセル踏んじゃうんですよ~ バトンに関し...

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