2020年10月27日
【800ps以上も】次期メルセデスAMG S 63e/S 73e投入へ PHEVプロトタイプを発見 「S 65」復活せず
AMGの電動パフォーマンスセダン
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
来年の発売を控えるパフォーマンス重視のメルセデスAMG S 63eのプロトタイプが初めて目撃された。
スポーツホイール、専用のグリルとバンパーデザイン、スクエアな4本出しエグゾーストなどを備え、AMGの名を冠したこのプロトタイプは、公道でテスト走行を行っていた。
次期S 63は、現行モデルと同様に、ラグジュアリーに焦点を当てた標準モデルのプロポーションを維持しつつ、よりパワフルなエンジンの採用とシャシー改良を施されている。プラグイン・ハイブリッド専用となる。
2モデルが登場する予定だが、いずれもAMG GTやGLE 63と同じ4.0L V8ツインターボエンジンを搭載している。
S 63e 4マティック+は、ガソリンエンジンと136psの電気モーターを組み合わせて約700psを発揮する。より強力なS 73e 4マティック+は、204psの電気モーターを搭載し、合計出力を800ps以上に引き上げる。
今回目撃されたプロトタイプがどちらに該当するのかは不明だが、EクラスベースのE 53/E 63と同様に、両モデルのスタイリング上の違いは最小限に抑えられていると思われる。
S 65は復活せず、V12エンジンはマイバッハにのみ搭載される。
メルセデスは昨年初め、先代のSクラスが生産を終了する中、S 65ファイナル・エディションを発表した。12気筒エンジンを搭載しており、30年近くに及ぶV12エンジン搭載のSクラスに終止符を打った。
Posted at 2020/10/27 22:37:36 | |
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メルセデスベンツ | 日記
2020年10月22日
【量産AMG最強の730ps】メルセデスAMG GTブラックシリーズへ試乗 新V8搭載 前編
歴代6台目となるブラックシリーズ
text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
こんな話題は、最近珍しい。新しいエンジンをご紹介できる機会は、あとどれくらいあるだろう。
メルセデスAMG自慢の、クロスプレーン・クランクを備えた4.0 V8エンジンがバージョンアップ。AMG GTブラックシリーズ用として、フラットプレーン・クランクのV8ユニットに生まれ変わった。
ただしこれは、AMG製の2シーター、GTクーペを陶酔させるようなサーキット・マシンに仕立てた要素の1つ。ほかにも、エアロダイナミクスの改良など、数え切れないほどの改良が加えられている。
過去にも、何台かのブラックシリーズという特別仕様が、AMGのモデルラインの頂点を飾ってきた。今回はその6番目となる。
これまでに登場したブラックシリーズは、SLKとCLKのほか、カッコいいSLに、とてつもないC63。直近となっていたのは7年前のエース、SLSだ。
すでに十二分な迫力を持つAMG GT。仮にハンドリングの向上だけなら、気付きにくいかもしれない。もちろん、見た目もちゃんと差別化されている。
数多くのカーボンファイバー製部品が投入され、AMG GT Rと比較して、ブラックシリーズは35kgも軽く仕上がっている。レースカーのGT3の開発にも関わった技術者が、空気力学的な改良を施している。
トラック・パッケージでは、チタン製のロールケージと4点ハーネスが標準装備となる。ホイールは10スポーク・デザインの鍛造品。フロントが19インチでリアが20インチとなる。ブレーキはカーボン・セラミック製だ。
メルセデスAMG量産モデルで最強の730ps
そしてV8エンジン。これまでのクロスプレーンのV8エンジンも、酔わせてくれるユニットだった。それがフラットプレーンに変わっている。これにより点火タイミングを最適化でき、カウンターウエイトも軽くできる。
AMGはさらに、クランクシャフトやカムシャフト、エギゾーストマニフォールドも、新設計としている。ターボには新しいベアリングが組まれ、高いブースト圧に対応。インタークーラーも大型化された。圧縮比も見直されている。
これらを合わせ、英国での価格は33万5000ポンド(4489万円)なり。
このフラットプレーン・クランクのエンジンは、フェラーリやマクラーレンなども採用する構造。クロスプレーン・クランクより、高回転型にしやすい。そのかわりV8らしい、ドロドロとしたサウンドは薄れてしまう。
AMG GTブラックシリーズでは、レブリミットは200rpmだけ引き上げられ、7200rpmとなった。最高出力の発生回転数は500rpm上昇し、730psを獲得している。
馬力は、メルセデスAMGの量産モデルとして歴代最強。最大トルクも81.4kg-mという極太だ。
エンジンの仕様や数字を見ると、最高出力や排気量、フラットプレーンというクランク、ターボなど、フェラーリF8トリブートやマクラーレン720Sと重なってくる。だが、決して近似したクルマだとは感じない。
メルセデスAMGは、GTのエンジン搭載位置はフロント・ミドシップだと表現する。でも、つまりフロントエンジン・リアドライブ。ミドシップとは違う。
レーシングカー的なインテリア
4.0LのV8エンジンは、2m近くあるボンネットの後ろ側に載っている。大きく空いたフロント部分には、冷却系のシステムが収まる。フロアが完全にパネルで覆われていない理由でもある。
ミドシップのようにエンジンが乗員の後ろにある場合、エンジンルームへ空気を導くのは少し難しい。逆に空気を外に出すのは、簡単になる。
メルセデスAMG GTでは、エンジンはフロントの低い位置にレイアウトされ、その後ろに7速デュアルクラッチATが組まれる。運転席と助手席は、大きなパワートレインの両脇に収まる。
インテリアは、かなりレーシングカー的。シートはサイドサポートが高く、容赦なく身体を固定してくれる。ハーネスを締める前に、ドアは閉じておかないと手が届かない。
ドライバーズシートに座る。小さなシフトレバーと、ドライブモード・オプションがセンターコンソールに並ぶ。アルカンターラに似たダイナミカ素材が巻かれたステアリングホイールには、シフトパドルとショートカットボタンが付いている。
ドイツにあるラウジッツ・サーキットは、やや路面が荒い。ダンパーの設定は、レースよりスポーツ・モードの方が良いようだ。
コイルオーバー・サスペンションは新しくなっているが、アダプティブ・ダンパーは残された。一般道も大丈夫だとメルセデスAMGは話すが、毎日乗りたいとは思わないだろう。
今回はサーキットのみでの試乗。一般道での走りは別の機会に試すしかない。でも、サーキットを走らないドライブ旅行なら、より適したグランドツアラーはほかにもあるはず。
この続きは後編にて。
【量産AMG最強の730ps】メルセデスAMG GTブラックシリーズへ試乗 新V8搭載 後編
優れた重量配分と動的性能のFRモデル
text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
サーキットでの、メルセデスAMG GTブラックシリーズは素晴らしい。そして通常のAMG GTより、かなりうるさい。
船の機関室や下町の工房のように、AMG GTブラックシリーズの車内には、ノイズが共鳴する。ロードノイズが聞こえない場合でも、エンジンノイズが騒々しく響く。
新しいV8エンジンは、ざらついた魅惑的なサウンドを発する。通常のAMG製のV8エンジンとは異なる。フェラーリのように高音を響かせたり、マクラーレンのようにフラットな唸りでもない。
筆者は、チューニングを受けた2代目フォード・エスコートのサウンドに、少し似ていると感じた。33万5000ポンド(4489万円)もするクルマだから、もう少し個性のある響きでも良いように思う。でも、好きだ。
そして、ドライビング体験も大好きになった。重量配分の正しい、高い動的性能を備えるフロントエンジン・リアドライブのクルマに乗ったら、丸1日楽しんでいられる。メルセデスAMG GTブラックシリーズは、まさにそれ。
バランスは、アストン マーティンV12ヴァンテージSのよう。それでいてポルシェ911 GT2 RSのような積極性と個性がある。ファンタスティック、といいたくなる。
縁石にタイヤが乗り上げると、ガタガタと音を立て、振動が伝わってくる。それ以外の場面では、乗り心地は硬すぎず、落ち着きすら感じられる。
魅力的なコミュニケーション力の高さ
コーナーでは身のこなしに合わせるように、わずかにボディがロールする。ある意味で、911 GT3 RS以上の乗り味だと思う。
車重は1520kgで、AMG GT Rより35kg軽い。燃料などを搭載した状態で計測してみると、1665kgになっていた。このボディサイズや最高速度、レイアウトを考えれば、1600kg前後は妥当だろう。余裕のある冷却系も必要となる。
その車体を、自由に振り回せる。挙動にも感心する。信じられない勢いで加速し、ブレーキが強力に減速してくれる。フェードする兆候すらない。
エンジンはだいぶクルマの中央側に寄せてあるものの、まだドライバーの前にある。コーナーへの侵入速度と重心移動を意識していないと、アンダーステアが出てしまう。実際、ブレーキが不要な高速コーナーでは、安定したアンダーステア傾向にある。
速度域に関わらず、730psというパワーで旋回姿勢の調整は可能。AMG GTブラックシリーズに載ったフラットプレーンのV8を唸らせれば、クルマのコーナリングラインを補正できる。
スタビリティ・コントロールが部分的にオンの状態では、ノーズがコーナー出口へ向く前に、パワーが絞られるようだった。オフにすれば、10段階のトラクション・コントロールが支えてくれる。コーナリング姿勢を、より積極的に変化させて楽しめる。
AMG GTブラックシリーズの運転を魅力的にしている要因の1つが、コミュニケーション力の高さ。AMG GT Rでは、こんな印象はなかったと記憶している。
歴代AMGブラックシリーズで格別に良い
ステアリングは適度に軽く、操舵時の重さや感触が、自然に、直感的に変化する。ポルシェ911 GT3 RSの水準ではないにしろ、手のひらでの対話が楽しい。
以前に試乗したAMG GT Rでは、クルマとの一体感が乏しかった。だがサーキットに出れば、驚くようなラップタイムを刻めた。
ブラックシリーズなら、クルマとドライバーとの強い結びつきの中で、高速に周回できる。本気のGT3レースカーより、5秒程度だけ遅いラップタイムも狙えるように思える。なんとスリリングなクルマなのだろう。
メルセデスAMG GTブラックシリーズを走らせれば、GTシリーズのポルシェ911やBMW M4 GTS並みの、充足感と陶酔感を味わえる。筆者は大好きなタイプ。でも、全員の同僚がそうだとは限らない。
こんな激しいクルマが好きだなんて、と思われるかもしれない。それでも構わない。
確かにメルセデスAMGのブラックシリーズは、すべてが極上の仕上がりだったわけではなかった。でも、このGTブラックシリーズは、格別に良いと思う。
メルセデスAMG GTブラックシリーズ(欧州仕様)のスペック
価格:33万5000ポンド(4489万円)
全長:4544mm(標準GTクーペ)
全幅:1939mm(標準GTクーペ)
全高:1287mm(標準GTクーペ)
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:7.8km/L
CO2排出量:292g/km
乾燥重量:1520kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:730ps/6700-6900rpm
最大トルク:81.4kg-m/2000-6000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
Posted at 2020/10/22 20:46:12 | |
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メルセデスベンツ | 日記
2020年10月14日
メルセデスAMG GT 、最強「ブラックシリーズ」は730馬力…欧州発売
メルセデスベンツは10月5日、メルセデスAMG『GTブラックシリーズ』(Mercedes-AMG GT Black Series)を欧州市場で発売した。ドイツ本国でのベース価格は、33万5240ユーロ(約4170万円)だ。
◆空力性能を高めた外装デザイン
「ブラックシリーズ」とは、メルセデスAMGのブランドスローガンの「ドライビングパフォーマンス」を体現したピュアドライビングマシンだ。メルセデスAMGが、モータースポーツで培った最先端テクノロジーを注ぎ込んで開発。究極の運動性能と圧倒的な存在感を示すスタイリングを兼ね備えた少量限定生産車となる。
エクステリアには、メルセデスAMG 『GT』ベースの「GT3」レーシングカーから得られたノウハウを取り入れた。ボンネットには、ブラックカーボン仕上げの2つのエアダクトが設けられた。大きなエアダクトは、暖かい空気をエンジンルームの外へ導く。リアに大型ウイングを装着するなどして、エアロダイナミクス性能を引き上げている。
専用ボディカラーとして、「AMGマグマビームペイント」が選択できる。このオレンジは、メルセデスAMG GTブラックシリーズの専用オプションとなる。
◆4.0リットルV8ツインターボを専用チューン
メルセデスAMG GTブラックシリーズは、メルセデスAMG史上、最もパワフルな市販車となる。ドライサンプ潤滑システムを備えたメルセデスAMG の4.0リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジンを、強化して搭載する。
ブラックシリーズでは、ツインスクロールのターボチャージャーを減摩ベアリングに取り付け、スロットルレスポンスをさらに高めた。ターボチャージャーには大型のコンプレッサーホイールを装備。1時間あたりの空気供給量は、メルセデスAMG『GT R』の900kgを上回り、1100kgに達するという。大型のインタークーラーも装備されている。
これらの変更により、メルセデスAMG GTブラックシリーズは、最大出力730hp/6700~6900rpm、最大トルク81.6kgm/2000~6000rpmを獲得する。新しいカムシャフトと排気マニホールドが新しい点火順序に適合し、ガスサイクルをさらに改善しているという。
◆0~100km/h加速3.2秒で最高速325km/h
メルセデスAMG GTブラックシリーズは、リアアクスルに配置されている7速デュアルクラッチの「AMG SPEEDSHIFT DCT 7G」を介して、後輪を駆動する。この7速デュアルクラッチは、最大トルク81.6kgmに対応するよう強化された。7速デュアルクラッチのパフォーマンスやレスポンスは、よりサーキットに適したものに改良されている。
発進時のエンジン回転数の引き上げ、ホイールスリップコントロールの性能向上、スポーツタイヤのサーキットへの適合により、レーススタート機能が強化された。トランスミッション冷却性能も引き上げられ、ギア比も変更された。これらの変更により、メルセデスAMG GTブラックシリーズは、0~100km/h加速を3.2秒で駆け抜け、9秒以内に200km/hに到達する。最高速は325km /hだ。
エンジンとトランスミッションをつなぐ「トルクチューブ」は、カーボンファイバー製で重量は13.9kg。メルセデスAMG GTのアルミ製よりも約40%軽量だ。ドライブシャフトも、軽量なカーボンファイバー製とした。
◆レースの技術を導入したサスペンション
ダブルウィッシュボーンとステアリングナックル、前後のハブキャリアは100%鍛造アルミ製とし、バネ下重量を軽減した。モータースポーツの技術が採用されたダブルウィッシュボーン式サスペンションは、ホイール支持とサスペンション機能を分離し、スプリングストラットとダンパーストラットを下側のラテラルリンクで支える。このため、上下動を最小限に抑えつつ限界に近い状況のコーナリングにおいて、路面の感覚を的確にドライバーへ伝える。リアアクスルのロアウィッシュボーンに採用したピロボールジョイントもモータースポーツから流用した技術だ。ウィッシュボーンブッシュより耐摩耗性が高いうえ、設計上まったく遊びがないことから、大きな荷重を受けてもトーインとキャンバーが変化しない。その結果、さらにドライバーの意思に忠実に走行することが可能になったという。
調整可能なメルセデスAMGのサスペンションを装備した。このモータースポーツのテクノロジーは、「AMGライドコントロール」の連続可変アダプティブダンピングシステムと組み合わされている。
AMGライドコントロールは、各ホイールの減衰力を走行中のハンドリング状況や車速、路面状態に合わせて自動調整する。この減衰特性の調整を高速かつ精密に行うために、ダンパー内に伸び側用と縮み側用のバルブを別々に備えている。コーナリング時やブレーキング時などにはダンピングレートが硬くなることで、ロールが効果的に低減される。なお、車速に応じた減衰力連続調整には、高速走行時にも最大限の接地性を確保することで安全性を高める効果もあるという。
さらに、AMGドライブユニットシステムのボタンを押すか、「AMGダイナミックセレクト」のドライブモードを使用することで、アダプティブダンピングシステムの特性を調整できる。日常走行の快適性を優先する「C(Comfort)」、ニュルブルクリンクの北コースのような一部起伏があるようなサーキット走行に適した「S(Sport)」、鈴鹿サーキットなどのグランプリサーキット走行に適した「S+(Sport Plus)」の3つのシフトモードを採用している。
タイヤは、ブラックシリーズ専用のミシュラン「パイロットスポーツカップ2 R MO」。サイズは、フロントが285/35ZR19、リアが335/30ZR20とした。サーキット向けに、ハードコンパウンドがオプションで選択できる。
ブラック塗装のブレーキキャリパーとホワイトレタリングを備えた軽量なセラミック高性能コンパウンドブレーキシステムを、標準装備した。専用のブレーキパッドとディスク、最適化されたブレーキ冷却により、強力な制動力を発揮する。標準の鍛造アルミホイールも軽量化に貢献している
◆リアアクスルのスリップ量を9段階に設定可能
「AMGトラクションコントロール」も、モータースポーツの技術が採用されたシステムだ。駆動輪であるリアアクスルのスリップ量を、9段階であらかじめ設定することができる。操作は、エアアウトレット下のセンターコンソールにある専用ダイヤルで行う。設定の違いによって、リアホイールに許されるスリップ量が変化することから、さまざまな路面状況に対応する。
レベル1は、ウエット路面を、安全に余裕を保ちながら走行する設定。一方、レベル9ではリアアクスルのスリップを最大限許容する。選択された設定は、ロータリースイッチを囲むLEDゲージに表示される。この表示方式もレーシングカーから採用している。マルチファンクションディスプレイのセンターディスプレイにも設定が表示される。
AMGトラクションコントロールの利点は、仮想μシミュレーターや制御装置が処理するさまざまなデータを利用して、状況を瞬時に予測できることだ。駆動するリアホイールの最大許容スリップ量は、AMGトラクションコントロールの選択レベルに応じて計算される。加速中にホイールスリップが上限レベルに達すると、AMGトラクションコントロールはこの許容量を超えないようにエンジン出力を調整する。このため、車体は設定されたスリップ量の中で加速を続ける。調整には「AMGリミテッド・スリップ・デフ」の効果も含まれる、としている。
最強の「メルセデスAMG GT」となる「ブラックシリーズ」詳報!
AMG GTファミリーの絶対的頂点に君臨するモデル
メルセデスAMGはこのほど、今年7月に発表したメルセデスAMG GTのトップパフォーマンスモデル「メルセデスAMG GTブラックシリーズ」の特徴を改めて紹介。このモデルは、メルセデスAMGのGTファミリーにおける新たな絶対的頂点のモデルとして誕生した、同社の意欲作である。
メルセデスAMGモデルに設定されるブラックシリーズは、これが初めてではない。2006年に登場した「SLK 55」を皮切りに、2007年に「CLK 63」、2008年に「SL65」、2012年に「C63」、そして2013年に「SLS AMG」と、これまで5モデルに設定された経緯がある。パワートレインはもとより、エアロダイナミクスやシャシー、足まわりといった主要コンポーネントに手が加えられ、通常モデルのAMG車とは一線を画す、とりわけエクスクルーシブなモデルに位置付けられる。
AMG GTブラックシリーズは、GT3レーシングマシンで培った技術やノウハウを惜しみなく導入している。ドライサンプ潤滑方式の4L V型8気筒ツインターボエンジンは、ターボチャージャーに大型のコンプレッサーホイールや大型インタークーラーを装備するなど、専用仕立てとすることにより、最高出力730ps/6700-6900rpm、最大トルク800Nm/2000-6000rpmを引き出す。
トランスアクスルレイアウトを採用した専用セッティングの7速DCT(AMGスピードシフトDCT 7G)との組み合わせにより、0-100km/h加速を3.2秒、0-200km/h加速を9秒未満でこなす加速性能を実現する大きな原動力となっている。最高速は325km/hだ。
ダブルウイッシュボーン形式のサスペンションやステアリングナックル、ハブキャリアはすべて鍛造アルミニウム製。これによりバネ下質量を減らし、ステアリングからのフィードバックをより明確にし、コーナリングパフォーマンスを向上させている。
タイヤは専用にカスタマイズされたミシュランの「パイロットスポーツ・カップ2 R MO」でサイズはフロントが285/35ZR19、リヤが335/30ZR20。
ドライブモード「AMGダイナミックセレクト」は、「コンフォート」「スポーツ」「スポーツプラス」の3モードを設定。コンフォートとスポーツは公道向け、スポーツプラスはサーキットトラック向けと大まかに分けられるが、スポーツモードはウエットコンディションのサーキットトラックでも有効だという。
センターパネル中央部のダイヤル操作によってレベルを調整できるAMGトラクションコントロールも、ブラックシリーズ専用のセッティング。レベル1からレベル9まで選択でき、レベル1では、ウエット路面で安全に余裕を持った走行に適しており、一方レベル9では後輪のスリップ量を最大限に許容する。
エクステリアは、軽量化の促進とともに、エアロダイナミクスが追求されていることが明確に表現されている。これはGT3マシンをはじめとするレースカーから技術的フィードバックを得たもので、フロントスプリッターやボンネットフード、ルーフ、リヤウイングといったパーツはカーボンファイバー製。フロントスプリッターは「ストリート」と「レース」の2モード設定され、レースモードではより路面から近い位置まで下降し、ボディ下部に流れる空気を加速させる、いわゆる「ベンチュリ効果」を生み出しフロントのダウンフォースを高める。
一方、カーボン製テールゲートに装着されるリヤウイングには、上部中央に最大20度の範囲で角度が変更する可変フラップが組み込まれた。このフラップはAMGダイナミックモードに合わせて電動で調整し、ダイナミクスを最適化する。このほか、ほぼ完全にパネル化されフラットになったアンダーボディやリヤディフューザーなど、エアロダイナミクスを高める策が多彩に取り入れられた。その結果、AMG GTをベースとしていながらも独特のルックスになっている。
エクスクルーシブナッパレザーと「DINAMICA」マイクロファイバ-を組み合わせたインテリアはブラックが基調で、オレンジの差し色がシートやステッチに用いられ、マットブラックカーボンファイバートリムやAMGカーボンファイバーバケットシート、グロスブラックが特徴のAMGインテリアナイトパッケージと合わせて独特の雰囲気を発散する。ちなみにこの差し色はオプションでグレーが選べる。
オプションのAMGトラックパッケージを選択すると、チタン製チューブによるロールケージや4点式シートベルト、消化器などで構成するロールオーバープロテクションシステムが搭載される。
VIDEO
Posted at 2020/10/14 21:36:43 | |
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メルセデスベンツ | 日記
2020年09月02日
メルセデスAMG、Gクラス のワンオフ発表へ…「ゲレンデヴァーゲン」に敬意
メルセデスベンツの高性能車部門のメルセデスAMG は8月25日、メルセデスAMG『G63』(Mercedes-AMG G63)をベースにしたワンオフモデルのティザーイメージを、公式ツイッターを通じて公開した。
このワンオフモデルは、メルセデスベンツのチーフデザインオフィサーのゴードン・ワグナー氏と、ファッションデザイナーのヴァージル・アブロー氏のコラボレーションによって、誕生する1台となる。
ヴァージル・アブロー氏は、米国イリノイ州ロックフォード出身のファッションデザイナーだ。2018年には黒人として初めて、ルイ・ヴィトンのメンズウェアのクリエイティブディレクターに指名されている。
ゴードン・ワグナー氏によると、このワンオフモデルは、アイコン的存在のメルセデスAMG 『Gクラス』をベースにしたユニークなアートワークになるという。
ティザーイメージからは、Gクラスのルーツとして、1979年に発表された「ゲレンデヴァーゲン」の文字が記された背面タイヤなど、ゲレンデヴァーゲンに敬意を示したワンオフモデルの姿が確認できる。
Pushing @MercedesBenz design in our collaboration with @virgilabloh and Gorden Wagener to create something unseen in both of our branches. Get ready for a unique artwork of the iconic Mercedes-AMG G-Class. #MBxVA #thenewluxury #virgilabloh #gordenwagener #mercedesbenz pic.twitter.com/AItIegjj9b— Mercedes-AMG (@MercedesAMG) August 25, 2020
[Kraftstoffverbrauch kombiniert: 14,4 l/100 km | CO2-Emissionen kombiniert: 330 g/km | https://t.co/N3yzMZ6mJd | Mercedes-AMG G 63]Coming soon... #thenewluxury @virgilabloh Gorden Wagener #MBxVA #virgilabloh #gordenwagener #MercedesAMG #gclass #design pic.twitter.com/uBWSQYbgVK— Mercedes-AMG (@MercedesAMG) August 24, 2020
Posted at 2020/09/02 20:41:03 | |
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メルセデスベンツ | 日記
2020年08月29日
【ヒットの法則333】メルセデス・ベンツ CLK63AMGブラックシリーズは創立40周年を迎えるAMGの自信作
2007年、AMG社が創立40周年を迎えたが、レーシングエンジンの開発を行う会社としてスタートし、高性能エンジン搭載モデルを担当するメルセデス・ベンツの中のひとつのブランドになっていた。その創立40周年を祝う国際試乗会で、CLK63AMGのピュアスポーツバージョン「ブラックシリーズ」、フラッグシップとして注目されていた「CL65AMG」に乗った。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年7月号より)
獰猛な雰囲気すら漂わせるCLK63AMGブラックシリーズ
AMGの創立40周年を祝う試乗会が行われたのは、アメリカはロサンゼルスの高級住宅地であるビバリーヒルズ周辺であった。今やAMGの世界販売の45%はアメリカでさばかれている。特にこのビバリーヒルズ周辺では、CLクラスなどレギュラーモデルよりAMGの方が売れているというのだから驚くやら呆れるやら。街を歩いていて、その辺に買い物に行くだけという風情のご婦人がSL55AMGのアクセルを高らかに踏み込んでいるところに出くわすのなど、まったく珍しくないのだ。
そんなビバリーヒルズにて試乗に供されたのは、ふたつのニューモデル。そのうちのまず1台目がCLK63AMGブラックシリーズである。
AMGは近年、これまでなかった新しい種類のモデルをプロデュースし始めている。たとえば昨年限定で販売されたCLK-DTM AMGのような「シグネチャーシリーズ」、CL55AMG IWCインジュニアのような「エディション」モデルなどが、それにあたる。
そして今回の目玉であるこのブラックシリーズは、ピュアなスポーツカーエンスージアストをターゲットとする。そもそもAMGはレースから活動をスタートしたブランド。それを、もっとダイレクトに感じさせるモデルというわけだ。
しかし、その外観の何と挑戦的なことか。大きなフロントエアダム、左右計93mmも張り出したオーバーフェンダーなどによって、エレガントなCLKのフォルムは一転、獰猛な雰囲気すら漂わせている。当然、それはファッションではない。ワイドボディ化に合わせて実は前後のサスペンションアームはすべて専用設計とされているのである。
AMG自社開発のV型8気筒6.2L DOHC4バルブユニットも、吸排気系の改良で最高出力を507psに引き上げている。そして7Gトロニックは、ギアの繋がりを重視して最終減速比が6%低められた。
Dシェイプの小径ステアリングやフルバケットシートを装備する2シーターの室内に収まりエンジンを始動すると、大音量のエキゾーストノートが響き渡り、ハードなサスペンションが身体を揺すぶり始めた。車高/減衰力調整式のダンパーはAMGの推奨セットとされていたが、乗り心地はかなり硬め。その分ロック・トゥ・ロック約2.2回転とされたステアリングは格段にシャープで、左右の切り返しなど、とても身軽だ。それにはワイドなトレッドも、当然大きく効いているはずである。
エンジンも、トップエンドに至る吹け上がりがさらに速さを増している。しかしこの大トルクは、直線ではともかくコーナーでは手強い。いくらリア285サイズのタイヤと機械式LSDを採用しているとは言え、後輪荷重の軽いFRで507psともなると、ちょっと踏み過ぎるだけですぐに挙動を乱してしまう。正直、ESPの助けなしにこれを操るには、相当なスキルが必要だ。
しかし手練が扱えば、このCLK63AMGブラックシリーズは非公式ながらニュルブルクリンクを7分56秒で駆け抜けるという。それでいて7Gトロニックのおかげで普段は買い物にだって難なく使えてしまう。
ひたすら贅沢な気分にさせてくれるCL65AMG
もう1台のニューモデルは、CL65AMGである。昨年登場したCLクラスのボディに最高出力612ps、最大トルク102kgmを誇るV型12気筒6Lツインターボを搭載した、AMGのトップレンジである。
そのエンジンは相変わらず素晴らしい歓びをもたらす。街中では豊かなトルクでジェントルな走りを可能にする一方、ひとたび深く踏み込めば、まるで瞬間移動のような感覚の息を飲む加速を披露する。そして専用のABC(アクティブボディコントロール)は街中での上質極まりない乗り心地と卓越したフットワークを両立。この完璧な調教ぶりには、ただただ感嘆するほかない。
ダイヤモンドパターンのステッチが入れられたナッパレザーシートを採用したインテリアも豪奢な雰囲気。とにかくひたすら贅沢な気分にさせてくれる1台である。
この2台、CL65AMGは遠からず上陸するはずだが、前者のCLK63AMGブラックシリーズに関しては、まだ日本導入が叶うかどうか未定だという。とは言え日本はAMGにとって世界3番目の大規模市場だけに、期待はしてもいいはずだ。
その一方でアメリカ、それこそビバリーヒルズ周辺では、おそらくたくさんのクルマがデリバリーされることになるのだろう。次に訪れた時には、きっとご婦人の買い物のアシとして使われているCLK63AMGブラックシリーズなんてのも見掛けることになるに違いない。(文:島下泰久/Motor Magazine 2007年7月号より)
メルセデス・ベンツCLK63AMGブラックシリーズ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4657×1833×1365mm
●ホイールベース:2715mm
●車両重量:1760kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:6208cc
●最高出力:507ps/6800rpm
●最大トルク:630Nm/5250rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●最高速:300km/h(リミッタ−)
●0→100km/h加速:4.3秒
※欧州仕様
メルセデス・ベンツCL65AMG 主要諸元
●全長×全幅×全高:5084×1871×1418mm
●ホイールベース:2955mm
●車両重量:2240kg
●エンジン:V12SOHCツインターボ
●排気量:5980cc
●最高出力:612ps/4800-5100rpm
●最大トルク:1000Nm/2000-4000rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:FR
●最高速:250km/h(リミッタ−)
●0→100km/h加速:4.4秒
※欧州仕様
Posted at 2020/08/29 22:31:42 | |
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メルセデスベンツ | 日記