2021年05月09日
「ランボルギーニBMW」といわれた悲運のスーパーカー「M1」とは【THE CAR】
■遅れてやってきたスーパーカー「M1」
Writer:西川淳
Photographer:神村聖
1979年、モナコGP。
F1きっての晴れ舞台がおこなわれる前に、異様な集団がレースを始めた。
M1プロカー。
しかも集団を引っ張るのは、エマーソン・フィッティパルディやパトリック・デパイエといったF1界のスタードライバーたち。そして、勝者は、ニキ・ラウダ……。
この年、そして翌1980年と綺羅星の如きスタードライバーたちが、このクルマを駆って、真剣勝負を繰り広げた。同一マシンによるドライバー勝負は、子供心にも夢のようなイベントだと心ときめかせたと同時に、ブームに遅れてやってきたベースのスーパーカーにも、強烈な印象を持つに至る。
●打倒ポルシェ! のはずが……
BMW「M1」。
その名が物語るとおり、今をときめくBMW Mモデルの始祖というべき存在であり、BMWが作った唯一のスーパーカー。リアミドにはマニア垂涎のM88ストレート6が積まれて……。
と、M1物語は、必ずといっていいほど、こんな趣旨のフレーズで始まるものだが、スーパーカーファンにとっては、少しだけ様子が違うはずだ。
なぜなら、M1は悲運のミドシップロードカーである、という説明の方が、しっくりくるからだった。
何が悲運だったというのか。
なぜなら、M1というクルマは、BMWから独立したてのBMW モータースポーツ社(今のM社とは組織体制が異なり、あくまでもモータースポーツが中心)が、あのランボルギーニと組んで、世に送り出すはずのスーパーカーだったのに、現実にはそうはならなかったからである。
バーバリアンとサンタアガタ・ボロネーゼ、夢の競演になるはずだった。
BMWおよびモータースポーツ社(以下、便宜的にM社)は、当時、メイクス選手権のかかったグループ5レースなどでポルシェ勢に遅れをとっていた。箱形乗用車がベースの「3.0&3.5CSL」では、いろんな意味で戦闘力に限界があり、「935系」レースカーの後塵を浴びていたのだ。
そこで、シルエットフォーミュラシリーズでも勝てるレース用ベースカーが必要であるとM社は判断した。そして当時、苦境に陥っていたサンタアガタの経験と設備に目をつけたのだ。
一方のランボルギーニはといえば、倒産寸前の青息吐息な状況において、それは喉から手が出るほど嬉しい提案だった。BMWの申し出に、復活をかけた一筋の光明を見いだした。
計画は、こうだった。
グループ5への転用可能なミドシップマシンを、「ミウラ」や「パンテーラ」で名をあげたジャン・パオロ・ダラーラを中心としたランボルギーニチームが設計。イタリアのボディスペシャリスト・マルケージが生産した鋼管フレームのリアミドに、BMW製ドライサンプM88ユニットを詰め込んで、ジウジアーロデザインのFRPパネルエクステリアで覆う。
それは、今でいうところのアウディ&ランボルギーニ生産方式(「ガヤルド」&「ウラカン」のパワートレインとボディフレームはドイツから送られサンタアガタで組み立て)であった。
独伊コラボによるリアルスーパーカーが、ひと足先に実現していたはず、だったのだ。
■「NSX」よりも遥か以前に生まれた実用的スーパーカー「M1」
ところが……。
数台の試作車が走り出したのも束の間、ランボルギーニの財務環境が一段と悪化してしまう。
結果、当初スケジューリングされていた1978年ジュネーブでの発表が事実上困難となってしまい、また、BMWからのランボルギーニ救済案もイタリア側に拒否されたこともあって、同年、ランボルギーニはあえなく破綻してしまう。
●「M1」は、完成度の高さが光る
BMWはやむなく、プロジェクトをドイツ側に引き上げて、組み立てを独バウア社に委託。翌1979年春のM1正式発表に漕ぎつけた。
しかし。一年の遅延はレース活動を念頭においたマシンにとって致命的な遅れであった。プロジェクト変更によって引き上がってしまった生産コストは販売価格の上昇も招いた。
参加カテゴリーの変更や販売不振などが重なって、最早、M1は行き場を失ってしまったかに思われた。
が、そこで編み出された起死回生のアイデアこそが、マックス・モズレーと組んだ、冒頭の“プロカー”シリーズだったのだ。これを足がかりに、ニキ・ラウダとロン・デニスのMP4プロジェクトが本格稼働し……、という歴史ストーリーはまた別のところで。
今となってみれば、M社がサプライヤーの力を借りつつも、ほぼ独力でMモデルの始祖というべきスーパーカーを生産したことは、ランボルギーニに全てを託したよりも、実り多き経験だったように思う(この事件の主人公であるランボルギーニやジウジアーロが今揃って独VWアウディの傘下にあることは、歴史の皮肉であろう)。
あまり知られていないことだけれども、特筆すべきは、M1に与えられた、ミドシップスーパーカーとしてのポテンシャルの高さである。
ダラーラという経験豊富なレース好きエンジニアが基本設計を担当したというだけはある。
そのことは、M1ロードカーをちょっとでも転ばしてみれば分かることだ。マシンのハンドリングレスポンスは、無駄な遊びなく、ソリッドに徹したもので、反応速度はシャープすぎず、常に適正内、手応えはいかにも自然で、まるでフロントアクスルを両手で抱え込んでいるかのようだ。
前後の重量バランスに優れ、ひらりひらりとコーナーをこなす様子も、ミドシップカーならではのパフォーマンスだ。M1に乗ってみると、なるほど、12気筒ミドシップなんてものはロードカーとして規格外=不合理なのだな、と痛感する。
それでいて、室内は実にシンプルで機能的、快適な空間を保っている。十分なラゲッジスペースまでリアに備わる。イタリアンエキゾチックとは一線を画すパッケージ思想を垣間みることができるだろう。いわば、モダンスーパースポーツの始祖、である。
BMWは、ホンダ「NSX」に遡ること10年以上も前に、実用スーパーカーを世に問うていたというわけだ。
このパッケージで、M88に倍の馬力(ノーマルが277bhpでグループ4は470bhp)を与えてくれていれば、小躍りしたくなるほどに楽しいスポーツカーになるはず。
生産台数、市販400台弱、レースカー60台前後。その価値、高騰中だ。
* * *
●BMW M1
ビー・エム・ダブリューM1
・全長×全幅×全高:4360mm×1824mm×1140mm
・エンジン:水冷直列6気筒DOHC
・総排気量:3453cc
・最高出力:277ps/6500rpm
・最大トルク:33.0kgm/5000rpm
・トランスミッション:5速MT
BMWの高性能モデル「M3」などのMモデルをつくる“M社”ってどんな会社? その歴史とは
■BMW新型M3&M4などはBMWの子会社 BMW M社が開発している
BMW新型「M3」とクーペモデルの新型「M4」が、日本で納車がはじまった。
このM3・M4など、BMWのMモデルをプロデュースしているのは、「BMW M GmbH(BMW M有限会社=以降M社)」という会社で、BMW AG(BMW株式会社=以降BMW)の100%子会社である。
BMWの本社はドイツ・ミュンヘン市内にあるが、M社の現在の本社は、ミュンヘン市内からミュンヘン空港に向かうアウトバーンの途中にあるガルヒングという場所にある。
BMW M社の設立は1972年で、当時は「BMWモータースポーツGmbH」という社名だった。そもそもはBMWのモータースポーツ部門を担当していたからだ。その後、レース用のエンジンの開発部門をイギリスに拠点を移したことから、1993年に現在の社名に変えた。もちろんM社のMにはモータースポーツの意味も含まれている。
M社の事業は5つの柱から成り立っている。
まずはMモデルの製作だ。M社が最初に手がけたスーパースポーツカー「M1」は1978年に誕生した。次のMモデルは、3シリーズ2ドアをブリスターフェンダーにして4気筒2.3リッターエンジンを搭載し、「M3」として1986年に登場した。
今では「M2」「M3」「M4」「M5」「M8」「X5M」「X6M」が揃い、サーキットを走るマシンで一般道も走れる、ということをコンセプトとしてそのイメージは定着している。これらは「M ハイパフォーマンスモデル」と呼ばれる。
これらは以前はM社の社内工場で作られていたが、いまはBMWの工場でノーマルのBMWと同じラインで流れている。これにより、多くの台数をこなせるようになった。
通常のBMWとMモデルの中間に位置するスポーティカーとして「M パフォーマンスモデル」も人気が高い。「M760Li」「X3M40d」など、各シリーズに用意されている。
ボディ、シート、カーボンパーツ、計器、エンジン、タイヤなど、Mモデル専用パーツが組み込まれていく。工場で製造する前の開発段階の企画、デザイン、テストなどはM社で独自開発される。BMWのデザイナーとは別に、M社のデザイナーもいる。
Mモデルの製作に付随して、1985年からMスポーツパッケージが始まった。これが2本目の柱になる。
ノーマルのBMW車でもっとスポーティな雰囲気を味わいたいという要望に応えて、車高を6mmから10mm下げたサスペンションを設定したり、Mデザインのホイールを用意したり、スポイラー類も用意している。薄い青色と濃い青色と赤色の斜めの3色カラー目印になっている。じつはこの3色の設定も途中で色が変わっていて、昔は青色、紫色、赤色だった。
■世界各国でドライバートレーニングも開催している
3つ目の柱は、1978年から始まったBMWドライバー・トレーニングで、今はBMWドライビング・エクスペリエンスと名称を変えている。
1970年代のドイツでは交通事故が多く、BMWはカーメーカーの立場から、安全なクルマの扱い方を広めるために開催した。
警察や軍隊などもこのトレーニングを採用し、保険会社もその効果を認め、受講者には保険料を割り引くなどの特典を設けた。半日コース、若者向けコース、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェなどのレーストラックコース、スウェーデンやオーストリアのウインターコース、アフリカの砂漠を走破するコースなど、バラエティに富んだメニューを用意している。
またインストラクターのための高度なトレーニングも用意している。ちなみに日本では1987年11月と1988年3月にラウノ・アルトーネン氏が来日して試験開校し、1988年5月に筆者はインストラクター研修のために2週間ドイツに行った。1989年から一般のドライバーが参加できる正式開校したから、すでに30年以上の歴史がある。このように各国のBMWのインポーターが自国でBMWドライビング・エクスペリエンスを開催している。
4つ目の柱は1991年から始めたBMW Individual(BMWインディビデュアル)である。
オプションパーツでは対応しきれない、ユーザーの難しいオーダーを一手に引き受けてくれるのがインディビジュアルである。スペシャルオーダーのボディカラーを塗装してくれるのはもちろん、シートも革の種類や色、ステッチのカラー、刺繍も施すことができる。納車する国のレギュレーションに違反しない限りは対応してくれる。
ただし、オーダーにより半年から1年くらい待つ覚悟は必要になってくる。
5つ目の柱は、あまり知られていないが特殊車両の製作だ。
テロに巻き込まれても中の人が安全にいられるようにするためのセキュリティカーなどがその一例だ。分厚い窓ガラス、床下で爆弾が爆発しても耐えられるようにした丈夫なフロア板を張り、ボタンひとつで外部からの攻撃に耐えられるようにするスイッチもつく。ランフラットタイヤよりも強力な、パンクしないタイヤを履いている。「7シリーズ」が4トン車ほどの重量になるという。
* * *
こうしてM社の事業を見てみると、単にスポーティなクルマ、サーキットを走ることが得意なクルマだけを作っているだけではないということがわかる。
M社と立場が似ているのが、アウディのクワトロ社やメルセデス・ベンツのメルセデスAMG社である。クワトロ社はアウディ「RS」モデルや「R8」などを開発、AMG社はメルセデスAMGの各モデルを開発しているから、BMWのM社と同じ位置にいるようにみえる。ただしMモデルは、専用エンジンをつくるなどMモデル専用パーツを多数採用し、ノーマルモデルとはかけ離れた尖ったポジションにいるところが特徴になっている。
Posted at 2021/05/09 22:16:20 | |
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BMW | 日記
2021年05月04日
【詳細データテスト】BMW M4 文句なしのエンジン 卓越したシャシー ルックスだけが問題
はじめに
Mディヴィジョンにおいて、これをM4と銘打たれたパフォーマンスクーペの2代目とみるか、もっと歴史的な意義のあるモデルの実質的な6代目とみるかはともかく、世界中のエンスージアストや走り志向のドライバーが、BMWの新型M4コンペティションを待ち望んでいたことだけは間違いないだろう。
形式的にみれば、M4は1986年にホモロゲーションスペシャルとして誕生した初代M3のレガシーを継承するものだ。また、最近のBMWの多くがそうであるように、スタイリングは賛否分かれるところだが、語るべきことはそれ以外にも多くある。
このクラスのドライバーズカーが、称賛を集めたかつてのM3が数十年にわたりそうだったように、高回転型の自然吸気エンジンを積んでいた時代は終わった。しかし、しかし、今のところMモデルの電動化は果たされていない。では、M4コンペティションはどのようなメカニズム構成なのか。
それでも、なにも変化がないというわけではない。G82こと新型M4は、新たなエンジンを積んでいる。自然吸気V8というわけにはいかなかったが、2015年に登場したハードコアなM4 GTSを上回るパワーと、より扱いやすいトルクを発揮する。
ドライブトレインも、以前のコンパクトなMモデルとは異なっており、後輪駆動のMT仕様も用意されるが、これまで慣れ親しんだ技術的なテンプレートとは大きな違いがある。8速ギアボックスはトルコンATで、xドライブこと4WDも年内にはラインナップに加わる。
FRでも4WDでも、0−100km/h加速タイムは4秒を切る。しかし、古典的なMモデルにあったような走りの魅力は、果たしてそこにあるのだろうか。それを確かめていきたい。
意匠と技術 ★★★★★★☆☆☆☆
大型のグリルや煩雑なライン、ひょろっとしたスタンスと不格好なリアビューなど、テスター陣からはそのルックスの欠点を指摘する声が次々と上がった。
前歯が突き出したビーバーのような顔立ちに受けるショックは、時間が経つにつれて和らいでくるが、好きになるかというと話は別だ。この大胆で取り繕おうとしないデザインが好きだというひともいるだろうが、決して万人受けするものではない。
それに比べれば、メカニカルなスペックはずっと受け入れやすい。S58型3.0L直列6気筒ツインターボは新開発で、なかなか強力なパワーユニットだ。最高出力は510ps/5600~7200rpm、最大トルクは66.2kg-m/2750~5500rpm。ZF製の8速ATと電子制御LSDを介し、テスト車は後輪のみを駆動する。このほか、4WDやMTも用意されている。
サスペンションはMディヴィジョンのスエシャルメイドとなり、フロントはアルミ部材を用いたダブルウィッシュボーン、リアはマルチリンクで、前後ともアダプティブダンパーを装着する。スタンダードな4シリーズをベースに、シャシーの剛性を高めて強化。ボディは、カーボンルーフなどで軽量化し、重心低下も図られている。
こうした改良は歓迎すべきことだといえる。というのも、新型M4は、すでに大柄だった先代よりもサイズが拡大されているからだ。全長は123mm延び、全幅は17mm広い。われわれの実測値では、車両重量は190kg増加で、これは無視できない数字だ。前後配分は、先代では53:47だったが、新型は前後等分となった。
内装 ★★★★★★★★☆☆
M4にオプション設定されるMカーボンバケットシートは、愉快で笑みがこぼれるものの、それでもテスター陣からは不満の声が上がった。単品で3400ポンド(約47.6万円)で、テスト車では6750ポンド(約94.5万円)のパッケージオプションに含まれていたそれは、ポジションが決まれば驚異的にすばらしいものだ。
しかし、太ももの位置をしっかり決めることを意図しただろう座面先端の盛り上がりは、見た目がバカげている。カーボンのファウルカップにみえないこともない。しかも、ロードカーでは飾り物にしかならず、むしろ邪魔になってしまいかねない。レースカーならば、ホールド性を少しでも高める工夫は重要だろうが、街乗りでは不要だろう。
また、このシートだけではなく、内装にはカーボン素材が多用されているが、その効果にも疑問を覚えずにはいられない。そう、新型M4は満タンで実測1800kgと、軽いクルマではないのだ。Mカーボンシートは標準装備のシートより2脚で9.6kg軽量化できるとはいえ、電動調整機構とヒーターが備わっているのだ。本気の軽量化アイテムとはいいがたい。
そうはいっても、それ以外の場所に関しては、最新のラグジュアリーなキャビンとしてエクセレントな出来栄えだ。その色合いとメタリックのデコレーションは、見た目も手触りも高級感があり高価そうだ。また、全体的に手応えの明らかなソリッドさが行き渡っている。同じクラスのアルファ・ロメオやメルセデスAMG、アウディと比べても、高いクルマ感は一番だ。
広さも満足できる。たしかに後席は、身体を折り曲げて乗り込まなければならないが、一度収まってしまえば、背が高い乗員でもちょっと乗るだけなら問題ないスペースがある。870mmのヘッドルームはともかく、730mmのレッグルームはフォルクスワーゲン・ゴルフすら凌ぐのだ。
結局のところ、天井の低さは気になってしまう。それでも、中肉中背の大人がそれほど長くない時間を過ごすなら、後席に2名乗っても十分に快適なはずだ。
走り ★★★★★★★★★☆
客観的にいえば、このクルマの直6ツインターボは、ほぼ非の打ちどころがない。レスポンスはよく、必要とあればまったく無関心で不器用なドライバーでも運転できるくらい行儀よくしつけられている。
Mモデルのエンジンに期待されるような、もっとえもいわれぬ資質に欠けると思うひともいるかもしれない。それでも、BMWが主張するような速さをもたらすだけのものはある。
BMW Mの電子制御ローンチコントロールは、これまで通り使い方がやや直感的でないところもある。作動させるには、まず電子制御トラクションコントロールを完全にオフにする必要がある。それから、トランスミッションをマニュアルモードに入れるのだが、これは奇妙な話だ。クルマ自身がトラクションを電子制御し、加速に合わせて最適なシフトポイントを選ぶのだから。
しかし、いったんセットのしかたに慣れてさえしまえば、システム自体は確実に作動してくれる。2速で発進するが、それでも掛け値なしに速い。オプションのカップだったり、xドライブこと4WD仕様だったりすれば、おそらくはさらに速かったはずだ。
テスト車は、標準装備のミシュラン・パイロットスポーツ4Sを履いていたが、それでも0−97km/hは最速3.8秒で、往復計測の平均でも3.9秒をマーク。ゼロヨンは12.1秒で、これはV8を積むM5を3年前にテストしたときのタイムから1秒と遅れていない。
だから、これは今の基準に照らしても非常に速いクルマであることを疑う余地はない。M印の直6エンジンにとっては常に、アウトプットのデリバリーのリニアさは、KOパンチのような絶対値の強力さよりも重要な資質だが、このM4はまさにそのスペシャリストだ。66.2kg-mのトルクは、先代M4のGTSやCSを10%上回るだけでなく、1000rpm以上低い回転数からピークに達するのである。
S58ユニットは超ハイレスポンスに感じられ、しかも一貫して力強い。中回転域でのドッカンターボ感も、その上でやせ細る感じもなく、ひたすらスムースで、ペダル操作に対してうれしいくらいキビキビしている。そして、その勢いが、エンジン回転数にはほとんど左右されない。
回りっぷりも、7000rpmを超えるまで淀みない。サウンドには、往年のMエンジンのような魅力こそないものの、少なくともわれわれが耳にした限りでは、過度に人工音を添加した感じでもない。おそらく、もっと生のままの音にできたはずだが、それでも聞いていて楽しいものになっている。
8速のトルクコンバーター式ATは、おそらくエンジンに比べて、より批判を受けやすいだろう。原則的に、DCTのほうがシフトチェンジはやや速く、パドル操作にも積極的に反応するうえに、変速が多少は明確で、より高回転でもシフトダウンしやすいからだ。とはいえ、一般道でもサーキットでも、不足を感じることはめったになかった。
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
インフォテインメント
M4コンペティションのインフォテインメントのスペックは、かなり充実している。10.25インチのタッチ式画面とOS7.0を組み合わせたライブコクピットプロフェッショナルは、グラフィックの洗練度や使いやすさ、感動を覚えるようなヴィジュアルで、クラス最高レベルにある。
ナビゲーションやデジタルラジオ、ワイアレス接続対応のApple CarPlay、さまざまなコネクテッドサービスはすべて標準搭載。現在手に入るものとしては、ベストといえるもののひとつに数えられる。
ところが、12.3インチのデジタルコクピットこと計器盤の奇妙な点は、今回も気になってしまった。六角形のメーターに、求められる読み取りやすさが欠けている。また、競合するアウディやメルセデスのシステムに比べ、設定変更の幅が足りない。
ハーマンカードンのサラウンドサウンドシステムは標準装備だが、やや迫力に欠ける。音質は十分にクリアだがパンチがなく、キャビンに入り込むロードノイズを圧倒するのが難しい。
燈火類
1500ポンド(約21万円)のヴィジビリティパックを選ぶと、標準装備のLEDヘッドライトがBMWレーザーライトに変更される。照射範囲はおおむねみごとといえるもので、自動減光・防眩も有効に働く。ただし、ずば抜けて明るいわけではない。
ステアリングとペダル
ブレーキペダルはかなり右側へオフセットし、座面中央には脚の動きを制限する突起があるので、左足ブレーキはほぼ不可能。それを除けば、ドライビングポジションはこの上なくよくできている。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★★
うれしいお知らせ。M4の急激な成長は、いい感じのB級道路を真のエンターテナーのように走り抜ける能力を、みじんも損ねていなかった。
M4コンペティションのシャシーは、世界でも屈指の出来栄えだ。ターンインの精確さ、コーナリング中の豊かなグリップとスタビリティはずば抜けている。また、タイヤの限界を超えたホイールスピンを起こした際にどうなるか、それを試した場合のスロットルでのアジャスト性も抜群だ。
いつもながらリムの太いステアリングホイールは、やはりちょっとばかりゴツい手触りだ。路面状況をいつでも明確に伝えてくるかといえば、ちょっと物足りない。それでもなお、フロントタイヤにかかる横方向の荷重を常に伝え、鋭く機敏なハンドリング性能への強い信頼を抱かせてくれる。
ロックトウロック2.2回転とかなりクイックなステアリングギア比は、入力に対するエネルギッシュな反応の源だ。しかし、鼻先の向きを変えるアジリティそのものは、冴えわたるコントロール性と優れたスタビリティに支えられている。
目指したポイントへ正確に鋭く舵を切り、下手な仕掛けや過剰な動きはなく、ステアリングの手応えは直感的かつ自然に増していき、フロントタイヤのグリップ状況をハッキリと教えてくれる。
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオのほうがコーナリングはシャープかもしれない。それでも、M4には、クルマとの相互作用やフィードバック、一体感やポジティブさが、公道での高い速度域やサーキットのスピードレンジで十分すぎるほどに感じられる。
ボディ挙動のコントロールもまた、同じように精確だ。左右への荷重移動は感じ取れるが、車体そのものはシャシーの負荷が高まってもフラットさを保つ。ステアリング入力は、エネルギーの損失を最小限に横方向の荷重へと変換される。
剛結されたリアのサブフレームが、この不自然なほど引き締まったボディコントロールと安定感に寄与しているのは疑うまでもない。これにバケットシートの高いホールド性が相まって、後輪と路面との間に起こっていることを、ドライバーは腰で感じ取れるのだ。
横グリップが限界に近づいていることを、手に取るように感じ取ることができる。先代のF82型M4には、これが足りなかった。そうはいっても、新型M4がソフトで限界の低いクルマになったわけではない。反対に、クリアさでも、常に運動性のバランスや精密さが感じられるという点でも、すぐに思い浮かぶような競合モデルを上回っている。
快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
乗降性は、思ったほど楽なものではない。まず、長いドアを開くためのスペースが周囲に必要で、バケットシートのサイドサポートをまたぎ越えることも必要になる。ただし、乗り込んでさえしまえばこの上なくすばらしいクルマだ。
着座位置は低く、ステアリングホイールはドライバーの真正面にあり、重要な操作系はすべて手の届きやすいところに配置されている。シートは硬いが、優しく心地よく身体をホールドしてくれる。価格の高さに目をつぶりたくなるほどよくできている。
当然というべきか、乗り心地は硬く、かなり舗装の悪い道を走ると破綻しそうになるところもある。しかし、アダプティブダンパーをコンフォートモードにセットすると、スムースで速度域の高い道でなら長距離移動も十分なほどしなやかになる。さすがに、最高にリラックスできるというまではいかないが。
そうはいっても、スポーツモードで低速走行すると、尖った突き上げにさんざん苛まれることになる。その上にはスポーツ+モードが用意されているが、これを使うのはサーキットだけに限定するのが得策だ。
ペースを上げると、キャビンはややノイジーだ。フロントが19インチ、リアが20インチのホイールとタイヤが引き起こすロードノイズには無視できないものがある。113km/hでの室内騒音は73dBで、2019年に計測したメルセデスAMG C 63 Sクーペを3dB上回る。ただし、長距離移動をあきらめたくなるほどひどくはないと、テスターのほとんどが口々に語っていた。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
英国BMWは、M3もM4もコンペティション仕様のみを導入し、それより出力が低いの標準仕様は販売していない。それは同時に、MT車を購入できないことも意味する。残念な話だ。
また、価格面でも、もっとも安価な仕様で7万5000ポンド(約1050万円)近くなってしまう。2004年モデルのE46型M3クーペが4万2200ポンド(約591万円)だったことを考えると高額に思えるが、当時の貨幣価値で考えれば7万ポンド(約980万円)程度に相当し、為替レートを考慮しても850万円近いことになるので、妥当な値付けということもできる。
ヘッドアップディスプレイとハーマンカードン製プレミアムオーディオも標準装備。ドライビングアシスタントことアクティブセーフティ技術も一式揃っている。Mモデルにそれを望むかはともかく、オプションを追加すれば、ハンズオフ運転も可能だ。
さらに、カーボンセラミックブレーキやLEDレーザーライト・ヘッドライト、立派なバケットシートを含むMカーボンパックといった、高額オプションが用意されている。フルオプションにするなら、アルティメットパックという選択肢もある。その場合、1万1000ポンド(約154万円)の追い金が必要だ。
スペック
レイアウト
新型M4の基本的なメカニカルレイアウトは、先代のそれと大きくは変わらない。直列6気筒のS58型はフロントに縦置きされ、新型の8速ATとeLSDを介して後輪を駆動する。
MTが設定されるマーケットもあり、英国では今夏に4WDが追加される。サスペンションは前がダブルウィッシュボーン、後がマルチリンクで、アダプティブダンパーを装備する。
エンジン
駆動方式:フロント縦置き後輪駆動
形式:直列6気筒2993ccツインターボ、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ84.0×90.0mm
圧縮比:9.3:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:510ps/5600-7200rpm
最大トルク:66.2kg-m/2750-5500rpm
エンジン許容回転数:7100rpm
馬力荷重比:296ps/t
トルク荷重比:38.4kg-m/t
エンジン比出力:170ps/L
ボディ/シャシー
全長:4794mm
ホイールベース:2857mm
オーバーハング(前):860mm
オーバーハング(後):1077mm
全幅(ミラー含む):2085mm
全幅(両ドア開き):4140mm
全高:1393mm
全高:(トランクリッド開き):1630mm
足元長さ(前席):最大1160mm
足元長さ(後席):730mm
座面~天井(前席):最大990mm
座面~天井(後席):870mm
積載容量:440L
構造:スティールモノコック
車両重量:1725kg(公称値)/1800kg(実測値)
抗力係数:0.34
ホイール前/後:9.5Jx19/10.5Jx20
タイヤ前/後:275/35 ZR19 100Y/285/40 ZR20 99Y
ミシュラン・パイロットスポーツ4S
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)
変速機
形式:8速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.00/8.9
2速:3.20/13.7
3速:2.14/20.6
4速:1.72/25.6
5速:1.31/33.5
6速:1.00/43.9
7速:0.82/53.4
8速:0.64/68.7
最終減速比:3.15:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:7.2km/L
ツーリング:11.6km/L
動力性能計測時:2.9km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):5.5~5.6km/L
中速(郊外):10.4~10.5km/L
高速(高速道路):12.0~12.2km/L
超高速:11.2~11.4km/L
混合:9.9~10.0km/L
燃料タンク容量:59L
現実的な航続距離:426km
CO2排出量:231g/km
サスペンション
前:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、アダプティブダンパー
後:マルチリンク/コイルスプリング、アダプティブダンパー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.2回転
最小回転直径:12.2m
ブレーキ
前:−mm通気冷却式ディスク
後:−mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電動、センターコンソールにスイッチ設置
静粛性
アイドリング:56dB
全開時(4速):88dB
48km/h走行時:66dB
80km/h走行時:68dB
113km/h走行時:73dB
安全装備
ABS/DSC/ASC/MDM/CBC/PDC
Euro N CAP:5つ星(320d・左ハンドル)
乗員保護性能:成人97%/子供87%
交通弱者保護性能:87%
安全補助装置性能:76%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温22℃
0-30マイル/時(48km/h):1.9秒
0-40(64):2.5秒
0-50(80):3.1秒
0-60(97):3.9秒
0-70(113):4.8秒
0-80(129):5.8秒
0-90(145):7.0秒
0-100(161):8.4秒
0-110(177):9.9秒
0-120(193):11.7秒
0-130(209):13.8秒
0-140(225):16.6秒
0-150(241):19.7秒
0-402m発進加速:12.1秒(到達速度:196.7km/h)
0-1000m発進加速:21.3秒(到達速度:247.8km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
メルセデスAMG C63 S クーペ(2019年)
テスト条件:湿潤路面/気温14℃
0-30マイル/時(48km/h):2.1秒
0-40(64):2.8秒
0-50(80):3.4秒
0-60(97):4.3秒
0-70(113):5.3秒
0-80(129):6.5秒
0-90(145):7.8秒
0-100(161):9.2秒
0-110(177):11.1秒
0-120(193):13.0秒
0-130(209):15.2秒
0-140(225):17.7秒
0-150(241):21.6秒
0-402m発進加速:12.6秒(到達速度:189.9km/h)
0-1000m発進加速:22.3秒(到達速度:245.1km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):1.5秒(2速)/2.4秒(3速)/3.4秒(4速)
30-50(48-80):1.3秒(2速)/1.8秒(3速)/2.4秒(4速)/3.9秒(5速)/6.7秒(6速)
40-60(64-97):1.7秒(3速)/2.0秒(4速)/3.0秒(5速)/6.1秒(6速)/8.6秒(7速)
50-70(80-113):1.7秒(3速)/2.0秒(4速)/2.6秒(5速)/5.4秒(6速)/8.0秒(7速)/13.3秒(8速)
60-80(97-129):1.9秒(3速)/2.1秒(4速)/2.7秒(5速)/4.2秒(6速)/7.4秒(7速)/13.3秒(8速)
70-90(113-145):2.2秒(4速)/2.7秒(5速)/3.7秒(6速)/5.9秒(7速)/13.3秒(8速)
80-100(129-161):2.5秒(4速)/2.8秒(5速)/3.8秒(6速)/5.0秒(7速)/12.1秒(8速)
90-110(145-177):3.0秒(5速)/3.9秒(6速)/5.2秒(7速)/9.6秒(8速)
100-120(161-193):3.3秒(5速)/4.2秒(6速)/5.7秒(7速)
120-140(193-225):4.9秒(6速)/6.7秒(7速)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温22℃
30-0マイル/時(48km/h):7.7m
50-0マイル/時(64km/h):21.1m
70-0マイル/時(80km/h):41.4m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.52秒
ライバルの制動距離メルセデスAMG C63 S クーペ(2019年)
テスト条件:湿潤路面/気温14℃
30-0マイル/時(48km/h):8.3m
50-0マイル/時(64km/h):23.2m
70-0マイル/時(80km/h):45.2m
各ギアの最高速
1速:57.9km/h(7100rpm)
2速:90.1km/h(7100rpm)
3速:132.0km/h(7100rpm)
4速:177.0km/h(7100rpm)
5速:233.4km/h(7100rpm)
6速:249.4km/h(5673rpm)
7速:249.4km/h(4669rpm)
8速(公称値):250.0km/h(3631rpm)
8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1640rpm/1874rpm
結論 ★★★★★★★★☆☆
われわれの評価は、このM4コンペティションの顔を見ても、その背後にあるものに関心を持ち続けられるかどうかにかかっている。ただし、もしこのルックスが許容できなかったとしても、いかにバーサタイルで完璧なパフォーマンスカーであるかは認めるべきだ。
シャシーからパワートレイン、インテリアに至るまで、このM4は客観的に見て、明らかに先代モデルやライバルたちに少なからぬ差をつけている。
際立ったハンドリングバランスが実感でき、優れた精密さ、卓越したコントロール性を備えたクルマだ。もちろん、Mディヴィジョンのトレードマークである、アクスルやドライブライン、そしてエンジンから、操作系を通して伝わってくるポジティブさを持っているのはいうまでもない。
M4コンペティションは、運転の許容性も実用性もこれまでになかったほどだ。ランニングギアの設定をステアリングホイールに設置されたショートカットスイッチで呼び出せるというのは、最新のパフォーマンスカーを見回しても本当にレアで、複雑な設定作業から解放してくれる。
最新ドライバーズカーの多くがそうであるように、このM4も生々しいワイルドさは足りない。それでも、万能性とトップレベルの熱中度は、このクルマを特別なものにしている。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダースこれまで、これほどデザインに関心を持ったことはなかった。しかし、これほどデザインが誤解を招くことを証明しているクルマはない。その走りは心から好きになれたが、できるだけ外観には目を向けないようにした。そんなクルマに乗り続けるのは難しいかもしれない。
サイモン・デイヴィス標準仕様とカーボンバケットとの中間に位置するようなシートを、BMWには用意してもらいたい。今回のバケットシートのサポート性はすばらしいのだが、座面の中央にある奇妙な突起にはすぐにうんざりさせられてしまう。
オプション追加のアドバイス
アルティメットパックを選べばリセールで有利になるだろうが、おそらく不要なアイテムも数多く装着することになる。カラフルなレザーのコンビネーション選びでは、調子に乗りすぎないように。カーボンのバケットシートとカーボンセラミックブレーキ、レーザーライト・ヘッドライトは付けておきたい。
改善してほしいポイント
・グリルはなんとかしてもらいたい。もう少しエレガントなデザインにしても、冷却の問題はクリアできるはずだ。
・コンペティション仕様にもMTを設定してもらいたい。
・インテリアのマテリアルとフィニッシュに、なにかしらの目新しさがほしい。カーボンが好きというひとばかりではないし、使いすぎると飽きがくる。
Posted at 2021/05/04 00:20:55 | |
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BMW | 日記
2021年04月14日
BMW 2.0L 4気筒ターボエンジンの50年とレースエンジンのリーンバーン
この記事は2020年5月に有料配信したメールマガジンを無料公開したものです。
BMWは第2次世界大戦後、操業を再開したが、すぐに経営危機に陥った。ダイムラー・ベンツ社に吸収される寸前にまで至ったが、富豪のクヴァント家の出資により、かろうじて存続することができた歴史がある。そして、自動車メーカーとしてのBMWブランドが脚光を浴びたのは1962年に発売した「ノイエクラッセ(ニュークラスの意味)」、すなわち1600シリーズであり、予想以上のヒット作を生み出したのだ。
世界初のターボ搭載車「2002ターボ」
ノイエクラッセは、ジョヴァンニ・ミケロッティがデザインを担当し、新開発のSOHC4気筒エンジンに、最新の4輪独立サスペンションを備えており、瞬く間に人気を博した。そのため、後に1600、1800、2000シリーズへと発展した。さらに4ドアセダン・シリーズの派生モデルとして、よりスポーツ性を高めた2ドアの02シリーズも追加され、スポーツ・セダンのイメージを築き上げた。これは後に「3」シリーズへと発展していく。
このノイエクラッセのシリーズの中で異彩を放ったのが、1973年秋に発売されたBMW 2002ターボだ。2ドア・セダンのボディに排気量1990cc、ボア×ストローク89.0×80.0mm、直列4気筒SOHCのエンジンは、圧縮比を6.9と低められ、KKK製ツインエントリー・ターボと機械式のクーゲルフィッシャーの燃料噴射を組みわせ、乗用車用として世界初のターボ車としてデビューする。
パワーは170psを発生し、飛び抜けた動力性能を発揮したが発売のタイミングが悪く、第1次オイルショックの時期であり、高速走行時の燃費の悪さに加え、フロントスポイラーに逆転文字で貼られた「2002ターボ」のロゴが威圧的だとして批判を浴びた。そのためもあって、わずか1672台の生産のみで終わっている。
だが、ポルシェ社よりも先にターボ・エンジンを市販化したことは画期的だったと言える。ポルシェ930ターボの発売は1975年、日本車初のL20ET型直列6気筒エンジンを搭載したセドリック・ターボの発売は1979年であったのだ。
M121型からM12/13型まで
BMWはノイエクラッセ・シリーズで4気筒SOHC 2バルブのM型シリーズをラインアップしてきたが、最初のM121型ターボエンジンは、1969年にヨーロッパ・ツーリングカー選手権に参戦するBMW2002TI用として投入されている。このM121型エンジンがBMWにおけるモータースポーツ用のターボエンジンの原点である。
このエンジンはSOHC2バルブで、ターボエンジンとはいえ、インタークーラーは装備していなかった。
その後、M型エンジンをベースにレース用に設計されたギヤ駆動式DOHC4バルブのシリンダーヘッドを組み合わせ、M12型シリーズを開発する。このM12型エンジンは世界各地のツーリングカーレースからF2までは幅広く使用され、日本でもM12/7型はF2レースや富士グランチャンピオン・シリーズで無敵を誇った傑作エンジンとなっている。
1980年には、排気量を1.5Lに縮小させたM12/13型エンジンを開発し、ブラバムBMWに搭載してF-1グランプリにも参戦している。当初は2.9barの過給圧で650ps、その後は予選用の無制限過給により1400psまでに達している。ただし、このような超高過給圧の予選スペックではしばしばエンジンが粉々に壊れることもあった。
F-1以後
BMWターボエンジンはF1グランプリ撤退後、新たにP型シリーズとして復活している。ミニ・カントリーマンWRC仕様に搭載された横置きレイアウトのP14型1.6Lエンジンは、市販のミニ・クーパーS用のエンジンをベースに開発されたものだ。
またFIA世界ツーリングカー選手権(FIA WTCC)のBMW320TCに搭載されている1.6Lターボエンジンは縦置きタイプのP13型だ。わずか1.6Lの排気量から320psの出力を発生させている。
このP13型、P14型エンジンは、シリンダーブロック、シリンダーヘッドなどは市販状態からほとんど改造されておらず、市販エンジンの頑丈さがわかる。
DTMエンジンの変遷
ドイツの自動車メーカーがレース専用GTカーを使って戦うドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)シリーズは、車両に搭載されるエンジンの車両規則変更により、変遷している。第1期と呼ばれる最も人気が高かった時期には、当初は市販エンジンがベースだったが、途中からエンジンは排気量2.5Lの規則以外は無制限となり、エンジン、シャシー、電子制御は自動車メーカーの威信にかけて開発されるようになっていった。
その結果、F-1マシンを遥かに上回るハイテクのレース車両となり、レースは大いに盛り上がった。だが、あまりに開発コストが高騰した結果、ワークス・チームの撤退が相次ぎ、1996年にこのシリーズは終了した。
DTMシリーズは3年間休止し、2000年から第2期DTMが復活した。第1期でのコスト競争を避けるために、イコールコンディション化が追求され、エンジンは全車両に共通のレース専用設計の自然吸気4.0L・V型8気筒エンジンが搭載されている。
2012年からは車両も、全参加車輛共通のカーボンモノコックと鋼管フレームで構成した共通シャシーを採用している。
ニッポン・レース・エンジンの登場
しかし、クラシックな自然吸気の大排気量のV型8気筒エンジンは、高効率エンジンを追求する現在にはマッチしないと考えられるようになった。また同時にDTMと日本のスーパーGTの車両規則の統合化、Class1が進んだことで、日本のスーパーGTで2014年から採用されているNREエンジンのコンセプトがDTMに導入されることになった。
トヨタ、日産、ホンダのレース部門が協議して誕生したNRE(ニッポン・レース・エンジン)は、2.0L4気筒の直噴ターボで、ダウンサイジング・コンセプトで設計され、出力と同時に熱効率の高さを競うのが特長だ。
そのため、従来の出力制限法であるエアリストリクター(吸気制限穴)を使用せず、ガソリンの流量を規制する燃料流量リストリクターを採用しているのが大きな特長だ。現在のF-1や世界耐久選手権のマシンと同様の発想になっている。
ちなみにスーパーGT GT500では7500rpm以上で時間当たり95gの燃料に制限されるようになっている。
P48型エンジンの登場
BMWがDTM用に開発した燃料流量リストリクターに対応するターボエンジンが「P48」型だ。P48型レース専用エンジンは、低重心化と高Gでの潤滑性能を両立させるためにドライサンプ式を採用。カムシャフト駆動はギヤ駆動式で、バルブの作動はバルブリフト量を最大化するためロッカーアーム式が採用されている。
P48型エンジンの排気量は1999ccと発表されているが、ボア径は86mm~90mmと発表されている。最高回転数は9500rpmだ。
直噴システムの燃料圧力は350bar。出力は600ps以上で、しかも耐久距離は6000km以上となっており、年間のレースで1台の車両あたり1.5基のエンジンしか必要ない。レースでの燃料流量リストラクターは95g/時間で、追い越しモード時だけ100g/時間となる。
スターターやオルタネーターなどの補機ユニットは、エンジン後方のトランスミッション上にマウントされている。またスロットルは電子スロットルを装備し、ドライブbyワイヤーとなっている。エンジン単体の重量は85kgと極めて軽量だ。
日本のGT500で使用されているNREエンジンと同様に、この燃料流量規制が行なわれるエンジンは、高出力が追められつつも、高回転では吸気量だけが増大するため、空燃比が薄くなるためリーンバーン(希薄燃焼)となる。
かつてのレース用エンジンが出力空燃比13を追求したのに対し、新しいレース・エンジンは理想空燃比より大幅に薄い空燃比で、最大限のパワーを生み出す必要があるのだ。
各メーカーともに、こうしたリーンバーン技術の詳細は未発表であるが、同じくリーンバーン域を使用するF-1や世界耐久選手権マシンと同様に、副燃焼室で着火し、そのときに発生する高速のジェット流により希薄混合気での急速燃焼を実現しているものと推測される。
Posted at 2021/04/14 18:16:51 | |
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BMW | 日記
2021年04月14日
635PSの現行“M”史上最高にパワフルな『BMW M5 CS』がオンライン限定5台で登場
BMWの高性能モデルを手掛けるBMW M社が関わった現行モデルのラインアップにおいて、もっともパワフルなエンジンを搭載し、さらなる軽量化を追求したMハイパフォーマンスモデル『BMW M5 CS(エムファイブ・シーエス)』が登場。2021年4月12日午前11時より、BMWオンライン・ストアにて、わずか5台限定の希少モデルとして発売が開始される。
通常ラインにスポーティなエッセンスを加える“M-Sport”に始まり、各シリーズの最上位となる“M550i”などのMパフォーマンス・モデル、そして本家の“M”に加えてサーキット走行を見据えたスパルタン仕様の“Competition(コンペティション)”など多種多様なラインアップを揃える現行“M”に、その頂点と言うべき世界限定1100台の最強モデルが設定された。
現行5シリーズ最速を誇る『BMW M5 Competition』をベースに、4シーターで公道走行可能な認可モデルとして極限の性能を盛り込んだ“CS”専用のチューンとスタイリングを採用する今回の限定車は「BMW Mの歴史上でもっともパワフル」な4.4リッターV型8気筒BMWツインパワー・ターボを搭載する。
そのアウトプットはベースモデルを10PS上回る、635PSを発生。それでいながら最大トルクの750Nmも1300rpmという極低回転域から供給されるなど、モータースポーツに由来する高回転特性を備えつつ、日常ユースでもストレスのないフレキシビリティを発揮する。
そのユニットにドライブロジック付き8速Mステップトロニック・トランスミッションを組み合わせた『BMW M5 CS』は、0-100km/h加速で0.3秒のタイムアップを果たし、わずか3秒フラットの驚異的瞬発力を誇る。
Eセグメントサルーンとして最高峰の俊敏性獲得には約70kgの軽量化も貢献しており、7mmダウンの車高と『BMW M8グランクーペ』用に開発されたショックアブソーバーを装備。このダンパーは高速走行時の乗り心地を高めるとともに、ホイールの荷重変動を抑えて限界域でのハンドリングを向上させている。
■エクステリアやインテリアは大幅に軽量化が図られる
加えてアクティブMディファレンシャルを一括してインテリジェント制御する“M xDriveシステム”が、後輪駆動を重視した基本設定の可変式4輪駆動モード(4WD)から、純粋な後輪駆動設定(FR)へと、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)の介入なしにハンドリング特性を段階的に変更。高性能セダンとして日常使いでの実用性を一切損なうことなく、サーキットでの過酷な走行においても、いっそう正確な応答性が得られている。
またフロントの6ピストン固定キャリパー、リヤにシングルピストンのフローティングキャリパーを持つMカーボンセラミックブレーキは、ベースのBMW M5コンペティションに標準装備のMコンパウンド・ブレーキよりも約23kg軽量とし、バネ下重量と回転質量をさらに削減。制動力、耐フェード性、熱安定性が高く、耐摩耗性能にも優れるなど、高い次元の性能を備える。
その性能を視覚的にアピールするエクステリアは、ゴールド・ブロンズの特別なアクセントやCFRP(炭素繊維強化樹脂)製のボディパネルを採用。ボンネットを筆頭に、フロントスプリッターやドアミラーキャップ、トランクリッド上のスポイラー、およびディフューザーもすべてCFRP製とされ、車両全体の軽量化に貢献している。
同様にインテリアでも前席にCS専用のカーボン製バケットシートを装着するとともに、後席もCS専用の軽量2座独立シートとして大幅な軽量化を実現(乗車定員は4名)。こちらもCS専用のMアルカンタラ・ステアリングにはカーボン製のシフトパドルが装着されるなど、軽さの追求とともによりレーシーな装いとなっている。
販売は前述のとおりBMWオンライン・ストアを通じてのみとなり、全車右ハンドル仕様で日本導入はわずか5台。3年間の主要メインテナンスが無償となるBMWサービス・インクルーシブ・プラスも付帯され、価格は2510万円(税込)となっている。
BMW カスタマー・インタラクション・センター:フリーダイヤル:0120-269-437
BMW インターネット・ウェブサイト:http://www.bmw.co.jp
BMW オンライン・ストア:https://online-store.bmw.co.jp
BMWジャパンがM5の軽量高性能版「M5 CS」を12日午前11時~発売。限定数はわずか5台
ビー・エム・ダブリューは4月9日、「M5 コンペティション」をベースにさらなるパワーアップと軽量化を実施した「M5 CS」を、4月12日午前11時からBMWオンライン・ストア(https://online-store.bmw.co.jp/)において、5台限定で販売すると発表した。
BMW M社が手がけるハイパフォーマンスカーには、サーキット走行を視野に入れたMハイパフォーマンスモデルと、サーキットにおける技術で走行性能を高めたMパフォーマンスモデルが存在するが、M5 CSのベースとなるM5 コンペティションは前者にカテゴライズされる生粋のスポーツセダンだ。
M5 CSでは、そのM5 コンペティションにさらなるチューンを実施。排気量4,394ccのV8ガソリンユニットは最高出力が10PS高められ、最高出力635PS、最大トルク750Nmを発生するに至った。ハイパワーはドライブロジック付き8速Mステップトロニック・トランスミッションを介して路面に伝えられ、0-100km/hをベースモデルより0.3秒短縮の3.0秒で駆け抜ける。
車重も70kg減量(欧州仕様値)し、日本仕様では1,840kgとなる。また、専用のシャシーチューニングや、アクティブMディファレンシャルを統合制御するAWD「M xDrive」により、サーキットでの性能を大幅に引き上げている。このM xDriveは後輪駆動を重視したセッティングとなっており、AWDから純粋なRWDまでハンドリング特性を段階的に変更可能。車高もベースモデルから7mm落とされ、足回りにはフラッグシップ「M8グランクーペ」同様のショックアブソーバーを装備することで、限界域での性能を高めている。ブレーキは軽量な「Mカーボン セラミックブレーキ」が標準となり、ここだけで23kgの重量を削減したという。
エクステリアにはM5 CSだけに許されたゴールドブロンズのアクセントを装着。ボディエレメントには炭素繊維強化樹脂が多数採用され、グリルやフロントフェンダー、そしてドアシルには「M5 CS」のバッジが取り付けられる。また、インテリアも専用のカーボン・バケット・シートやMアルカンタラ・ステアリングホイールなどが奢られたレーシーな空間となっている。
M5 CSの税込価格は2,510万円となり、納車は本年秋頃を予定している。
BMW M史上最強の635psエンジン搭載、『M5 CS』5台限定で日本導入---価格は2510万円
ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン)は、『5シリーズセダン』の高性能モデル『M5』をベースに、BMW Mモデル史上最強エンジンを搭載し、軽量化を追求した『M5 CS』を日本市場に導入。4月12日午前11時より、BMWオンラインストアにて、5台限定で発売する。価格は2510万円。納車は2021年秋頃を予定している。
BMW M5 CSは、ベースモデルとなる『M5コンペティション』にBMW M社によるCS専用チューン&スタイリングを採用した限定1100台の世界限定車。サーキットでライバルを圧倒しながらも、日常使いをも可能としており、4シーター&公道走行可能な認可モデルとしてM5最強のコンペティションモデルとなる。
◆軽量ボディに最高出力635psのV8ツインターボを搭載
M5 CSは、BMW Mのラインアップの中で最もパワフルなエンジンと軽量設計にこだわり、BMW M史上最もパワフルな4.4リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジンを搭載。M5コンペティションを10ps上回る最高出力635psを発生する。ドライブロジック付き8速Mステップトロニックトランスミッションとの組み合わせで、0-100km/h加速は3.0秒。M5コンペティションを0.3秒上回る。
また、M5コンペティションに比べ約70kgの軽量化に成功するとともに、専用のシャシーチューニング、アクティブMディファレンシャルを一括してインテリジェントに制御するM xDriveシステムを採用。後輪駆動を重視した基本設定の可変式4輪駆動モード(4WD)から、純粋な後輪駆動設定(2WD)へと、DSC(ダイナミックスタビリティコントロール)の介入なしにクルマのハンドリング特性の段階的な変更を可能にしている。
M5 CSは、M5コンペティションのシャシーをベースに7mm車高を抑え、『M8グランクーペ』用に開発されたショックアブソーバーを装備。このダンパーは、特に高速道路走行時の乗り心地を高めることに加え、ホイール荷重の変動を抑えて、限界域でのハンドリングを大きく向上させている。
標準装備となるMカーボンセラミックブレーキは、卓越した制動力を発揮する。M5コンペティションに標準装備のMコンパウンドブレーキよりも約23kg軽量で、バネ下重量と回転質量をさらに削減しドライビングダイナミクスとサスペンション快適性を向上。制動力、耐フェード性、熱安定性が高く、耐摩耗性能にも優れている。
◆スポーティ感を演出する内外装
エクステリアでは、キドニーグリルがゴールドブロンズで仕上げられており、グリル内、フロントフェンダーのMギル、ドアシルプレートには照明付きの「M5 CS」バッジを備える。エンジンフードは全体がCFRP製で、エアベントはカーボンファイバー模様仕上げ。フロントエプロンのスプリットル、ドアミラーキャップ、リヤスポイラーおよびリヤディフューザーもCFRP製。これらのパーツは空力的機能に加え、軽量化の実現に寄与している。
インテリアはフロントにCS専用のカーボンバケットシートを装着すると同時に、リヤシートもCS専用の軽量2座独立シートとすることで、大幅な軽量化を実現している。CS専用のMアルカンタラステアリングにはカーボン製のシフトパドルスイッチを装着。ダークカーボンアルミインテリアトリムやドアシルプレートの「CS」ロゴとあいまってドライバーにレーシングフィールドさながらのスポーティ感を演出している。
5台限定「BMW M5 CS」はMモデル最強のエンジン、さらにカーボン製ボンネットフードも採用
2021年4月9日、BMWジャパンは5シリーズのMモデルM5に、最高出力635psを誇るエンジンを搭載する「M5 CS(エムファイブ シーエス)」を発表した。限定5台で4月12日午前11時よりBMWオンライン・ストアで販売が開始される。納車時期は2021年秋の予定となる。
Mモデルラインアップ最高の635ps。0→100km/h加速は3秒
BMW M社が開発するMモデルの中で、サーキット走行を念頭に開発されたMハイパフォーマンスモデル、M5 CS。その魅力は、なんといっても最高出力635psという並外れたパワーだ。M5コンペティション搭載のV8 DOHCツインターボエンジンをベースに最高出力を10psアップされたことで、Mモデルラインアップの中で最高のパワーを誇る。
エンジン同様、ボディやシャシもM5コンペティションをベースとするが、車両重量は約70kg(欧州仕様値)の軽量化を図られて1840kgとなった。もちろん、サーキットでの走行性能アップが目的だ。その結果、ドライブロジック付8速ATやM xDrive(4WD)システム、専用シャシチューニングとで、わずか3秒で0→100km/hに達するハイパフォーマンスを発揮する。この数値はM5コンペティションと比べ0.3秒速いものとなっている。
日常使用での乗り味へのこだわりもみせている。M5コンペティションに比べ7mm低い車高ながら、M8グランクーペ用に開発されたショックアブソーバーを装着し、高速走行時の乗り心地が高められている。もっとも、ホイール荷重の変動を抑えて、限界域でのハンドリングを大きく向上させる役目も担うので、やはりサーキットでのパフォーマンス向上への目線が強いと言えるのかもしれない。
Mモデル最強のマシンの足元に備えられるブレーキは、強力な制動力が自慢のMカーボンセラミックブレーキ。「M」のロゴがフロントの6ピストン固定キャリパーと、リアのシングルピストンフローティング・キャリパーに配され、M5コンペティションに標準装備されるMコンパウンドブレーキよりも合計で約23kg軽量となる。バネ下重量と回転質量が軽減することで、ドライビングダイナミクスとサスペンションの性能が大いに向上するという。
エクステリアは、ゴールドブロンズ仕上げのキドニーグリルが際立つ。グリル内の「M5 CS」バッジや、フロントフェンダーのMギル、ドアシルプレートの照明付き「M5 CS」バッジも特別感を漂わせるアクセントとなっている。4本出しのステンレススチール製テールパイプもしかりだ。
エキゾーストノートの演出も、他のMモデル同様に走り心を高ぶらせてくれる。さまざまなドライブモードにより音色が変化するシステムで、「SPORT+」を選択すれば特にパワフルなサウンドを響かせてくれる。
エンジンフードはCFRP(炭素繊維強化樹脂)製で、エアベントはカーボンファイバー模様で仕上げられている。その他にも、フロントエプロンのスプリッターやドアミラーキャップ、リアスポイラー、リアディフューザーもCFRP製だ。これらはエアロ効果に加え、軽量化も果たしている。
インテリアは、レーシーなムード満載だ。フロントにCS専用のカーボンバケットシート、リアにCS専用の軽量2座独立シートが装着される。これにより、乗車定員は4名仕様となる。CS専用のMアルカンタラステアリングホイールには、カーボン製のシフトパドルスイッチが装着され、ダークカーボンアルミインテリアトリムやドアシルプレートには「CS」ロゴをあしらわれている。
M5 CSの販売は2021年4月12日(月)午前11時より、BMWオンライン・ストアで始まる。販売台数は限定5台で、車両価格は2510万円(税込)。納車は秋ごろが予定されている。
BMW M5 CS 主要諸元
●全長×全幅×全高:5000×1905×1475mm
●ホイールベース:2980mm
●車両重量:1840kg
●エンジン:V8 DOHC ツインターボ
●総排気量:4394cc
●最高出力:467kW(635ps)/6000rpm
●最大トルク:750Nm/1800-5950rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格(税込):2510万円
BMW Mモデルの頂点に立つハイパワーモデル「M5CS」をオンライン限定で5台発売
BMWジャパンは2021年4月9日、MBW M社が開発したMモデル「M5」をベースに、最もパワフルなエンジンを搭載し、さらに軽量化を追求した世界限定1100台の「M5CS」を、4月12日午前11時からBMWオンライン・ストアで、日本市場割当の5台限定で販売を行なうと発表しました。なお納車は秋頃が予定されています。
VIDEO
BMWオンライン・ストア
M5CSは、M5コンペティションがベースモデルで、BMW M社によるレーシングでの興奮を日常に演出する「CS」専用チューン&スタイリングを採用した世界限定1100台の希少な、超ハイパフォーマンスモデルです。
「M5CS」のコンセプトは、サーキットでライバルを圧倒しながらも、日常使いも可能としたモデルとされ、M5CSは4シーター&公道走行可能な認可モデルとしてM5最強のコンペティション・モデルです。
この「M5CS」には、M5コンペティションの最高出力を10ps上回る、635ps/750Nmを発生するBMW Mの歴史の中で最もパワフルな4.4LのV型8気筒BMWツインパワー・ターボ・エンジンが搭載され、モータースポーツに由来する高回転特性を備えています。
ドライブロジック付き8速Mステップトロニック・トランスミッションを装備する「M5 CS」の0-100km/h加速はM5コンペティションよりも0.3秒速い3.0秒という圧倒的な動力性能を備えています。
また「M5CS」は、M5コンペティションより70kg軽量化され、専用のシャシー・チューニング、アクティブMディファレンシャルを一括してインテリジェントに制御するM xDriveシステムを採用。サーキットにおける傑出した性能を発揮することができます。
M xDriveシステムは、後輪駆動を重視した基本設定の可変式4輪駆動モード(4WD)から、純粋な後輪駆動設定(2WD)へと、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)の介入なしにクルマのハンドリング特性の段階的な変更を可能にしています。
これにより、高性能セダンとしての日常での実用性を一切損なうことなく、傑出したハンドリング、運動性能、ドライビングプレジャーを味わうことができます。「M5CS」は、M5コンペティションのシャシーをベースにして作られ、車高は7mm低められ、M8グランクーペ用に開発されたダンパーを装備しています。
このダンパーは、特に高速道路走行時の乗り心地を高めることに加え、ホイール荷重の変動を抑え、限界域でのハンドリングを大きく向上させています。その結果、日常使用でも運転がしやすく、同時にサーキットでの過酷な走行においても正確な応答性が得られます。
ブレーキはMカーボンセラミック・ブレーキを装備し、卓越した制動力を発揮。フロントの6ピストン・キャリパーと、リヤのシングルピストン・フローティング・キャリパーには、Mロゴが刻まれています。
Mカーボンセラミック・ブレーキは、M5コンペティションに標準装備されるMコンパウンド・ブレーキよりも約23kg軽量で、バネ下重量と回転質量をさらに削減し、ドライビング・ダイナミクスとサスペンションによる快適性が向上しています。もちろんこのブレーキは、制動力、耐フェード性、熱安定性が高く、耐摩耗性能にも優れています。
「M5CS」は、ゴールド・ブロンズのアクセントと、カーボン製のボディパーツを装備しています。「M5CS」のキドニーグリルはゴールド・ブロンズで仕上げられており、グリル内の「M5CS」バッジ、フロント・フェンダーのMギル、ドアシル・プレートには照明付きの「M5CS」バッジが備わっています。
「M5CS」のエンジン・フードは、カーボン製で、エア抜きはカーボン・ファイバー模様で仕上げられています。フロント・エプロンのスプリッター、ドアミラーキャップ、トランク・リッド上のリヤ・スポイラー、リヤ・ディフューザーもすべてカーボン製です。
「M5CS」のスポーツエグゾースト・システムの4本のステンレス・スチール製テールパイプの外観はよりアグレッシブなデザインになっています。エキゾーストはMモデルならではの高揚するサウンドを発生させるようになっています。エキゾーストはフラップで制御されるシステムで、エンジン音を増幅し、よりスポーティ感が感じられるように設計され、広い音域で、エモーショナルな力強いサウンドを車外に響かせてます。サウンドは、エンジンドライブモードにより変化し、SPORT+では特にパワフルな音色に変化します。
インテリアはフロントにCS専用のカーボン・バケットシートを備え、リヤシートもCS専用の軽量2座独立シートで、大幅な軽量化を実現。
CS専用のMアルカンタラ・ステアリング・ホィールにはカーボン製のパドル・スイッチが装着され、ダークカーボンのアルミ・インテリア・トリムやドアシル・プレートの「CS」ロゴも含めレーシングカーさながらの雰囲気を作り出しています。
BMW史上最もパワフルな量産モデル「BMW M5 CS」が日本上陸。BMWオンライン・ストアにて5台限定で販売
BMW M5初のCSモデル「BMW M5 CS」が日本デビュー。現行のBMW車で最もパワフルな635psエンジンに、専用サスペンションや軽量化構造、専用デザイン・コンポーネントを採用
BMWジャパンは2021年4月9日、BMW M社が開発するMハイパフォーマンスモデルの「BMW M5 CS」を発表し、2021年4月12日午前11時よりBMWオンライン・ストアにて5台限定(全世界では1100台限定)で販売を行なうとアナウンスした。車両価格は2510万円に設定。ユーザーへの納車は本年秋ごろを予定している。
BMW M5初のCS(コンペティション・スポーツ)モデルとなるBMW M5 CSは、チューンアップした4.4リットルV8ツインターボエンジンに、専用サスペンションや軽量化構造、専用デザイン・コンポーネントを採用したことが特徴である。
まずパワーユニットには、モータースポーツに由来する高回転特性を備えた4394cc・V型8気筒DOHC・Mツインパワーターボエンジンを搭載。最高出力は現行のBMW車で最もパワフルで、かつM5コンペティション比で+10psの635ps/6000rpm、最大トルクは750Nm/1800~5950rpmを発生する。BMW Mならではの感情に訴えるサウンドトラックを発生するスポーツエグゾーストシステムも装備した。組み合わせるトランスミッションには、ドライブロジック付8速Mステップトロニックを採用。0→100km/h加速はM5コンペティションより0.3秒速い3.0秒を達成した。
シャシー面では、M8グランクーペ用に開発したショックアブソーバーをベースに独自のセッティングを施し、合わせてM5コンペティション比で7mm低く設定した専用サスペンションを装備。そのうえで、アクティブMディファレンシャルを一括してインテリジェントに制御するM xDriveシステムを採用して、サーキットにおける卓越したトラクション性能とハンドリングを実現する。また、制動機構にはM5コンペティションに組み込むMコンパウンドブレーキ比で約23kg軽量化したMカーボンセラミックブレーキを標準で装備。フロン トには6ピストン固定キャリパーを、リアにはシングルピストン・フローティングキャリパーを組み合わせ、高い制動力と耐フェード性を確保した。
エクステリアについては、専用カーボンファイバー(CFRP)エレメント (エンジンフード[エアインテーク付]/フロントスプリッター/ミラーキャップ/リアスポイラー/リアディフューザー)を採用するなどしてM5コンペティション比-約70kgの軽量化を果たしたうえで、空力性能も向上。また、専用ゴールドブロンズ・エレメント (キドニーグリル/サイドギル/前後モデルバッジ)や専用20インチ Mライトアロイホイール・Yスポークスタイリング789M(ゴールドブロンズ)、専用BMWレーザーライト (ブラックアウトベゼル&イエローアイコンライト付)、専用4本出しステンレススチール製テールパイプなどを特別装備して、アグレッシブかつラグジュアリーな独創スタイリングを具現化した。
内包するインテリアは、専用ダークカーボン・アルミ・インテリアトリム (CSロゴ付)やMドライバーズパッケージ、専用Mアルカンタラ巻きステアリング&カーボンシフトパドル、専用ドアシルプレート (M5 CSロゴ付)などを特別装備。また、前席には専用カーボンバケットシートを、後席には専用軽量2座独立シート(乗車定員は4名)を装着した。
BMW M史上最強の635馬力エンジン搭載! BMW「M5 CS」5台限定発売
■ベースの「M5コンペティション」に比べ約70kgの軽量化を実現
ビー・エム・ダブリューは2021年4月9日、MハイパフォーマンスモデルであるBMW「M5」をベースに、現行モデルラインナップにおいてもっともパワフルなエンジンを搭載し、軽量化を追求した「M5 CS」を発表した。同年4月12日よりBMWオンラインストアにおいて、5台限定で販売をおこない、納車は2021年秋ごろを予定している。
M5 CSは、ベースモデルとなる「M5 Competition(M5コンペティション)」に、BMW M社によるCS専用チューン&スタイリングを採用した、世界限定1100台のモデルだ。
サーキットでライバルを圧倒しながらも日常使いをも可能にしていて、4シーター&公道走行可能な認可モデルとしてM5最強のコンペティションモデルとなる。
車両価格は2510万円(消費税込み)。すべて右ハンドル/8速AT仕様だ。
M5 CSには、M5コンペティションの最高出力を10ps上回る、635psを発生する4.4リッターV型8気筒ツインパワーターボエンジンを搭載。これはMモデルの歴史のなかで、もっともパワフルなエンジンになる。
ドライブロジック付き8速Mステップトロニック・トランスミッション(8速AT)と組み合わされ、駆動方式は4WD。0-100km/h加速は、ベースのM5コンペティションよりも0.3秒速い3.0秒というパフォーマンスを誇る。
またM5 CSは、ベースのM5コンペティションよりも約70kgの軽量化を実現。専用のシャシチューニング、アクティブMディファレンシャルを一括して統合制御する「M xDrive」システムの採用により、サーキットにおいて並外れた性能を実現するという。
M xDriveは、後輪駆動を重視した基本設定の可変式4輪駆動モード(4WD)から、純粋な後輪駆動設定(FR)へと、DSCの介入なしにクルマのハンドリング特性の段階的な変更を可能にしている。これにより、日常での実用性を損なうことなく、ハンドリングやダイナミクス、ドライビングプレジャーがドライバーに提供されるという。
M5 CSは、M5コンペティションのシャシをベースに作られ、7mm低い車高と。M8グランクーペ用に開発されたショックアブソーバーを装備する。このダンパーはとくに高速道路走行時の乗り心地を高めることに加え、ホイール荷重の変動を抑えて、限界域でのハンドリングを向上させている。結果、日常仕様での運転のしやすさが維持されたまま、サーキットでの過酷な走行においても正確な応答性が得られている。
またMカーボンセラミックブレーキを標準装備。これはM5コンペティションに標準装備のMコンパウンドブレーキよりも約23kg軽量で、バネ下重量と回転質量をさらに削減、ドライビングダイナミクスとサスペンションの快適性が向上している。
エクステリアでは、ゴールド・ブロンズのアクセントとCFRP(炭素繊維強化樹脂)製のボディエレメントにより、M5コンペティションとは異なる雰囲気を醸し出している。
キドニーグリルはゴールド・ブロンズに仕上げられ、グリル内には「M5 CS」バッジ、ドアシルプレートには照明付きの「M5 CS」バッジが備わっている。
またエンジンフードは全体がCFRP製で、エアベントはカーボンファイバー模様で仕上げられる。さらにフロントエプロンのスプリッターやドアミラーキャップ、リアスポイラーおよびリアディフューザーもCFRP製で、軽量化を実現することにも役立っている。
インテリアはフロントにCS専用のカーボンバケットシートを装着すると同時に、リアシートもCS専用の軽量2座独立シートを採用することで、大幅な軽量化を実現している。乗車定員は4名となる。
M5 CSは全長5000mm×全幅1905mm×全高1475mm、ホイールベースは2980mmで、車両重量は1840kg。搭載エンジンは4.4リッターのV型8気筒ツインターボで、最高出力は635ps/6000rpm、最大トルクは750Nm/1800-5950rpmだ。
【詳細/価格は?】BMW M5 CS発売 量産Mモデル史上最もパワフル 限定5台
Mモデル史上最もパワフル
BMWは、Mモデル史上最もパワフルな量産モデルのBMW M5 CSを日本国内限定5台で発売した。
モデル名のCSとはコンペティション・スポーツを意味しており、その名のとおりBMW M5 CSではあらゆる細部に至るまで、先進的なテクノロジーとモータースポーツの遺伝子が息づいている。
専用サスペンション、軽量化構造、デザイン・コンポーネントの採用によって極限のパフォーマンスとプレミアム・スポーツを両立させたという。
カーボン製エレメントやゴールド・ブロンズのアクセントといったデザイン・ハイライトが視覚のみならず空気力学的にも、BMW M5 CSの卓越性を強調する。
アクティブMディファレンシャルを備えたインテリジェント四輪駆動システムM xドライブ、ドライブロジック付の8速Mステップトロニック・トランスミッションと、パフォーマンスを最適化するMサスペンション、およびカーボン・ファイバー強化樹脂(CFRP)の採用などにより軽量化された数々のエレメントが相まって妥協のないドライビング・プレジャーを実現する。
カーボン製のエア・ダクトが目を引くボンネット本体にもCFRPが使われており、車両全体としてはM5コンペティションよりも70kgの軽量化を実現した(欧州仕様認証値)。
最大出力635ps、最大トルク76.5kg-mを誇るV型8気筒BMW Mツインパワー・ターボ・ガソリン・エンジンは、3.0秒という0-100km/h加速をマーク。
2基のツイン・スクロール・ターボチャージャー、高精度ダイレクト・インジェクション・システム、バルブトロニックにより、4.4Lのエンジンは、ダイレクトなレスポンスとともに低回転からでも大きなパワーを発揮する。
M5 CSでは、M5コンペティションの装備に加え、Mカーボン・エンジン・カバー、Mカーボン・セラミック・ブレーキ・システム、Mドライバーズ・パッケージが追加で装備される。
エクステリアカラーは、「BMWインディビジュアル・フローズン・ディープ・グリーン」、「BMWインディビジュアル・フローズン・ブランズ・ハッチ・グレー」、「ブランズ・ハッチ・グレー」の3色から選択可能。
ステアリングは右が設定され、価格(税込)は、2510万円。
Posted at 2021/04/14 09:50:26 | |
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BMW | 日記
2021年03月30日
BMW M2 CS「レーシング」が実戦へ… 入門レーシングカー
BMWは3月23日、新たな入門レーシングカーの『M2 CSレーシング』(BMW M2 CS Racing)が3月27日、ドイツで実戦デビューすると発表した。
同車は、『M2 CS』をベースに開発されたレース専用車だ。M2 CSは、BMWのコンパクト2ドアクーペの『2シリーズ クーペ』の頂点に立つハイパフォーマンスモデル。「CS」は『M3セダン』や『M4クーペ』に用意されたことがあるが、『M2』への設定は初めて。さらなる軽量化と高出力化を図り、サーキットなどでのパフォーマンスを追求している。
◆最大出力450hpのM2 CSがベース
直噴3.0リットル直列6気筒ガソリンツインターボエンジンは、最大出力450hp/6250rpm、最大トルク56.1kgm/2350~5500rpmを獲得する。このスペックは、『M2コンペティション』の最大出力410hp/5250~7000rpm、最大トルク56.1kgm/2350~5200rpmに対して、40hpの上乗せとなる。
トランスミッションは、6速MTまたは7速Mダブルクラッチを組み合わせる。BMWによると、6速MTの設定は、CSモデル初という。M2 CSは、0~100km/h加速4.0~4.2秒、最高速250km/h(リミッター作動)の性能を発揮する。オプションのMドライバーズパッケージでは、最高速が280km/h(リミッター作動)に到達する。M2コンペティションの0~100km/h加速4.2~4.4秒に対して、0~100km/h加速は0.2秒短縮されている。
◆参戦するレースに応じて最大出力は異なる
このM2 CSをベースに開発されたレース専用車が、M2 CSレーシングだ。エンジンマネジメントシステムには、BMW 『M4 GT4』のエレクトロニクスを導入した。レギュレーションに応じて、さまざまなパフォーマンスレベルにプログラムすることができる。
直噴3.0リットル直列6気筒ガソリンツインターボエンジンは、参戦するレースのレギュレーションに応じて、最大出力280~365hpを引き出す。その一方で、最大トルクは56.1kgmと、市販バージョンと同数値とした。
7速デュアルクラッチトランスミッションには、専門のモータースポーツ向けソフトウェアが組み込まれる。排気システムは、レーシング触媒コンバーターを備えたモータースポーツ専用品。BMW モータースポーツは、パフォーマンスを市販車と同じ450hpに高めるアップグレードパッケージも用意している。
ABSやDSCなどは、モータースポーツ向けのチューニングを受けた。ドライブシャフトもモータースポーツ用で、冷却機能を備えた機械式LSDを標準装備する。市販車と同様に、ルーフはカーボンファイバー製とした。
◆ZFザックス製のモータースポーツ向けダンパー
ブレーキは、フロントがアルコン製の6ピストンで、ブレーキディスクの直径は380mmとした。リアは4ピストンで、ブレーキディスクの直径は380mmだ。ツインフローエアによるブレーキ冷却システムが採用される。
サスペンションは、フロントとリアともに、3段階の調整が可能なスタビライザー、ZFザックス製のモータースポーツ向けダンパーを装着する。リアアクスルのホイールベアリングは、モータースポーツ用に強化された。
エクステリアは、フロントリップスポイラー、角度調整式のモータースポーツ用リアウィング、エアジャッキシステム、ボンネットとトランクのクイックリリースロック、軽量化されたモータースポーツ向けワイヤーハーネスを採用する。
インテリアには、バケットシート、6点式安全ハーネス、データロガーとカラーディスプレイを装備した。センターコンソールは、照光式スイッチパネル付き。BMWモータースポーツのステアリングホイールには、操作ボタンとロッカースイッチが付く。
◆2021年は4つのレースでM2 CSレーシングを使用
このM2 CSレーシングが3月27日、ドイツ・ニュルブルクリンクで開幕する「BMW M2 CSレーシングカップNLS」において、実戦デビューを果たす。BMW M2 CSレーシングカップNLSは2021年、全9戦が予定されている。
また、5月に開幕する「BMW M2 CSレーシングカップベネルクス」と「BMW M2 CSレーシングカップイタリア」でも、M2 CSレーシングが使用される。2021年、BMW M2 CSレーシングカップベネルクスは全5戦、BMW M2 CSレーシングカップイタリアは全6戦が計画されている。
さらに7月には、M2 CSレーシングを使用する「BMW M2カップ(DTM)」がドイツで開幕する。2021年は、ドイツ、オーストリア、オランダで全6戦が予定されている。
Posted at 2021/03/30 23:20:09 | |
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